2012年、Salyuが体現するポップ・ミュージックの新たな光を感じる4thアルバム『photogenic』リリース!

Salyu | 2012.02.14

 やはり彼女は歌を唄うために生まれてきたのだと、あらためて思い知る。そして、歌を唄うめに生まれてきた人が、ポップ・ミュージックの本質と光明を体現するとはどういうことなのか。本作にはその答えが、揺るぎないものとして示されている。確かな声量、幅広い声域、自在に変化する声色。それらが圧倒的な歌唱力として連なり、リズムと旋律と和声と言葉の集合体を息吹かせる。そこに浮かび上がるメッセージに立体的な輪郭を与える。天賦の才を与えられた女性シンガーが、透徹かつ真摯な音楽愛を抱きながらポップの化身となり、リスナーが対峙する世界の新たな入口を力強く、鮮やかに導く。そのダイナミズムに深い感動を覚える。5年ぶりに小林武史プロデュースによって制作された、Salyuの4thアルバム『photogenic』が完成した。

「構想から含めると、長い時間を要したアルバムなんです。小林武史さんというすばらしいプロデューサーとともに作品の持つ目的というものをいままで以上に共有しながら、丁寧に制作を重ねていくことで、自分が理想としていた着地点にたどり着けた実感があります」

近年のSalyuは、自らのアーティスト性を高めるための、あるいはシンガーとしての可能性を広げるための活動を展開していた。Salyuにとって大きな転機となったのは、2010年3月にリリースした3rdアルバム『MAIDEN VOYAGE』だ。本作で彼女は初のセルフ・プロデュースに挑戦。楽曲制作の舵を取り、作品の全体像を自らの手で描いてみせた。また、昨年は共同プロデューサーにコーネリアス(小山田圭吾)を迎えた新プロジェクト、salyu × salyuを始動。1stアルバム『s(o)un(d)beams』では、“クロッシング・ハーモニー”をコンセプトに掲げ、声の多重録音によって構築された、プリミティブかつエポックメイキングな歌の響きを創造した。そして、2012年。Salyuは新たなアルバムを制作するにあたって、小林武史とふたたび濃密に向き合うことを選んだ。

「『MAIDEN VOYAGE』もセルフ・プロデュースと言いながら最終的には小林さんにすごく助けていただいたんですけど(笑)。それからsalyu × salyuというプロジェクトを経て、Salyuとして次のアルバムはどういう作品にしたらいいか迷っていた時期もあって。当初は、『MAIDEN VOYAGE』と同じように複数の作曲家の方に参加してもらうというアイデアもあって、小林さんと“この人はどうかな?”という話もしていたんです。でも、去年の震災を境にそういう構想も一度すべて白紙になった。このアルバムには、私と小林さんの意識的にも、楽曲の内容的にも、昨年の震災が大きく影響していて。震災以降、アーティストだけではなくリスナーも含めて多くの人が新しい音楽との向き合い方を模索するようになったと思うし、それは私にとっても避けては通れないことでした。そういう思いのなかで、去年の7月にリリースした『青空/magic』というシングルのレコーディングのときに小林さんが“もう一度、僕とSalyuのふたりでゼロから音楽を生み出していくようなアルバムにするのがいいんじゃないか”と言ってくれて。音楽やポップ・ミュージックに対する自分の価値観や哲学、人との関係性もあらためて見直して構築し直さなきゃいけないという意識もあったし、今このタイミングでデビューからずっと私の音楽を支えてくれている小林さんと深くコラボレーションすることで、確信を持ってまた前に進みたいと思ったんです」

 シングル「LIFE(ライフ)」、「青空/magic」、「Lighthouse」を含む全10曲。軽やかに躍動するトライバル調のパーカッションとバンド・サウンドに乗って、フレッシュな声色を踊らせる「camera」で幕を開け、静謐かつ流麗に広がるサウンドスケープのなかで神聖な歌を捧げるラストの「旅人」でその幕が閉じるまで、過去最高にカラフルなポップ・サウンドに彩られながら、Salyuの多面的な表情と情緒を宿した声帯の震えが解放されていく。すべての曲が、“あなた”に寄せる想いが綴られたラブソングである一方で、アルバム全体に通底しているメッセージ性の核心にあるのは、新しい世界の扉を開ける力としての光だ。Salyuのヴォーカルは、楽曲が折り重なっていくごとに、まるでひとりの女性が豊潤な色合いをもって成熟していき、最後には洋々たる母性を感じさせるような物語性とカタルシスがある。

「小林さんがこのアルバムのために書いてくだった楽曲はこれまで以上にパワフルだったし、サウンドもメッセージも堂々とそこで鳴っていて。私はその楽曲たちにすごく触発されたし、“この楽曲が持つ意味はどういうことなんだろう?”って1曲1曲、慎重に、丁寧に飲み込んでいきました。震災以降の日々のなかで、決して変わらないものと変わるべきものがあると思うんですけど、その普遍性と理想を表現したポップ・ミュージックを歌うことができたと思います。このアルバムを小林さんと作ったことで“やっぱりポップってこういうことだよね”って実感することができましたね」

 タイトルに冠された“photogenic”という言葉には、“写真うつりがよい”という一般的に用いられる意味のほかに“光を照らす”、あるいは“発光性”という語義も含まれているという。まさに光のようなポップ・ミュージックのダイナミズムをもってリスナーを照らし、包み込むアルバム。本作『photogenic』はSalyuというシンガーにとって、ひいてはこの国のポップ・シーンにおいて、新たな指針となるに違いない。


【取材・文:三宅正一】

tag一覧 アルバム インタビュー 女性ボーカル Salyu

関連記事

ビデオコメント

リリース情報

photogenic(初回限定盤)

photogenic(初回限定盤)

2012年02月15日

トイズファクトリー

ディスク:1
1. camera
2. LIFE(ライフ)
3. magic
4. 青空
5. Lighthouse
6. 悲しみを越えていく色
7. パラレルナイト
8. 月の裏側
9. ブレイクスルー
10. 旅人
ディスク:2
(a brand new concert issue “minima”-ミニマ-Salyu × 小林武史@東京国際ホールC (2011.11.30))
1. VALON-1
2. 彗星
3. Tower
4. name
5. HALFWAY
6. イナヅマ
7. 飽和
8. 飛べない翼
9. I BELIEVE
10. 夜の海 遠い出会いに
11. コルテオ ~行列~
12. to U
13. 悲しみを越えていく色
14. 旅人
15. プラットホーム
16. Pop
17. 新しいYES
18. 青空
19. Lighthouse

このアルバムを購入

この楽曲の着うたGET!!
この楽曲の着うたダウンロードページのURLをケータイメールに送信できます。

※ドメイン指定受信などの受信制限をされている方は『@emtg.jp』からのメールを受信許可にしておく必要があります。

お知らせ

■ライブ情報

Salyu Tour 2012 photogenic
2012/03/16(金)札幌市教育文化会館大ホール
2012/03/20(火・祝)広島アステールプラザ大ホール
2012/03/23(金)新潟県民会館
2012/03/24(土)川口総合文化センターリリアメインホール
2012/03/30(金)大阪国際会議場メインホール
2012/03/31(土)倉敷市芸文館
2012/04/07(土)電力ホール
2012/04/13(金)福岡市民会館
2012/04/15(日)千葉県文化会館大ホール
2012/04/20(金)愛知県芸術劇場
2012/04/26(木)神奈川県民ホール大ホール
2012/04/29(日)東京国際フォーラムホールA
※その他のライブ情報、詳細はオフィシャルサイトをご覧ください

トップに戻る