メジャー・デビュー以来、最大の目標である10月30日“日比谷野音”ライブに向けて突っ走るSPYAIR。今年３月の「ジャパ二ケーション」、６月の「サムライハート(Some Like It Hot!!)」、８月の「BEAUTIFUL DAYS」と徹底したジャンプアップ作戦を繰り広げ、野音直前に、満を持してファーストアルバム『Rockin’the World』をついにリリースする。
　名古屋のストリートで誕生したこの強運バンドは、実は野音ライブの他に、もうひとつの夢をずっと抱いてきた。それは“SPYAIRらしいアルバム”を作ること。まさにこのタイミングでそれをリリースすることで、メンバー5人はモチベーションのカタマリになる。 　やる気満々のSPYAIRに、インタビューしてみた。

EMTG：アルバムの制作に入ったのは？

UZ：いつぐらいからって、バンド組んでからずっとですよ(笑)。特にファーストアルバムは、バンドにとって大きな意味がある。俺の好きなバンドのファーストアルバムはどれもすごいから、昔からずっと意識してきました。今回のアルバムに入れたい曲は２年前ぐらいから作り始めて、具体的にアルバムを出そうってなったのは、今年の４月からです。

KENTA：曲を作る日々は、いい意味でみんなばらばらに作業してましたね。

UZ：「これって、SPYAIRらしくないのかな？」とか考えないで、リーダー(MOMIKEN)が詞を書いてIKEが歌えばSPYAIRになるんだって思って、ガンガンやりました。

IKE：UZのアルバムへの熱量は、ハンパない。名盤への憧れっていうか。その熱に当てられて、みんなで「やろう」ってなって。

EMTG：その感じは１曲目の「Rockin’the World」から、あふれ出してるね。この曲、かっこいい！！

IKE：バンドのグルーヴが出てるでしょ！

UZ：バンドでスタジオに入って、たまにはジャムってみようかって、４年ぶりにやってみた。それを家に持ち帰って、生バンドなんで、いつもより音数を少なくしてまとめてみた曲。

EMTG：音数もそうだけど、曲の短さがいいね。

KENTA：２分、ないですよ。

UZ：この曲のドラムからライブが始まるイメージで。だから、ライブでは５分以上になるかも。短くなくて、すいません(笑)。

EMTG：いやいや、ライブだったらアリでしょ。しかもオープニングだし(笑)。

MOMIKEN：「始まったぜ！」っていう感じになる。

UZ：２曲目の「ジャパ二ケーション」は、インディーズ時代からSPYAIRの象徴の曲なんで、「Rockin’the World」はそれが始まる前のSEみたいな意味もあって。

EMTG：２，３，４曲目とシングルが続く。

UZ：そう。なので曲順的には５曲目にガツンとロックな「STRONG」を置いた。アルバム全体としてもシングルの割合が多いから、「STRONG」みたいなラウドな曲でパンチを与えたいな、と。

EMTG：一方で７曲目の「Stay together」は、アコースティック・ギターとステディなビートで、SPYAIRの自叙伝を読んでるように聞こえる。

MOMIKEN：アルバムっていうぐらいだから、俺らの活動の“アルバム”になる曲を作っておきたかったんです。思い出を閉じ込めておくっていうか。アルバムって、ある意味、活動のひと区切りでもあるから、そのときどきで振り返ってみてもいいんじゃないかって。

EMTG：なるほど。そう考えると、次に入ってる「Beautiful」は、ファンに向かって歌っているように聞こえる。

MOMIKEN：ファンに向かってというよりも、自分に向かってるかな。自分の中で大事なものを見つけられたらいいな、フテくされたりすると見落とすことがあるからね。

EMTG：そして、アルバムのラストの入ってる「My Friend」はバンドのメンバーに向かって歌ってる。

KENTA：この曲のボーカル入れの日にスタジオに行ったら、もう録り終わっていて。で、聴いてみたら、あ、「MOMIKEN、俺のこと書いてるな」って、愛を感じましたね(笑)。

EMTG：あははは、そうだ、そうだ。MOMIKEN、そうあたりはどうなの？

MOMIKEN：(苦笑)。

KENTA：俺のこと、好きなんだ(笑)。

EMTG：「My Friend」は、アカペラで始まって、アカペラで終わる。

UZ：アルバムの最後は、この曲って決めて書いた。いいメロディができたから、IKEのボーカルだけになって終わるのがいいかなって思って。

IKE：アルバムが完成してから、この曲をいちばん聴いてますね。アルバムの最後の“ボタン”が、これです。

EMTG：IKEのボーカルだけになって終わって、もう一度アルバムの最初に戻ると、生のバンドの音が聴こえてくるって、いいね！

UZ：でしょう？(笑)。

EMTG：そして、『Rockin’the World』は、UZが大好きなバンドの名盤を超えたかな？

UZ：リンキン・パークの『メテオラ』は最強だから、勝ててないんだよな。

ENZEL☆：いやいやいや、そう言ってるだけで、彼、自信持ってます！

UZ：そんなこと言われても、嬉しくねーよ(笑)。

EMTG：(笑)、野音のオープニングで「Rockin’the World」が流れてくるのを待ってます。

【 取材・文：平山雄一 】