星野 源、ニューシングル「知らない」について語る。

星野 源 | 2012.11.27

 「知らない」は、胸の痛みと希望が鮮やかに融け合っている曲だ。柔らかなメロディ、心地よい響きを醸し出しながら展開し、大きな安らぎでリスナーを包む。複雑に揺らぐ感情を極上のポップスにしてしまう星野源の稀有な魅力を、一層多くの人が発見するきっかけとなることだろう。そして、カップリングの3曲も、多彩な味わいを届ける。初回限定盤のDVDも、ぜひ注目して欲しい。ミュージックビデオ、ドキュメンタリー、ライブ映像など、見どころが満載だ。今作について、本人が語る。

EMTG:「知らない」の歌詞は、かなり悩んだようですね。初回限定盤のDVDに、スタジオで長時間に亘って悩んでいる様子が映っていましたけど。
星野:完成したのはそこから数日後で、その前も2ヶ月くらい考えていたんですよ。今年の7月くらいに曲がまずできて、そこから随分とかかりましたね。
EMTG:形にしたいイメージって、どんなことだったんですか?
星野:あるショックなことがあったんですけど、それはすごく辛いことで……。でも、それがきっかけでできたのが、この曲のメロディで。作りながらギターを弾いて、浮かんでいた映像というのが、「夜中で、空はまだ暗いんだけど、地平線の向こうから朝日が昇りつつある」っていうような……。「何もない状況でも、どうしようもなく希望が持ち上がってくる」っていうような。何となくそういうイメージだったんです。つまり、辛い出来事と、この映像のイメージは若干離れていたんですよ。でも、そのどっちも曲として成立させたかったんです。前向きなメッセージに、なんとかしたかった。それでずっと歌詞を練っていたんです。
EMTG:おっしゃる通り、この曲の根底には静かな希望を感じます。現実って映画みたいに何かしらの結末で終わるわけではなく、何かが起こった後も、また何かが続いていくじゃないですか。未知のものがずっと広がっていく。そういうイメージをこの曲から感じましたので。
星野:仮に今死んだとしても続きがあると思うんです。それは残された人の存在だったり、あるいは、「死んでもこのままだったらどうしよう? 幽霊としてずっとこのままだったら?」ということも考えられるし。そう考えたら辿り着くのは、「今、頑張るしかない」っていうことだったんです。そう考えたら前向きになるって言うか、前向きにならざるを得ない。それが燃え上がる朝日、朝焼けのイメージと一致したんですよね。そういうイメージの曲です。
EMTG:サウンドは前作同様、ストリングスと鍵盤を入れた編成ですね。
星野:この前のシングルの「夢の外へ」は、自分の殻を破りたいと思って作った曲です。僕はJ-POPが大好きで。そういう僕なりのポップスを「夢の外へ」で形にできて、すごく達成感があったんですよね。「知らない」は衝動的にできた曲ですけど、それを「夢の外へ」と同じ編成でやったら面白いんじゃないかと。ポップスになりようもないメッセージの曲をポップスにしたかった。そういうイメージだったんです。
EMTG:星野さんの曲って「ポップスにあまり成り得ないことをポップスにしている」っていう面が、すごくあるように思います。今回の「知らない」にしても、決してライトな内容ではないじゃないですか。例えば「売れ線狙うぜ!」って考えて書くタイプのテーマでは断じてないですよ。
星野:ほんとそうですよね(笑)。
EMTG:でも、キャッチーなものに仕上がっているという。星野さんって、そういう不思議な魅力を持っているアーティストだと思います。
星野:ありがとうございます(笑)。そうありたいと思っています。
EMTG:では、サウンドのお話にまた戻りますが……ストリングスのアレンジに関しては「ちょっと狂ってるくらい」みたいなリクエストをおっしゃっていたそうですね。
星野:僕の思う良いポップスのイメージって「綺麗」って言うよりも、「ちょっと変」とか「若干怖く感じる」って言うようなことなんです。例えば、大好きなサザンオールスターズにも、そういうことを感じます。「マンピーのG☆SPOT」とか究極ですよね(笑)。そういうのをみんながカラオケで歌ったりするのって、「革命を起こすぜ」なんつってカッコ付けてるより、面白くて過激な革命の起こし方だとも思うんです。僕は足下にも及ばないけれど、僕も少しでもそういうものに近づきたいです。
EMTG:余談ですけど、この曲の仮タイトルは「馬」だったんですか?
星野:そうです(笑)。そこに特に意味はないですが。仮タイトルはいつも適当なので(笑)。
EMTG:(笑)「知らない」って、すごく希望や可能性を孕んでいる言葉なんだなって。その発見も、この曲の醍醐味でした。一般的にはネガティブなイメージの言葉なんだけど、実は必ずしもそうではないんだなと。
星野:全部出来上がってからつけたタイトルなんですけど、他にいいものがなくて。ありふれたものばかり思いついた中で、いいなと思えたのが「知らない」だけだったんです。
EMTG:「知らない」っていうタイトルの曲は、おそらく史上初でしょうね。カラオケで曲名検索をしても、星野さんの曲しか出てこないんじゃないですかね。
星野:カラオケで「次、何入れるの?」って訊かれて「知らない」って答えたりするんですかね?
EMTG:(笑)続いて、カップリング曲のお話へ。「ダンサー」は、タップダンスをしたくなるようなイメージの曲。星野さん版「雨に唄えば」というか。資料によるとバナナマンのコント公演用に書き下ろした曲が原形だそうですが。
星野:そうなんです。元々はインスト曲で、宅録だったんですけど、生演奏に歌詞をつけました。発展形ですね。最初はその原形のインストのままで終わらせるつもりだったんですけど、評判が良かったので。今回の2曲目はテンポのいい、明るい曲にしたかった。その点、これはピッタリだなと思ったんです。
EMTG:3曲目の「季節」は、OKAMOTO’Sのハマ・オカモトさんと赤い靴の神谷洵平さんが参加。燻し銀のカッコいいサウンドでした。
星野:「ダンサー」は1stからやってもらっているプレイヤー達と録っているんですけど、「季節」は新鮮なものを求めて「若い人とやる」っていうのもコンセプトの1つでした。若い2人と渋い曲をやったら面白いかなと(笑)。独特なグルーヴを持っている2人なので、すごく楽しかったです。
EMTG:はっぴいえんど的な香りも感じました。
星野:僕はブラックミュージックを聴いて育って。そこに自分のどうしようもない日本人、埼玉県人としての部分を乗せて表現したいと思って作ったのが、この「季節」です。前に作った「彼方」っていう曲もそうでした。あれは「群馬のソウル」がイメージ。今回は「川口のソウル」です(笑)。
EMTG:(笑)。4曲目の「おもかげ」は恒例の宅録、「House ver.」。コーラスの質感が独特でした。
星野:単純に下手なんですよ(笑)。コーラスが上手くないという。
EMTG:でも、すごく心地よい雰囲気がありますよ。
星野:ありがとうございます。手探りなんで、「ボエ?」って感じで(笑)。本当は綺麗な感じでやりたいんですけど、こうなりました。これが僕の限界です(笑)。
EMTG:「House ver.」は、今後も続くんですか?
星野:多分そうなると思います。こういうシングルという形がすごく楽しいですし。4曲入りで、1曲目はすごく気合いを入れて作って、2曲目で遊んで、3曲目で素の状態の音楽をやって、4曲目では手作りで全部作るっていう。DVDを付けるのも楽しいですし。
EMTG:今回もiTunesでの配信はしないみたいですし、「CD」っていうパッケージに対する愛着がすごくあるみたいですね。
星野:そうですね。配信やるんだったらもうちょっとアイディアを練りたいですね。まだ「収録曲全部で1つの作品」って想いが強いので、一曲ずつ買えちゃうiTunesは遠慮しました。あと、余計なものが付いてくるのが好き(笑)。「この曲が聴きたいだけなのにな」と思いつつアルバムやシングルを買って、他の物をもっと好きになっちゃう体験って、自分の幅を広げてくれますから。そうなってもらえるようにカップリングもものすごい気合いで作ってます。
EMTG:今回も初回限定盤のDVDがすごいですしね。約70分。最早オマケじゃない(笑)。
星野:大変でした。命を賭けたオマケです(笑)。
EMTG:「知らない」のミュージックビデオ、ドキュメンタリー……などなど。さらには野音のライブ映像がかなり入っていますからね。特にナンバーガールのカバー「透明少女」は、要注目じゃないかと。この曲、『JAPAN JAM 2012』で初めてやったんですよね?
星野:そうです。『JAPAN JAM』で向井(秀徳)さんと共演させてもらって。そこで初めて歌ったんですけど、しばらくしてから向井さんからメールが来て、『JAPAN JAM』の時のリハの音源を久しぶりに聴いたんだけど、「透明少女」がものすごく良かったから、リリースしたほうがいいと。すごく嬉しかったです。それで野音の映像が良かったので、こういう形で出そうと。
EMTG:この曲の前のMCに感動しました(笑)。
星野:過去にフラれた「少女」のエピソード込みで「透明少女」を歌うっていう設定を、自分で勝手に決めていまして(笑)。
EMTG:これからご覧になる方は、期待して頂きたいですね。
星野:DVDも楽しんで頂けたら嬉しいです。

