1本の映画のような、ストーリー性のあるMONKEY MAJIKのニューアルバム

MONKEY MAJIK | 2012.03.01

MONKEY MAJIKの、約1年ぶりとなるニュー・アルバム『Somewhere Out There』が完成した。仙台在住の彼らは、昨年、東日本大震災を体験し、その後は様々な支援活動を展開してきた。そんな中から生まれた歌たちが、収録されている今回のアルバムは、現在の彼らだからこそ歌える歌、彼らだからこそ出せる音が凝縮された、まさにMONKEY MAJIKならではの、密度の濃い、それでいてポップで力強い1枚と言える。

EMTG:今回のアルバムには、何かテーマのようなものはあるのですか?
Maynard:最初から決めたテーマはなくて、自然な流れで曲を作っていって、そこからだんだん、こういうアルバムにすればいいなというのが見えてきたという感じですね。
Blaise:最初から最後まで聴くと、いろいろなタイプの曲が入っていて。だから『Somewhere Out There』になったのかもしれないけど、それでもひとつのアルバムになっているところが面白いかなと。
DICK:去年の6月頃に「木を植えた男」ができて、そこから徐々に、1曲1曲ていねいに曲を作っていったという感じだったので、最初はアルバムというイメージはなかったんですけど、こうやって出来上がった作品を聴いてみると、アルバムという形なってよかったなって思います。
Maynard:自分たちのペースで音楽を作っていって、それがひとつの作品になった時、何か見えてくる、という感じです。あと、今回は歌詞をあとから書いたものが多くて、そういう意味では、歌詞についてはテーマのようなものはありましたね。
tax:それも自然な成り行きというか、その場所にいたから、そこで感じたことを書いてみようという感じで。窓からの景色を見ながら、”何をしようかな…”って悩みながら、そのままの情景を書いたり、誰かを見てて、そこからストーリーを作ったりとか。
EMTG:全体的に、すごく統一感があって、ストーリー性のあるアルバムだなと感じました。
Blaise:映画みたいなアルバムにしたかったんです。だから、シーンが見えてくる曲作りを心がけました。「U.F.O」を聴くと、”もしU.F.Oがあったら”、そして、”そのU.F.OがMaynardだったらどうだろうか…”、といったイメージで曲を作ったり。シマウマが牛に乗ってるシーンもあるし(笑)。そういう意味では“イメージ・アルバム”や“ヴィジュアル・アルバム”という感じかも。
tax:僕は、”必ずしも希望がある歌ばかりじゃなくてもいいんじゃないか”という気持ちもありましたね。そのメロディに合った世界観を作っていく方が大事というか。曲の展開とともに夜明けが来るような、そんな歌ばかりじゃなくて、”悲しい曲は悲しいままでもいいんじゃないか”と。本当は、それは否定したいんですけど、気持ちはそうなりました。自然に、感じたままのことを書いたし、1曲ごとに感情がこもっているので、まさに映画のような作品だと思います。逆にこのアルバムをサウンドトラックにして、誰か映画を撮ってくれないかな(笑)。
EMTG:今回の『Somewhere Out There』というタイトルは、どういう想いで付けられたのですか?
Maynard:いろいろな候補があったんですけど、『Somewhere Out There』という言葉がいちばんしっくりきたというか。ちょっとミステリアスだけど、でも分かりやすくて、アルバムの音にすごくフィットしていると思います。
EMTG:この曲は、自分たちにとって新しいチャレンジだったとか、そういう曲はありますか?
Maynard:アルバム自体がチャレンジでしたね。去年の震災があって、よくアルバムが作れたなって。半年前までは、それも考えられなかったから。「木を植えた男」が震災後のスタート・ラインで、そういう意味ではいちばんハードルが高かったです。
tax:でも、スタートがあの曲で良かったなって。フレデリック・バック(アニメーション作家)さんの『木を植えた男』という作品とのコラボレーションだったんですけど、時間をかけて、『木を植えた男』という作品に向き合うことが出来て、自分たちが過ごしている時間と、気持ちの持っていき方が似ている作品だったので、あの時の自分たちの気持ちをしっかりと残せたというか。気持ちに整理をつけて、次の行動を見据えられましたからね。
EMTG:皆さんそれぞれ、自分なりに思い入れが深いとか、印象深い曲などはありますか?
tax:僕、本当にこのアルバムが好きなんです。制作中に、何千回と聴くじゃないですか。すると飽きてくることもあるんです。でも今回は思い入れが強いというのもあるし、ものすごく自然体で書けたというのもあるかもしれないけど、何度も飽きずに聴きたくなるんです。特に自然体だったのが「RAIN」という曲で。超思いつきで書いたんですけど(笑)。でも言葉の遊び方とか、情景と感情の重ね方とか、すごく楽しく書けました。楽しくて、何回も聴きたいんだけど、実は暗い曲、というのも面白い試みだったし。
Maynard:もちろん全曲好きだけど、今のMONKEY MAJIKにピッタリとフィットしているのは、やっぱり「Black Hole」かな。この間クラブでもかけたんですけど、すごく合っていて、お客さんがビックリしてました(笑)。
DICK:驚きましたよ。”まさかあのイントロをカットしないでかけるとは!!”って(笑)。
Maynard:やっぱりイントロから聴かせないとね(笑)。
Blaise:どの曲も映像が完璧に見えるんですけど、個人的にいちばん好きなのは「ホワイトノイズ」です。接続不良で出てくるノイズのことなんですけど、世界で一番高いビルに上って、宇宙にコネクトしたくて手を伸ばすんだけど、そこから普通に戻るといったイメージで、作りました。
DICK:「足跡」という曲のレコーディングの時に、なぜか機材が次々と壊れて、”これはもう、お祓いにでも行ったほうがいいんじゃないか?”という気持ちで録音したので、特に印象深いです(笑)。
EMTG:小田和正さんのトリビュート・アルバムに収録されていた「My Home Town」が、こちらのアルバムにも収録されていますね。
Blaise:小田和正さんは、以前から好きで聴いていて、今回『クリスマスの約束』(例年クリスマスに放映される、小田和正が豪華ゲスト陣と共に繰り広げるTVライブ)で共演することができて、その流れでトリビュート・アルバムでこの曲をカバーさせてもらったんです。『Somewhere Out There』というタイトルにもすごくフィットすると思ったので、今回アルバムにも入れてみたんです。
Maynard:どこにいっても、My Home Townを大事にしたいという、とてもナイスなテーマですよね。
EMTG:では最後に、リスナーの方に皆さんからのメッセージを。
Blaise:火星への観光旅行に、ちゃんと行ってほしいです(笑)。月で1回写真を撮って(笑)、そこから火星へ(笑)。真面目に言うと。0から、何でも作れる、何でもできる、絶対100にまでいけるから、その気持ちを、今回のアルバムでは伝えたいです。
Maynard:今作は、映画のサウンドトラックのようにできているので、皆さんが自分自身の映画を作りながら聴いてほしいです。
DICK:前回のアルバムから1年少ししか経っていないんですけど、すごく長いことアルバムを出していなかったような感覚になっているので、皆さんからの感想を早く聞きたいですね。そういう意味もあって、これからのツアーも楽しみです。
tax:大切な場所だったり、大切な人だったりと向き合うためには、まずは自分のことをしっかりと理解することが大事なのかなと。自分を大切にできなければ、自分の住んでいる場所だったり、大切な人ともいい関係を築けないと、今回あらためて思いました。だからこの作品を聴いて、少しでもそういう気持ちになってもらえたら嬉しいです。

