スキマスイッチ、10年の結晶となる初のオールタイムベストをリリース!

スキマスイッチ | 2013.09.02

 スキマスイッチが7月にメジャーデビュー10周年を迎えた。
 彼らの10年を振り返ると、「全力少年」「奏(かなで)」など数々のヒット曲に恵またことをはじめ、年々ライヴの動員数を増やしながら、しっかりと音楽的なチャレンジにも取り組む――ミュージシャンとして理想的なかたちでキャリアを重ねてきたと思う。そんなスキマスイッチがリリースした2枚組のベストアルバム『POPMAN’S WORLD ?All Time Best 2003-2013?』。この作品はまさにスキマスイッチが歩んできた歴史そのものだ。まだ彼らが“ポップマン”という言葉を背負うには若すぎた10年前のスタートから、次第に自分らが何者であるのかに気づき、より自由に音楽と向き合うにいたるその道筋が、リリース順に並べられた収録曲によく表れている。10年という節目に立ち、今ふたりはどんな姿勢で「スキマスイッチ」と向き合うのか。メールインタヴューで振り返ってもらった。

EMTG:初のオールタイムベスト『POPMAN’S WORLD ?All Time Best 2003-2013?』が発売になりましたが、まずは今の率直な感想を聞かせてください。
常田真太郎(Piano・Cho):まずはベストアルバムを出せる環境があることに感謝しています。いつでも誰でも出せるとは限りませんので…。そしてたくさんの方が聴いてくれてることにも本当に感謝の言葉もありません。この10年間を支えてくれたのは、間違いなく僕たちの音楽を受け止めてくれたリスナーの皆さんです。「周年もの」を迎えられた先輩ミュージシャンの方がこぞってそう言ってるのを見てきましたが、実際に迎えると本当に心の底からそう実感できました。
大橋卓弥(Vo・G):『POPMAN’S WORLD?All Time Best 2003-2013?』は10年かけて作ったアルバムのようなところもあるので、ぜひたくさんの人に聴いてもらいたいです。
EMTG:今回、ベストアルバムのタイトルが『POPMAN’S WORLD』ということですが、自分たちの音楽を「ポップ」であると言い切るのに、ためらいはありませんでしたか?
常田:そこにためらいがあった時期もありましたが、僕たちが作るとどんなジャンルを目指しても結果的にポップスになることがわかったので、そこからは開き直るというか、そこを武器にできないかと思うようになりました。今は自信を持って自分たちはポップス、それもJ-POPをやっていると言えます。
大橋:昔は何をやっても「ポップ」になってしまうことに悔しさがあった時期もありましたが、今となってはそれが自分たちのカラーだと思えるようになりました。
EMTG:ベスト盤を出す時に曲順はひとつの考えどころだと思いますが、今回はなぜシングルを発売順に並べたのですか?シングル以外の楽曲も選んだ理由は何でしょうか?
常田:いろんなことを考えて、そこに意味を持たせるよりも単純にスキマスイッチの歴史を感じてもらいたいという気持ちが強く、それならばリリース順が一番いいかなと思いました。セレクトはシングルだけだと19曲でCD1枚に入らず、かといって2枚だと少ない、そしてシングル以外の部分にもスキマスイッチのやりたいことは詰まっていて、そこにも歴史が必ずあるということで、入れられるだけ入れようということになりました。
大橋:やはり歴史を感じてもらえる曲順にしたかったし、シングル以外の曲は自分たちで考える自分たちの代表曲、人気のある曲、そして歴史を語る上で、これは必要だという曲を選びました。
EMTG:このベスト盤はDISC1とDISC2の間をちょうどソロ活動の時期で区切られているところが美しいなと思います。そこにもスキマスイッチの歴史を感じながら今作を聴いてほしい、というような意思を感じますがいかがでしょう?
常田:ソロ活動で1枚目と2枚目がキレイに分かれたのは単なる偶然で、完全に奇跡でした(笑)。
大橋:DISCの区切り方はたまたまというのもあるのですが、やはり歴史、時期を感じながら聴いてほしいという想いはありました。
EMTG:その2008年のソロ活動はスキマスイッチの10年の中でもとても重要な時期だったと思いますが、あれから5年が経ち、あらためてあのソロ活動がその後の音楽活動に与えた影響について聞かせてください。
常田:あの当時スケジュールの過密化により、2人の間で完全にコミュニケーション不足が発生していて、意見や感想のすり合わせもできないまま前に進まざるをえず、気づけばスキマスイッチが走るスピードを自分たちで制御できなくなっていました。それを止めるのはもう転ばせてでも止めるしかない、ということでソロ活動に入ったのもありますね。でもそのおかげでスキマスイッチを俯瞰で見たり、改めの世間や業界の評価やスキマスイッチ像を感じることができて、さらにソロについてとことん話し合うことで2人の距離感も縮まったと思うので、間違いなくあの1年は大事ですね。
大橋:あそこでソロをやることに対して反対意見もあったとは思いますが、僕らにとってあのままスキマスイッチを続けていくと、どこかで終わってしまいそうで、一度スキマスイッチというのを俯瞰で見てみないといけない、そして自分個人のスキルをもっと磨かないといけないという思いがありました。
EMTG:このベスト盤を聴いても、ソロ活動を挟んで以降は明らかにスキマスイッチの表現が多彩になっていきます。これは意図的なものですか?自然な流れだったのでしょうか?
