溢れんばかりの衝動が詰め込まれた、赤裸裸な感情に満ちたねごとのニューソング

ねごと | 2012.03.30

ねごとの新曲「sharp ♯」は、MBS・TBS系TVアニメ『機動戦士ガンダムAGE』アセム編のオープニングテーマとして、現在絶賛オンエア中。溢れんばかりの衝動が詰め込まれたこの1曲には、彼女たちが込めたかった“想い”そのものであると言う。表情を出すために選ばれた高めのギター音と、絶え間なく叩き続けられるドラムの音とベースによってしっかりと守られた低音で形どられた楽曲の上に、強さともろさが共存する歌詞が乗り、楽器隊によって畳み掛けられる感情とボーカルの蒼山の無垢な声質で歌われるリアルな感情が胸を刺す。ここに吐き出された感情とは?「sharp ♯」について4人に訊いた。

EMTG:聞くところによると、「sharp ♯」は、何かきっかけがあって作られた曲だったとか?
沙田:はい。衝動を曲にしたかったんです。いつも曲を作る時は、感情を音にするというより、曲の構成とかリズムから固めて構築していくんですけど、今回はあるライヴ映像を観て、凄く胸が熱くなって。“ねごとでもこんな曲を作って演奏したい!”と思って作り始めたんです。
EMTG:その、あるライヴ映像って?
沙田:The Birthdayさんのライヴ映像なんです。The Birthdayさんはすごく好きなバンドでもあるので、そのライヴ映像も何度も観たことがあったんですけど、ふとまた見たくなり、見返していたんです。そのライヴは、THEE MICHELLE GUN ELEPHANTのギタリストだったアベフトシさんが亡くなられた直後のライヴ映像で。そのライヴ中のMCでボーカルのチバユウスケさんが、“大親友だったアベフトシに捧げます”って言って、「愛でぬりつぶせ」という曲を演るんです。そこのシーンで、その想いの深さと、“ぬりつぶす”っていう言葉の力というか、エネルギーに引き込まれちゃって。“愛してるよ”だったり、“愛でいっぱい”とか、そういう表現は、これまでも聞いたことがあったけど、“愛でぬりつぶせ”って、不器用な表現でもあるけど、すごく熱が伝わってくる言葉だなって。そのとき、“演奏している側も、聴いている側も、感情で一つになれるような、込み上げてくる感情を音にしてみたい!”と、すぐギターを持って、その時に湧いた感情に合うコードを探したんです。
EMTG:なるほど。すごく“気持ち”を入れて作った1曲だったんだね。しかし、今まで感情を音にしたいって思ったことがないというのも、すごく不思議に感じるんだけど。
沙田:曲が出来上がって、ライヴで演っていくうちに、だんだんその曲にいろんな感情が乗っていくっていうことは今までもあるんですけど、最初から感情を入れて作ったのは、今回が初めてだったんです。今までは、本当に純粋にバンドとしての音が好きで曲を作っていたって感じだったんで。
澤村:音を作るときは、まず4人で音を出したときに楽しいと感じるのが最初だったりするんです。
藤咲:今までも、作曲者が、“これは街を歩いてる雰囲気にしたい”って伝えてくれたら、自分なりに街を歩いてる感じの音色を探してフレーズを考えて作るんですけど、そこに感情まではないというか、さっき(沙田)瑞紀が言ったみたいに、曲が出来上がってから後から感情が乗っていくこはあっても、最初から感情を描こうっていう形で曲を作ったことがなかったんで、すごく新鮮でしたね。
EMTG:(蒼山)幸子ちゃんも?
蒼山:そうですね。でも、私は歌詞を書くので、さすがに歌詞を乗せるときは感情がすごく入るんですけど、やっぱり音を作っていくときは、みんなと一緒で4人のグルーヴだったり、合わさって生まれる音におもしろさを感じるので、まず曲はサウンドが生み出すおもしろさ的なところを考えてしまいますね。
EMTG:そうなんだ。すごく数学的な音作りをするんだね、ねごとって。
沙田:たしかにそうかもしれないですね。いつもが数学的だったら、今回の「sharp ♯」は国語的かも。
蒼山:そうかも。数字では言い表せない感情というか。そんな込み上げてくる感覚を詰め込んだ曲でしたね。
EMTG:瑞紀ちゃんが見たライヴ映像は、3人にも観てもらったの?
沙田:はい。まず観てもらって。みんな、あのチバさんが震えながらその言葉を言った後に、そのすべての感情を歌と演奏に込めたことに感動したんです。
澤村:楽曲に強い想いが乗っていたからこそ、いつもにはない苦労があったんですけど、この曲に込めたいと思った瑞紀の感情はすごく伝わってきたので、みんなでそれを音にしていった感じでしたね。
藤咲:迷いながらも、立ち止まりながら、1つずつ音にしていけたのがすごく良かったなって。
EMTG:後半でテンポを落としていく展開があるけど、そこはどういうイメージだったの?
沙田:エンディング辺りですよね?最後まで突っ走って終わるのもいいとは思ったんですけど、ちょっと一旦落ちつかせて、メロディを聴かせたいなと思ったんです。
藤咲:ラストスパートにかけて、もっともっと開ける感じにしたいって思いながら頑張りました。
EMTG:(藤咲)佑ちゃんのベースってリズムっていうよりも、もうベースでメロを弾いてるくらいの勢いだもんね。
蒼山:本当にそうなんです!ねごとの肝(きも)というか、もはや歌でもありますから。
EMTG:そうだね、第二のボーカリストだね!
