変節も認め、今までよりも一歩踏み込んだ世界観を提示した、Droogの1stフルアルバム

Droog | 2012.05.24

 昨年来、世間を騒がせているティーンズ・バンドの中でひときわ異彩を放つ“Droog”が、初のフルアルバム『End of teenage』をリリースする。そこには重大な変化が!
 リードトラック「ロックンロール以外は全部嘘」は、これまでどおりの破壊的なパンク・サウンドで♪俺らの意見 青臭いなら お前の考え 真っ黒♪と大人を切り捨てる。しかし一方で、「からっぽの世界」は内省的な歌モノ。♪からっぽの世界に 花ひらく?灰や枯れた花の意味を知る♪と、これまでより一歩踏み込んだ世界観を提示する。
 果たして別府在住のエッジーなバンドがどんな“End of teenage=10代の終わり”を迎えたのか。ボーカル&作詞のカタヤマヒロキと、ギター&作曲の荒金祐太朗にインタビューしてみた。

EMTG:初めてのフルアルバムっていうことで、特に何か意識したことは?
カタヤマ:ファースト・フルアルバムだから、今までのミニアルバムと違って、いろんなタイプの曲を入れたいと思ってました。
EMTG:確かに、今までのパンキッシュなDroogカラーに加えて、「日々の泡」とか「からっぽの世界」とか、いわゆる歌モノが加わったね。
カタヤマ:前から歌モノはあったけど、出してなくて。
荒金:それと、ここのところライブしてて、何か足りない感じがあった。俺らのライブは、メンバー4人がグワッとひとつになれるかどうかでキマる。“怒り”がないとダメやった。でも『LOVE SONGS』のツアー回ってて、30本ほどライブすると、メンバー4人の気持ちが合致することが難しい。4人そろって怒ることって、そんなにない。別府にいて月2本するんならいいけど、毎日ライブするようになると、それだけじゃできないと思うようになった。なので、違う曲調をやってみようって、ストリートスライダーズの「野良犬にさえなれない」とかバンドでコピーもやりました。ああいうのやったことなかったから、楽しかったですね。
EMTG:スライダーズって、シブいね!(笑)
カタヤマ:ただ、違う曲調が欲しいと思う気持ちはあったけど、自分たちは変わったら負け、バンドが死ぬんじゃないかって思ってた。でも今回、直観的にやりたい方向に行ったっちゅうことですかね。
EMTG:それが“歌モノ”っていうことなのかな?
カタヤマ:たとえば「日々の泡」は、もともと曲はあったけど、詞が付けられなかった。でもボツにするなら書いてみようと思って、ボリス・ヴィアンの小説からタイトル引っ張ってきて。
EMTG:引っ張ってきたのかあ(笑)。
カタヤマ:はい(笑)。思い入れがあるから、詞に時間がかかった。「日々の泡」のAメロ部分の詞は“今”を、Bメロ部分は“昔”のことを歌ってる。
EMTG:♪毎晩ベッドの中で悩んでることだって 犬には普通のこと♪って、痛烈な歌詞だよね。昔っていうと?
カタヤマ:自分たちが摩耗してた時期を“昔”のこととして書けたのが大きかったです。
EMTG:それは10代のDroogのこと?だとすると『End of teenage』ってアルバムタイトルの意味は大きい!
カタヤマ:よく周りから「タバコや酒はダメって規制されてる中でやるのが楽しいんで、それがなくなったら淋しいよ」って言われたけど、10代は退屈だったですね。だからそれを終わらせたかったから『End of teenage』。ラモーンズの『End of the Century 』から引っ張りました(笑)。
EMTG:また引っ張ったのかい(笑)。
荒金:20代になって“壁”がなくなって、だからこそ自分たちで“壁”を作る。枠がないと“自由”って感じられないものだと思う。
EMTG:そういう中でアルバムの曲を作っていったんだね。
荒金:はい。アルバムの曲は“ライブありき”っていう枠で考えていったんで、いいもの出来たと思います。
カタヤマ:今までは「深く掘り下げる」ことをやってきたんだけど、「広くすることの楽しさ」を知ったっていうか。
EMTG:僕がいちばん変化を感じた「からっぽの世界」は?
カタヤマ:“エモい気持ち”で書いた。これは“負け犬”の歌です。自分がしがみついてた“音楽”って、楽しいことばっかだったのに、そうじゃなくなったときのエモい気持ち。今までだったら好きなCDを聴けばポジティブになれたのに、アルバム制作時はなれなくて。なので、自分で作りました。
EMTG:負け犬か・・・なんか変わったね。だって以前は「全滅ロック」とか歌ってたじゃん。
カタヤマ:変節は認めます。自分の感じ方が違ってきた。今までの俺の詞は、自分の手のひらの中のことをたいそうに歌ってたと思う。“全滅”とか“人類”とか言っても、それは10代の俺が知ってたちっぽけな世界の中でのことだった。今回、自分の手をじっと見てて、「これは本当にちっぽけなのか?」って考えて、「ちっぽけじゃない」って開き直りました。
EMTG:すごいところに踏み込んだね。ソングライター・コンビとして、荒金くんとはそういう話をするの?
荒金:今の話、俺にはさっぱり分からないです。
EMTG:あははは。
カタヤマ:俺らは意志の疎通をし過ぎない。それが二人で歌を書いてる強みです。
EMTG:カタヤマは強いなあ。そういえば、遠藤ミチロウさんを別府に呼んで、一緒にイベントやったんだって。
カタヤマ:中学のときからやってたライブハウスにミチロウさんを呼んでライブしました。俺たちはそこでザ・スターリンのデビューシングル「ロマンチスト」をカバーしてたから、その張本人が来てくれて、俺たちがバックでその曲を一緒にやれた。まさか呼べるとは!
EMTG:そこでもう一度、自分たちの音楽を確認できたのかな?
カタヤマ:そんな難しいことじゃなくて、ただ嬉しかったです。しかもミチロウさんもすごく喜んでくれて。
荒金:涙が出そうだった。それだけでいいです。
EMTG:潔さはまったく変わってないね。これからも暴れてください!
カタヤマ&荒金:はい!!