【取材・文:熊谷美広】

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ビデオコメント

リリース情報

Somewhere Out There

Somewhere Out There

2012年03月07日

binyl records

1.Headlight
2.Black Hole
3.ホワイトノイズ
4.U.F.O
5.Go with U
6.RAIN
7.足跡
8.My Home Town
9.トビラ
10.HERO
11.木を植えた男

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■マイ検索ワード

●Maynard
ライナス・ポーリング(Linus Pauling)

化学者で、ノーベル賞の化学賞と平和賞を2回受賞した人で、ビタミンCの使い道を見つけた方なんですが、すごく面白い人で。「ビタミンを摂っていれば医者はいらない」と言ったり、「癌研究はウソだ」と言ったり。彼の論文がたくさんあって、時間があれば、彼のことを調べています。

●Blaise

ぼく、毎日水を2リットル飲んでいるんです。それで、やっぱり値段が安い方がいいから、ネットでいろいろと調べてます。”ネットで、ケースで頼んだほうが安いかな…”とか、”やっぱりスーパーで買った方がいいかな…”、とか(笑)。

●tax
グラミー賞

それこそ今日、新幹線で東京に来る間、ずっとグラミー賞の受賞歴を検索してました。”なんでこの年、この曲が選ばれなかったんだろう?”とか、”オレだったらこっちを選ぶな”等を考えながら(笑)。結局、”Adele(アデル)はやっぱりすごいな”ってなりましたけど(笑)。

●DICK
道路工事情報

最近、普段よく通る道で、工事をしている場所が毎日変わっているんです。”昨日はあっちの道を工事していたのに、今日はこっちの道かよ”って(笑)。だから、”今日はどっちの道を行けばいいのか”が、すぐに検索できるサイトって、ないかなと。それこそ小さな路地まで分かるようなものを誰か作って欲しい (笑)。


■ライブ情報
MONKEY MAJIK JAPAN TOUR2012
2012/05/26(土)盛岡市民文化ホール
2012/05/27(日)山形市民会館
2012/05/31(木)サンシティ越谷市民ホール
2012/06/02(土)大阪グランキューブ
2012/06/03(日)大阪グランキューブ
2012/06/08(金)渋谷公会堂
2012/06/09(土)愛知県芸術劇場
2012/06/15(金)長崎市公会堂
2012/06/16(土)福岡市民会館
2012/06/17(日)アステールプラザ
2012/06/23(土)桜坂セントラル
2012/06/24(日)桜坂セントラル
2012/06/30(土)宝山ホール
2012/07/01(日)崇城大学市民ホール
2012/07/03(火)ハーモニーホール座間 大ホール
2012/07/05(木)郡山HIP SHOT
2012/07/06(金)郡山HIP SHOT
2012/07/08(日)札幌市教育文化会館 大ホール
2012/07/10(火)青森クォーター
2012/07/11(水)青森クォーター
2012/07/14(土)中野サンプラザホール
2012/07/16(月祝)新潟市民芸術文化会館・劇場
2012/07/21(土)秋田市文化会館
2012/07/22(日)仙台サンプラザホール
※その他のライブ情報、詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

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