チャットモンチー新曲「きらきらひかれ」はアジカン・後藤プロデュース

チャットモンチー | 2012.07.04

 チャットモンチー。昨年、ドラムが脱退し、橋本絵莉子と、福岡晃子の2人体制になったことは、音楽リスナーならば、既に御存知であろう。元々ベース担当だった福岡は、ベースをドラムのスティックに持ち替えた。
 新体制・元年に当たる今年。彼女達は、立て続けに作品を発表。早くも、本年リリース第4弾となるニューシングル「きらきらひかれ」が到着した。
 タイトル曲の「きらきらひかれ」は、ASIAN KUNG-FU GENERATIONの後藤がプロデュース。ギター・サウンド全開、チャットモンチー史上最速の豪快なスピード・ナンバーである。カップリングの「カリソメソッド」は、同じく後藤が作曲を担当。作詞には、橋本と福岡、両者のクレジットが並んだ。
 本文にも登場する“彼女達の意地”が、斬新なアイデアにつながり、バンドの可能性を広げている。
 意地を貫きとおすと、普通は私見が狭まるが、逆に広がり自由度があがっているあたりが、彼女達の面白さだ。そしてこの面白さは、前例ないゾクゾクするような未来にもつながっていく個性だろう。
変貌という名の進化を続けるチャットモンチー。
今、新たなバンドの形を作りながら、思いっ切り、自分達の楽しさを追求し、音を鳴らしている。

EMTG:「きらきらひかれ」は、ASIAN KUNG-FU GENERATIONの後藤さんプロデュース曲ですね。
福岡:そうです。歌詞は、ゴッチさん(後藤)にお願いする前に書いていたものなんですけど、ゴッチさんに“速い曲をやろう”って言われて、それがきっかけで、元々あった歌詞に速い曲がついたんです。それが、すごい良い感じだったんで、”それで行きましょう”と。
EMTG:ASIAN KUNG-FU GENERATIONとの関係に、ここ半年くらいで変化があった?
福岡:そうですね。レーベルの大先輩だったんですけど、お会いしたら挨拶する程度で、そんなにお話をゆっくりしたこともなかったんです。絵莉子が、アジカンさんと一緒に「All right part2」をやって、対バンのお誘いをしてもらったくらいから、少しずつ話をするようになって、プロデュースの話も、その頃から、なんとなく出てきていたんです。で、昨年の冬の「チャットモンチーの求愛ツアー♡」(=チャットモンチー主催の対バンツアー)の時、アジカンさんに対バンをお願いした大阪のライヴの日に、まさに“実際どうですか?”って聞いたんです。そしたら、”やりましょう、やりましょう!”ってなって、そこからは話が早かったですね。
EMTG:先輩ミュージシャンに、楽曲をプロデュースして欲しいという思いは、前からあったんですか?
福岡:人数も減ったので、メンバーだけじゃなく楽曲を作る人……例えば、プロデューサーさんが増えても、面白いものができるかもって話はしてましたね(笑)。前に進めば進むほど、自分達で面白いと思う事もそうだし、“面白いね”って言われるのが、前にも増して、すごく楽しくなってきてるんですよね。それに、ゴッチさんがプロデュースっていうのも、公にはあんまりなかったし、この関係性は、面白いかもしれないと思った。それに嬉しい事に、元々ゴッチさんが“チャットモンチーやりたい”って言ってくれてたみたいで。呑んでる席とかでの話みたいなんですけど(笑)。
EMTG:歌詞を書いた時のテーマは?
福岡:子供向けに作りたいと思って書き始めた歌詞なんですよね。だから、全部ひらがなで書こうと決めて。でも大人が読んだら、よりわかるって歌詞にしたかったんですよね。絵本みたいなイメージでした。
EMTG:絵莉子さん、平仮名だけの歌詞を最初に読んだ時、かなりびっくりしたのでは?
橋本:びっくりしましたね。“いやぁ?、すごいな”と。
EMTG:プロデューサーが決まってから、曲を書き始めたということでしたが、いつもと違いはありました?
橋本:アジカンさんが、ギター2本居るってところは、ちょっと意識したかもしれないです。ギタリストが2人いるって状況を活かす曲になればいいなって。今“ループステーション”っていう、音をループさせる機材を使ってライヴをしてるんですけど、そのループを使って、ギター2本でかっこいい音を作れたらなっていう、そういうイメージはありました。
EMTG:では、もう1曲の「カリソメソッド」について。こちらもまず制作の経緯を伺えれば、と。
福岡:この曲は、後藤さんと“ザッツ・コラボ! 一緒に楽しくやりましたよ!”みたいな曲をやれたらいいね”って話をしていて。最初はカバーで……って話が出たんですけど、後藤さんが作った方が早いんじゃないか、と。そしたら作って来てくれて。そこに2人で歌詞をのせたんですよね。
EMTG:いつも詞先で曲を作るチャットモンチーとしては、とても珍しい作り方ですね。
橋本:そうなんです。いただいたデモが歌詞がついてない状態だったんですけど、アレンジはほぼ出来あがっていて。それで日本語でも英語でもない、言葉がのっていた。で、いざ自分達で歌詞を乗せるってなった時に、メロディー通りにいかないというか。例えば、この言葉を乗せるんやったら、ここでメロディ上がりたい、下がりたいって思いが働いて、いただいたメロディ通りにするのが、すごく難しかった。結果、大枠はちゃんと守って、ちょっと変えてっていう形になりましたね。
EMTG:後藤さんから、歌詞についてのリクエストは?
福岡:“切なくて、韻を踏んでくれれば、何でもいいよ”みたいな感じでした(笑)。だから、この言葉を頼りに作って行ったんですけど、チャットでは韻を踏んだことがなかったから、なかなか難しかったですね(苦笑)。久々にちゃんとこう……普段は考えない部分を考えました。最終的には、2人がお互いざっくり作って、それを混ぜた感じですけど、どうしても思い浮かばない部分もあって、歌入れのギリギリまで悩んでましたね。
EMTG:では、楽曲の話から少し離れて。せっかくの機会なので、今のチャットモンチーに聞いてみたい質問を。まずは福岡さん。ドラムの面白さはどんなところ?
福岡:やってみないと、面白さがわからないところが、すごく面白い。見てるだけでは全然わからなかったところが、実際やってみると“こうなってたんだ!”ってわかるのが、めちゃくちゃ面白いです。でも、わかってもなかなかできないんですよね、今もまだ全然(笑)。だから今回の曲も、ゴッチさんに“速い曲を作って”って言われた時、本当にどうしようと思った。で、考え付いたのが、キックの代わりに、フロアタムを叩くって方法。シンバルの時だけ、バスドラを叩いてるけど、他は全部フロアタムなんですよ。だから、レコーディングも、ずっと立ったまま叩いてました。
EMTG:発想の転換ですね。話を聞いているだけでも、すごく面白いです。
福岡:(笑)。えっちゃん(橋本)が、誕生日にでかいフロアタムを買ってくれたんですよね。「きらきらひかれ」は、(BPMが)213で、今までのチャットの中で最速の曲。でも、それだけ速くても、手だったらいけるぞ、と。”速い曲をやる”って言われたことに対して“じゃあ、こんな方法ありますよ?”って、+αで返せる事、そういう方法を見つけ出す事が、今、すごく楽しいんですよね。
EMTG:では、絵莉子さんにも質問を。元々、チャットモンチーは、3人で出せる音、その音圧にこだわっていた。それが単純に、音数が減ったわけじゃないですか。そのことで、音圧を下げないために、ボーカルやギターを変えていこうという意識は?
橋本:めちゃめちゃありましたね。元々、3ピースで骨組みだけで見せたいと思ってたし、そういう演奏、音が好きだったんです。で、2ピースになった時、“音が寂しくなったね”って、言われたくないと思った。だからちゃんと考えてやりたいと思って、アンプの数を増やしたりしたんですよね。特に今回、ボーカルは、すごく勢いがある時期の歌い方になってると思う。のびのびみたいな感じじゃなくて、“行けーっ!”って感じの歌い方になってるんじゃないかなって。
EMTG:確かに。「テルマエ・ロマン」を聴いた時に、あの曲調なのに“どりゃ!”みたいな、勢いをすごく感じたんですよね。おぉ、気合いすごいぞ、と思いました。
橋本:あははははは(笑)。そうですね。そういう時期ならではの、歌い方、気持ちが出てると思います。
EMTG:そういう自分のボーカルを聴いて、思う事は?
橋本:負けず嫌いが出てるというか(笑)。ただの負けず嫌いじゃなくて……こう……“自分内(ない)負けず嫌い”が出てるのかなあ、と(笑)。意地とか悔しいとか、そういう部分が、歌自体にすごく出るなぁ、でも仕方ないなと思ってます。良いことだと思うし、今のチャットモンチーには、必要なことだなとも思うんですよね。

