サカナクションの5thシングル『バッハの旋律を夜に聴いたせいです。』完成!

サカナクション | 2011.07.19

サカナクションが、5thシングル『バッハの旋律を夜に聴いたせいです。』を完成させた。こちら、二重カギカッコとマルも含めて正式タイトル。そこまで表現を行き届かせているのだ。楽曲そのものも、日本という視点から見ても、今という視点から見てもポップなのだけれど、何処かストレンジなバランスで成り立っていて、それによってより耳が惹き付けられる。カップリングの『years』も含めて、決意を感じる一枚だ。山口一郎(Vo&G)に訊いた。

EMTG:今作はどのように出来上がっていったんでしょうか?
山口:いつも、自分たちの目の前のお客さんに向けてのポップを模索していたんですけど、そうじゃなくて、僕らが手の届かなかった部分、J-POPシーンのマジョリティの中で、自分たちはどんなポップを鳴らせばいいんだろうって考えたんですよね。バンドやロックっていう時点でマイノリティっていう時代じゃないですか。だから、マイノリティからマジョリティになっていくんじゃなくて、元々ある大きなマジョリティの中で、サカナクションらしく、如何にマイノリティなポップを鳴らすか、そういう楽曲を作っていかなきゃいけないのかなっていう気持ちが漠然とあって。思考錯誤してて、いろんな曲が上がってきたんですけど、これは一番果敢にそこに向かっている曲というか。
EMTG:いつくらいに、そういう発想は生まれたんですか?
山口:ライヴでお客さんを盛り上げるパンチ力がある曲は、僕らは作れる気がしていたし、ただそれを繰り返していくのは嫌だったし、アルバム『kikUUiki』を作ってツアーを廻って、『ルーキー』でロックと現代詩とポップスとダンスミュージックを融合したものを作れてから、抜けていく先として浮かんできましたね。バンドって何だろうなって思って。チャートを見ても、バンドが今は受け入れられていないし、僕はそこに悲しさを感じているし。僕がよく日本の音楽を聴いていた時代って、必ず日本のバンドがそういうところに食い込んでいて、だけど何処か浮いていたというか。例えばユニコーンとか、マジョリティの中のマイノリティで、頑張れ!っていう気持ちで見ていたんですよね。でも今は、バンドが食い込んでいても、マジョリティに埋没していく場合が多い気がして。だから、いい意味で面白さを持ったままマジョリティに挑戦できないかなって。カウンターであるなら、ただ胸倉を掴んで殴り合うんじゃなく、引いたところから、いいアクセントとして、変な奴らいるっていう感覚で見てもらえるようになれればいいかな。
EMTG:二重カギカッコとマルも含めてタイトルというも印象的ですよね。
山口:僕、カギカッコにする時、二重カギカッコにする癖があって。その瞬間に作りましたっていうニュアンスを伝えたかったんですね。3月にああいう災害があって、一体自分たちは、アーティストとして何を歌えばいいのか考えたんですよ。それで、今を正直に歌うことで、時代を反映できる気がして。
EMTG:今を正直に歌うことに、照れや躊躇はなかったんですか?
山口:めちゃくちゃありますよ。メンバーに見せる時点で恥ずかしいんで。でも、僕、行きつけのカフェがあって、そこにいると、不思議な気持ちになるんですよ。twitterだとミュージシャンが原発や震災について呟いていて、僕も同じ気持ちなんですけど、カフェで聞こえてくるのは、恋愛や仕事や勉強の話ばかりで。でもそれって、僕が同い年ならそうだっただろうなって。だから、社会的に大きな不安があるために、身近な不安がおざなりになったら嫌だなって思ったんですよ。どっちの不安も大事だし、それを解消してあげることが、外に何か発信する人間の宿命だと思って。『バッハの旋律を夜に聴いたせいです。』でみんなが抱えているもやもやを歌いたかったし、『years』で今生きる自分たちを表現したかったし、この2曲で時代を照れもなく歌いたい気持ちが沸いてきたんです。かわいそうになっちゃって、みんなが。もちろんニュースや新聞は見ますが、カフェはリアルな若者たちの声を聞く場所っていう。こないだのZEPPのツアーでも、「社会の不安とみんなの不安を比べたりしないよ」っていう話をすると、お客さんはほっとした顔をしていたんですよ。