tag一覧 シングル インタビュー 男性ボーカル 星野 源

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ビデオコメント

リリース情報

知らない(初回盤)

知らない(初回盤)

2012年11月28日

ビクターエンタテインメント

1. 知らない
2. ダンサー
3. 季節
4. おもかげ(House ver.)

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オリエント工業
超高級なラブドールを製造している会社です。前から調べていて、すごく熟知していたんですけど、その後、みうらじゅんさんと対談する機会がありまして。みうらさんの事務所にオリエント工業のラブドールがあって紹介して頂いたんです(笑)。
実物を見て、触らせて頂いた後に、ホームページで改めて調べました。日本人って、こういうエロに関するものを作るのに、本当に長けていますね。ちょっとおかしいくらいに情熱を傾けている(笑)。みうらさんはリリー・フランキーさんと同じ時期に買いに行ったらしいです。リリーさんはそれを「俺の彼女です!」って『笑っていいとも!』に連れて行ってましたね(笑)。


■ライブ情報

星野源のSHIWASU
2012/12/13(木)渋谷公会堂

rockin’on presents COUNTDOWN JAPAN 12/13
2012/12/28(金)幕張メッセ国際展示場1~8ホール/イベントホール

SPEEDSTAR RECORDS 20th Anniversary Live~LIVE the SPEEDSTAR 20th~
2013/01/19(土)Zepp DiverCity

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