レビュー

ハルカミライ | 2019.01.16

 今が最高とか、人生は素晴らしいとか、愛が溢れてるとか、そういうことを歌うロックバンドのことはいまいち信用できない。ひねくれているだけかもしれないが、じゃあなんでおまえはバンドやってるんだ?と思ってしまう。同じように、鬱々とした感情やふさぎ込んだ日々ばかりを歌うロックバンドにもやっぱり共感できない。で、おまえはどうしたいのよ?と突っ込みたくなってしまう。古臭い言い方になってしまうが、やっぱりロックというのは現状に対するレジスタンスとデカい夢、その両方を同時に描くためのもので、だからこそそこにはロマンとパワーが生まれる。

 そんなことを、ハルカミライのファーストフルアルバムを聴きながら改めて思ったりした。東京・八王子からロックにしかできない闘いとバンドでしか抱けない夢を大声で歌う4人組。このバンドこそ、今に全力で抵抗しながら、それを突き抜けた先に大きな夢を描く、ど真ん中のロックバンドである。ドラムとベースとギターと歌、すべてがひたすらまっすぐに突き進んでいく全12曲、33分。もう何度リピートしたかわからない。そして何度聴いても、初めて聴いたときのわくわくと煌めきは失われることがない。

「一話も逃さず見ていたのに/打ち切りだなんて 好きだったのに」というフレーズから始まる1曲目「星世界航行曲」、「夢の中君には 触れてしまえるのです」と歌う「ゆめにみえきし」。ハルカミライが歌う“今”には何かが決定的に足りない。その“足りなさ”が彼らのエネルギーの源である。“今”にはないその何かを追いかけて、ハルカミライはその名のとおり“未来”へと駆ける。このアルバム『永遠の花』に刻まれているのは、その確かな第一歩だ。“今”ではなく“未来”。橋本学の明瞭で伸びやかな歌声は、そこで待つ自分たちに宛てた手紙のように聞こえる。

 言うまでもないことだが、未来を見据え続けるのは楽じゃない。あらゆるものがあっという間に変わり、景色はどんどん色あせていく。アルバム終盤のセンチメンタルな「それいけステアーズ」や「僕らは街を光らせた」が歌っているのはそういう時間の流れだ。そしてその怒涛のような流れの中でも「僕ら ぐしゃぐしゃで叫んでいたい 赤く青く染まったままで」(「それいけステアーズ」)「もしもここが地獄の真っ只中なら/そのままこのまま進んでみるよ」(「僕らは街を光らせた」)と彼らは誓う。そこにロックの青春たるゆえん、僕たちがロックバンドに胸を焦がす理由のすべてがある。

【文:小川智宏】

リリース情報

永遠の花

永遠の花

発売日: 2019年01月16日

価格: ¥ 2,800(本体)+税

レーベル: ユニバーサル ミュージック

収録曲

1.星世界航行曲
2.幸せになろうよ
3.心
4.俺よ勇敢に行け
5.Tough to be a Hugh
6.世界を終わらせて
7.ゆめにみえきし
8.エース
9.冬のマーチ
10.QUATTRO YOUTH
11.それいけステアーズ
12.僕らは街を光らせた

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