混乱する今を生きる人々に、勇気と元気を与えてくれる、馬場俊英のニューアルバム

馬場俊英 | 2011.04.15

何気ない日常の風景や心揺さぶるメッセージを歌に乗せ、同世代を中心に多くの支持を集めている馬場俊英。さまざまなアーティストに楽曲を提供するなど、その実力も広く知られつつある彼が、デビュー15周年を迎える記念すべき年に、記念すべき10枚目のアルバムをリリースする。節目となる作品を作るにあたってのコンセプトは特になかったと言うが、「HEARTBEAT=鼓動」をテーマに喜怒哀楽の感情や前向きな気持ちなどが織り込まれた楽曲は、混乱する今を生きる人々に勇気と元気を与えてくれそうだ。15年という長い間、音楽と共に歩んできた彼に、今回のアルバムとこれからの活動について話を聞いた。


EMTG:新作「HEARTBEAT RUSH」は、1年9ヶ月ぶりのアルバムになるんですね。
馬場俊英 : そうですね。2009年以来です。ジャケットも含めて、すごく気に入ったものになりましたね。今回は2009年の秋にリリースしたシングルから、今年に入って書いた曲まで、足掛け3年くらいの歌が入ってるんですが、そのつどそのときの気分があって、歌にもいろんな登場人物がいて、暮らしのいろんな場面があって、いろんな感情がある。そんなアルバムになりました。
EMTG:ジャケット、すごくインパクトありますよね。
馬場俊英 :これは、昔のアメリカのマラソンの大会の写真をお借りしてるんです。タイトルの「HEARTBEAT RUSH」は、いろんな喜怒哀楽の「HEARTBEAT=鼓動」がたくさん、人それぞれの感情があるっていうニュアンスでつけたんですけど、それを象徴する写真として、たくさんの人がそれぞれのペースで、それぞれの場所までいろんな思いを抱えて歩いてる、暮らしてる。そんなイメージが合うかなと思って、この写真を選びました。
EMTG:馬場さんの持ち味のひとつとして「大人の青春ソング」とでも言いますか、爽やかで前向きな作品が多くて、今回も主人公それぞれが前に進んでいくような曲が多数収録されていますね。
馬場俊英 :ここ数年の作りたい曲が、いろんな試行錯誤の季節を過ごして、思い通りにいかなかったこととか、挫折みたいなものとか、人と生きることとか、出来ると思ったけど出来なかったこととか、そんないろんな気づきのなか、それでもその場所でもう一度何かをつかみたいっていう「再スタート」みたいなことが大きなテーマになっていたんですね。今回のアルバムに入ってる曲もそういう空気があるものばかりです。さらに今回は、そういうメッセージも持ちながら、音楽的にポップなもの……ロックとかフォークとか、ポップスとか、そういう僕の好きな感じのサウンドに仕上がったので、その全体のバランスが自分らしいものになったなぁと思いますね。
EMTG:今、日本全体に「頑張ろう」とか「再スタート」のようなムードがあるので、このアルバムがの曲が誰かの力になるようなことがあるかもしれないですね。
馬場俊英 :そうですね。そういうテーマの曲が多いので、もしフィーリングに合う曲があって、「これを聴いたらちょっと元気になった」とか「やる気が出た」とか、そういう瞬間があれば嬉しいですし、このアルバムがそういうふうに愛されたらすごい嬉しいですね。
EMTG:メジャー感のあるポップな楽曲が多いなかで、「そこから始まる愛がある」や「海鳴り」など、マイナー感のある曲がすごくいいアクセントになってますね。
馬場俊英 :「そこから始まる愛がある」は、藤井フミヤさんに書かせてもらった曲なんですけど、今回自分で歌ってみて、フミヤさんにだから書けたような言葉とかもあったなって思いました。ちょっとファンキーな曲っていうか、サウンドで楽しめる、乗っかって歌える曲なので、演奏していても面白いですし、すごい好きな曲です。
EMTG:初回限定盤には「高校23年生」の制作ドキュメントが入ったDVDや68ページのブックレットなど、豪華な特典がたくさんついていますね。
馬場俊英 :そうですね。DVDは、カメラを9台使って自分では絶対に見られない角度からも撮ったりしているので、すごく面白い映像になってます。これまであまり自分を客観的にを見たことがなかったので、「あー、こうやって歌ってきてるんだな」って気づいたこともありました(笑)。ブックレットも、昔の写真やコンサートのフライヤー、チケットの半券みたいなものも載ってるので、面白いと思います。この15年、ホントにいろんなことが変わって、音楽の作り方もデビュー当時と今ではすごい違うし、学んだこともたくさんありますね。
EMTG:変わったことがたくさんある中で、逆に変わっていないことって何ですか?
馬場俊英 :「音楽が好きだ」っていう気持ちですね。曲を作りたい気持ちと、歌って楽しい、演奏したいっていう欲求みたいなものがまず最初にあって、そこから作品であったり、いろんな工夫が生まれていくんですけど、それは今のところなくなる感じがないので良かったなと(笑)。デビューの頃から今まで~毎日音楽と生きていく~みたいな気持ちを持てているので、それは変わってないです。
EMTG:ボーナストラックでは、尾崎豊さんの「僕が僕であるために」を歌っていますね。
馬場俊英 :カバー曲をCDに入れるのは今回が初めてなんです。この曲を歌ってみないかというお話をいただいて、これまであまりカバーというものをしたことがなかったので、最初はどうなんだろうと思ったんですが、曲を聴いてみたらすごくいい曲で。実は僕、10代の頃はメッセージを打ち出す音楽っていうのを好んで聴いてなくて、尾崎さんの曲をちゃんと聴いたことがなかったんですね。でも、自分でデビューして、お客さんの前で歌ったり、いろんな思いを形にして裸になっていくうちに「ああ、こういうことだったんだな」って気づいたので、今やっと当時尾崎さんがやってたことを自分なりに「わかるなぁ」と思って。尾崎さんの歌ってすごく力があるし、カタルシスっていうか、口にすると魔法がある歌だったので、歌ってみてすごく影響を受けましたね。
EMTG:最後に、15周年を越えて今後はどんな活動をしていきたいですか?
馬場俊英 :そうですね。僕の原点はやっぱり歌だと思うんで、歌作りをますます頑張っていきたいなと思ってます。アルバムを10枚作るなんて、デビューした頃は遠い遠い先の話で想像もしてなかったですけど、ここまでやって来れたので、もう一度、自分が何を作って何を歌うのかを考えながら、活動していきたいですね。4月16・17日に大阪野外音楽堂で15周年記念コンサートがあって、その後6月から今回のアルバムを引っさげての全国ホールツアーが始まるんですが、それぞれどんなコンサートになるのか、「HEARTBEAT RUSH」の曲がみなさんにどう届くのか、僕自身すごい楽しみです。

