一曲一曲が濃く、バラエティに富んだRIP SLYMEのニューアルバム

RIP SLYME | 2011.03.01

2010年には『GOOD TIMES』『BAD TIMES』と2枚の裏/表のベスト・アルバムをリリースしたRIP SLYME。そんな彼らのニューアルバム『STAR』は、自分たち5人が面白いと思うことをやっていこうという中で作られたという。派手な「TOKYO STOMP」と、しっとり側の「Under The Skin」を振り幅に、さまざまなタイプの曲が立ち並んでいる今作は、一曲一曲が濃く、バラエティに富んだ1枚。まさに一気に最後まで聴けるアルバム内容だ。そんな5人に、ニューアルバムについて色々と話を聞いてみた。

EMTG:まずは『STAR』というタイトルの由来から教えて下さい。
RYO-Z:今回はスタッフも含めてみんなでミーティングをしたときに、ゲストを招いてデコレーションしていくよりは、シンプルに5人で作っていこうって話したんです。スタッフの意見や「ファンはこんな感じを聴きたいと思ってるんじゃないかな?」みたいなことを考える以前に、まず自分たち5人が面白いと思うことをやっていこうと。で、星のマークは5つの頂点からなるし、俺たち5つの点で一曲一曲を作っていこうって。
EMTG:そのタイトルを決めてからアルバム制作がスタート?
RYO-Z:そうですね。『STAR』というタイトルありきで、「TOKYO STOMP」から制作に入っていきました。
PES:最初に「TOKYO STOMP」があって、ほぼ同時くらいに「Under The Skin」のトラックをFUMIYAに聞かせてもらってたんです。だから、派手な方は「TOKYO STOMP」で、しっとり側は「Under The Skin」、この振り幅でやっていけばいいのかなって思ってました。「TOKYO STOMP」は派手ですけど、今までのリップみたいな「元気なおじさんたち!」みたいな派手さではないし、その「TOKYO STOMP」と「Under The Skin」という幅の中でやったのが、自分的にはアルバムの色を決めることになったのかなって思ってます。
EMTG:去年、2枚のベスト盤『GOOD TIMES』『BAD TIMES』を出したことは、今回の制作姿勢に影響を与えていますか?
RYO-Z:『GOOD TIMES』の中に新曲(「Good Times」「SCAR」)を入れて、「そこまで」と「これから」っていう感じはありましたね。
EMTG:じゃあ、今回は新しい一歩、みたいな感覚が強い。
RYO-Z:新しい一歩かな?新しい一歩というか、一周して戻ってきたような感覚はあるかもしれない。
EMTG:本作を聴いて、新味と経験がバランスよく共存してるなと思ったんです。これまでの10年で培った自分たちの持ち味、武器を新たに掛け合わせてアップデートさせた、そういうムードがあるアルバムだな、と。
RYO-Z:作ってるときは、特別、そんな意識はなかったと思います。ただ5人で楽しいと思うものを立ち上げていくっていう感覚が強かっただけだから。
SU:それを無意識でやってるんですからねー、かっこいいですよね(笑)。
FUMIYA:今までは「よし、今回はロックだ」とか「ボッサだ」っていう感じだったんですよ。でも、今回は4つ打ちもやりたいし、ああいうのもやりたいし、もう作りたいの作ろうって。だから力はあんまり入ってないっていうか、サウンドの方向を決める迷いがなかった。ただ、培ってきた音の選び方とか間(ま)の作り方だけはすごいこだわってやってましたね。
EMTG:アルバムで難産だった曲はどれですか?
RYO-Z:何回もやり直したのは「Under The Skin」かも。この曲はどういうタッチでいこうか悩んでた。でも、ちょっとオトナな感じというか。ここまで生々しくやるラブソングはなかったから面白いなと思ってます。
ILMARI:手間暇がかかったのは「センス・オブ・ワンダー」だよね。
