音楽家としての誇りと高い充実度を感じさせる、斉藤和義のニューシングル

斉藤和義 | 2012.04.27

 昨年10月に発売したニューアルバム『45 STONES』を引っさげての全国ツアーを3月31日に終えた斉藤和義。約半年に渡ったツアーのあとは、多少のんびりするのかと思いきや、「やさしくなりたい」の大ヒットで、世の中が斉藤を放ってはおかず(笑)、早くもニューシングルを発表した。それを表わすように今回収録の3曲は全てタイアップつき。これはデビュ―19年目にして初めてのことだ! と、個人的に浮き足立ってしまったが、本人はいたって平静。“オレはオレになりたいだけ ただそれだけなんだ”、“ロックンロールに教わったことは「人と違っても自分らしくあれ!」ってことさ”とのタイトル曲「月光」の歌詞が、ブレない斉藤の姿勢を、よく表している。

EMTG:シングル「月光」に収録している3曲は、いつ頃レコーディングされたんですか。
斉藤:「月光」が2月、「メトロに乗って」が3月ですね。「今夜、リンゴの木の下で」は去年の10月の頭くらいかな。これは、映画『ポテチ』のサントラのレコーディングもしていた頃だったので、”この映画のエンドロールで聴こえてくるのはどんな曲だろう?”と考えて作りました。
EMTG:2月?3月はツアーでしたが、その中で依頼されたテーマに添った新曲を制作するのは、大変だったのでは?
斉藤:依頼の内容は把握してましたけど、頭の中はツアーのことでいっぱいだったから、スタジオに入ってから”さて、どうしようか”という感じでした。どちらの曲も完成まで3、4日くらいだったかな。
EMTG:「月光」はどのようなことを考えて作ったのでしょう?
斉藤:ドラマ『家族の歌』は下火になったロックンローラーのところに、「あなたがお父さんです」とこどもがやってきて一緒に暮らし始める、という話なので、”そんなドラマの最後にはどんな曲がかかるといいのかな…”、ということをまず考えましたね。最初から、ハチロクと呼ばれる8分の6拍子のビートがいいな、それに言葉をたくさんのせたトーキングブルース調の曲がいいな、というのはなんとなくあったので、そのリズムを鳴らしながらギターをいじってたら、詞と曲が一緒に頭から一気に出てきた感じです。
EMTG:歌詞のテーマとしては意識したのは?
斉藤:“家族とは?”ですね。歌詞にもしたけど、“男の価値とは何ぞや?”みたいなことも、自分の中の漠然としたテーマとしてはありました。
EMTG:ロック観、みたいなものも、珍しくはっきり言葉にしていますね。
斉藤:初回の脚本に「ロックンローラーはこんなことを言ってた」的なオダギリさんの台詞があって。おれもよく、「ミック・ジャガーやジョン・レノンはこんなことを言ってたな」と思い出すから、そういう言葉は歌詞に入れたいな、と思ったんです。ロックンローラーが主人公だから、普段、あまり言葉にしないことも、歌詞に書きやすかったのかもしれない。
EMTG:斉藤さんの楽曲にはよく月が出てきます。過去曲の「月影」も、意味としては“月の光”でしたよね。
斉藤:そうです。この「月光」の仮タイトルは最初、「月影のロックンロール」だったんですよ。でもどうもしっくりこなくて。ぎりぎりまで悩んで最後、”「月光」っていうタイトルの曲だと思って聴いてみよう”と思ってスタジオで聴いて、”このタイトルだ!”って。全体の雰囲気が月の下で思っていることのような感じがしたんですよね。
EMTG:東京メトロのCMでオンエアしている「メトロに乗って」は、“東京”をテーマに作った作品だそうですね。もしかしてあの曲も頭から詞と曲が一気に?
斉藤:いや、あの曲はサビのメロディから(笑)。話をもらった時に、20年前くらいから何年かに一度思い出していたあのメロがふと浮かんで、それに“メトロに乗って”と歌詞をはめたらぴったりだったと。ちょっとベタな気もしたけど、“そういうことなんだな、やっと使う時がきたんだな”と思って、そのまま進めました。
EMTG:いくつか地名が出てきますが、どれも馴染みのある場所と考えていいですか?
斉藤:結局、楽器屋が沢山あるお茶の水周辺になりましたね。おれの場合、歌詞に東京が出て来ると、渋滞ばかりしているとか、否定的になりがちなんですよね。でもいい機会だし、井上陽水さんの「東京」みたいな大人な角度から、東京を見られたらいいなあ、と思って、東京のいいところ、楽しい東京を歌にしました。お題があったからできた曲だと思います。
EMTG:冒頭に出てきた「今夜、リンゴの木の下で」についても、もう少し聞かせてください。エンドロールに流れるのはバラードだな、と思う瞬間があったわけですね。
斉藤:そうです。最初は楽しげな曲で終わるのもいいなと思ってたんですけど、やっぱりバラードが聴こえるなあ、と。これも詞と曲がほぼ同時に頭から出てきましたね。被災地の仙台が少しでも金銭的に潤うようにという原作者の伊坂幸太郎さんの想いのもとに動き出した企画だから、その心意気に寄りそう曲だといいなあ…と思ってもいました。で、映画の中に主役がリンゴのことを話す場面があったりしたからか、なんとなく“リンゴをテーマにするのがいいかな”と。あと、人類の歴史の始まりくらいの過去からの話と、今現在の話とがごちゃ混ぜになるといいな、とも漠然と思ってました。
EMTG:確かに、人類の歴史とエネルギーの歴史と歌の主人公の歴史が緩やかに絡み合っていますし、壮大なイメージもありました。
斉藤:新曲3曲は楽器もすべて自分で演奏してますが、この曲では高田漣さんにペダルスチールギターを入れてもらいました。高田さんの好きなように演奏してもらったら、期待してた以上に素晴らしかった。すごくよくなりましたね。
EMTG:今回の3曲は、外から提示されたお題やテーマが斉藤さんの中に深く染み込んだ結果、生まれた作品ですね。それが斉藤さんのタイアップ作品の作り方だというのも、改めてよくわかりました。
斉藤:お題はあくまでヒントで、最終的に、いつもの自分の作品と同じような自然な流れで楽曲ができてこないことには、ダメなんですよね。(オファーの)話をもらうのはもちろん、ありがたいんですけど、自分が作品をイメージできるお題かどうか、というのはすごく大きい。イメージできるものなら、それは応えたいな、と思うし。そういうやり方は、これからも変わらないでしょうね。

【取材・文:木村由理江】

tag一覧 シングル インタビュー 男性ボーカル 斉藤和義

リリース情報

月光(初回盤)

月光(初回盤)

2012年05月02日

ビクターエンタテインメント

1.月光
2.メトロに乗って
3.今夜、リンゴの木の下で
4.やさしくなりたい(Live at 日本武道館 2012.2.11)

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■ライブ情報

HIGHER GROUND 2012 FINAL
2012/07/28(土)海の中道海浜公園野外劇場(福岡市東区)

※その他ライブ情報・詳細はオフィシャルHPをご覧ください。

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