サカナクション、5枚目のアルバム『DocumentaLy』が完成!!

サカナクション | 2011.09.28

サカナクション、5枚目のアルバムが完成した。
 タイトルは『DocumentaLy』。ドキュメントとメンタル、ふたつの言葉が含まれている。
 また初回盤に封入されているDVDには、レコーディングドキュメンタリー映像「DocumentaLy  Documentary」を収録。アルバム収録曲「エンドレス」「ドキュメント」の2曲の制作過程が収められている。前者は、完成まで述べ8カ月を費やした力作。後者はアレンジ、歌詞ともに1日で完成させるという目的をもって制作された楽曲、そのスタジオライヴの模様が収録されている。

 これらの要素だけでも、彼らの腹の括り具合がわかる作品と言えるだろう。
 既存のシングル3枚を収録していながらも、実験的な趣が色濃く、チャレンジ精神あふれる作品となった今作について、キーパーソンの山口一郎に語ってもらった。
 音楽へのパッションと時代を受け止められる強い心、そしてプロデューサー的で明晰な頭脳――この3つを同等のポテンシャルで愛でる事のできるミュージシャン。山口一郎の言葉とサウンドが、今、2011年、私達を取り巻く空気を、取り込む心を、振動させる。

EMTG:今回のアルバムのテーマは、タイトルにもこめられているように?ドキュメンタリー“と”メンタル“だったそうですが、この構想はどういうタイミングで出てきたんですか?
山口:『DocumentaLy』っていうタイトルのイメージは、実は1月くらいからあって。シングルを3枚収録するアルバムを作るっていうことがまず最初にあったんです。僕らにとってシングルっていうのは、今までもそうだったんですけど、レコーディングしてるその瞬間何を考えているのかだったり、その時期の決意だったり思いみたいなものが反映されやすい。3枚あるってことは、その分時間軸がはっきりわかるものになるから、ドキュメンタリーやヒストリー、みたいなタイトルがいいかなみたいなのがあったんです。あとは、去年リリースした3枚組のLIVE DVD『SAKANAQUARIUM 2010 (B)(C)(D)』のうちの1枚、ドキュメンタリー映像の反応が結構良かった。だから、ちょっと安易ですけど(笑)次のアルバムには、ドキュメンタリー映像をつけたいなというのもありました。レコーディング風景を露骨に見せられるものがいいのかな、みたいな。まずそういうのがざっくりあって、そこから見直してテーマを考えていこうと思ったんですけど、3月の震災があって、その瞬間にドキュメンタリーっていうのをテーマにしてアルバムを作っていくということの意味が変わったんですね。すごく重たいものになったし、ドキュメンタリーって、テーマでやっていいのかなって気持ちも。責任を強く感じるようになったんですね。そうやっていろいろ考えて行く中で、今回、このテーマでやろうっていう部分での意味合いみたいなものが、だんだん詰まっていったんです。
EMTG:まさに伺いたかったのは、まず、タイトルの言葉の意味をどう捉えてるのかってところで。『DocumentaLy』には?ドキュメント“と“メンタル”とふたつの言葉が入ってます。ドキュメントは訳すと“記録”や“記録映画”という意味になる。メンタルは “知性”とか“精神状態”。今作のタイトルって考えた時に、もっと違う意味も入ってくるんじゃないかなって思ったんですね。
山口:入ってきますね。ドキュメントには“時代”。2011年っていう特別な不穏な1年の中で、自分がアルバムを音楽を作っているっていうリアリティ。それは時代感だと思うんですけど、それをきっちり封じ込めないとドキュメンタリーっていうアルバムのテーマで音楽を作っちゃいけないなって思った。今の自分……30代前半の自分が歌うことでこの時代感に敏感に反応してくれる人に向けて作っていくっていうのが1番理にかなってると思ったし、それしかできないんだと思ったんです。だから自分たちが記録していく1枚のアルバムの中に、心と精神と、あと時代。それがうまく混入されるといいんじゃないかなと思ってました。だから、作品に関しては、リスナーの反応が1番重要で、毎回自分の中では達成できてるからリリースするわけだけど、自分は達成したと思うけど伝わるかどうかっていうところはまた別。伝わり方は、出てみないことにはわからないんですけど、ただ、自分たちなりには今できることは、全部やりきった。一切妥協はせずやった感じはありますね。
EMTG:アルバム初回盤に封入されているDVD。収録曲「ドキュメント」の映像、冒頭の自己紹介で“ミュージシャン”と言い切ってらっしゃる。山口さんにとってのミュージシャンとは?
山口:僕の中では、音楽でご飯食べられてる人……音楽で生活が成り立っている人がミュージシャンだと思ってます。例えば、自分の中だけで“俺これ最高にめっちゃくちゃ素晴らしい音楽を作ってるんだよね”とか言って、それを世に広げようとしても受け入れられない人がいると、僕は、もったいない、もっと外につながる努力をするといいのになって思っちゃう。その人がミュージシャンかって言ったら、ミュージシャンっていうカテゴリーの中にいてもいいけど、僕が指すのは外に向かって挑戦してる人たちな気がする。結果的に、音楽でちゃんとお金を稼ぐ人って形になるんですよね。ミュージシャンっていうのならば、曲の事や、音楽の事が常に頭にあるって状態は、すごく当たり前で。例えば僕もそうで。「1週間後まで曲つくってください」って言われたら、今から毎日ギター握らないで、6日間だけめちゃくちゃインプットして最後の1日で作る。そういう作り方をするけど、お風呂に入るにしろ誰かとご飯食べに行くにしろ、インタビュー中にしろ、街で嫌なことがあったりいいことがあったりとかあるにしろ、全部音楽を作る上で、インプットになったらいいと思う。だから今回の震災は本当にきつかった。日常のちっちゃい揺れを敏感に「これ!これ!」って見逃さないようにしている中で、あの震災がドーンってあったから、もう一気に振り切られたっていうか。何が何だかわかんなくなっちゃった。悲しいことなのに、これで曲ができるかも……って思ってしまった自分もいて、そういう自分にものすごく嫌悪感があったし。いろんなこと考えましたけどね。俺にとって音楽って何なんだろうとか、曲を作るって、どういうことなんだろうとか。今まで以上に、音楽をつくる意味みたいなことも。本当に考えた1年でした。
EMTG:その感情の揺れは、今回のシングル以外の歌詞に表れているという自覚は?
