テレビドラマ「たべるダケ」OP曲「花色の美少女」をリリースしたSAKANAMONにインタビュー!

SAKANAMON | 2013.08.30

 昨年12月に1stフルアルバム『na』でメジャーデビュー。個性溢れる音楽性と、活きの良いライブパフォーマンスによってファンを着実に増やしているSAKANAMONが、2ndシングル『花色の美少女』をリリースする。タイトル曲「花色の美少女」は、アイドルが心の救いとなっている男性の気持ちを描いている。仄かに和的情緒が香るメロディ、随所に散りばめられたトリッキーなリズムの変化、起伏に富んだ構成など、独特な風味がたっぷり詰まった仕上がりだ。この曲の制作の背景は何であったのか? 藤森元生(Vo & G)に語ってもらったのだが、彼のソングライティングに対する姿勢もよく分かるインタビューとなった。

EMTG:「花色の美少女」は、テレビドラマの『たべるダケ』のオープニングテーマとして書き下ろしたんですか?
藤森:そうですね。お話を頂いてから書きました。“こういう曲にしてください”とかいう指定は全くなかったので、前から書こうと思っていたテーマで作った感じですね。普段からテーマを考えたりするんですけど、これもほんとに思いつきでした。
EMTG:アイドルに癒され、救われる男性の心情を描いている曲ですよね。こういう体験を実際にしてきたんですか?
藤森:ここまでではないです(笑)。この主人公ほど深入りはしていないので。でも、似たような気持ちは持っている感じですかね。かわいい娘を見るとテンションが上がるし。
EMTG:僕も同じです(笑)。
藤森:きっとみんなそうですよね(笑)。昔からそうかもしれないですけど、最近は特にアイドルブームですし。そういう文化が大衆に認められつつあるというか。バンドマンでもアイドル好きが多いですから。この曲に共感できる人は増えてきてるんじゃないですか?
EMTG:タイトルにもなっている“花色の美少女”って印象に残る表現ですけど、これに関してはどういうイメージから出てきたんですか?
藤森:モデルの女の子がいるんですよ。テーマになったアイドルがいて。その人のイメージカラーが青なんです。“花色”って薄い藍色のことなんですけど。“花色”っていう色彩があるんです。“はなだ色”とも言うらしいですけど。
EMTG:歌詞の最初の部分の《穢れの無い欲望のイメージ》とかもそうですけど、藤森さんって言語感覚が独特ですよね。単語の組み合わせ方がユニークです。
藤森:ありがとうございます。僕、日本語があまり得意じゃないんですけど(笑)。喋るのも下手だし、全然本も読んでない。でも、知らない言葉がいっぱいあるからこそ、枠に囚われない言葉が出てくるのかなと思っています。
EMTG:ビジュアルとかのイメージがあって、それを表現するために言葉を自由に組み合わせる感じですかね? パズルみたいな感じというか?
藤森:そうですね。モヤモヤとしたイメージはありますので。でも、テーマを決めずに曲とか歌詞を書き始めることも多いです。
EMTG:今回に関しては、比較的イメージが明確にあったってことですね。モチーフになった女の子がいたわけですから。
藤森:そうですね。
EMTG:その女の子って?
藤森:元ももいろクローバーの早見あかりさんです。
EMTG:なるほど! 全てがよく分かりました。イメージカラーが青でしたもんね。
藤森:青です(笑)。
EMTG:だから《でも週末には彼女が踊るんだ》なんですね。ももクロは“週末ヒロイン”だから。
藤森:そうです(笑)。
EMTG:早見さんが抜けてから、もう結構経ちますけど。
藤森:だから2番から歌詞上は脱退しているんですよ。
EMTG:なるほど。そう考えて歌詞を読み直すと《迷いの無い新たなるステージ》とか、すごくよく分かります。
藤森:“グループを辞めても、ずっと愛を捧げよう”という曲になっております(笑)。
EMTG:実際に藤森さんは、早見さんのファンなんですか?
藤森:はい、一応(笑)。
EMTG:ももクロにZがつく前のメンバーですからね。「行くぜっ!怪盗少女」の頃とか、既に応援していた?
藤森:そうです、だから今回のカップリングが「回答少年」なんですけど(笑)。
EMTG:えっ?
藤森:いや、だからってわけじゃないんですけど(笑)。
EMTG:(笑)アイドルってお好きなんですか?
藤森:好きですよ。アイドル好きの人と対等に話せるほどの知識はないんですけど。どっちかというと曲として聴くタイプなので。
EMTG:例えばヒャダインさんが作る曲に注目したり?
藤森:ヒャダインさんの曲、好きですね。面白いです。展開がすごく変わったりしますし。勉強になります。僕、面白い曲が好きです。
EMTG:“面白い曲”っていう観点で言うと、今のアイドルはすごいですからね。
藤森:いろんなのがありますよね。“逆に何も考えてないだろ?”っていうくらい奇抜なのとかありますから(笑)。そういうことをバンドもやればいいのにとか、思ったりもします。アニソンも面白いですし。
EMTG:そういうのが藤森さんのソングライティングにも影響を及ぼしている?
藤森:それはあると思います。
EMTG:SAKANAMONの曲って面白い味付けですからね。「花色の美少女」も、リズムでかなり遊んでるし。
藤森:そうなんです(笑)。この曲、やり過ぎてないか、心配もあったんですけど。
EMTG:変化球は利いてますけど、めちゃくちゃキャッチーですよ。
