進化し続けるメレンゲ。多彩な魅力が広がる3rdアルバムリリース!

メレンゲ | 2012.05.28

結成10周年を迎えたメレンゲ。ますます瑞々しさを増している彼らの音楽性を堪能できるのが、3rdアルバム『ミュージックシーン』だ。最近の彼らは、精力的にライブを行っている。スネオヘアーやGOING UNDER GROUNDと共にスプリットツアーを回ったことも記憶に新しい。受けた刺激は、楽曲制作に対しても大きな影響を与えたようだ。美しいメロディ、心地よい空気感、詩情溢れる歌詞を揺るがない軸としつつ、様々な新境地が切り拓かれている。本作についてクボケンジ、タケシタツヨシ、ヤマザキタケシが語る。

EMTG:今回ってツアーのサポートメンバーの大村達身さん(ギター)と皆川真人さん(ピアノ/シンセサイザー)が全面参加しているんですね。
クボケンジ:そうなんですよ。最近のメレンゲはライブに重きを置いていますし。そういうメンバーと作っていくのがすごく楽しかったです。リハスタで音を出す延長みたいなところもありましたね。
タケシタツヨシ:ライブだったりツアーだったりと並行しながら作ったっていうのが、今回はすごく大きかったよね?
ヤマザキタケシ:うん。そうだね。一皮むけたと思うし。「新しいことをしたい」っていう意識からスタートはしていないんですけど、結果的にそういうものにもなりました。今まではクボくんが持っている空気感、世界観を表現することを目指していた。もちろんそこは今回も変わらないけど、もっと個々のやりたいことを入れられたような気もしています。
EMTG:リスナーとしてまず新鮮さを感じたのは、フロアユースなサウンドの曲です。1曲目の「ミュージックシーン」が、まさにそうですけど。
クボケンジ:もともとシンセとか打ち込みの音は好きだったんですけど、バンドをやっている以上、その融合はちょっと避けているところがあったんです。そこを上手く融合させてみようっていうコンセプトが、この曲ですね。この曲ができたことが、今回のアルバムの自信になっているところもあります。
EMTG:「ミュージックシーン」のこの感じは、今後もいろんな可能性があるんじゃないですか?
クボケンジ:そうですね。僕自身、シンセが好きで音楽を始めたので。「シンセが好きで、使ってもいるんだから、そこを強調してみたらどうだろう?」っていうムードにはなってきていますね。
ヤマザキタケシ:僕もシンセの音が大好き。僕の音楽のルーツは、80年代。当時の音楽ってシンセの全盛期じゃないですか。TMネットワークとかも聴いていましたし。当時はシンセと生演奏が良い感じで融合していて、歌も良い音楽がたくさんあった。ずっといろいろな音楽を試してきたけど、今、その頃の感じの音にようやく戻ってきた感じがあります。
EMTG:シンセの要素が入った曲だと、「バンドワゴン」も存在感がありますね。これはシンセによるバキバキの昂揚感を楽しめます。
クボケンジ:すごい個性がありますよね。なんだろう、このシーケンス?
ヤマザキタケシ:「ジュリアナ東京?!」って感じ(笑)?
クボケンジ:「そういう要素が入っても、なんとかなるんじゃねえ?」と(笑)。
EMTG:ダンスミュージック的なもので挙げるなら、「フィナーレ」も強力ですね。これ、ベースがすごくかっこいいです。
タケシタツヨシ:ありがとうございます(笑)。こういう感じはメレンゲであんまりなかったですよね。これも新しい一面を感じてもらえると思います。
ヤマザキタケシ:振り返ってみると、今回のアルバムの大きいことの一つは「踊らせる」っていう部分なのかも。今まであんまり意識してこなかったテーマだから。今までは「叙情的で、ゆっくりと風景が変わっていく」っていう感じ。「踊らせる」っていうよりも「乗らせる」っていう感じだったように思うから。
EMTG:「踊らせる」っていう意識が出てきた理由って?
クボケンジ:やっぱりライブでしょうね。
ヤマザキタケシ:うん、そうだね。
クボケンジ:ライブが僕らの活動の中でもどんどん重要になっていますので。聴かせるだけじゃなく、無条件で身体を動かせるものも作りたくなってきているんです。
タケシタツヨシ:今年は「10周年」っていうことで、ライブ、ツアー、スプリットツアーもたくさんやっているんです。そこで出会ったお客さん、対バンから受ける影響とか刺激は、確実に今回のアルバムに反映されていると思います。
ヤマザキタケシ:ギターロックシーンのお客さんって、手と拳が挙がる盛り上がり方。そういうのを目指したこともあったけど、メレンゲのお客さんからはそういうリアクションが来ない。でも、よく見ると、横にはすごく揺れてくれるんですよ。この横揺れ感は、他のバンドにはないもの。その横揺れ感をもっと追究すると、「踊る」ってことになるのかもしれない。このアルバムの曲で最初にライブでやったのは「バンドワゴン」。今までにない感じだから最初はみんなポカンとしていたんですけど、曲が進むにつれて、いい感じで横に揺れだした。「こういうのって、いいなあ」って、僕は個人的に思っていました。
タケシタツヨシ:みんなで共有して盛り上がるっていうより、1人1人が曲に対して向かっている感じ。そこがメレンゲらしいところかもしれない。
EMTG:今回のアルバムって、曲それぞれのキャラがすごく立っているのも聴きどころだと思います。美メロっていう点ですと、やっぱり「まぶしい朝」。
クボケンジ:これはドラマの主題歌で使ってもらった曲。ドラマのことをイメージして書いたところもあるので、今までになかった感じかも。「救いを求めて。でも、救われ過ぎない」みたいな、面白いバランスで作ることができました。主題歌のお話がなかったら作れなかったと思います。
EMTG:「うつし絵」が今回収録されるのって、ファンのみなさんが驚いているんじゃないですか?
クボケンジ:結構前の曲ですからね。
タケシタツヨシ:2009年とかなのかな。前作『アポリア』はすごくバンドサウンドな曲が中心だったし、歌詞もまた別の感じだったから、「うつし絵」は入らなかったんです。でも、「うつし絵」は、ターニングポイント的な曲でもあったので、いつかアルバムに入れたかったんですよ。
クボケンジ:僕もかなり気に入っている曲です。コード感が自分の中で確立された曲でもあるので。みんな気に入っているよね?
ヤマザキタケシ:うん。気に入っている。
クボケンジ:あんまライブでやらないけど(笑)。レコーディングのエンジニアさんもすごく良くて。
ヤマザキタケシ:プロデューサーは、島田昌典さん。素晴らしかったです。プロデューサーさんとの作業によって大きく変わることを知った曲でもあります。
EMTG:「給水塔」は、GOING UNDER GROUNDの松本素生さんとの共作ですね。
クボケンジ:僕の実家の近所に給水塔があって。そのことを歌詞に入れたら、彼(松本素生)が反応して、「これにフォーカスを当てようよ」っていうことになったんです。そこからどんどん広がっていきました。
EMTG:僕、「物持ち」が、すごく好きなんです。捨てられない性分の主人公が、昔の恋人からの手紙を見つけて、いろいろ思い出す歌詞ですけど、豊かな物語を感じます。
クボケンジ:捨てられなくて、部屋に物がすごく溜まっていた時期があったので(笑)。
EMTG:《余計な物なんてない 誰かが歌っていたな》っていうフレーズがありますけど、これってCHAGE and ASKAの「SAY YES」?
クボケンジ:あっ、言われてみればそうなのかも(笑)。「そういう感じのことって、いろんな曲で歌われているよな」ってなんとなく思っていただけなんですけど。だから《誰かが歌っていたな》って、そのまま書いたんです。今答え合わせができました(笑)。
EMTG:(笑)このアルバムを引っ提げたツアーもすぐに始まりますね。メレンゲのライブの魅力って何だと思います?
クボケンジ:永遠に自分らのライブは観れないので、なかなか答えるのは難しいですけど。でも、演奏している側からするとメレンゲのライブは「音を飛ばす」っていうイメージがある。広がる音を追求しているので、その空気感と音像を楽しんで欲しいですね。

