シンガーソングライター竹仲絵里、ミニアルバム発売!

竹仲絵里 | 2012.04.20

EMTG:昨年はスタジオジブリのカヴァーアルバム『記憶の森のジブリ』の発売もありましたが、オリジナル作品としては『Garden』以来、約2年ぶりのミニアルバム『Sang』(*ノルウェー語で「歌」を意味する)のリリースになりますね。
竹仲絵里:海外アーティスト並みのペースですよね(笑)。
EMTG:ホントですね(笑)。いつ頃、どんな構想で作り始めた作品なんですか?
竹仲絵里:本当は去年の夏前くらいに出そうという話で、曲を書いたり構想を練ったりしてたんですけど。去年いろんな出来事があり、もう一度、ゼロから構想し直して作ったんですよね。
EMTG:やはり震災を受けての気持ちが反映された作品という?
竹仲絵里:そこにテーマを持ってきたアルバムではないんですけども、『Sang』の曲すべて震災以降に書いたんですね。音楽との向き合い方とか、世の中との向き合い方とか、自分の人生観とか……本当にいろんなことに向き合った1年で、それがあっての作品だと思います。今作の中で一番最初にできたのが、ラストの「おなじ星空の下で」なんですけど。実はこの曲、去年の3月14日に書いた曲で。やっぱり震災が起こって最初の3日間は何もできなくて。テレビから流れる映像を観て泣いてばかりいて。やっと3日目くらいに、その時の気持ちを素直に、手紙を書くようにうわ?と書いたんですけど。
EMTG:“わたしがんばれ 僕もがんばれ 歩き出そうよ”というフレーズが胸にグッときました。
竹仲絵里:その“がんばれ”もね、曲がって捉えられたら嫌だなって思って。“がんばれ”っていうのは、“被災地の方がんばれ”じゃないんですよね。ボランティアとかアクティヴに活動する人たちを観ていて、何もできず自己嫌悪に陥ってしまう自分がいて。でも、まずわたしたちが元気じゃないと誰が勇気づけてあげられるんだって思って。自分自身に喝を入れる意味で“がんばれ”って歌ってるんですね。それを弾き語りで映像を撮ってネットにアップしたんです。伝わるかもわからないけど、まずやってみようと。そしたら現地に行ったボランティアの方が、携帯でその映像を観せてくれたらしくて。被災地の方から“歌を聴いて元気になりました”という声を聞いたときに、少なくても1人は、2人は、勇気づけられることができてよかったって本当に思って。その曲をきっかけに、あとの曲たちがどんどん生まれていきましたね。
EMTG:各楽曲でいろんな“愛”の形が描かれていますね。
竹仲絵里:「palm love」という曲は、シンプルな3拍子なんですけども、シンプルだからこそ、歌詞で説明臭いことは言いたくないなって思って。漠然と“大きな愛を歌いたい”って思ったんですけど、そのテーマが大きすぎて難しくて、ノルウェーでのレコーディングが始まってもできなくて。田舎にあるスタジオから都会のスタジオに移る国内線の中で、360度フィヨルドを見たんですけど、それが本当に幻想的な世界で、わぁっと涙が溢れてくるくらい感動して。ジャケットの中写真にも載せてるんですけど。その光景を見て「palm love」の詞が書けたんですよ。
EMTG:テーマの“大きな愛”を、歌詞の中で“小さいな愛の繋がり”と歌ってますね。
竹仲絵里:そう!身近な言葉で、その後ろに大きな愛が広がるような歌詞にしました。
EMTG:また今回ノルウェーでレコーディングしようと思ったのはなぜですか?
竹仲絵里:ノルウェーでレコーディングって珍しいので、ものすごく意味があるんじゃないかって思われるんですけど(笑)、実はひょんなきっかけで。サウンドプロデューサーのAlan Brayは、インディーズの頃にデビューアルバムを一緒に作った方なんですね。その時は、Alanの5畳くらいの部屋で録った手作り感あふれるアルバムだったんですけども。でもとにかく楽しかった思い出があって。それで前作『Garden』で、16曲入りのベストみたいな作品を4年ぶりに出すことができて、気持ちがスッキリしたんですね。またゼロから作品を作ろうって思った時に、ふとAlanと作ったアルバムの時のことを思い出して。今の自分がAlanと一緒に作ったらいい作品ができるんじゃないかなって。Alanから“ノルウェーのスタジオがすごく良かったからそこで録る?”って言われて、“行ってみようか!”って。
EMTG:海外ミュージシャンとのレコーディングはいかがでしたか?
竹仲絵里:すごく面白かったのは、誰も譜面を見ないんですよね。私もあまり見ない人なんですけど(笑)。その場で弾き語りで聴かせて、“OK!じゃあやろうか”みたいな。本当にゆるいんですよ。
EMTG:それでイメージ通りになりました?
竹仲絵里:はい。もともと自分の弾き語りの歌を軸に色付けていく形なので。あと、それぞれがアイデアを出し合ったんですけど。日本だったら1つアイデア出しても、“でもこれは音楽的に……”とか理論的に考えちゃったりするんだけど。みんな“入れてみてヘンだったらやめればいいじゃん”みたいな感じで、自由に作れて楽しかったですね。
EMTG:久しぶりに一緒にやったAlan氏からは何か言われました?
竹仲絵里:どうだろう?(笑)やっぱり“力が抜けたね”ってすごい言われましたね、歌も。
EMTG:本当に歌っている時の表情まで見えてくるような自然体の歌声でした。
竹仲絵里:ああ、うれしい。『Garden』を出してから、お客さんと近い空間でのライブ、カフェライブツアーをやったんですけど、そこで得たものがすごく大きくて。今までレコーディングで歌う時に描いてたものって、もっとこう広い会場の“みんな”だったんですけど、今回はカフェとかで歌っているように“1人1人”に伝えるイメージで歌えたんですよね。「おなじ星空の下で」は去年ずっと弾き語りで歌ってきたので、“せーの”でライブ録音みたいな感じで撮ったので、よりリアルに伝わってくれるかなって思います。
EMTG:では改めて今作『Sang』はどんなふうに聴いてもらうとうれしいですか?
竹仲絵里:ノルウェーでレコーディングしたとか、ジャケットの写真は自分がノルウェーで撮ったものだとか、そういうオマケ的な面白いこともたくさんあるんですけど。自分が30歳を迎えて初めてのオリジナル作品になるんですね。1曲1曲、自分と向き合う時間の中で生まれた、今の自分にしか書けないものだし。また、こう長く音楽をやっているからこそ書けた曲も入っていて。すごくリアルに裸ん坊の自分が出せたと思うんですね。是非ブックレットを観ながら聴いてほしいですね。
EMTG:5月下旬からツアー2012「Sang ~手のひらの愛で~」が開催されますね!
竹仲絵里:今までの作品の中で一番ライブで再現しやすいアルバムになったかなと思うんですね。たくさん聴いていただいて、そのイメージを持って来ていただいたらより楽しめるかなと思います。

