新たな歴史の開始を予見させるサカナクションの新曲

サカナクション | 2011.03.18

昨年は、アルバム『kikUUiki』を完成させたり、日本武道館でのワンマンライヴを成功させたりと、大きく飛躍したサカナクション。次のアクションが期待される中、シングル「ルーキー」がリリースされる。今このタイトル?と驚かされるが、聴けば、蒼い歌詞と、クラブミュージックを主体に仕上げた攻撃的なサウンドに、ここからまた新たな彼らの歴史がはじまることを認識させられるはずだ。山口一郎に深くまで話を訊いた。


EMTG:まず、「ルーキー」のような楽曲を、今の立ち位置を築いたサカナクションが発表することが、凄くいいと思いました。
山口:セールスやライヴの動員が増えるとかじゃなくて、自分たちが音楽シーンに対して、どれくらい爪痕残せるのかっていうことを、もう一回確認したかったんですよ。シングルの意味合いも、自分たちのヒストリーに付箋を打っていくものだと思うし、それを証明したかったんですよね。
EMTG:感覚に素直に作られたようなところがあるのかなって思ったんですけど。
山口:はじまりはそうかもしれないですね。でも今、ライヴアレンジしてるんですけど、それは真逆で、じゃあこの曲をどう見せようかっていう、姑息な感じです(笑)。全然アレンジが違うから、印象を受けるポイントが違うと思う。
EMTG:それは、バンド全体にとっても挑戦ですね。
山口:うん、全員が自分たちを俯瞰で見て、周りからどう思われているのかだったり、作ってきた音楽の意味だったりを意識しないとダメだったんですね。その感覚が全員出てきましたね。
EMTG:今の立ち位置や武道館も重要だったんじゃないですか。
山口:そうですね。僕は武道館って、余裕をこいて通過点とか言っていたけれど、一つの儀式なんですよね。周りから武道館アーティストって言われるし。経験したことが、知らないうちに自分たちの肉になっていくって面白いなって。
EMTG:マスになった次にやるべきこと、やれることをやった曲という気はしますよね。
山口:そうですね。話を聞いてもらえるようになったんで。自分は結婚してないし、子供もいないけど、自分の子供が将来どんな音楽聴いてるのかが凄く気になって。自分がその音楽についていけなかったら嫌だし、こんな音楽しか日本にないのかって思ったら嫌だし。もしそうなってたら自分の責任だと思うんですよね、そこに携わってたから。そうならないように父さん頑張ったんだけどなって(笑)、だめだったとしても言えるようになりたい。あと、20年後くらいに、俺がおじさんになって、ラジオから「目が明く藍色」が流れて、誰がかけてるのかと思ったら、その時にデビューした有名なバンドがかけていて、「この曲で音楽をはじめたんです」とか言われたい(笑)。そういうふうに活動していきたいんです。
EMTG:それは、世界中の人に届けたいとか漠然とした未来じゃなく、叶え得る未来ですよね。
山口:そうですね。僕、デビューして思ったのは、音楽を外に広めていくっていう戦略が、凄く面白いと思えたんですよ。戦略すら表現である時代になっていると思うから、そこを、僕らミュージシャンだけじゃなく、リスナーにも全部をちゃんと知ってもらいたいんですよね。これはシングル用に書いたんだとか、これはシングル用に書いてないんだとか、こんな器用なんだとか、こんな不器用なんだとか、そこをリスナーが楽しめるようになると、僕が思う健全な音楽シーンが未来にある気がして。
EMTG:では、2曲目の「スローモーション」に関してはどうですか?後半カオティックになっていく展開が興味深いですけど。
山口:「表参道26時」は昭和やバブルを歌ってたけど、この曲は稲垣潤一さんとか、中森明菜さんとかのイメージがあって、だけど途中で、その面白さがシングルになるって考えた自分の姑息さにもいらついたし、それをぶち壊したいっていうのが最後に表れたという。→アルバム『kikUUiki』に収録した「表参道26時」という曲でも同じく昭和やバブルを想像して歌ったけど、この曲では、その時代感が売りになるって考えた自分にもいらついたし、そこをぶち壊したいっていうのが最後に表れたという。 毎回カップリングに力を入れ過ぎるんですよ(笑)。