常田:両方あると思います。意図的に広げていった部分もあれば、外で得たものをスキマスイッチに還元することで自然と自分や相手を刺激して広がっていったものもあると思います。
大橋:ソロ活動以降は、作品に人間味が入ったモノが多いと思います。それは意識的にそういう方向に行こうと2人と話し合った結果です。
EMTG:ライナーノーツによると「ボクノート」でシンセサイザーを解禁、「ゴールデンタイムラバー」では打ち込みを解禁したと書かれていますが、たとえばデビュー当時はNGだったことが、活動の中で解禁されていったことは他にもありますか?
大橋:EG(エレキギター)もそうですね。はじめは使わずに違うアプローチができないかと考えている時期もありました。
常田:エレキギターは「さみしくとも明日を待つ」で解禁しました。最近では「アカツキの詩」のような弦と管のアレンジを少し封印し、「トラベラーズ・ハイ」で解禁しましたね。別にNGという強い意味ではなく、いきなり全部やってしまうと迷いが出てしまうのと、エレキギターなどは単純に弾けないのでアレンジができないから、というのと、少しずつ解禁していけばリスナーが退屈しないのでは、という考えからです。でも個人的にも楽しかったですし、予想よりもリスナーの皆さんにすごく楽しんでもらえたのでやってきてよかったと思います。何よりこうやって質問していただけることで完全に報われました(笑)。
EMTG:ここからは少し角度を変えた質問です。この10年のスキマスイッチに点数をつけるとしたら、100点満点中、何点ですか?
大橋:85点くらいですかね。確かに恵まれた10年間でした。でもまだまだいたらなくて悔しいこともたくさんあるので。
常田:75点。満足していないワケではないですが、もっとできた時やもっとできたこともいっぱいありますし、可能性も自分たちのことながら感じています。とはいえしっかり着実にやってきたという自負もあるにはあるのでこのくらいかな、と…。
EMTG:スキマスイッチはデビュー以来、作詞・作曲のクレジットを「スキマスイッチ」名義になっていますが、あらためてベスト盤に収録されている曲で、特に「これ自分が書いた!」と主張したくなるメロディやフレーズはありますか?
常田:これがですね、昔は思っていなくもなかったのですが、記憶があいまいになってきて、もうどうでもよくなってしまいました(笑)。どれも2人が合わさった一人格で作った作品だと言えると思います。
大橋:「藍」は、僕がベーシックを書いた曲の中でも本当に短時間でスッと出てきた曲なので、すごく気に入ってます。
EMTG:おふたりの関係について伺います。お互い「10年前とはここがこう変わったな」と思う部分はありますか?
大橋:シンタ君が歳を重ねたのもあると思いますが、丸くなったと思います。発言や考え方など。
常田:まるで違うのはお酒を覚えたことですね。昔は飲み歩くなんてことはなかったのですが、今はよくそういう話を聞きますし、実際にツアーなどでも飲んでますから。もちろんそれ故に失敗もあると思いますが、いろんなおもしろエピソードが増えると思うので楽しみにしてる部分もあります。ただ、飲みすぎには気を付けてくれぐれも体を大事にしてほしいなぁとひそかに思っています。
EMTG:この10年を振り返り、もう時効だから話せるエピソードはありますか?
大橋:意外とその辺は風通しのよい10年だったので、内緒にしていることがありません。
常田:インディーズ時代に作っていた自主制作CDの売り上げは基本的には次のCDの制作費にあてましたが、たまに自分の食費に消えていっていました……。
EMTG:ちなみに先日の「Sukimaswitch in Augusta Camp 2013」、素晴らしかったです。スキマスイッチがホスト役を務めてステージの出ずっぱりの中、次々とアーティストを呼び込む構成はap bank fesを彷彿とさせるものがありました。あのフェスをひとつの目標として想定していたのですか?
常田:もちろんモデルにはさせていただきましたが、それは今までに出演させていただいたどのイベントにも言えると思います。そういう意味でも今年のオーガスタキャンプはこの10年間の集大成と言えるとも思います。
大橋:ap bank fesのスタイルを見たとき、単純に楽しそうだなと思っていました。そしていつか僕らもやってみたいなぁと思っていました。実際にやってみると、またやりたいと思えるステージになったので、いつかまたやりたいです。
EMTG:それでは10月5日から始まるアリーナツアーへの意気込みなどを聞かせて下さい。
大橋:アリーナは6年ぶりですが、広い会場だからこそお客さんとの心の距離は近くなれたらいいなぁと思います。あと、アリーナでしかできないような視覚的にも楽しめる仕掛けをたくさん作りたいなぁと思ってます。
常田:ただ会場が広くなっただけではなく、アリーナでしかできないこと、そしてスキマスイッチがやるアリーナでのライブを考えてしっかり準備して臨みたいと思います。そして何より10周年をみんなで盛り上げてもらえたらとてもうれしいです。お待ちしています!
EMTG:ズバリ、さらに次の10年の構想はありますか?
大橋:ありません!今までの経験、得た知識を使いつつ、今まで通り等身大でスキマスイッチらしい活動を続けていった結果、20周年にたどり着けることが一番ステキだなぁと思っています。
常田:これまでの10年と同じことをして20年を迎えるのはイヤなので、これまでに培ったものをいかしながら、また違う10年を歩いていけたら、むしろ20年を意識せず、また1年1年着実に、そして確実にやっていけたらと思います。

