レビュー

Official髭男dism | 2020.02.13

 着々とファン層を広げているOffcial髭男dism。この快進撃が続いている最大の理由は、「とにかく曲が良いから!」ということに尽きるだろう。心地よいメロディを揺るがない軸としつつ、幅広い音楽のエッセンスを煌めかせているヒゲダンの音楽は、ポップスとして強力であると同時に猛烈に刺激的だ。ソウル、ファンク、R&Bへの敬愛に満ちていて、ゴスペルのような神々しいハーモニーを響かせることもある彼らの作風の下地には、少なからずブラックミュージック的なフィーリングが脈打っている。そして、ロックやJ-POPも含む多彩なエッセンスも随所で効果的に炸裂させる様は、かなり大胆な併せ技であり、「前衛的」と言ってもいいくらいなのだが、技法の先鋭性をあまり前面には押し出さず、リスナーを無邪気にワクワクさせてしまうのだから、あらゆる曲を聴く度に仰天する他ない。

 TBS系火曜ドラマ『恋はつづくよどこまでも』の主題歌となった最新シングルの表題曲「I LOVE...」でも、ヒゲダンの只者でなさは、存分に発揮されている。たくさんの風景と感情をイメージさせてくれる起伏に富んだ展開、多彩な楽器の音色や緻密に練られたコーラスワークによって浮き彫りにされているメロディ&ハーモニーは、愛を分かち合い、交し合うことによって色合いを豊かに増していく世界をドラマチックに描き上げている。「愛」というものの本質を捉えるための様々な視点もリスナーに与えてくれるこの曲は、ヒゲダンの魅力を、さらに幅広い人々に伝えることに繋がっていくだろう。

 そして、シングル「I LOVE…」と同日にリリースされる『Official髭男dism one-man tour 2019@日本武道館』についても触れておきたい。DVD、Blu-ray、CDという3形態によるこの作品には、2019年7月8日に日本武道館で行われたライブの模様が収録されている。彼らのライブの素敵さに関しては「演奏や歌の表現力が豊か」「名曲揃いなので、自ずと全篇がクライマックスと化す」「圧倒的な美メロの宝庫」など、様々な形で語れるが、特に初めてライブを観た人の印象に残るのは「メンバーたちが実に楽しそう!」ということだと思う。藤原聡(Vo/Pf)、小笹大輔(Gt)、楢崎誠(Ba/Sax)、松浦匡希(Dr)がハーモニーを響かせ合い、演奏を心から楽しんでいる様子は、眩しいくらいキラキラしている。そんな彼らの姿は観客の身も心も解放せずにはおかない。夢中になって手拍子したり、大合唱したり、瞳を潤ませたり、笑顔を輝かせたりする人々の輪が果てしなく広がっていくライブ会場は、いつも温かい幸福感で満ち溢れている。武道館公演でも素晴らしい風景が生まれていた。

 軽やかにステップを踏みながら大合唱する観客の姿が美しい「犬かキャットかで死ぬまで喧嘩しよう!」。真っ赤な火柱が上がる中、ハードロック的なアグレッシブさも帯びながら壮大に高鳴る「FIRE GROUND」。メンバーたちが演奏をしながらステージ上をパレードする様が、実に活き活きとしている「ブラザーズ」。うっとりとしている観客の様子が画面を通してもありありと伝わってくる「LADY」。歌声と演奏に漲っている生々しいエモーションに心を動かされずにはいられない「Pretender」……などなど、武道館公演の名場面の数々を捉えた映像は、シングルやアルバムとはまた別の形でヒゲダンの素晴らしさを噛み締めさせてくれる。既にファンのみなさんに対しては、改めて強調するまでもないだろうが、ヒゲダンの音楽は至福のひと時の結晶体だ。ライブは、その「至福」が抜群の鮮度で観客に降り注ぎ続ける空間となっている。ライブを未体験の人は、この映像作品を堪能しつつ、ぜひ彼らの生の演奏を体感する機会を見つけてほしい。ヒゲダンが、ますます大好きになれるかけがえのない体験となること間違いなしだ。

【文:田中 大】


Official髭男dism - I LOVE...[Official Video]

リリース情報

I LOVE...

I LOVE...

発売日: 2019年02月12日

価格: ¥ 700(本体)+税

レーベル: ポニーキャニオン

収録曲

01.I LOVE...
02.I LOVE...~Instrumental~

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