PES:うん。最初にFUMIYAのトラックを聴いたときに、その場でどんなことを書こうか?っていうことになって、その時点でRYO-Zくんが「センス・オブ・ワンダー」って言ったんです。で、それがいいなって思ったんですけど、その言葉ってパッと来ないんですよね。キャッチーな言葉ではない。でも、「センス・オブ・ワンダー」っていう語感とか、その言葉の持つ意味が大事だなと思ったから、単語も一個一個、「それは違うと思う」とか「俺はこうだからこれを入れたいとか」、そういうやりとりを重ねていって。だから、難産というよりも、ずっとやり続けてたって感じですね。そのテーマをどう言うかとか、精度を上げていくのが難しいっていう。
FUMIYA:「センス・オブ・ワンダー」はトラックもかなり微妙なタッチで作りましたからね。ストリングスを入れる度合いとかもすごい難しかった。もう彫刻みたいに、少しずつ少しずつ作っていきましたから。
EMTG:「Under The Skin」に続く「Simply」もラブソングですね。
ILMARI:これは、もうちょっとシンプルに付き合おうとか考えようっていうことですね。いたいからいるだけでしょ?みたいな。
RYO-Z:ただ、「Under The Skin」のテーマと、俺が最初に「Simply」でスケッチしてたテーマとちょっとかぶってたんですよ。それをどうしていこうか?っていうときに、ILMARIくんが歌詞を書き直して短くしようって。だから「Under The Skin」の続編感とかアウトロって感じもちょっとあるんですよね。
EMTG:「Simply」はウォーキングテンポの軽快な曲で2分弱で終わっちゃうんですよね。それが腹八分目な感じで、また聴きたくなるんですけど(笑)。
ILMARI:ロックだとそういう2分弱みたいな曲はありますけど、ラップでないなと思って。でも、やったら「短っ!」って。毎回聴く度に「短っ!」って思う(笑)。
EMTG:そんなアルバムを締めるのは、グループ初の赤ちゃんソング「Baby」。リズムもドタバタした感じで、赤ちゃんに翻弄される様子が描かれていますね。
RYO-Z:「パタパタパパ」みたいなね(笑)。
FUMIYA:でも、それがいいなと思ったんです。俺らがしっとりした赤ちゃんの歌って気持ち悪いじゃないですか(笑)。
RYO-Z:まあ、男女が出会って、そういうことになって、喧嘩なんかもあるけど、シンプルに物事を考えてやっていこうと。そうやって「Under The Skin」から流れていって、最後「Baby」で子どもが産まれるっていう。そういう流れです(笑)。
EMTG:今回は、一曲一曲は濃いんだけど、バラエティに富んでいて、一気に最後まで聴けるアルバムでした。できあがりに対してはどんな手応えを感じていますか?
SU:これは車の中で聴くのが一番いいですね。曲間も短くて、スッといっちゃう感じ。今までのアルバムって(できあがりを)確認するために聴いてたんですけど、スッと聴けたのは初めてかもしれない。なんか不思議な感覚です。
RYO-Z:今回はすごく楽しみながらやれたんですよね。「よし、今日はどうやってラップをやってやろうかな?」みたいにすごいワクワクしながら全部できた。特にレコーディングしてて興奮してたのは「フォーチュン・クッキー」。♪ポケットの中にはビスケットがひとつ♪っていう童謡があるじゃないですか。そこからイメージを膨らませていったんですけど、なんでこういう展開になるのか自分でも不思議ですから(笑)。

【 取材・文:猪又 孝 】

tag一覧 アルバム 男性ボーカル RIP SLYME

リリース情報

STAR

STAR

2011年03月02日

ワーナーミュージック・ジャパン

1. The Beat Goes On
2. Don't Panic
3. Pop Up なう
4. センス・オブ・ワンダー
5. フォーチュン・クッキー
6. RIDE ON
7. TOKYO STOMP
8. 甘い生活~La dolce vita~
9. Clap Your Hands
10. .○×△□
11. Under the Skin
12. Simply
13. BABY