【取材・文:秦理絵】

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■ライブ情報

Sukimaswitch 10th Anniversary Arena Tour2013 "POPMAN’S WORLD"
2013/10/05(土)福岡国際センター
2013/10/12(土)名古屋・日本ガイシホール
2013/10/28(月)大阪城ホール
2013/11/16(土)さいたまスーパーアリーナ
2013/11/17(日)さいたまスーパーアリーナ

※その他のライブ情報、詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

リリース情報

[スキマスイッチ]POPMAN’S WORLD~All Time Best 2003-2013~(初回生産限定盤A)

[スキマスイッチ]POPMAN’S WORLD~All Time Best 2003-2013~(初回生産限定盤A)

2013年08月21日

アリオラジャパン

■DISC-1
01.view
02.君の話
03.奏(かなで)
04.ふれて未来を
05.冬の口笛
06.全力少年
07.雨待ち風
08.キレイだ
09.飲みに来ないか
10.ボクノート
11.ガラナ
12.スフィアの羽根
13.アカツキの詩
14.藍
15.惑星タイマー
16.マリンスノウ
■DISC-2
01.虹のレシピ
02.雫
03.ゴールデンタイムラバー
04.8ミリメートル
05.アイスクリーム シンドローム
06.さいごのひ
07.晴ときどき曇
08.石コロDays
09.センチメンタル ホームタウン
10.ラストシーン
11.ユリーカ
12.スカーレット
13.トラベラーズ・ハイ
14.Hello Especially

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リリース情報

スキマスイッチ TOUR 2012-2013“DOUBLES ALL JAPAN”(初回生産限定盤)

スキマスイッチ TOUR 2012-2013“DOUBLES ALL JAPAN”(初回生産限定盤)

2013年09月11日

アリオラジャパン

[DISC 1]
1.OPENING LOOP
2.アイスクリーム シンドローム
3.全力少年
4.螺旋
5.ガラナ
6.センチメンタル ホームタウン
7.藍
8.病院にいく
9.ソングライアー
10.さみしくとも明日を待つ
11.雫
12.ボクノート

[DISC 2]
1.トラベラーズ・ハイ
2.奏(かなで)
3.ふれて未来を
4.ユリーカ
5.晴ときどき曇
6.ただそれだけの風景
7.view
8.ラストシーン
9.またね。

[DISC 3]
Bonus CD「スキマのはなし1」(MC集)
1.席替え
2.30年安泰
3.きわっきわ
4.女性はみんな…
5.東海市でしょ!
6.スタバ大橋スペシャル
7.くじけんぞ俺は
8.シンタ生誕祭
9.ちょいデブreprise1
10.ちょいデブreprise2
11.沖縄そば屋にて

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リリース情報

【DVD】スキマスイッチ TOUR 2012-2013“DOUBLES ALL JAPAN”THE MOVIE(初回生産限定盤)

【DVD】スキマスイッチ TOUR 2012-2013“DOUBLES ALL JAPAN”THE MOVIE(初回生産限定盤)

2013年10月02日

アリオラジャパン

[DISC 1]
OPENING
OPENING LOOP
アイスクリーム シンドローム
全力少年
螺旋
ガラナ
センチメンタル ホームタウン

病院にいく
ソングライアー
さみしくとも明日を待つ

ボクノート
トラベラーズ・ハイ
奏(かなで)
ふれて未来を
ユリーカ
晴ときどき曇
ただそれだけの風景
-ENCORE-
view
ラストシーン
またね。
Live at 渋谷公会堂(2013.3.27)

-BONUS MOVIE-
「Doubles All Japan Episode_50」
東京公演のバックステージに密着した特典映像

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