藤咲:あははは。ありがとうございます(笑)。
EMTG:ドラムが絶え間なくずっとなり続けているのも印象的だね。
澤村:ずっと連続で叩くプレイはやったことがなかったのですごく勉強になりました。ストレートに叩くことを心がけました。
EMTG:音色(おんしょく)もすごくいいよね。
澤村:はい。ストレートだからこそ細かい音色にもこだわってみたんです。スネアをちょっとキラッとした音色にして、そこに感情を持たせてみたところは、こだわりでした。
EMTG:なるほど。そして、幸子ちゃんはみんな感情を乗せて演奏したその音を受けて、歌詞を乗せていったんだね。
蒼山:はい。疾走感があって、勢いがあって、熱もあるんだけど、それだけじゃない、内に秘めたメラメラとしたモノをこの曲には感じて。それもあって、“早くこの曲に歌詞を付けたい!”と思ったし。歌メロも凝ったモノではなく、言葉がストレートに届くような飾りのないモノにしようと。“愛じゃない 触れない ただ儚い願いでした”という頭の2行が最初に出て来たんですけど、この2行がこの歌詞の中で一番大切なところになると思ったので、そこを軸に一気に書いていったんです。優しくしてあげたいって想う感情って、もしかしたら愛じゃないのかもしれない。けど、そういうことも飛び越えて、ただただ前に向かって走るんだっていう気持ちを表現した2行でもあったんです。
藤咲:今回、私は歌詞が乗ってからベースのアレンジを考えていったので、そこでもすごく感情が入れられたんです。歌詞に寄り添えるように弾いたし。
EMTG:なるほど。個人的に、“約束しないこと ただひとつの約束でした”という歌詞がたまらなく好きで。うわっ、泣きそう!って。
蒼山:ありがとうございます!嬉しいです。1枚目のシングルの「カロン」でも、今回のカップリングの「drop」でも“約束”っていうワードを使っているんですけど、そこまで意識して使っているワードでもないんだけれど、やっぱり自分の中で引っかかってるワードでもあると思うんです。約束って、結果的にそれが守られることよりも、破られちゃうリスクはあるかもしれないけど、“約束しようよ”って言える関係性っていうか、その心持ちにこそ意味があると思っているんです。結果を望むんじゃなく、約束しなくても、何かを信じていられる気持ちを描きたくて、私は約束っていうワードを使ったんだなって。
EMTG:なるほど。“指輪なくしても約束は消えない”っていう「drop」の歌詞もすごく素敵だなって思ったよ。
蒼山:ありがとうございます!最初、この歌詞は全部ひらがなで書こうと思ったんです。絵本みたいにしたくて。でも、結果的にひらがなで書くのはやめちゃったんですけど、この世界じゃない違う世界を描きたかったので、普段自分が使わない“ロードショー”とか“指輪”というワードを入れてみたんです。
EMTG:「drop」は、そんな歌詞にぴったりなゆったりとしたロックだよね。
藤咲:「drop」は古くて、17歳くらいの頃に作った曲なんですが、幻想的でゆったりしてるけど、なかなかマニアックなことをしてる曲なんです。
沙田:ホント、3年前に作った曲で。コードに凝って作った曲でしたね。好きなコードと好きなリズムを使って曲を作ろうと思って作った曲で。ねごととしても、こういう曲は大好きなんです。演奏してても、すごく幸せな気持ちになれるので、聴いてくれる人たちが幸せな気持ちになってくれたら嬉しいな。
EMTG:M-3の「Tonight」は、The Cribsのカバーだね。原曲よりもかなりロックな仕上がりで。
澤村:そうですね。でも、不思議とテンポ的にはそこまで変わってないんですよ(笑)。キャッチーなアレンジになっているので、すごくテンポよく聴いてもらえるんじゃないかな。
EMTG:アウトロのジャムっぽい、あのロック感とか最高!渋みで攻めまくる感じは、ほわ?んとしたねごとのイメージを変えるよね!
蒼山:あははは。そうですね(笑)。オジさんがジャムってそうですよね(笑)。でも、すごく気持ち良かったです。
EMTG:なぜこの曲を選んだの?
沙田:昔、ねごとの自主企画ライブで、ねごとの別バンドでオープニンアクトをやろうという話があったんですけど、そのときに、ねごとだし、夜っぽい曲にしようとプレイした曲なんです。The Cribsはみんなすごく好きなんで、演れて嬉しかったですね。
藤咲:オリジナルもすごく素敵ですけど、またこの曲で、ねごとの違う一面を感じてもらえたら嬉しいです。
澤村:個人的には、ハネてたり、タメがあるファンキーなリズムが好きだったりするので、ぜひ、ファンキーなねごとにも触れてみて下さい!
EMTG:これはライヴで生で体感したいな。「sharp ♯」も「drop」もライヴで聴くと、また温度が高くなってそうだからね。
蒼山:そうですね。きっと高いと思います!4月から学生限定ツアーをやりますので、ぜひたくさんの学生さんに観に来て頂きたいです!同じ世代のみんなと一緒に音楽を盛り上げていけたらいいなと。このツアーでは、対バンもすごく熱いバンドさんばかりなので、ぜひ、盛り上りに来て下さい!「sharp ♯」は、MBS・TBS系TVアニメ『機動戦士ガンダムAGE』アセム編のオープニングテーマとして起用されているので、きっとそこから知ってくれてる人も居ると思うので、お友達を誘って来て下さい!待ってます。

