レビュー

打首獄門同好会 | 2019.09.25

 結成15周年を記念したベストアルバム『獄至十五』。結成11年目以降の作品の中から選ばれた15曲と新曲3曲によって構成されている。この約5年間の活動によって、打首獄門同好会が大躍進したことは、ファンならばよく知っているだろう。5年前の時点でも彼らは既に「大人気」だったが、現在は「大」の文字がさらに10個くらい加わったというような印象がある。ワンマンライブの会場の規模も着々と大きくなっていき、2018年3月には、ついに日本武道館公演が実現した。

 2016年2月のZepp Tokyo公演から数ヶ月後、シングル『島国DNA』に関する取材の際、大澤会長に「次に見据えている目標は?」と訊いたところ、「Zepp Tokyoをやったからには、次は……武道館?」というような感じで、半ば冗談めかして答えていたことをよく覚えている。しかし、それは瞬く間にリアリティを帯びて、さらなる快進撃を経て辿り着いた武道館公演は大成功となった。そして、それ以降の彼らのライブもチケットのソールドアウトを連発しているし、リリースした曲や公開したMVも爆発的な支持を集め続けている。この5年間の濃厚極まりない日々と、発揮された桁外れの勢いは、今回のベストアルバム『獄至十五』からも感じ取ることができるはずだ。

 打首獄門同好会の音楽は、「生活密着型ラウドロック」だが、この独特な表現スタイルが一層洗練されていったのが、この5年間だと言っていいだろう。愛している食べ物の素晴らしさを心から讃えた「日本の米は世界一」。動物性たんぱく質を主に魚介類から摂取していた我々日本人を遺伝子レベルから震わせてやまない「島国DNA」。我が国に於ける戦後最大の内戦と呼ばれている覇権争いを壮大に描いた「きのこたけのこ戦争」。美食家が直面せざるを得ない悩みを鋭く突いた「糖質制限ダイエットやってみた」「歯痛くて feat.Dr.COYASS」。“本能に反することはやりたくないんだ!”という、生物である人間としての当然の気持ちを心から肯定してくれる「布団の中から出たくない」「なつのうた」「はたらきたくない」「だらだらしたい」……などなど、この5年間の軌跡の中で生み出された名曲は、本当にたくさんある。

打首獄門同好会「なつのうた」


 彼らの音楽が誘う笑いの先には、いつも爽やかな感動が待っている。平凡な生活の中に実は少なからず存在する素敵なものたちに光を当てて、大変なことが多い毎日に立ち向かう力も授けてくれて、時には立ち向かわないことも認めてくれる。どんな優しいメッセージソングにも負けないくらいのポジティブなエネルギーの結晶体と言ってもいいだろう。そして、さらに付け加えておきたいのは、彼らの音楽が、確かな演奏力に裏打ちされている極上のラウドロックであるという点だ。3人の美しいアンサンブル、歌声の絶妙なコンビネーション、レベルの高いサウンドアレンジは、あらゆる曲で最大限に発揮されている。今作のために改めてリマスターされた曲たちは、打首獄門同会のロックバンドとしての正統派の実力も、リスナーに生々しく体感させるに違いない。

【文:田中 大】

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リリース情報

獄至十五

獄至十五

発売日: 2019年09月25日

価格: ¥ 2,600(本体)+税

レーベル: LD&K

収録曲

1.島国DNA
2.きのこたけのこ戦争
3.日本の米は世界一
4.Shake it up ’n’ go ~シャキッと!コーンのうた~
5.なつのうた
6.TAVEMONO NO URAMI
7.猫の惑星
8.糖質制限ダイエットやってみた
9.ニクタベイコウ!
10.はたらきたくない
11.だいたいOKです
12.YES MAX
13.New Gingeration
14.47
15.布団の中から出たくない
16.歯痛くて feat.Dr.COYASS
17.Fly Away
18.だらだらしたい

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