レビュー

サカナクション | 2019.06.26

 待ちに待ったアルバムがついに届けられた。サカナクションの7thアルバム『834.194』。前作『sakanaction』から約6年ぶりとなる、まさに待望の新作だ。

 前作『sakanaciton』以降、サカナクションは音楽性・活動スタイルの両面において、きわめて刺激的な軌跡を描いてきた。深遠かつ叙情的な表情を備えた「グッドバイ/ユリイカ」「さよならはエモーション/蓮の花」から、新たなポップの在り方を示した「新宝島」(映画「バクマン。」主題歌)への大きな変化。10周年のタイミングでリリースされた初のベストアルバム『魚図鑑』と6.1chサラウンドの立体的な影響を取り入れたアリーナ公演「SAKANAQUARIUM2017 10th ANNIVERSARY Arena Session 6.1ch Sound Around」の開催。さらに株式会社「NF」(音楽と様々なカルチャーが混ざり合うコンテンツを企画、運営)での活動を含め、さまざまなメディアとの接触を繰り返しながら、サウンドメイク、歌詞、ライブパフォーマンス、映像など――つまりアートや表現に関するあらゆる要素――を研磨し、独創的にして現代的なポップミュージックを追求してきた。その着地点が本作『834.194』なのだと思う。

 前作以降にリリースされたすべてのシングル曲、そして、「ナイロンの糸」(カロリーメイト"考えつづける人"篇 TVCMソング)、「忘れないの」(SoftBank music project テレビCM「速度制限マン」篇 CM ソング)、「ワンダーランド」(TBSテレビ「NEWS23」オープニングテーマ)などの新曲を加えた本作「834.194」は、CD2枚組。「新宝島」「多分、風」を含む「DISC-1 35 38 52 9000 / 139 41 39 3000」は、ダンサブルな楽曲を中心に構成されている。クールに抑制されたディスコ・ファンク・チューン「マッチとピーナッツ」、トライバルなパーカションが印象的な「モス」など、さらに進化したサカナクション流のダンスミュージックを体感できる1枚だ。

 「グッドバイ」「蓮の花」など含む「DISC-2 43 03 18 9000 / 141 19 17 5000」は心の深遠を描き出すようなディープで叙情的な楽曲が中心。静かで美しいピアノのフレーズが広がる「茶柱」、エレクトロニカの進化型とも言えるトラックとともに自らの心象風景を叙事詩的に綴ったタイトル曲「834.194」など、サカナクションが持つ豊かな精神性を味わうことができる。

 アーティストデュオ”Nerhol(ネルホル)”が手がけた、ある2つの地点を撮影対象にしたアートワークも素晴らしい。先鋭性と大衆性を同時に押し進めながら、アートとしてのポップミュージックを体現し続けるサカナクション。その最新モードをぜひ、じっくりと時間をかけて堪能してほしい。

【文:森朋之】

リリース情報

834.194

834.194

発売日: 2019年06月19日

価格: ¥ 3,500(本体)+税

レーベル: ビクターエンタテインメント

収録曲

[DISK-1]
01. 忘れられないの
02. マッチとピーナッツ
03. 陽炎
04. 多分、風。
05. 新宝島
06. モス
07. 「聴きたかったダンスミュージック、リキッドルームに」
08. ユリイカ (Shotaro Aoyama Remix)
09. セプテンバー -東京 version-
[DISK-2]
01. グッドバイ
02. 蓮の花
03. ユリイカ
04. ナイロンの糸
05. 茶柱
06. ワンダーランド
07. さよならはエモーション
08. 834.194
09. セプテンバー -札幌 version-

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