話題のバンド “黒木渚” 、ファーストミニアルバム『黒キ渚』をリリース!

黒木渚 | 2013.03.26

 “黒木渚”という印象的な名前のバンドが、ファーストミニアルバム『黒キ渚』をリリースする。このバンドの中心人物が黒木渚だ。
 彼女、黒木渚は、宮崎出身。お婆ちゃんっ子だったそうだ。日舞の先生でもあったという祖母から「すごく影響を受けた」と、己の嗜好のルーツを分析し、お婆ちゃんを思ってか、少女のようにニッコリ。
 中高生時代は、進学校の寮で生活。とても厳格な校風で、音楽や漫画、テレビ、ネット、携帯…と「娯楽はほとんどシャットダウン。特殊でした。兵隊のような生活」の思春期6年間を過ごした。そしてこの時期を「人生の絶望を味わった時期です」とも。「発散するものもないし、絶望とじっくり向き合うしかなかった」と言う。
 そんな中「唯一の規制されない娯楽」が本、すなわち読書だったそうだ。そして絶望した彼女を結果として助けてくれたのが「自分なりの娯楽としてつけていた日記」。今でも欠かさない。
「当時、感じたこと、悲しみとか感情をすべて日記に書いて、そういう感情をどう処理すればいいのか、分析していたというか。思春期の女の子だったから、世界中の不幸をしょってるように思って、“なぜ私が”とか“死んだほうがいい”とか、書いている時期もありました。でも6年続けて積み重ねた結果、“生きていくほうがいいな”と思ったんですね。そういう“たくましさ”は、バンド黒木渚の楽曲に反映されているのかなと思います」
 この生い立ちや嗜好に誠実に向き合って産まれたのが、ファーストミニアルバム『黒キ渚』である。鮮烈すぎる歌詞(だってオープニング曲のタイトルから「あたしの心臓あげる」ですよ?)は、戦後のデカダンスやアングラを思わせるグロさ、ホラー感、さらに“密室感”が特徴か。相反して。根岸孝旨、會田茂一、田渕ひさ子、斉藤祐樹ら、豪華なミュージシャン達をプロデューサーに迎えたサウンドは、限界知らずの“スケール感”が魅力である。
 漆黒の感情を真紅の情熱で、白光の如くスパークさせる。バンドという自己表現にかけるこの熱量こそ、このバンドの“心臓”だ。

