L-VOKALの最新アルバムをKREVAがトータルプロデュース!

L-VOKAL | 2013.09.09

 00年代初頭から精力的な活動を展開し、コンスタントに作品をリリースしてきたL-VOKAL。最新アルバム『別人Lボーカル』は、彼のスキルとセンスが最大限に注ぎこまれた1枚だ。プロデュースを手掛けたのはKREVA。これまでも互いの作品でコラボレーションを行ったり、KREVA主催の音楽フェス『908 FESTIVAL』にL-VOKALが出演するなど、刺激を交わし合ってきた両者の持ち味が絶妙に融合している。ウィットを利かせた鋭い切り口でラップするL-VOKAL、最高に気持ちいいビートを惜しげもなく連発するKREVA……贅沢な楽しさとスリルが満載の本作を、ぜひ幅広い音楽ファンに味わって欲しい。制作に関するエピソードをL-VOKALに語ってもらった。

EMTG:どういうアルバムにしたいとイメージしていました?
L-VOKAL:俺の仕事というか役割はリリックとラップだけなので、そこは結構磨き上げたっていう感じですかね。
EMTG:KREVAさんにプロデュースして頂くことになった経緯って?
L-VOKAL:前のアルバムを出した後、去年の頭くらいに「次に何やろうかな?」って考えた時に、「誰か1人にトータルプロデュースしてもらいたいな」と思ったんです。でも、ちょっと意表を衝いた人にお願いしたかったんですよ。そこで浮かんだのがKREVAくんでした。それで、俺からオファーしてOKしてもらったんです。
EMTG:KREVAさんが男性アーティストのアルバムを丸々1枚トータルプロデュースするのって初めてじゃないですか? SONOMIさんのプロデュースとかはありましたけど。
L-VOKAL:多分、男は今までないと思います。でも、プロデュースしてもらうことが決まってから作るまでが長かったから、ちょっと焦ったりもしたんですけど。「他の人をプロデュースしたアルバムとか、先に出ないだろうな?」と思って(笑)。
EMTG:(笑)方向性とか、何か話し合いました?
L-VOKAL:ハイファイでドーン!っていう感じじゃないものは、最初から狙ってました。今のヒップホップとはまた別の流れの感じというか。例えばジャジーな面もあったり、ゆっくりで滑らかなものだったり。そこはお互いにテーマとして思ってたところですね。
EMTG:10曲が収録されていますけど、リリックが面白いですね。
L-VOKAL:俺のこだわりなんですけど、ラップは面白くなかったら俺の中で評価されないんです。ラップって多分バトルから始まってるんだけど、「如何にオーディエンスを笑わせるのか?」とか、「如何に面白いジョークを言って、スキルを争うのか?」が大事。それがラップ。それが政治的なものであっても、ラブソングであっても、やっぱり面白くないと俺の中で成立しないんです。だからその点に関してはいつも気を遣ってるかな。真面目な曲でも笑いがなかったら「ラップじゃないっすね」っていう感じなんですよ。
EMTG:例えば「SKILLZ」の《だいたいのMC見た目がSAME(笑)》って、聴いた時、大笑いしました。
L-VOKAL:そうっすね(笑)。笑ってくれれば一番嬉しいかな。
EMTG:「YO! YOU!」の《ちょっと みんな パツパツ じゃね? マジ それギャルのジーンズだけでよくね? moussy》もシャレが利いています(笑)。
L-VOKAL:それは俺のお気に入りラインの第1位ですね(笑)。
EMTG:結構きつめのことを言ったりもしているんですけど、粋な表現になっていますよ。
L-VOKAL:毒を吐いたり、何か言うにしても、極力ソフトに面白くしたい。《見た目がSAME》とか、ストレートに言うとほんとにハードになっちゃうから。《だいたいのCD来月SALE》とかもそうですけど、例えば英語にすることで面白くなったりするのかなと。
EMTG:英語のラップのスキルもありつつ、日本語の表現を多用しているバランスも独特さを感じるんですけど、その点に関してはどう思っていますか?