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INFORMATION

■ライブ情報

RIP SLYME STAR TOUR 2011
◆4月1日(金)
川口リリア メインホール
OPEN18:00/START19:00
[問]SOGO TOKYO 03-3405-9999

◆4月7日(木)
千葉県文化会館
OPEN18:00/START19:00
[問]SOGO TOKYO 03-3405-9999

◆4月9日(土)
茨城県民文化センター
OPEN17:00/START18:00
[問]SOGO TOKYO 03-3405-9999

◆4月10日(日)
宇都宮市文化会館
OPEN17:00/START18:00
[問]SOGO TOKYO 03-3405-9999

◆4月15日(金)
神奈川県民ホール
OPEN18:00/START19:00
[問]KMミュージック 045-201-9999

◆4月17日(日)
静岡市民文化会館
OPEN17:00/START18:00
[問]サンデーフォーク静岡 054-284-9999

◆4月21日(木)
神戸国際会館 こくさいホール
OPEN18:00/START19:00
[問]SOGO OSAKA 06-6344-3326

◆4月22日(金)
滋賀県立芸術劇場びわ湖ホール
OPEN18:00/START19:00
[問]SOGO OSAKA 06-6344-3326

◆4月24日(日)
なら100年会館
OPEN17:00/START18:00
[問]SOGO OSAKA 06-6344-3326

◆5月13日(金)
鹿児島市民文化ホール
OPEN18:00/START19:00
[問]BEA 092-712-4221

◆5月15日(日)
長崎ブリックホール
OPEN17:00/START18:00
[問]BEA 092-712-4221

◆5月19日(木)
倉敷市民会館
OPEN18:00/START19:00
[問]夢番地岡山 086-231-3531

◆5月21日(土)
アルファあなぶきホール(香川県県民ホール)
OPEN17:00/START18:00
[問]DUKE高松 087-822-2520

◆5月28日(土)
新潟県民会館
OPEN17:00/START18:00
[問]FOB新潟 025-229-5000

◆5月29日(日)
金沢本多の森ホール(石川厚生年金会館)
OPEN17:00/START18:00
[問]FOB金沢 076-232-2424

◆6月11日(土)
広島市文化交流会館(広島厚生年金会館)
OPEN17:00/START18:00
[問]夢番地広島 082-249-3571

◆6月12日(日)
広島市文化交流会館(広島厚生年金会館)
OPEN17:00/START18:00
[問]夢番地広島 082-249-3571

◆6月16日(木)
盛岡市民文化ホール
OPEN18:00/START19:00
[問]GIP 022-222-9999

◆6月17日(金)
仙台サンプラザホール
OPEN18:00/START19:00
[問]GIP 022-222-9999

◆6月19日(日)
ニトリ文化ホール(さっぽろ芸術文化の館)
OPEN17:00/START18:00
[問]WESS 011-614-9999

◆6月23日(木)
福岡サンパレス ホテル&ホール
OPEN18:00/START19:00
[問]BEA 092-712-4221

◆6月24日(金)
福岡サンパレス ホテル&ホール
OPEN18:00/START19:00
[問]BEA 092-712-4221

◆6月30日(木)
中京大学文化市民会館オーロラホール(名古屋市民会館)
OPEN18:00/START19:00
[問]サンデーフォークプロモーション 052-320-9100

◆7月1日(金)
中京大学文化市民会館オーロラホール(名古屋市民会館)
OPEN18:00/START19:00
[問]サンデーフォークプロモーション 052-320-9100

◆7月9日(土)
大阪城ホール
OPEN17:00/START18:00
[問]SOGO OSAKA 06-6344-3326

◆7月12日(火)
日本武道館
OPEN18:00/START19:00
[問]SOGO TOKYO 03-3405-9999

◆7月13日(水)
日本武道館
OPEN18:00/START19:00
[問]SOGO TOKYO 03-3405-9999

◆7月18日(祝)
沖縄コンベンションセンター劇場棟
OPEN17:00/START18:00
[問]PMエージェンシー 098-898-1331

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