レビュー

Nulbarich | 2018.09.04

 ブラックミュージックをルーツとしたグルーヴィーな演奏とポップなメロディー、匿名的なアーティストイメージが話題を呼び、瞬く間に人気バンドとなったNulbarich(ナルバリッチ)。その職人芸的なソングライティングとパフォーマンスを武器にジャミロクワイ来日公演のサポートアクトを務め、今年11月に予定されている日本武道館公演はすでにソールドアウトと、その勢いはさらに加速しているようだ。

 そんな彼らがこれまでとは毛色の違った作品をリリースする。それが初のリミックスEPである『The Remixes』だ。配信リリースとなる本作は、今年5月にリリースされた最新シングル「Kiss You Back」と、今年3月にリリースされたセカンドアルバム『H.O.T』からの3曲を合わせた全4曲のリミックスバージョンが収録。海外のエレクトロニックDJがリミキサーとして参加することで、ブラックミュージックをベースとした楽曲に新たな解釈が加わっている。

 ケイティー・ペリーやセレーナ・ゴメスといったポップスターのリミックスにも定評あるDisco Friesにより、「Zero Gravity」はディスコやハウスの雰囲気漂わせるギターカッティングやヴォーカル処理をアクセントに、よりファンキーなグルーヴを強調した“温故知新”なEDMサウンドに。

 アヴィーチーのサポートDJを務めIcona PopやYears & Yearsにリミックスを提供したTobtokが手がけた「Almost There」は、原曲の持つ4つ打ちのフィーリングを活かしながら、バレアリックな雰囲気をプラス。よりアンセミックなトロピカルEDMに仕上がっている。

 続いて最新シングル「Kiss You Back」を手がけるのは、ジャスティン・ティンバーレイクやホイットニー・ヒューストンをリミックスしたほか、同郷であるKygoとのコラボレーションも話題のスウェーデンのDJ/プロデューサーのOliver Nelson。祝祭感溢れる原曲のフィーリングを維持しながら、持ち前のエネルギッシュなサウンドとアップリフティングでポップなシンセ使いで、また違った楽曲の魅力を提案することに成功していると言えるだろう。

 そして本作のラストを飾るのは人気曲「In Your Pocket」だ。原曲もカットアップしたサンプル使いや音響処理がフロアライクな印象を感じさせたこの楽曲を手がけるのは、19th Ave.。アーティスト情報がなくJQの変名などの可能性も考えられるが、リミックスの内容はストレートなポストEDMサウンドといった趣で、よりストレートに楽曲のメロディーを伝えるバージョンとなっている。

 本作収録の4曲はいずれも原曲のフィーリングを活かした内容で、Nulbarichの従来のファンがエレクトロニックサウンドに触れるきっかけにも、反対にクラブからNulbarichの音楽への入り口となる可能性を生む作品だ。こうしたリミックスは国内外の交流を促進するという点も含めて歓迎されるべき作品ではないだろうか。

【文:照沼健太】

リリース情報

Remixes(Digital remix EP)

Remixes(Digital remix EP)

発売日: 2018年09月05日

価格: ¥ 1,000(本体)+税

レーベル: ビクターエンタテインメント

収録曲

1.Zero Gravity (Disco Fries Remix)
2.Almost There (Tobtok Remix)
3.Kiss You Back (Oliver Nelson Remix)
4.In Your Pocket(19th Ave. Remix)

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