山口:出てますね。
EMTG:印象的に残ったのは喜怒哀楽の中の“哀”。あと“笑う”。でも“笑う”は喜びじゃなくて、もっと他のものを含んだ“笑い”なんじゃないかなっていう風に感じました。
山口:そうですね。やっぱり、日常の中で何を考えるかとか、どう生きていくか、何を選択するかとか、それがすごく僕の中で重要で、それを歌にしてくっていうのは、今の時代に生きている人たちの何か代弁になる気がする。感情っていうのは、例えば、笑いたくなくても笑わなきゃいけない瞬間ってあるじゃないですか。ほとんどそうじゃないですか。こいつ本当に笑ってるのかなとか、自分の話に本当に共感してくれてるのかなとか、すごく考えちゃうし、みんなそういうこともあると思うし。今の時代って、社会に対して、そういうのがすごく色濃く出てる気がするんですよ。ただ、そこを否定はしない。そこに疑問を持ってもしょうがないなと思うし、その中でどう生きてどう思ってるかが大事なだけでだと思うんです。
EMTG:収録曲「流線」がすごく印象に残りました。冒頭の言葉のメロディへの乗せ方の斬新さに驚きました。
山口:この曲は、僕の弾き語りでできあがってたんです。歌ものじゃない……例えば、A、B、サビとかがあるわけじゃないから、サウンドのダイナミックスがすごく重要になるだろうと思った。ある程度ライブ感とかが出てこないと成立しないと思ったし、次の「エンドレス」につなげるためにインターループみたいなものもちゃんととらなきゃいけないと思ったんですね。1度、プリプロで全員でセッションしたパターンが良かったから、じゃ、それそのまま使おう、と。レコーディング用にマイクとかじゃない、普通のプリプロ用で録ったものをそのまま使って、それを最終的にさらにテープでランニングさせて、音を劣化させたんです。どう美しく、汚く下手に作るかみたいなところに、結構こだわったんですよね。弾き語りだとすごいつまんない曲なんですけどね。つまんないというか、よくわかんないと思う(笑)。
EMTG:はははははは(笑)。メロディーとりにくいですよね。
山口:そう(笑)。僕は好きだけど難しい曲になるかなと。高校生とかに「いなたくていいね」って言われて流されそうな(笑)。でもそれをアルバムの中に入れるっていうのは、すごく重要なことだと思ってます。
EMTG:この曲の歌詞を見て、メロディ、もっと言えば、音楽そのものの起伏みたいなものを表してるのかななんて、イメージが膨らみました。
山口:そういうのもあると思いますよ。僕のイメージでは………ネタ明かしするのもあれですけど、時間。
EMTG:ネタ明かし、ありがとうございます!では、少し脱線してしまいますが、1日の中で1番好きな時間帯は?夜から朝にかけてが多いかなぁっていうのが全体的な印象でありますが。
山口:基本、暗かったら何時でもいいですけどね。明るいの苦手ですね。今、話してるのと、8時間後に話すのとでは、話す内容だいぶ違うと思うんですよ。
EMTG:(笑)。一言で言うとどう違ってくるんですか?
山口:どう違ってくるんだろう。月があるのとないのではちょっと変わってくるじゃないですか、気持ち的に。それと同じ感じ。夜が好きだから。夜に酔いやすいんですよね、僕。あの……夜ってセンチメンタルにならないですか?
EMTG:たまに。特に1人とかだと。時々あるかもしれません。
山口:過剰にそれがある人っていう。昼間は戦略たてて、夜は表現者になろうと頑張るタイプ(笑)。で、みんな、夜に対してそういう感覚あるのかなって思ったら、意外とそうではなかったりして。うちのメンバーでも、夜になるとすぐに眠くなっちゃう人とかいるし。で、夜が好きな人っていうのは、そんなにマジョリティじゃないんだなっていう。世界がちょっと違うみたいな。だから僕、夜が好きな人とは話が合うと思いますね。僕、夜の一人遊びが大得意なんですよ。外に遊び歩くんじゃなくて。一人でどう遊ぶか、音楽を聴くとか、それをすごく僕の大きな遊びですけど、そういうのを得意な人って、なかなか内気な人が多いけど、話をすると面白い。
EMTG:アルバム収録曲「ドキュメント」の歌詞。 最初が“今までの僕の話は全部嘘さ”と、そして最後に“愛の歌 歌ってもいいかなって思い始めてる”。大胆な歌詞ですね。
山口:この曲は1日でつくったんですよ。「ドキュメント」って1日でドキュメントした曲を制作して完成させた曲をしようっていうテーマでつくり始めたんで、歌詞もアレンジも含めて全部1日でやったんですよ。この歌詞も、実は無意識でアドリブで歌った歌詞なんです。一発目で歌ったときに、自分で歌詞おこししたら、ザワッとしましたけどね。『DocumentaLy』っていうアルバムの最後の曲でアドリブでできた歌詞が“今までの話は全部嘘さ”っていう言葉から始まる。最後が“愛の歌 歌ってもいいかなって思い始めてる”って。何だこれ、みたいな(笑)。自分の無意識でこんな言葉チョイスするんだって。ひとつ無意識に表現してるんだとしたら、それってすごいことで。自分の中でちゃんとこのアルバムと向き合ってきたから、無意識にシニカルな言葉が、自分から出てきたのかなって思って、嬉しかったんですよね。中途半端にやってなかったっていう気持ちがした。そこを、この曲の歌詞で、確認できた感覚がおもしろいなぁって思いました。
EMTG:メンバーの皆さんからは、何かコメントがありました?
山口:特に何も……悲しいけど(笑)。俺1人で「すごい、俺すごい」みたいな。無意識でこれかみたいな。ワクワクしてた(笑)。うちのメンバーは、それぞれみんな役割があるし、僕は歌詞やメロディを作る役割だから、特にこういう場でも話す機会が多いけど、メンバー1人1人のドキュメントだったり、ドキュメンタリーだったりっていうのは、1曲ずつにあるんですよ。そういうのも、本当、面白いんですよね。
EMTG:DVDにおさめられてる「エンドレス」「ドキュメント」の2曲は、レコーディング方法として対極な方法だと思うんですけど、いろんなことを試したっていう実感は?
山口:ある、すごくあります。今回、外に向けて発信しようっていう意識よりも、自分たちが一体何がしたいんだろうっていうことを意識したアルバムになったのは確かです。外とのコンタクトの取り方っていうのは、ずっとやってきたし、自然に染みついているんだと思うんですよ。そこを完全に取っ払って意識せずに、自分達の好きなことは何だろうって考えながら、そことのうまい付き合い方みたいなのを5人全員で見つけられた、音にできてきたんじゃないかなとは思いますね。