【取材・文:牧野りえ】

tag一覧 アルバム 女性ボーカル

ビデオコメント

リリース情報

Sang

Sang

2012年04月18日

よしもとアール・アンド・シー

1. Gray
2. どうしても
3. あいしてる
4. 赤いラブレター
5. 歌がきこえる
6. palm love
7. おなじ星空の下で

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ラーメン
ラーメン!最近仲良くなった近所のわんこ友達とラーメンの話で盛り上がっちゃって。教えてもらったラーメン屋を検索しました。「勢徳」というお店で、そこのつけめんを食べて“つけめんの概念が変わった”と言ってて。これは食べなきゃ!! って思って(笑)。でもお昼の3時に閉店してしまうところで、結局行けませんでした……(苦笑)。


■ライブ情報

竹仲絵里ライブツアー2012
「Sang〜手のひらの愛で〜」


2012/05/25(金)仙台darwin
2012/05/26(土)宇都宮エスプリ
2012/06/02(土)広島LIVE JUKE
2012/06/07(木)金沢21世紀美術館 シアター21
2012/06/08(金)名古屋 5/R HALL GALLERY
2012/06/16(土)渋谷duo MUSIC EXCHANGE
2012/06/22(金)大阪 umeda AKASO

※その他のライブ情報、詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

■インフォメーション

竹仲絵里 写真展
「Sang 〜歌がきこえる〜」
photograph of Norway


< Tokyo >※入場無料
会場:リコーフォトギャラリー RING CUBE
開催期間:2012.4.4(wed)〜4.16(mon)

< Osaka >※入場無料
会場:digmeout ART&DINER
開催期間:2012.4.18(wed)〜4.30(mon)
トークショー&ミニ・ライブ開催…4/22(Sun)

< Kanazawa >※入場無料
会場:LABBRO 片町
(photograph of Norway & Knazawa)
開催期間:2012.5.7(mon)〜5.13(sun)
トークショー&ミニ・ライブ開催…5/13(Sun)

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