【 取材・文:松本純枝 】

tag一覧 アルバム 男性ボーカル 馬場俊英

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リリース情報

HEARTBEAT RUSH

HEARTBEAT RUSH

2011年04月13日

ワーナーミュージック・ジャパン

1. サクラブルー ~ 君が旅立つ日
2. スニーカードリーマー
3. そこから始まる愛がある
4. 悲しみよ、明日の星になれ
5. クロノス
6. 待ち合わせ
7. 明日に咲く花
8. 高校23年生
9. 海鳴り
10. 私を必要としてくれる人がいます
11. 右と左の補助輪
12. 勝利の風
13. 僕が僕であるために (Bonus Track)

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INFORMATION

■ライブ情報

♪馬場俊英 LIVE TOUR 2011~HEARTBEAT RUSH~
◆6月4日(土)
明石市立市民会館アワーズホール
[問]キョードーインフォメーション
06-7732-8888

◆6月18日(土)
Zepp Fukuoka
[問]キョードー西日本
092-714-0159

◆6月25日(土)
中京大学文化市民会館オーロラホール
[問]サンデーフォークプロモーション
052-320-9100

◆7月2日(土)
京都会館第一ホール
[問]キョードーインフォメーション
06-7732-8888

◆7月3日(日)
神戸国際会館こくさいホール
[問]キョードーインフォメーション
06-7732-8888

◆7月9日(土)
広島アステールプラザ大ホール
[問]キャンディープロモーション
082-249-8334

◆7月16日(土)
渋谷C.C.Lemonホール
[問]ソーゴー東京
03-3405-9999

◆7月24日(日)
戸田市文化会館
[問]ソーゴー東京
03-3405-9999

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