非常に強いメッセージが盛り込まれた楽曲が揃った、Acid Black Cherryのニューアルバム

Acid Black Cherry | 2012.03.19

オリジナルアルバムとしては2年半ぶりとなるAcid Black Cherryの『2012』が3月21日、ついにリリースされる。毎度、壮大なコンセプトで制作されてきた彼らのアルバムだが、3枚目となる今回も非常に強いメッセージが盛り込まれた作品になった。アルバムリリース後には、やはり2年半ぶりとなるツアーも予定しており、今年のAcid Black Cherryはかなりアクティヴだ。そんな2012年……その年号自体をアルバムタイトルにした意味合いとは何か?yasuにタップリと話してもらった。

EMTG:完成しましたね、ニューアルバム『2012』が!まず、なぜこのタイトルにしたんですか?
yasu:アルバムを出すとしたら、進行上2012年に差しかかるだろうってことは、去年から思ってたんです。で、2012と言えば、映画にもなりましたけど、マヤ歴では人類が終わるとか、よくテレビでも取り上げられてるじゃないですか。個人的にもそういう話にすごく興味があって。それに絡めて作ろうっていうのは、かなり前から思ってたんです。でも、そんなことを考えていた頃に、ちょうど1年前に東日本大震災があって。で、結論としては、今しか作れないアルバムを作るべきじゃないかと。実はその頃に生まれた曲もいっぱいあって、これを出すのも今しかないって思ったんですよ。もちろん5ヶ月連続のシングルを作りながら進んでた話なんですけどね。
EMTG:それで「今=2012年」なんだと。何かアルバムがひとつのストーリーみたいになりましたね。
yasu:Acid Black Cherryとしても、毎回アルバムを作るたびに、何がしかのコンセプトは掲げてきたし、だからこそ今回もCDパッケージにはすごくこだわりました。ダウンロードの時代やし……まぁ、それで音楽を楽しんでも、全く問題はないんですけど、やっぱりCDを買って盤を入れて、ポチッとスイッチを押して、歌詞カードを見ながら聴くってことを、僕の世代はずっとしてきましたから。そうあるべきとまでは言わないけど、そうあって欲しいとは思っていて。だから徹底的にアルバムに関してはこだわろうと。今回もコンセプトを考えて、そこにアルバムの内容を寄せていく形で『2012』が生まれたんです。作品自体も絵本っぽい仕上がりで、内容もスッと入ってくると思いますよ。例えば“このアルバムはこう作った”って説明するのは、アーティストの皆さん、誰もがすると思うんです。でも、簡単に言葉で言ってしまったら、それって凄くナンセンスだと思うんですね、僕は。お笑いだって、「このギャグの面白いところは、ここでこうボケて、こう突っ込む」って説明するもんじゃない。そういう説明が不要の作品が僕は好きなんです。それがエンターテイメントじゃないかなと……って、じゃあこのインタビューはいったい何だっていう話になっちゃいますけど(苦笑)。
EMTG:いや(笑)、ここでは心情を語っていただいてますから(笑)。
yasu:もともと、僕がコンセプトアルバムが好きっていうのもあるんですけど、シングルもアルバムに入ったら、こういう見方ができる……そういうのが大事だと思うんです。言ってみれば、アルバムの曲が半分はネタバレしているわけじゃないですか。しかも、シングルとして買ってくれた人達もいるし。でも、それでアルバムの楽しみを半減させないために、CDを買ったら“あ、こういうことになってたのか!”って楽しんでもらいたくて。コンセプトは、そのためのアイデアでもあるんですよね。
EMTG:まんまとハマって、面白く聴かせていただきました。ちなみに、アルバムにまつわるストーリーはご自身で考えたんですか?
yasu:制作にガッツリ入ってもらっているスタッフがいまして。その人と話し合いながらまとめていった感じですね。いつもそうなんですけど、最初は話を作る前に、僕がプロットをバーッて作るんです。まずシングルも含めて、アルバムに入れる曲を考えるじゃないですか。そこには仮歌詞だけの曲もあるんですけど、その仮歌詞の中に自分がちりばめていた言葉が3.11の震災にからんでいたり……無意識にね。そうこうするうちにアルバムのコンセプトが固まって、大枠ができあがったのは12月くらいだったと思います。
EMTG:特に「その日が来るまで」には、まさに震災への思いも含め、現代へのメッセージを深く感じますね。その中で、ラストの曲がポジティブな「シャングリラ」っていうのもすごく救われる気がします。
yasu:今回のアルバムでキーになるのは、やっぱり「その日が来るまで」と「Fallin’ Angel」「シャングリラ」の3曲なんですね。特に「その日が来るまで」に関しては、この曲があったからアルバムにつながった気がします。あの時は日本中がマヒしたし、仕事どころじゃなくなったじゃないですか。でも、僕はやっぱりこのタイミングで曲を書かなアカンって思ったんですよ。とはいえ、コンビニでは真っ先に食料がなくなって、一番必要ないのは明らかに音楽を含めた娯楽だったし。それを今がんばって生み出す理由は何だろうって葛藤もありました。でも、自分がやれるのはこれしかないから。あともうひとつ、世界終末時計って知ってます?
EMTG:知ってますよ。人類滅亡が時計の12時に設定され、今のままだとあと何分で……という警告をメッセージしたやつですね。
yasu:そうそう、それが残り5分を指しているというキーワードと、マヤ暦で言われる12月21日に人類最後の日と言われていることと、今年は2012年っていう要素をまとめて、アルバムタイトルにしたんですよ。今が2012年だから単純に『2012』になったように見えてると思いますけど、バカっぽく見えて結構アタマを使ったんです、これでも(苦笑)。
EMTG:いや、きっちり錬られているのはわかりますから(笑)。しかも、単発で出していたシングルも、人間の弱さとか欲とか、かなりディープな部分を歌ってますし。
yasu:そうですね。まぁ、“世界が終わる”って言っても投げやりになるわけでもないじゃないですか。終わりゆく世界があったとしても、この世界に生きている人達は、どんなに醜い部分があろうが汚れていようが、生きることを諦めていないんですよ。一生懸命生きようとしているわけです。
EMTG:そりゃそうですよね。
yasu:そこが曲になってシングルになっただけなんで。Acid Black Cherryが毎回、アルバムの曲を作っていく中で、“じゃあ、シングルはこれかな?”っていう選び方ができた結果だと思います。
EMTG:ところで、アルバムのリリース後、かなり長いタームのツアーが発表になってますが、これは久々のツアーじゃないですか?アルバムの世界観をガッツリ表現するものになるんでしょうか?
yasu:あ、ライブはライブで、ロックコンサートでいいかなと思ってます。演出しすぎて、訳の分からないものにしたくないから、演出としてアルバムのストーリーに寄ることはないと思いますよ。コンサートはバンドがカッコよく見えるライブであればいいかなって。主役がセットや演出っていうライブは、やりたくないですね。それより、バンドのメンバーが活き活きしてる方が僕は好きかな。
EMTG:最後、余談ですけど、アーティストに2012年のマヤ暦の話に食いつく人、多いんですよ。
yasu:やっぱりワクワクするからなんじゃないですか?(苦笑)。みんな人類が滅亡するって、思ってないでしょ?何が起こるんだろうっていうのが一番大きいんじゃないですか。
EMTG:それはありますね。思えば1999年の時も、さんざん騒がれたのに、何も起こらず。
yasu:そうそう、僕ら(=Janne Da Arc)って1999年がデビューだったんです(笑)。その時に思ったのが“あ、とりあえず夢がひとつかなったから良かったな”って(笑)。志半ばにして倒れる人もいる中で、とりあえずガキの頃から描いた夢が1999年に叶ったんで、”自分は救われてる方だ”と思いました。
EMTG:しかも、yasuの活動は延々と続いてるしね。どうせならこの世が終わるっていう2012年12月21日に、新曲出しちゃえば?
yasu:えっ、何で僕がここでプレッシャーを受けるんですか!でも、すごくいい案だと思います。嫌いじゃないですよ、それ(笑)。
EMTG:ちょっとだけ期待してますよ(笑)。

