レビュー

Attractions | 2018.12.05

 福岡のストリートシーンが生み出した、新世代のハイブリッドロックバンドAttractionsによるファーストフルアルバムが完成した。結成は2016年、2017年に福岡の「BINGOBONGO」というアパレルショップが運営するレーベル「GIMMICK-MAGIC」からデビューを果たした4人組。今年春にはアメリカ・オースティンで開催される音楽見本市SxSWにも出演、日本のみならずグローバルな視点でも今後の活動に注目が集まるバンドだ。

 ストリートカルチャー出身、というのが謳い文句にあるように、かなり自由で等身大の面白さを感じさせるバンドである。いわばSuchmos以降の「ジャンルレス、エイジレス、でも強烈なユニティ感を感じさせる」新世代の系譜に連なるバンド、だともいえるし、一方で音楽的には雑多なインスピレーション源から着想を得ながらも基本的にはグルーヴィーでダンサブルなディスコロックを得意とするという意味でMGMT~パッション・ピットあたりの洋楽シーンとの共振性ももっている。「90年代感」とか「ブラック感」はいまのトレンドでもあるので、ファッションシーンとのリンクも非常に強そうだ。

 つまりめちゃくちゃ「今っぽい」バンド、というのが一般的評価になりそうなのだが、実際のところ僕がこのアルバムを聴いて、そして彼らのライブを観て面白いなと思ったのは、その「今っぽさ」とは裏腹の「今っぽくなさ」のほうだった。もちろん「今」の世代感やトレンド感は前提とした上での話だが、このバンドには音楽のジャンルも国境も軽々と超え、同時代の海外シーンとリンクし、さらには様々なカルチャーをマルチに渡り歩きながらアウトプットをする「新世代」の軽やかさよりもむしろ、ロックバンドという形式と表現手法にロマンを感じ、そこに夢を求める熱くてある種泥臭いパッションがあり、それが原動力になっているように感じる。

 ディスコビートが効いたパーティーチューン「Rock’n the Weekend」、メロウでセンシティブなサウンドスケープを描く「Blue/Pillow」、ギターのリフがドライブするサーフパンク「Future」など、かなり器用に多種多様のスタイルを乗りこなしているこのアルバム。その様々なスタイルをつなぐものは、ヴォーカルTaroの熱っぽい歌と、バンドの生な質感にこだわったサウンドだ。フラットでハイブリッドなカルチャー的感性と、バンドと音楽に対するロマンが、ひとつひとつの音のなかでせめぎ合いつつ同居している。

【文:小川智宏】

リリース情報

DISTANCE

DISTANCE

発売日: 2018年12月05日

価格: ¥ 2,200(本体)+税

レーベル: GIMMICK MAGIC

収録曲

01.DISTANCE (Introduction)
02.Hazy Boy
03.Rock’n the Weekend
04.Future
05.One Answer
06.Carbon Love
07.Leilah
08.Blue/Pillow
09.Instant Jam
10.Daydream Moonrise

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