レビュー

あいみょん | 2019.09.30

 初のNHK紅白歌合戦への出場を果たした楽曲「マリーゴールド」がリリースされたのは2018年、去年の夏のこと。MVに続き、ストリーミングの再生回数も1億回を突破したというニュースが飛び込んでくるなど、国内外のリスナーから愛され続けるあいみょんの代表曲として、現在も記録を更新中だ。そのロングヒットと並行して、今年に入ってからは2ndアルバム「瞬間的シックスセンス」をリリースし、日本武道館でのワンマンを成功させ、映画やドラマの主題歌を書き下ろしたりしながら、あいみょんはその才能を次々と形にして惜しみなく世に放ち続けている。
そんな彼女が今回手がけたのは、映画の”劇中主題歌”。映画の一部として、登場人物の心情を音楽の面から表現する重要な役割を担うものだが、曲を聴いた監督やスタッフサイドから「この楽曲と寄り添いながら映画を作っていきたい」との言葉が寄せられたというから、シンガーソングライターとしてだけではなく、もはや映画づくりの一員として関わっていたと言っても過言ではないようだ。またひとつ彼女の軽やかな挑戦が結実したその作品こそが、「空の青さを知る人よ」。長井龍雪監督、岡田磨里脚本のアニメーション映画「空の青さを知る人よ」の劇中主題歌であり、あいみょん9枚目のシングルの表題曲だ。

■あいみょん - 空の青さを知る人よ【OFFICIAL MUSIC VIDEO】


 脚本を読んだ時の印象として「しんのやあおいと同じく音楽をやっている身として共感する部分や、青春の淡い痛さみたいなものが自分にもあったなと感じた」と語っているが、おそらく誰もが感じたことがあるであろう”あの頃”の感覚――行き場のないモヤッと感や根拠なく走り出す気持ちが、チクリと胸の奥を刺しながら蘇るような歌詞に仕上げられている。感情をあえて言葉に託すようなあいみょんのボーカルと、シンプルなバンドサウンドや胸を熱くさせるストリングスが融合したこの楽曲を、映画の中で登場人物たちがどのように表現するのかにも注目したい。なお本作には、いろんな気持ちを知り、少しだけ大人になった目線から描かれるエンディング主題歌「葵」も収録。歩き出す背中の向こうに見える空の色を思うと、心がフッと軽くなるような1曲だ。呼応するように物語の中で生きるこの2つの主題歌もまた、世代やジャンルを超えて愛されるあいみょんの名曲として多くの人の記憶に寄り添っていくはずだ。

【文:山田邦子】

リリース情報

空の青さを知る人よ

空の青さを知る人よ

発売日: 2019年10月02日

価格: ¥ 1,000(本体)+税

レーベル: ワーナーミュージックジャパン

収録曲

01.空の青さを知る人よ
02.葵
03.空の青さを知る人よ (Instrumental)
04.葵(Instrumental)

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