EMTG:まずは印象的なバンド名の由来から。「黒木渚」は本名ですか?
黒木渚(以下、黒木):本名です。ずっとこの名前で生活してきました。2010年12月の結成なんですけど、メンバー3人が集った時、これから本格的にプロを目指していく上で、しっかりバンドの名前を考えよう、と。候補もいくつか出してたんですけど、私以外のメンバー2人が「ピンとくるものが、渚の名前しかないわ」って。それで“黒木渚”ってバンド名になったんです。決まった時は、すごく不思議なことだと思いましたね。元々、自分の名前自体も、ちょっと現実離れした名前だと思っていたところもあったし。
EMTG:色っぽい名前だと思いました。
黒木: (笑)。ありがとうございます。ちょっと生活感が無いのもいいなと思って。あと「黒木渚」って、すごく画数が良かったんです。私の名前は、最初は点がひとつ多い、旧字の「渚」(者の中に点がある渚)だったんですよ。それを母親が出生届を市役所に出す時「この点が邪魔だ」って、勝手に取って提出したんです(笑)。そしたら後から、その行為が「点をとる=天下をとる」って、いい意味があったことが発覚して。で、このエピソードを2人のメンバーは知ってたんで「天下をとるなんて、すごく縁起がいいから、バンド名“黒木渚”がいい」「例えば、ボン・ジョヴィみたいに、海外ではあるスタイルではあるんだよ、だからいいんじゃないの(笑)」って。私としても、当時、これからプロを目指してバンド活動をやっていく上で、ずっと使ってきた自分の名前を分け合うのは、すごく素敵なことだなと思ったんです。曲を作ったり、ライヴをしたりしていくに当たって、自分たちの運命とか、思想とかバックグラウンドをどんどん共有しなくちゃいけないと思ってたから。「よし、この人たちと名前をわけあってやっていこう」って思いもあって“黒木渚”ってバンド名にしたんです。
EMTG:今、自分の名前を「現実離れした」っておっしゃいましたが、そこを自覚した時期やきっかけは?
黒木:昔から、名前について言われることが多かったんです。小さい頃、大人に「いい名前だね」って言われることも結構あったし。私自身、他に「渚」って名前の子と会ったことが無いとか。アニメとかドラマには、渚って名前が登場したり、女優さんでいらっしゃったり、歌謡曲に渚って単語が出てきたりするんですけど、日常生活の中で、あまり聞かない単語だなと思ったんですよね。そういうことを考えた時があって、現実味が無い名前なのかなって。皆さん、1回で、しかもフルネームで覚えてくれるんですよね。そういうのもあって、自分の名前について自覚したのは、中高校生くらいの時だったかな。「あぁ私、名前で特してるかもしれないって(笑)」
EMTG:バンド「黒木渚」をスタートさせた時、どんなバンドにしようと思ったんですか?
黒木:元々、サトシ(Ba)とは、以前にバンドを組んでいたんです。当時も私が曲を作ったりしてたので、世界観は、今もそんなに変わってないと思うんですよね。うちのバンドは、私が作り出したものを、テーマに沿って全員で音楽的な要素を加えていって完成させるってスタイルなんですよ。だから楽曲にも、メンバーの数だけ、背景とかが存在してる。
EMTG:背景にはルーツも入ってる? それぞれ具体的に言うと?
黒木:まず、私自身は本を読むのが好きで。そこから、文学的と言われるような要素が出てる。賢治(Dr)は、クラシックやサンバが好きだし、ベースはアメリカのラウド系の音楽が好きだったり。3人、本当にまったくジャンルが違うんですよね。ただ、このバンドの信念としてあるのは、ジャンルありきではなく、作品のテーマありきで作ることなんです。例えばジャズってジャンルがあって、その中で優れたジャズの曲を作るっていうよりは、まずテーマがあって、それを的確に表現するための音楽集団。全員が表現方法として、それぞれのバックグラウンドから引っ張り出してくる。だから音楽的に言えば、ジャンルが混在してるのは当然で、でも、テーマがぶれなければ、大丈夫だと思っているんですね。そこを突き詰めていくことが、バンド“黒木渚”が洗練されていく過程なんじゃないかなって思ってるんです。
EMTG:では、テーマはどうやって出てくるんですか?
黒木:私が最初に持っていくデモに入ってるんですよ。デモは、歌詞もメロディーもすべて入っているけど、メンバーには渡さない(笑)。スタジオに一緒に入った時「新曲、あるんですけど」って、発表会が行われて(笑)。手書きの歌詞をコピーして配って、全員で話をするんです。この時、他のメンバーから結構、質問がくるんですよね。
EMTG:どんな質問?
黒木:シンプルに「いつ出来たの?」とか。「風景で言うと?」とか「色に例えるとどんな色?」とか。
EMTG:へぇえー! 面白いですね。質問が、ちょっと…ライターみたいですね(笑)。
黒木:(笑)。曲について、お互いのイメージを出し合って合わせていくんですね。
EMTG:黒木さんが持ってくるテーマについて、自己分析すると?
黒木:シンプルなものが多いと思います。人間なら1度でも考えたことがあるような……例えば、愛、生きる、死ぬ、とか。それから私が感じた感情……過去に経験した怒りだったり悲劇だったり。ちょっと変わってるのだと、例えば収録曲の「エスパー」は、“ライヴでスプーン曲げをするぞ!”ってテーマありきで、制作がスタートした曲(笑)。
EMTG:……?? つまりライヴの演出として“スプーン曲げ”ってアイデアがあったと?
黒木:そうです!(笑)。
EMTG:ははははははは(笑)。
黒木:「エスパー」って曲に関しては、真面目にふざけようって思いがあって(笑)。そんな風に、遊び心から発展するって場合もあります。でも、根本的には自分が感じた感情から広がることが多いから、結構、生活に密着してるのかなって思ってますね。歌詞も、一見、空想とか妄想って印象も強いし、もちろんそういう要素も含まれているけど、人間くさい部分も相当含まれているんじゃないかな、と。
EMTG:歌詞について具体的に伺います。昭和、特に戦後特有のデカダンスというか、グロさが匂う言葉もたくさん出てきますが、やっぱり読んでいた本の影響?
黒木:そうですね。影響は強いと思います。私、江戸川乱歩がすごく好きなんですけど、猟奇的な感じもあの時代感も好きで。あとは京極夏彦さんとかのオドロオドロしい感じとか、少し懐かしさもある雰囲気がすごく好きなんですよね。あとは、お婆ちゃんっ子っていうのがあると思います。祖母はお話も上手だし、結構、芸術家肌っていうか。横尾忠則さんやダリなんかの絵画が好きなのも、じつはお婆ちゃんの影響なんですよね。
EMTG:では、元々の言葉が持っている意味やイメージについてはどう思います? 例えば歌詞の中には「骨」とか「墓石」とか「赤紙」とか出てくるじゃないですか。この言葉って、一般的には、ネガティヴなイメージが強いかなと思うんです。
黒木:そうですよね。そう思います。やっぱり「あたしの心臓をあげる」とか、臓器の名前がタイトルに入ってると、ラジオでかけにくいよなって、良く思います(笑)。
EMTG:あぁ、そういう「一般的」な感覚もありつつ?
黒木:はい(笑)。普通の感覚もわかることはわかるんですね。その中での言葉のイメージももちろん考えるし。でも、テーマに沿って曲を作ったり、言葉探しをしている時“結構、現実ってよく観察したらエグいな、グロテスクだな”って思うことも多いんです。その生々しさを伝えたいと思うと、どうしても私の中でインパクトのある言葉が浮かんでくる。例えば、適切、不適切って縛りを考えずに、自由に言葉を使えるのって、アーティストだけじゃないかと思うんですね。だから自由に使っているし、それに、グロさみたいなものを、包み隠すのは黒木渚らしくないような気がするんです。例えば「骨」って曲とかは、一見、ネガティヴワード満載みたいな印象ですけど、ライヴ会場でやってみると、全然そういう印象じゃないんです。曲調と相まってって言うのもあると思うけど、曲が終わった直後とか、お客さんを見ると、わりとスカッとした顔してるんですよ。
EMTG:今作『黒キ渚』では、豪華なメンツがプロデュースを手掛けていますね。一緒にやってみて、素直な感想は?
黒木:まず、こちらがやりたいってラブコールした方が、全員“OK”ですってお返事をいただいたことに、びっくりで。デビューするにあたって、やっぱり妥協したくなかったって思いがあったから、ダメ元でオファーしたんですよね。全員OK、嬉しいって思ったものの、プロデューサーさんって立ち位置の方が、レコーディングに入ってくるのは初めてだったんですよね。だから“これしろ、あれしろ、歌詞もこうしたほうが”みたいな、鬼の特訓が行われるんじゃないかと思ったんですけど(笑)、まったくそうじゃなくて。根本的に強要はなくて。私たちがやりたいことをどうやって底上げするかってことをすごく考えてくれました。感覚的な方、下準備を入念にする方、いろいろいらっしゃって、めちゃくちゃ楽しかったですね。
EMTG:バンドの可能性が広がったような感覚はありますか?
黒木:はい。やっぱり……例えば“あれしたい、これしたい”って考え始めたら、本当に無限にあるし、バンドとしては、すごく具体的な目標もひとつあるんですけど、それはワンマンに来てくれたお客さんとだけ交わす約束。密室の中で交わすって約束なんですね。だから、こういう取材でも“今後のバンドの目標は?”とか良く聞かれるんですけど、それを私は頑なに言わずにいるっていう(笑)。でもそれでお客さんも、個人同士で交わされた約束なんだって思ってくれるし、一緒になって黒木渚になってくれるんです。そこがいいなって思ってるんです。
EMTG:お客さんとだけの秘密、素敵ですね、それ。
黒木:はい(笑)。ただ、メンバー全員、2013年は確実に勝負の年だと思っていて。メンバー、ほんの先週(取材は3月上旬)上京したばかりなんですけど、この東京って場所で、黒木渚ってバンドが勝負をしていかなきゃいけない、それが2013年。だから、本当にすべてを全力でやるしかないって思いは強いですね。