【取材・文:海江敦士】

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リリース情報

『2012』【初回限定盤A】

『2012』【初回限定盤A】

2012年03月21日

motorod

01. ~until~
02. Fallin’ Angel
03. in the Mirror
04. ピストル
05. 少女の祈りIII ~『2012』ver.~
06. Re:birth
07. 指輪物語
08. CRISIS
09. ~the day~
10. その日が来るまで
11. so…Good night.
12. doomsday clock
13. 蝶
14. イエス
15. シャングリラ
16. ~comes~

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ちょうど今、これで目が痛くて、痛くて……全然治らないんですよ。目も赤いし……。どんな治療が効果的なのか調べたんですけど、治すような薬はないらしいですよね。症状を抑える目薬はあるんですけど。自然治癒にたよるしかないらしいですね。


■ライブ情報

Acid Black Cherry TOUR 『2012』
2012/05/01(火)福岡サンパレス
2012/05/04(金祝)鹿児島市民文化ホール 第二ホール
2012/05/06(日)熊本県立劇場演劇ホール
2012/05/09(水)サンポートホール高松 大ホール
2012/05/11(金)ひめぎんホール(愛媛県民文化会館)サブホール
2012/05/13(日)広島ALSOKホール
2012/05/15(火)岡山市民会館
2012/05/18(金)神戸国際会館 こくさいホール
2012/05/21(月)びわ湖ホール 大ホール
2012/05/23(水)静岡市民文化会館
2012/05/25(金)四日市市文化会館 第1ホ−ル
2012/05/31(木)新潟県民会館 大ホール
2012/06/06(水)旭川市民文化会館 大ホール
2012/06/08(金)ニトリ文化ホール
2012/06/12(火)仙台サンプラザホール
2012/06/14(木)青森市民ホール
2012/06/19(火)千葉県文化会館
2012/06/21(木)パシフィコ横浜 国立大ホール
2012/07/08(日)大阪城ホール
2012/07/15(日)日本ガイシホール
2012/07/18(水)日本武道館
2012/07/20(金)日本武道館
※その他のライブ情報、詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

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