藤巻亮太、1stアルバム『オオカミ青年』をリリース!

藤巻亮太 | 2012.10.17

 2012年2月29日に「光をあつめて」でソロとしての一歩を踏み出した藤巻亮太。
バンドが10周年を迎えた年に、いろいろと自分たちを見つめ返し、また、歌うことへと意識を向けてくれた時間を経て、彼は今、『オオカミ青年』という1枚のアルバムを完成させた。
 いままで以上に自分のままで書かれた歌詞。
いままで以上に“やりたいこと”を音にした楽曲。
 『オオカミ青年』――。それは、ここに至るありのままの藤巻亮太である。

EMTG:“ラッキ?ラッキ?。生きてりゃラッキー♪”(唐突に歌ってみる)
藤巻:あはははは。すごい! 嬉しいな、歌ってくれてる!
EMTG:はい。9月12日の渋谷公会堂のライヴで聴いて以来、日々のテーマソングにしてまして……。あの日、まっすぐに歌っていた藤巻くんの歌う姿と、その声と音をまっすぐに受けとめていたオーディエンスの光景に、その歌詞そのものを感じたんです。
藤巻:嬉しいな。そう言ってもらえると。本当に嬉しい。でも、すいません………今回のアルバムには入っていなくて(笑)。
EMTG:ほんとですよ! びっくり。
藤巻:あははは。そうなんですよ。今回のアルバムに入りきらなかった新曲も、まだまだたくさんあるんです。あの日(9月12日の渋谷公会堂)は、当然このアルバムもリリース前だったし、2枚のシングル曲だけしか知ってる曲がなかったはずで、ほとんど新曲だったのに、みんながすごく楽しそうにしてくれていたことが、自分的にもすごく嬉しかったんですよね。4月12日に、赤阪BLITZで初めてソロでステージに立ったときとは、また少し違った感覚だったというか。そういう意味で渋谷公会堂でのライヴは、更にソロで歌う覚悟というか、“やりたいことだけをやっていこう”という意思が明確になっていたライヴだったと思いますね。でも、実際、シングルが2枚しかリリースされていない状態でのライヴだったので、知らない曲ばっかりでお客さんが楽しんでくれるかな?って心配してたんですけど、すごく笑顔で楽しんでくれていたのを見たとき、本当に、歌っていて良かったって思えたんです。“もっと出来る! 俺。もっと出来る!”って思いながら歌ってましたね、あのライヴは。
EMTG:ソロとしての一作目となった「光をあつめて」のインタビューをさせてもらったとき、レミオロメンの活動休止を発表する2日前だったこともあり、すごく考えながら、すごく言葉を選びながら話してくれてましたもんね。
藤巻:そうでしたね。「光をあつめて」を作ったときは、レミオロメンの曲としてでもなく、ソロの曲としてでもなく、ただただ自分の中の感情を素直に形にしたモノだったので、それを形にして、実際に歌っていったことで、より自分の気持ちに正面から向き合えたって感じだったんです。
EMTG:震災直後でもありましたからね。
藤巻:そうでしたよね。そこから「オオカミ青年」っていう曲が出来たときに、腹をくくったというか。ソロ活動への覚悟が決まったっていうところがあったんです。
EMTG:まさに、今回のアルバムタイトルであり、1曲目のナンバーとして置かれている曲ですよね。
藤巻:そう。この曲は、ちょうど去年の今くらいの時期に出来た曲なんです。レミオロメンというバンドが大きくなっていけばなっていくほど、その中での自分の役割りを果たしていくのに必死になっていった自分が居て……。もちろん、何か大きなことをみんなでやり遂げるという達成感とか、そこで生まれていく化学変化とかは、すごく素晴しいことでもあったんですけど、横のバランスばっかりを考えてしまって、そっちの方が比重が大きくなっていってしまうことに疑問を感じ始めて。“本当にこのままでいいのかな?”という気持ちが沸き上がってきて。もっともっと“伝えていきたい”と思ったんですよね。もっと目を向けるべきところがあって、もっと掘り下げていきたいって思ったというか。伝えきれていないことが多くなってしまった気がして。ちゃんと向き合って掘り下げていく、オオカミな自分になってみようって、そう思ったんです。それを自分自身が自覚したときに、「オオカミ青年」っていう曲が生まれたんです。この「オオカミ青年」を作り出す前にも、いろいろと悩んでいた中で生み出してきた曲たちも何曲かあって、それが足跡みたいに残っていったんです。そんな曲たちが、このアルバムの中に入ってるんです。さっき歌ってくれた歌も、そんな中の歌。あの曲も、いつかちゃんとした形で世の中に出してあげられたらいいなって思っているんです。そう思うと、このアルバムって、“よし。ソロとして歌い続けていこう”って思えた現在までの軌跡のようなアルバムだなって思うんです。ソロをやるぞ、アルバム作るぞ!って覚悟を決めて作り溜めていった曲ではなく、1曲1曲作りながら気持ちを整理していったっていう感覚が強いんです。
EMTG:なるほど。本当に素直な、まっすぐな想いなんですね、このアルバムは。
藤巻:そう思いますね。僕、去年の8月の後半から知り合いに誘われてアフリカに3週間行ったんですけど、そこに行くまでに何曲かちゃんと形にしていって、向こうで聞き返してみようと思い、6曲くらい作ったんです。向こうで聴き返してみて、帰ってきて最初に出来た曲が「オオカミ青年」でもあったんです。
EMTG:そうなんですね! 今回のアルバムには、大地とか空とか太陽とか風とか時間を強く感じたんです。そういうワードも歌詞に出てきていたりもするし。たぶん、アフリカに行ったことが直接的に影響しているということではないと思うんですけど、今、お話聞いてなんかすごく繋がりを感じたというか。
藤巻:うん。そうかもね。光とかね。うん。すごく感じるアルバムになったと思いますね。そこを意識した訳じゃないけど、自然とそうなった気がする。アフリカに行ったことが、ダイレクトに影響している訳ではないけど、きっと、そこで過ごした時間は、なんらかしらの形で曲たちの中に生きていると思うんですよね。
EMTG:ここに至るまで、いろんな気持ちがあり、いろんな時間を過ごしたんですね。バイクの免許も取ったって言ってましたしね。
