レビュー

妄想キャリブレーション | 2019.02.13

 2月23日に行われるZepp DiverCity公演を以って活動を終了する妄想キャリブレーションのラストシングル。まず、タイトル曲の「爆アゲ↑バンザイ!!」は、爽やかに躍動するサウンドも含めて、彼女たちをずっと応援してきた人にとって、“こういう妄キャリが好きなんだ!”と強く実感することができる曲だと思う。歌詞の解釈に関しては様々な形があり得るだろうが、多くのリスナーが思い浮かべるのは、“妄キャリの活動終了”ではないだろうか。センチメンタルなトーンで彩ることもできるテーマを元気いっぱいに描いているところが、とても妄キャリらしい。人生の道のりの険しさ、待ち構えているのかもしれない試練を見つめつつも、力強く《バンザイ!!》と叫びながら未来へと進もうとしている姿が、とてもまぶしく迫ってくる。《「がんばれ」じゃなくて「がんばろうぜ」》《あの妄想もリアルに変わるよ》など、互いの未来を輝かしいものにすることを呼びかけているフレーズの数々は、リスナーの心を動かすメッセージとなっているはずだ。

 そして、作詞を妄キャリのメンバーたち、作曲を雨宮伊織が手掛けた2曲目の「帰り道」は、「爆アゲ↑バンザイ!!」と同じテーマを別の角度から捉えているのを感じる。大切なラストライブが終わった後の帰り道で抱く感情を、《今日だけはひとりだけでよかったな》と歌っているのが、とても印象的だ。共に歩んできた仲間、支えてくれた人たちへの気持ちは、簡単に言い表せるものではないだろう。いろんな思い出と共にたくさんの感情が溢れ出てしまう状態は、“ありがとう”や“寂しい”というような言葉だけでは言い尽くせるはずもない。しかし、“ありがとう”や“寂しい”という飾らない言葉でも伝えずにはいられない……という何とも言えずもどかしい想いを素直な表現で描いている。5人のメンバーたち各々が帰り道をひとりで歩いている姿が自ずと思い浮かぶのも、とても味わい深い。

 コールやミックスが加わっているライブバージョンだからこそ、ファンと一緒に作り上げた卒業制作的なものにもなっている「悲しみキャリブレーション -Live ver.-」も収録されている本作は、ラストシングルとしてこの上ない。聴いていると寂しい気持ちも当然湧き起こるが、ファンとメンバーがこの先もずっと大切にしていける1枚だと思う。

【文:田中大】

リリース情報

爆アゲ↑バンザイ!!

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爆アゲ↑バンザイ!!

発売日: 2019年02月13日

価格: ¥ 1,204(本体)+税

レーベル: Sony Music Records

収録曲

01.爆アゲ↑バンザイ!!
02.帰り道
03.爆アゲ↑バンザイ!! -instrumental-
04.帰り道 -instrumental-
05.悲しみキャリブレーション -Live ver.-

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