【取材・文:武市尚子】

tag一覧 シングル 女性ボーカル ねごと

リリース情報

sharp ♯

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sharp ♯

発売日: 2012年04月04日

価格: ¥ 1,200(本体)+税

レーベル: KRE

収録曲

1. sharp ♯
2. drop
3. Tonight

リリース情報

sharp ♯(期間限定盤)

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sharp ♯(期間限定盤)

発売日: 2012年04月04日

価格: ¥ 1,300(本体)+税

レーベル: KRE

収録曲

1. sharp ♯
2. カロン
3. sharp ♯ -tofubeats remix-
4. sharp ♯ -tv size-
5. sharp ♯ -instrumental-

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●蒼山幸子(Vo)
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●沙田瑞紀(G)
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いつも癒されたいときに【可愛い動物】で検索して、自分が癒されたあと、その画像を友達やメンバーにメールで送ってるんです(笑)。つい最近も癒されたくて検索しましたが、いろんな可愛い動物の画像がいっぱい出てきますよ。今回はピンポイントで可愛いウサギが見たかったので、具体的に【ゴンドラウサギ】で検索してみたら、実際は【アンゴラウサギ】の間違いでした(笑)。でも、求めていた可愛いウサギの画像がいっぱい出てきてすっごい嬉しかったです! 今回も友達にいっぱい送りつけちゃいました(笑)! とても癒されるので、ぜひ、みなさんも【可愛い動物】で検索してみて下さい!

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■ライブ情報

【お口ポカーン?! 学生限定ツアー 〜end of studenTOUR〜】
2012/04/06(金)八王子 RIPS
2012/04/08(日)神戸 太陽と虎
2012/04/15(日)福岡 DRUM SON
2012/04/21(土)札幌 cube garden

【お口ポカーン?! ワンマンツアー 〜フラットな気分でもいいよ〜】
2012/05/03(木)大阪BIGCAT
2012/05/04(金)名古屋CLUB DIAMOND HALL
2012/05/12(土)SHIBUYA-AX

※その他のライブ情報、詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

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