【取材・文:田中 大】

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リリース情報

ミュージックシーン

ミュージックシーン

2012年05月30日

ワーナーミュージック・ジャパン

1. ミュージックシーン
2. バンドワゴン
3. クラシック
4. まぶしい朝 (ALBUM VERSION)
5. フィナーレ
6. 給水塔
7. うつし絵
8. ビスケット
9. hole
10. 物持ち
11. フィナーレ -やけのはら Mix-

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●クボケンジ
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自分の家のスタジオの環境作りのために検索しています。ものによって防音、吸音の効果が全然違うんですよ。防音は材の重さで効果が決まる。重い方が防音の効果が高まるんです。スポンジとか発泡スチロールとかは駄目です。自分の家の部屋でちゃんとした環境を作るのは相当難しい。いろいろ試して分かったのは、ちょっとでも隙間があっちゃ駄目だってこと。僕もまだ完全にはできていないんですけど、音響を良くするためにもかなり考えています。

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昔から釣りが好きだったんですけど、ここ何年かは行っていなくて。またやりたいなと思って、ルアーとルアーフィッシングのポイントを調べています。僕の両親はルアーフィッシングの聖地・霞ヶ浦の近くに住んでいるので、時間を見つけて行きたいですね。ルアーも日進月歩でして、奥が深いんです。値段が高いのを買っても、引っ掛かって切れたら終わり(笑)。なかなか贅沢な遊びです。


■ライブ情報

メレンゲ「ミュージックシーン」ツアー
2012/06/16(土)Sound Lab mole
2012/06/26(火)長野 LIVE HOUSE J
2012/06/28(木)金沢 van van V4
2012/06/30(土)UMEDA CLUB QUATTRO
2012/07/01(日)ナミキジャンクション

※その他ライブ情報・詳細はオフィシャルHPをご覧ください。

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