【取材・文:伊藤亜希】

tag一覧 シングル 女性ボーカル チャットモンチー

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きらきらひかれ

きらきらひかれ

2012年07月04日

キューンミュージック

1. きらきらひかれ
2. カリソメソッド

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●橋本絵莉子
Sunday Bake Shop(サンデーベイクショップ)

日曜だけやっているお菓子屋さんがありまして。最近、よく差し入れでいただいたりして、チャットモンチー界隈では、注目のお店なんですけど(笑)。そのお店のサイトの中にある日記を読みましたね。

●福岡晃子
沙粧妙子-最後の事件-

“沙粧妙子”の“粧”って漢字、どんなやったっけ?と思って、昨日、調べました。


■ライブ情報

「チャットモンチー TOUR 2012」
2012/11/09(金)新宿LOFT
2012/11/12(月)北海道 北見オニオンホール
2012/11/14(水)北海道 函館club COCOA
2012/11/17(土)秋田スウィンドル
2012/11/18(日)青森クォーター
2012/11/20(火)郡山HIP SHOT JAPAN
2012/11/23(金/祝)Live House浜松 窓枠
2012/11/25(日)水戸ライトハウス
2012/11/30(金)神戸WYNTERLAND
2012/12/01(土)京都磔磔
2012/12/06(木)岡山CRAZYMAMA KINGDOM
2012/12/08(土)高松オリーブホール
2012/12/09(日)徳島clubGRINDHOUSE
2012/12/15(土)金沢EIGHT HALL
2012/12/16(日)新潟LOTS
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2012/12/23(日)鹿児島CAPARVOホール

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