チャットモンチー、3週連続リリースの第3弾は、彼女達の濃密な歴史を網羅するベスト盤!

チャットモンチー | 2012.02.15

 ドラムに座った福岡晃子と、その隣でギターと共に大きくジャンプをキメる橋本絵莉子。高橋久美子の脱退後、オフィシャル・サイトに掲示されたアーティスト写真はチャットモンチーの意思を端的に伝えてくれた。すなわちふたりで歩いていくという決意。2月1日リリースのニュー・シングル「満月に吠えろ」を先駆けに同じくシングル「テルマエ・ロマン」、初となるベスト・アルバム『チャットモンチーBEST?2005-2011?』という3週連続リリースの祝砲をぶっ放し、改めましてのスタートを切った彼女たちに今、そしてこれからを聞きたい。

EMTG:あの写真を初めて見たときはびっくりしました。久美子さんが脱退されて、でもまだ今後の活動や形態が明示されてなかった時期だったからなおさら。
福岡:みんな、最初はちょっとギャグだと思ったみたいですね(笑)。
橋本:対バンツアー(“求愛ツアー?”)が控えてたので、チケットを買ってくれたお客さんにどう説明しようかと思ってたんですよ。いきなりふたりでこの形でやったら何かの間違いだと思われるかもしれない(一同爆笑)。だから、ちょっとでも意思表明しといたほうがいいかなって。
EMTG:少し遡りますが、昨年のツアー“YOU MORE前線”中に絵莉子さんが「花火を打ち上げたい」と晃子さんと久美子さんにお話されたそうですね。
橋本:はい。チャットモンチーとして活動を続けていくなら、もっとたくさんの人を巻き込んで大きなことをしていくほうが面白いんじゃなかなって思い始めていて。そういう気持ちがないとバンドを守って維持していくことだけに凝り固まってしまう気がしたんです。だったら最悪爆発してもいいから、もっと大きな考え方をしたほうが違うものが見えてくる。そうじゃなきゃダメだと思ってふたりに話したんです。言ってしまえっていう勢いも30%ぐらいはあったけど、そうやっていくうちに絶対よくなるって思ったし。
福岡:言われてハッとしたんですよね。バンドのモチベーションってバンドが上げなきゃ誰も上げてくれないんだって。だから“いいと思う。花火上げようよ”ってそのときにすぐ返事しました。
EMTG:結果バンドはふたりという形になりましたが、今回の3週連続リリースはまさに新たなスタートにふさわしい花火だと思いました。
福岡:でも、ただ打ち上げればいいというのではなく、ちゃんと受け止めてもらえるような意味のある形やタイミングで出したいとは思ってて。「満月に吠えろ」は今の気持ちそのものな曲だから最初の1曲にふさわしいと思ったし、「テルマエ・ロマン」でまた全然違うタイプの曲をすぐに聴いてもらえるのもいいなって。そうやってちゃんと前に進んでることを示した上でベスト盤に繋げられたらと。“3人のベスト”を出すのはたぶん今以外にあり得ないので。
EMTG:ちなみに「満月に吠えろ」の晃子さんの作詞ですが、これだけストレートに意思を綴った曲って実は珍しくないですか。
福岡:そうなんです、なさすぎるぐらいなかった(笑)。
EMTG:晃子さんがこの歌詞でいちばん言いたかったのはどこでしょう。
福岡:う?ん……どこだと思う? って、えっちゃんに聞いてみたりして(笑)。
橋本:え、そういうのってサビじゃないの?
福岡:ま、そうやな。わかりやすいところでいえばサビの最後の行ですね。もちろん言いたいのは全部ですけど。
EMTG:絵莉子さんは歌ってて、どこにいちばん気持ちが入ります?
橋本:私は“♪行くんだろ”と“♪もういいよ”っていうところ(←即答)。
福岡:……サビちゃうやん(一同爆笑)。
橋本:ごめん(笑)。でも両方とも込められてる気持ちが時期的にもめっちゃぴったりなんですよね。
EMTG:「テルマエ・ロマン」は完璧に当て書きですよね。
橋本:そうです。原作のマンガ(『テルマエ・ロマエ』)のファンだったので主題歌というお話をいただいてすぐあっという間に書きました。
福岡:曲を作って録るまでの間もすごい短くて。だってこれ対バンツアーが終わってゼロから作り始めたのに、できたの去年12月の頭ですもん。
EMTG:ホントに早い! それぐらい、やる気でみなぎっていると?
福岡:はい。とにかく熱量はすごいです。後から聴いてもいい曲ってやっぱりどれだけ熱が入ってるかだと思うんですよ。とりあえず今のいちばんいい熱を入れなきゃと思って作りましたから。
EMTG:そういう意味ではベスト・アルバムも熱量の塊ですよね。当時の熱が冷めることなく伝わってくる。ともあれ今、動き始められて、すごくいい手応えを感じていらっしゃるのではないかなと。
橋本:はい!思い描いてたことがちゃんと形になっているから、すでに何も言うことはないです。とにかくやっていくことが楽しくて、そうやっていられることがいちばんなので。
福岡:ふたりしかいないぶん、曲を作ることに関しては本当にダイレクトになりましたしね。ただ、書いた歌詞をえっちゃんにメールして、その日のうちに曲が返ってきたりすると“この人ホント外に出ないんだな”って思いますけど(一同爆笑)。
橋本:いや、出てるよ? 何回かは出てる。
福岡:何回かって(笑)。でもそれくらい曲を作りたいっていう気持ちになってるのもわかるし、お互いに自分がこれをしなきゃって今、すごくはっきりわかってて。だから進むのも早いし、きっとどこにでも行けるんだろうなって思います。

【取材・文:本間夕子】

tag一覧 アルバム 女性ボーカル チャットモンチー

関連記事

リリース情報

チャットモンチー BEST~2005-2011~(初回生産限定盤)

チャットモンチー BEST~2005-2011~(初回生産限定盤)

2012年02月15日

KRE

ディスク:1
1. ハナノユメ
2. 恋の煙
3. 恋愛スピリッツ
4. 東京ハチミツオーケストラ
5. シャングリラ
6. 女子たちに明日はない
7. とび魚のバタフライ
8. 世界が終わる夜に
9. 橙
10. 親知らず
11. ヒラヒラヒラク秘密ノ扉
12. 風吹けば恋
13. 染まるよ
14. Last Love Letter
15. 8cmのピンヒール
16. ここだけの話
17. バースデーケーキの上を歩いて帰った
ディスク:2
1. DEMO、恋はサーカス
2. さいた
3. メッセージ
4. ひとりだけ
5. とび魚のバタフライ
6. 恋愛スピリッツ
7. 長い目で見て
8. シャングリラ
9. 風吹けば恋
10. ここだけの話 (Acoustic Ver.)
11. 染まるよ (Acoustic Ver.)
12. 真夜中遊園地
13. Last Love Letter
14. 拳銃
15. ヒラヒラヒラク秘密ノ扉
16. 親知らず
17. ハナノユメ

このアルバムを購入

トップに戻る