レビュー

THE YELLOW MONKEY | 2019.04.24

 リリースの4週間前に、日本武道館で9999人を無料招待して試聴会を開き、しかもそこではメンバー自身が登場して収録曲順に演奏するという前代未聞のお披露目となった『9999』。それはTHE YELLOW MONKEYの、前作『8』からの19年ぶりになる新作への強い思いと自信の表れだろう。

 緊張感のあるギターソロが幕開けを飾る「この恋のかけら」は、19年前の前作『8』の最終トラック「峠」の続きと吉井和哉はオフィシャル・インタビューで語っている。解散そして再集結までの空白を埋めるかのような言葉だが、「峠」で始まった宛てのない旅がどうやら終わりを迎え新たな道を歩み出す。一度はエンドロールが流れたけれど、彼等の旅はずっと続いていたのだ。落ち着いたテンポの歌を聴いていると、どこにも埋められない”恋のかけら”とは消えないバンドへの思いであり、残された時間は長くないからダメ元でやってみようと歌う一節は、再集結への決意を振り返っているよう。

 この曲を始めとして、昨年LAのサンセット・サウンド・スタジオでレコーディングした6曲と、再集結してから発表して来た「ALRIGHT」など配信限定も含め既発の7曲が本作には収録されている。この13曲が浮かび上がらせる再集結後の彼等の足取りと、THE YELLOW MONKEYというバンドが持つ不動の色や音に、改めて唸らせられてしまう。LAで録音したのは、自分たちも好きなロックの名盤が多数作られたスタジオであること、いわゆるガレージ・バンドのようなサウンドにしたかったからとドキュメント映像で吉井和哉が言っている。その言葉通りバンドの持つダイナミズムを削ぎ落とすことなく捉え、この4人が揃って音を出してきた蓄積からくる厚みと再集結という節目を経ての新鮮さを、タイムレスなサウンドとして未来に向けて放っている。

 一気に弾ける「天道虫」やストリングス入りでドラマチックに聴かせる「砂の塔」などは広く曲を届かせる力を感じさせ、グラム・ロックのベースラインで踊らせる「Love Homme」やサイケデリックなイメージの「Titta Titta」は、60~70年代ロックへの変わらぬ愛が溢れている。菊地英昭による美バラード「Horizon」は今の彼らならではのロマンチシズムを漂わせ、「ロザーナ」の多面的なサウンドは一筋縄ではいかない彼らを思わせる。それぞれ多彩な13曲で描かれた彼らの現在は、自画像のようにリアルだ。

 書体の違う9が4つ並ぶアルバム・タイトルは、4人それぞれの苦労が集まったものだからだとか。それぞれ個性的な4人が同じものを目指すことでTHE YELLOW MONKEYになる。「フォーナイン」とは純金のことでもある。まぎれもない純度のTHE YELLOW MONKEY。それがこの作品だ。

【文:今井智子】

リリース情報

9999

9999

発売日: 2019年04月17日

価格: ¥ 3,000(本体)+税

レーベル: ワーナーミュージックジャパン

収録曲

1.この恋のかけら
2.天道虫
3.Love Homme
4.Stars (9999 Version)
5.Breaking The Hide
6.ロザーナ
7.Changes Far Away
8.砂の塔
9.Balloon Balloon
10.Horizon
11.Titta Titta
12.ALRIGHT
13.I don’t know

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