藤森:ありがとうございます。構成に関してはSAKANAMONのリード曲史上、一番複雑です。僕が曲を書く上で一番大切にしているのは、“1曲を通して飽きさせない”っていうことなんです。ちょっと聴いただけで“この先は分かる。もう大体分かった”みたいな感じは嫌なんですよ。“この後どうなるんだろう?”って期待させるような曲が僕は好きなので。“通して聴かないと、この曲の良さを聴き切れない”みたいなのが好きです。「花色の美少女」は、いい構成にできたと思います。
EMTG:アクロバティックなこともしつつキャッチーであるっていう曲ですよね。そういう点で言うと、SAKANAMONって、すごく現代的なバンドなんだと思いますよ。
藤森:ありがとうございます。結構いろいろ考えますから。ちょっと聴いただけで飽きないように、曲の重点を後の方に持ってきたりしますので。イントロよりもアウトロ派と言いますか、終わり良ければ全て良しと言いますか。“最初に掴んでなくても、最後に掴めれば、結果いい曲!”……みたいになりませんか?(笑)。
EMTG:そうかも(笑)。
藤森:最後が良ければ、いい曲なんですよ(笑)。
EMTG:「花色の美少女」も、いい曲です。ただし、リズムで遊んでいたり、構成が独特だから、カラオケで歌いやすい感じとかではないでしょうけど。
藤森:僕の曲って、全部歌い辛いんですよね。毎回思うんですけど。たまに動画サイトとかで歌ってる映像が上がってますけど、みんな辛そう(笑)。
EMTG:それって、特徴がすごくある音楽性だという一つの証拠ですよ。喜ばしいことでもあるじゃないですか。
藤森:そうですね。やっぱり僕は個性に飢えているというか。“自分らしさ”みたいなものを入れられるように頑張ってます。
EMTG:“個性に飢えている”って、いい表現ですね。
藤森:何ていうんでしょう? 特別な存在でいたいんですよ。人と一緒のことが嫌というか、常識が嫌いなんです。
EMTG:定食屋で頼むメニューが友だちと被るのを避けるタイプ?
藤森:そうですね。まあ、最近は食べたいものを食べますけど(笑)。あと、こっちに合わせてくるやつは苦手です。“お前給食係になるの? じゃあ、俺も給食係になろう!”っていうやつが嫌だから“給食係になる!”と言っておいて清掃係になる……みたいなタイプです(笑)。まあ、ひねくれもんなんですね。
EMTG:もし、他のバンドがSAKANAMONのソングライティングを真似し始めたら?
藤森:……嫌だなあ。そっちの方が売れちゃったりしたら、自分の存在意義を疑っちゃう(笑)。まあ、そうやって真似されるくらい大きくなったらいいんですけどねえ。
EMTG:SAKANAMONの魅力や特徴って、自己分析すると何だと思います?
藤森:何でしょう? 曲がいいから? でも、他の人も曲がいいですから……“窓際感”ですかね? 目線が斜め下から来てる感じ? いろんな意味でですけど。歌詞も、曲も、バンドとしても。SAKANAMONは斜め下のバンドだと思います。
EMTG:“斜め下のバンド”(笑)。やっぱ、藤森さんの言語感覚って普通じゃないです。
藤森:そうですか? まあ、ひねくれバンドです(笑)。
EMTG:今後、どんな風に進んで行きたいですか?
藤森:毎回楽しみにできるようなバンドでありたいです。そのためにもずっといい曲を書いていきたいですね。“終わったな”と思われないことが一番。それだけが怖いです。
EMTG:最近の曲作りの状況は?
藤森:丁度今、未来に向けて頑張っている感じです。
EMTG:いい未来になりそう?
藤森:いい気がします。個人的にはすげえ好きな曲がいっぱいあるんですけど、ということは……受けが悪いのかもと思いつつ(笑)。まあ、まずは「花色の美少女」にどういう反応を頂けるのかが楽しみです。

【取材・文:田中 大】

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リリース情報

花色の美少女(通常盤)

花色の美少女(通常盤)

2013年08月28日

ビクターエンタテインメント

[CD]
1. 花色の美少女
2. 崩壊パッケージ 
3. 回答少年
4. マジックアワー(2013.7.11 閃光のジャスティスロードツアー@LIQUIDROOM)

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■ライブ情報

SAKANAMON”花色の美男美女ツアー”
2013/10/22(火)京都 磔磔  Guest:The SALOVERS
2013/10/23(水)名古屋APOLLO THEATER Guest:The SALOVERS
2013/10/29(火)仙台HOOK Guest:tricot
2013/10/31(木)札幌COLONY Guest:tricot
2013/11/29(金)広島ナミキジャンクション Guest:後日発表
2013/12/01(日)福岡Queblick Guest:後日発表
2013/12/03(火)新宿LOFT Guest:GOING UNDER GROUND

※その他のライブ情報、詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

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