藤巻:そう。バイクの免許取って、山道走ってコケてみたりね(笑)。本当に、いままで考える時間がなくて考えられなかったようないろんなことを考える時間を持てたし、いろんなことが出来た時間でもあったと思いますね。アフリカは、ウガンダとケニアに行って来たんだけど、ウガンダでは山に登って、ケニアでは動物のいっぱい居る公園に行って。あと、アルバムのジャケット撮影が、「月食」のPVを録ったアイスランドだったりして。すべてが自分の肥になってる。なんかね、植物と同じで、一度土に返って腐って、根っこから栄養を吸い上げて、それがいい実を実らせるみたいなね。そんな感じだったんじゃないかなって思うんです。そのままじゃ栄養にならないというか。
EMTG:すごく解りやすい説明ですね。
藤巻:うん。このアルバムを作れた僕も、同じだった気がしますね」
EMTG:“この時、一秒先の未来から 生まれ変わるためオオカミは歌う”。「オオカミ青年」の歌い出し。まさに、今の藤巻亮太の想いそのものですよね。
藤巻:そうですね、すいません、そこ、おもいっきり自分出しちゃいましたね(笑)。
EMTG:あははは。いやいや、こんなにも“自分”を歌えたのはソロだからこそじゃないですか?
藤巻:そうだと思います。すごく覚悟を決めて書いた歌詞でもあったし、曲でもあったので。ヒツジとオオカミ、どっちが正しいか解らないけど、生きていくためには、両方必要なのかもしれないけど、音楽に関してはオオカミになるべきだって思ったんですよね。自分のキャリアが上手くまわってくれるときと、それが固定概念になってしまうときがある。そういうのって、一度捨てなくちゃいけないときってあるのかなって。そんなことを書いた歌でもありましたね。
EMTG:今回のアルバムの中で、「光をあつめて」のカップリングだった、「ひとりぼっち」のとことんパーソナルな歌詞と通じる温度を感じたのは、「パーティーサイズ」だったりもしましたし。
藤巻:はいはい。そうですね。これも本当に“自分”で歌っているというか。
EMTG:aikoさんの「カブトムシ」を歌う“生涯?♪”の音程が外れてる部分とか(笑)。原曲そのものの音程が嵌め込まれていたりして、驚きました(笑)。
藤巻:そうそう(笑)。そういうちょっとふざける部分というか、気を抜いてそのままをぶつけられる曲作りというのは、きっとバンドではやれなかった自分がいただろうなと思いましたね。
EMTG:「Beautiful day」は2ndシングルのカップリング曲でもありますけど、この歌詞も通ずるモノがありました。どこか喪失感を感じる切なさを含んだ楽曲に乗った、言い方を選んでいない、気を抜いた表現の歌詞が、余計に突き刺さってくるというか。
藤巻:うん。そうですね。女々しい部分とか弱さって、そのまま出すのにすごく勇気がいることなんですよね。でも、そういう部分って誰でも持ってることなんだよなって思えたというか。だから、自分もそういう気持ちを持ってないと書けないと思ったというかね。自分が思ったことそのままを歌詞に出来たらいいなって思ったんですよね。実は「月食」と「twilight」は、レミオロメン時代からあった曲ではあったんですが、ソロで最初にやりたかった曲でもあったんです。
EMTG:それは、サウンド面も含め?
藤巻:そう。アルバムでは自分でギターとベースを弾いている曲もあったりするんですけど、田中義人さん(=サポートギター)と出逢えて、“自分がいいと思った音で録ることが、一番大事なんじゃない? 自分を信じてやってみなよ”って言ってもらえたおかげで、サウンド面に関しては見直せた部分が大きかったんです。いままでは、すごくいい音にこだわって何度も何度も納得いくまで突き詰めたりしてクオリティの高い音で弾きなおしたりしてきたんだけど、デモで弾いたときのニュアンスやその場の空気感や、初期衝動をそのまま使うことの素晴らしさを知ったというか。いい音は理屈じゃないんだってことを知ったんです。それが、「月食」や「twilight」には特に出てるんじゃないかって思うんです。
EMTG:なるほど。初期衝動というのはアルバムを聴いていてすごく感じましたね。楽曲としては2曲目の「ハロー流星群」なんて、すごく難しい楽曲だし。そこにも初期衝動を感じたというか。
藤巻:そうなんですよね、危ういバランス感というか。一聴してここまで解りにくい音楽はあまりなかったというか。でも、やっぱりこういうの好きなんですよね(笑)。カミソリの歯の上を綱渡りしていくような緊張感というか。ここまでイキきれたのも、すごく自由に向き合えたからこその気がしますね。
EMTG:かと思えば、「砂時計」の様にアコギのみで聴かせる曲なんかもあったりしますしね。
藤巻:そう。この曲は一番最後に作った曲なんですけど、こういう曲もあってもいいだろうって作った曲でもあったんです。こういう表現も、自分の中にはあるんじゃないかなって。この曲が出来たとき、クールダウン出来たというか。ある意味、これでアルバムが完結させられたなって思ったんですよね。
EMTG:なるほど。「四季追い歌」の、おもいっきりマイナーなアルペジオのイントロは、一気に引き込まれましたからね。本当にあのギターの音色そのものに引っぱられたというか。
藤巻:ありがとうございます。でも、まさにその曲はそのイントロのアルペジオから生まれたんですよ。1本じゃなんか物足りなくて、もう1つのアコギでアルペジオを作って重ねてみたことで、この曲の背骨が出来たんです。
EMTG:そこからラストの「光をあつめて」にいく流れがすごくいい。「光をあつめて」でアルバムが締めくくられる流れに、すごく意味を感じたんです。
藤巻:まさにそこは最初から決めてましたからね。1曲目は「オオカミ青年」で始まることに意味があるかなって感じたし、ラストは「光をあつめて」で終わる意味があるって思ったんです。そう思うと、このアルバムは1枚目だからこそのアルバムになったと思いますね。すごく衝動的で感覚的で、濃密なものが出来たと思います。早くこのアルバムを直接届けに行きたいです。