【取材・文:平山雄一】

ビデオコメント

リリース情報

End of teenage

End of teenage

2012年05月23日

avex trax

1. ロックンロール以外は全部嘘
2. BOMB!
3. 眠たい奴ら
4. カルト・スターに憧れて
5. 健康優良不良少年
6. 日々の泡
7. 我思う故に我あり
8. キラキラ
9. 街の灯
10. ティーンエイジ・カルチャー
11. からっぽの世界

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お知らせ

■マイ検索ワード

●カタヤマ
「なし」

東京に来たら、いっぱいCD買うのが楽しみなんだけど、最近、せっかく見つけて買ったキャプテン・ビーフハートやらバッドブレインズのアナログ盤やらを30枚、失くしてへこんでます。

●荒金
「ズボンズ ドン・マツオ」

名曲「 Highway A Go Go」 のPV、見つけて嬉しかったっす。


■ライブ情報

Droog GIG TOUR 2012 End of teenage
2012/05/30(水)水戸LIGHT HOUSE
2012/05/31(木)高崎club FLEEZ
2012/06/01(金)甲府CONVICTION
2012/06/05(火)千葉LOOK
2012/06/08(金)小倉LIVE SPOT WOW!
2012/06/09(土)長崎Studio Do!
2012/06/10(日)熊本Django
2012/06/12(火)福岡graf
2012/06/15(金)十三FANDANGO
2012/06/16(土)徳島GRINDHOUSE
2012/06/17(日)岡山IMAGE
2012/06/19(火)神戸 太陽と虎
2012/06/21(木)広島Cave-be
2012/06/22(金)高松DIME
2012/06/27(水)名古屋UPSET
2012/07/06(金)仙台PARK SQUARE
2012/07/07(土)八戸ROXX
2012/07/08(火)盛岡Club Change
2012/07/15(日)別府CopperRavens
2012/07/25(水)新宿LOFT

2012/06/03(日)渋谷タワーレコード・インストアライブ
2012/07/22(日)北海道・JOIN ALIVE

※その他ライブ情報・詳細はオフィシャルHPをご覧ください。

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