「『愛してる』って言わないで、その気持ちが伝わるラブソングです」星野源1stシングル

星野 源 | 2011.03.23

 昨年、リリースした初のソロアルバム『ばかのうた』が大好評の星野源が、今度は初のシングル「くだらないの中に」を出した。もともとインストグループ“SAKEROCK”のリーダーとして活躍していた星野だが、バンドとソロは大違い。インストでは思う存分、暴れん坊っぷりを発揮してきたが、アコギで歌うソロは美メロの嵐!磨かれたコードワークとツボを押さえたアレンジで、いきなりトップ・アーティストに上り詰める勢いだ。一方で、歌詞は、静かな暴れん坊という感じなのも星野らしい。一筋縄ではいかないポップ観が魅力だ。

カップリングは、ライブで必ず1曲目に歌うという「歌を歌うときは」、たったひとりで完結する世界を歌う「湯気」、マンガ『ブランコ』発売記念曲の「ブランコ」、前作のリードトラックをひとりでレコーディングした「くせのうた」という4曲。合計5曲入りという豪華版シングルだ。

 あ、そうそう、星野源は俳優としても活躍中で、連続テレビ小説『ゲゲゲの女房』では主人公の弟役をやっていた“あの人”です。


星野:『ばかのうた』の中の曲を聴いた人から、「これはラブソングだよね」って言われたとき、「えっ、そうなんですか?って(笑)。それはちょっと恥ずかしいな」と思ったんです。
EMTG:どのへんが恥ずかしかったんですか?
星野:“ラブソング”っていう言葉の響きが恥ずかしかった(笑)。自分では、そんなつもりで作った曲じゃなかったし。前から「愛してる」って言葉は、滑稽でおこがましいと思ってたんです。「僕は“愛”をしてるんだよ」って歌うのって、ものすごく偉そうな気がするんです。愛はするものじゃなくて、そこに「ある」かどうかだと思うから。だから、嫌いだった。なので、「愛してる」と言わないで、そういう気持ちを伝えられたらいいなって、ずっと思ってはいました。
EMTG:それ、わかります。で、そういう決意をもって作ったのが、「くだらないの中に」だったんですか?
星野:いやいや、それが違うんです(笑)。ある日、お風呂に入ってたら、突然できたんです。
EMTG:ありゃー、ずぶ濡れのラブソングだ(笑)。
星野:いつもは歌詞とメロディを同時に作って、両方ちょっとずつ増やしていって1曲にするんですけど、これはシャワーを浴びながらアッという間にワンコーラス分が浮かんできた。忘れないように裸のまま、びしゃびしゃのノートに急いで書き留めて、そこから完成させたんですけど、改めて見てみたら、「これ、ラブソングだな」って自分で思った(笑)。
EMTG:いきなり、嫌いだったラブソングができちゃったんだ(笑)。
星野:そうなんです(笑)。『ばかのうた』を聴いて「ラブソングだね」と言ってくれた人と同じように、曲を客観的に見れたんですね。そうしたら、「くだらないの中に」はラブソングだなと自分で思えた。だったら「そんなことない」って言うのは、すごくかっこ悪いし、誠実でない。それで“初めて正面から書いたラブソングです”って言うことにしたんです。
EMTG:かなり幸せな“歌の出来方”だなあ。
星野:そうですね。
EMTG:それにしても、メロディとコードがすごくきれいな曲。どんな音楽を聴いて育ったんですか?
星野:小学校の時、好きで聴いてたのは、B’z、ユニコーン、サザンです。ユニコーンは途中からクレイジーキャッツみたいになっていきますよね。僕はクレイジーキャッツの歌に出てくる“C調男”に憧れたから、共通点を見つけて元気づけられました。ユニコーンの「ペケペケ」は、クレイジーキャッツの「ハイそれまでヨ」っていう歌と構成が一緒なんですよ。
EMTG:そうそう、同じだね。でも、ユニコーンとB’zが同時に好きな人は珍しい。
星野:B’zもイメージは「超カッコいい!」って感じだけど、かなり歌詞が変なんです(笑)。あれはモテない時期が長かった人の書く歌詞だと思う。でもファンの人って、そういうところをちゃんと聴いてるんです。詞の世界に奥行きがあるし、真面目に遊んでる感じがするのが好きです。
EMTG:たしかに(笑)。
星野:そういうのに憧れて曲を作り始めたんですけど、中学生の頃、録音した自分の声を聴いて絶望したんです。変な声だと思って、人前で歌うのは諦めたんです。だから他人に聴かせるんじゃなくて勝手に一人で歌ってたんですね。
EMTG:「くだらないの中に」を聴いていると、すごく洋楽的なものを感じるのはなんでだろう?使ってるコードが、すごくきれいで。
星野:そう言ってもらえると嬉しいです。両親ともジャズが好きで、家ではずっとジャズが流れてたんですよ。子供の頃は退屈だったけど、だんだん面白くなっていって。曲を作ることに関しては、ものすごく影響を受けたと思います。
EMTG:ははあ、それでギターでややこしいコードを弾いてるんだ(笑)。
星野:そうなんですよ。作った後も「こっちのコードのほうがいいかな」とか変えたりしてるんですけど、自分で弾きながら歌うのがすごく大変になっちゃったりして(笑)。
EMTG:でも、一度は自分で歌うのを諦めたのに、ソロでやる決心をしたのは?
星野:実は『ばかのうた』を作ってるとき、SAKEROCKでインストバンドを10年やってきたけど、「果たして僕の歌を受け入れてくれるかな」って、歌うことを怖がってた。それが、予想を越えて受け入れてもらえたので、今回はその人たちに向けて、自分の気持ちを伝えようと思って作ったところもあるんです。♪僕は時代のものじゃなくて あなたのものになりたいんだ♪っていう歌詞には、“僕の歌は、あなたのものになりたいんです”っていう気持ちも入ってて。これを聴いた人には「星野の歌だ」じゃなくて、「自分の歌だ」って思ってもらいたいんです。「くだらないの中に」を、そういうふうに聴いてもらってもいいなと思ってます。
EMTG:それでも♪僕は時代のものじゃなくて あなたのものになりたいんだ♪って歌詞は、まぎれもないラブソングだと思う。
星野:ありがとうございます。『ばかのうた』を作って、自分の歌い方が変わってきたから、早く次の曲を録りたいなと思ってたときに「くだらないの中に」ができた。『ばかのうた』から離れることはできないけど、この曲で成長を見せたいと思ってます。