EMTG:自分がやることがより明確になったというか。
山口:音楽を作ることで幾つも円ってあると思うんですね。自分がいる音楽の世界で成績を残さなきゃいけないっていう円と、時代を歌いたい円と、ポップスとして戦略としてという円があって、それらが重なる点を見つけることが曲を作ることだと思ったし、どっかに偏ると、それが固執したバンドのスタイルになってしまう気がして。今回は円が震災のせいで増えたし、作ってて凄く難しかったですけど、『years』書いた時に言い切れたなって。『バッハの旋律を夜に聴いたせいです。』だけじゃ説明できていない時代性を補完できたなって。
EMTG:結果的に、自分を重ね合わせられるような、印象的な歌詞が並びましたね。
山口:でも、ギリギリダサいんですよ(笑)。僕はそこに日本の文学性を感じるし、それが歌謡曲な気がするんです。石川啄木とか中原中也もそうですけど、青臭い、なよなよしい感じだと、文学性が発揮しやすいと思うんですよ。ダサいんですけど、違うフォーマットにのせることで聴けるようになる、それって音楽のアレンジと一緒で面白いと思うんですよね。『バッハの旋律を夜に聴いたせいです。』もインストだとカッコいいけど、その歌詞が入ることで歌謡曲になるというか。『ルーキー』のカップリングの『スローモーション』も、山口百恵や中森明菜を意識したんですけど、そういうのを知らない若い子たちがいいって言っているんですよね。僕らはあの時代の音楽のオマージュで作ったけど、僕らがやることで新しいと思われるっていうか。だから、日本人が持つ感覚ってやっぱり統一されているんですよね。『バッハの旋律を夜に聴いたせいです。』のサビもメロディだけ聴くと昭和歌謡で、だけどダンスミュージックでサカナクションって思って聴くと、それを感じないっていう。
EMTG:この後も、マジョリティに切り込んでいく方向性になりそうですか?
山口:そうですね。そこに向かいたいっていうか。ある程度ロックが好きな人からするとバッシングも受けるかもしれないけど、そこにも負けず、誰もチャレンジしてないところに行きたいんですよね。昔のミュージシャンとかは挑戦していたと思うんですよ。僕らもその姿勢で勝負していきたいです。
EMTG:いろいろと赤裸々なところまで語ってくれましたね。
山口:ちゃんと見てもらいたいんですよね。聴いてくれているみんなと変わらないことを知って欲しいんです。

【 取材・文:高橋美穂 】

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リリース情報

『バッハの旋律を夜に聴いたせいです。』

『バッハの旋律を夜に聴いたせいです。』

2011年07月20日

ビクターエンタテインメント

1. 『バッハの旋律を夜に聴いたせいです。』
2. years
3. ライトダンス (YSST Remix 2011)
4. (エンハンスド)Lyric-motion

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INFORMATION

■ライブ情報

♪WORLD HAPPINESS 2011
◆2011年8月7日(日)
東京:夢の島公園陸上競技場
[問]ホットスタッフ・プロモーション
03-5720-9999(平日15:00?18:00)

♪RISING SUN ROCK FESTIVAL 2011 in EZO
◆8月12日(金)・13日(土)
石狩湾新港樽川ふ頭横野外特設ステージ
[問]RISING SUN ROCK FESTIVAL offical HP

♪SPACE SHOWER SWEET LOVE SHOWER 2011
◆8月27日(土)、8月28日(日)
山中湖交流プラザ きらら

♪SAKANAQUARIUM2011
◆10月01日~スタート
東京:夢の島公園陸上競技場

※その他ライブの詳細はオフィシャルサイトをご覧ください

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