【取材・文:伊藤亜希】

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リリース情報

黒キ渚

黒キ渚

2013年03月20日

ラストラム・ミュージックエンタテインメント

1. あたしの心臓あげる
2. クマリ
3. 骨
4. 赤紙
5. エスパー
6. カルデラ
7. 砂金

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アニキサス
寄生虫の名前なんですけど。目黒に寄生虫博物館があるって聞いてて。ずっと前から行きたいと思ってたんですよ。3月頭に上京したんですけど、最初のオフに行きました。上京に来て、初めてプライベートでしたことが、寄生虫を見に行く(笑)。そしたらそこでアニキサスって可愛いヤツを見つけて、帰ってから調べました。


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TOWER OF MUSIC Vol.40
2013/03/23(土)横浜マリンンタワー1階ギャラリーホール(観覧無料)

MAMADRIVE presents ~welcome to 妄想天国 final 神戸編~
2013/04/14(日)神戸Event-hall RAT

1st mini album「黒キ渚」RELEASE TOUR「複合人格」
2013/04/12(金)下北沢CLUB Que(ロックの夜明け presents「INCIDENT 13.04」)
2013/04/23(火)新栄APOLLO THEATER(本格派vol.2 Supported by MID-FM)
2013/04/27(土)薬院BEAT STATION(福岡PARCO「ミライはOK!」PRESENTS 福岡独演会「黒キ渚」~x∩X≠Φ~)
2013/05/02(木)京都MUSE
2013/05/03(金)阿倍野ROCKTOWN
2013/05/08(水)仙台MACANA(RATEN-KAI presents マカジャンフッパー)
2013/05/10(金)札幌Spiritual Lounge

1st mini album「黒キ渚」RELEASE TOUR「複合人格」東京独演会「黒キ渚」~x∩X≠Φ~(ツアーファイナル)
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