【 取材・文:伊藤亜希 】

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リリース情報

DocumentaLy

DocumentaLy

2011年09月28日

ビクターエンタテインメント

1. RL
2. アイデンティティ
3. モノクロトウキョー
4. ルーキー
5. アンタレスと針
6. 仮面の街
7. 流線
8. エンドレス
9. DocumentaRy
10. 『バッハの旋律を夜に聴いたせいです。』
11. years
12. ドキュメント
13. ホーリーダンス Like a live Mix

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ライブ情報

SAKANAQUARIUM2011 DocumentaLy
10月01日(土)新潟LOTS
10月02日(日)金沢EIGHT HALL
10月07日(金)仙台ZEPP SENDAI
10月09日(日)札幌ZEPP SAPPORO
10月12日(水)広島CLUB QUATTRO
10月14日(金)福岡ZEPP FUKUOKA
10月15日(土)熊本DRUM Be-9 V1
10月17日(月)名古屋ZEPP NAGOYA
10月19日(水)大阪なんばHatch
10月20日(木)大阪なんばHatch
10月22日(土)岡山CRAZYMAMA KINGDOM
10月23日(日)高知高知キャラバンサライ
11月06日(日)千葉幕張メッセ
11月10日(木)京都KBSホール
11月11日(金)京都KBSホール

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