【取材・文:武市尚子】

tag一覧 アルバム 男性ボーカル 藤巻亮太

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リリース情報

オオカミ青年(初回盤)

オオカミ青年(初回盤)

2012年10月17日

ORS

1. 光をあつめて
2. Beautiful day
3. 四季追い歌
4. キャッチ&ボール
5. 月食
6. twilight
7. ハロー流星群
8. オオカミ青年
9. ベテルギウス
10. 砂時計
11. パーティーサイズ

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【TED】。アメリカのカリフォルニア州モントレーで、年に一回、講演会を主催しているグループのことなんですけど、この公演をYouTubeで見れたりするんですよ。それをたまに見たりしてるんですけど、いろんなテーマで話していて面白いんです。最近見て面白かったのは、YouTubeで、自分の曲を歌って下さいって呼びかけて、そこに投稿してきてくれた人の作品を、自分でミックスして、演説しながら動画で流すっていう映像。これはなかなか面白かったですね。あ、ちょっとアカデミック過ぎましたか?(笑)。【TED】、当たりはずれはあるかもしれないけど、なかなか面白いので、是非見てみて下さい!


■ライブ情報

25th TIFF × J-WAVE SPECIAL CINEMA TALK & LIVE
2012/10/21(日)六本木ヒルズアリーナ

PAUL WELLER JAPAN 2012
2012/10/26(金)Zepp Namba
※藤巻亮太がGUEST出演します。

広島エフエム放送主催「ライブトライブLIVE」
2012/10/28(日)広島クラブクアトロ
※トーク&ライブイベント

「Hyper Night Program GOW!!
藤巻亮太 Music Mates Special」

2012/10/31(水)JR九州ホール

YBS Presents「オオカミ青年」
アコースティックライブ in 桜座

2012/11/03(土)桜座

1st Album「オオカミ青年」TSUTAYA購入者対象イベント「ツタロックスペシャルLIVE」
2012/12/04(火)SHIBUYA O-EAST

Dream Power ジョン・レノン スーパー・ライヴ 2012
2012/12/08(土)日本武道館

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