<星野源の検索ワード>“蟻の戸渡り”

“蟻の戸渡り”って呼ばれてる体の部分があるんですけど、その中がまるで足が攣(つ)るみたいにすごく痛くなることがあって。痛がりながら歩くと、吉川晃司さんのアクションみたいになる(笑)。でも、医者に行くと、「なんでもないよ」って言われる。まあ、それで検索してみたりしてるんですけど。この痛みは僕だけなのかと思って、“病気自慢”っていうコラムで書いてみたら、主婦の方から「私もです」って反応をもらって。ちょっと面白かったです(笑)。

【 取材・文:平山雄一 】

tag一覧 シングル 男性ボーカル 星野 源 インタビュー

関連記事

ビデオコメント

リリース情報

くだらないの中に

くだらないの中に

2011年03月02日

ビクターエンタテインメント

1. くだらないの中に
2. 歌を歌うときは
3. 湯気
4. ブランコ (House ver.)
5. くせのうた (House ver.)

このアルバムを購入

この楽曲の着うたGET!!
この楽曲の着うたダウンロードページのURLをケータイメールに送信できます。

※ドメイン指定受信などの受信制限をされている方は『@emtg.jp』からのメールを受信許可にしておく必要があります。

INFORMATION

■ライブ情報

♪星野 源のライブ『部屋 in PARCO劇場』
4月4日(月)・5日(火)
OPEN18:30/START19:00
PARCO劇場
[問]大人計画 03-3327-4312

♪SPACE SHOWER TV presents VOICES
5月28日(土)
OPEN17:00/START17:45
日比谷野外大音楽堂
出演:ハンバートハンバート/星野 源
[問]ディスクガレージ 03-5436-9600

トップに戻る