EMTG:いつも以上に、インタヴューが楽曲の種明かしになってますね。
山口:それには、コアな僕らの応援してくれてる人たちは気付いてくれるだろうけれど、ドライな人たちにも理解しやすい曲になってると思うし、それから内容を知ってもらった時に、こういう奥行きがあるって人臭いと思うし、そうありたいと思って音楽に携わっているから、いいところに落ち着いてくれたと思いますね。
EMTG:3曲目の「montage」は、映像を元に楽曲を作って、そのレコーディング風景をUSTREAMで生中継するっていう企画から生まれたそうですね。
山口:これがバンドだって思いましたね、表現するって意味で。ディレクターさんはテロだって言ってましたからね(笑)。他のミュージシャンやチームの人がいたら、ネタ明かしだと思われると。機材も全部バラしてますからね。
EMTG:確かに。でもUSTREAMの使い方としては一つのモデルケースになるというか。
山口:そうですね。今、USTREAMを使っているのはほんの一部なんですよ。それが、テレビに変わるツールとかになった時に、どうなるのか凄く気になる。今は良識のある人が使ってるけど、もっと多くの人々が入ってくると不安というか(笑)。そのためにも僕たちが一つのルールを確立していくことが凄く重要ですよね。
EMTG:今後も、6月までツアーの予定が早くも決まってますね。
山口:いやぁ、その後もびっしりですよ(笑)。ビクターにいつか殺されるんじゃないかな(笑)。
EMTG:そんなこと言って(笑)。本当は信頼を寄せているのに。
山口:はい(笑)。チームサカナクションって、優秀だし、面白いし、僕が思ってることも理解してくれるし。アーティストを育てるのはスタッフだったりするんですよ、みんな知らないで飛びこんでくるから、その底上げをしていかなきゃって思うし、僕らが評価されると、僕らのチームが評価されるから、それも僕らがやっていかなきゃいけないシーンに対するアプローチなんです。
EMTG:メジャーという規模でそう言えることって本当に素晴らしいですよね。
山口:メジャーでリリースする意味って、この時代は意味がないと思うんです。だけど何故メジャーでリリースするかっていうと、僕はインディーズを否定しないし、メジャーを肯定するわけじゃないけど、シーンに対して楔を打ちたいからっていう。他のメジャーアーティストは、そういう人もいると思うけど、あまり多くない気がする。でも僕は秘策があるから……まだ言えないけど(笑)。日本の音楽シーンにガソリンを与えるくらいのことをやりますよ。

【 取材・文:高橋美穂 】

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リリース情報

ルーキー

ルーキー

2011年03月16日

ビクターエンタテインメント

1. ルーキー
2. スローモーション
3. montage
4. (エンハンスド)montage (Music Video)

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■ライブ情報
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◆6月18日(土)
ZEPP SAPPORO
(問)マウントアライブ 011-211-5600

◆6月20日(月)
ZEPP NAGOYA
(問)ジェイルハウス 052-936-6041

◆6月22日(水)
ZEPP OSAKA
(問)グリーンズ 06-6882-1224

◆6月23日(木)
ZEPP OSAKA
(問)グリーンズ 06-6882-1224

◆6月27日(月)
ZEPP TOKYO
(問)ヴィンテージロック 03-5486-1099

◆6月28日(火)
ZEPP TOKYO
(問)ヴィンテージロック 03-5486-1099

【チケット】
5/8(日)一般発売開始
前売り¥4,300 当日¥4,800 ドリンク代別
※3/16リリース「ルーキー」初回限定盤に先行抽選予約シリアルナンバー封入

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