L-VOKAL:そこは結構ナチュラルにやっている感じっすね。日本でやるからには日本語だと思ってこだわっていた時もあるし、未だにこだわっているのかもしれないけど、最近はナチュラルにいこうと思っています。だから英語が出ちゃう時は出しちゃっていいやと思ってて。それが俺の日常の会話だから。友だちと話す時は8割が英語で2割が日本語。それがそのまま出ているんじゃないですかね。
EMTG:英語の方がトラックに乗せやすい部分もあるじゃないですか。それでも英語が主体にならないのは何故なんですかね?
L-VOKAL:自分の仲間とかに向けて歌っているところもあるからだと思います。例えばNYでレゲトンをヒスパニックでやっているのと同じ感覚じゃないですかね。彼らも「アメリカでやってるから英語で」っていう感覚じゃなくて、ヒスパニックのコミュニティを代表してやっているだけだから。俺もその感覚。バイリンガルのコミュニティの中でやっているから、まずはそこに届かないと意味がないし。そこを考えているんですかね。そういうものがいろんなコミュニティ全体の中でも「カッコイイ」になっていけばいいのかなと。
EMTG:描いている内容に関しては、ラップと共に人生を歩んでいるご自身が反映されている曲が結構ありますよね。「SKILLZ」とか「Same Ol’ Biz」とか。
L-VOKAL:やっぱ、死ぬまでラップをやりたいですからね。みんなそういうところを試行錯誤しているのが、ヒップホップの面白さじゃないですか? なかなかマイク1本で食べていけてる人は少ないと思うんです。何か仕事をしながらやっているやつが多いし。昼は肉体労働をして、家に帰ってから子供たちと『アンパンマン』観て、家族が寝てからイヤホンをして歌詞を書いて、それを月1の自分のイベントでやってるやつがいるんですけど、そういうのもラップだし、カッコイイと思うんですよ。「食っていけるor食っていけない」よりも、「どういうスタンスでやってるか?」の方が重要だと思っています。それがヒップホップの醍醐味じゃないですかね。
EMTG:「TOKYO MARATHON」はL-VOKALさんの東京観が出ていて、興味深かったです。
L-VOKAL:これは唯一と言っていいくらい、KREVAくんに「こういうのを書いて欲しい」って言われたんです。俺がいろんな曲で「東京」って言っている部分をピックアップしてくれて、最初の部分でスクラッチしてくれてるので、「東京の曲を書いて欲しい」と。まず、そのスクラッチの部分が、すげえ熱いと思いました。
EMTG:この曲の印象からすると、東京に対しては愛憎が入り混じった複雑な感情があるみたいですね。
L-VOKAL:俺は脱東京を考えていて。生まれも育ちも東京なんですけど。東京って、何となくスカスカな感じがするんです。真木蔵人さんが言っていたんですけど……六本木ヒルズの下って全部空洞なんですよ。地下鉄が通ってて、何本もパイプラインが通っているから。「そんなところの50階とかに住んだら、絶対に地に足が着いてない。空気の上に立っているようなもんだよ。だから平屋に住んでて地に足が着いてる俺の方が絶対強い」と(笑)。俺、その言葉にめちゃくちゃ飛ばされちゃって。東京って地価とかが高いですけど、「本当に価値があるのかな?」っていうのは、俺も思っています。東京がこうなってきているから、外に目を向けてみるのも手なのかなと。
EMTG:《ビルの色は超バラバラ》とか、ラップしていますけど、ほんとそうだよなと。
L-VOKAL:俺が名付けたんですけど、東京って「ひっくり返されたパフェ」。
EMTG:なるほど(笑)。
L-VOKAL:グチャグチャだけど、すげえかわいいチェリーがあったり、美味しい部分があったりもする。それが東京なのかなと。計画性がなく作られたその中でみんなは走ってるし、俺も走ってる。「TOKYO MARATHON」は、そういう曲なんですよね。
EMTG:今回1枚でかなり言いたいことをラップできたんじゃないですか?
L-VOKAL:そうですね。1枚としてまとまったかなと。
EMTG:CDジャケット、すごいインパクトですよね。これ、KREVAさんの『新人クレバ』のパロディじゃないですか(笑)。
L-VOKAL:『新人クレバ』に敬意を表して、何かしらの形でオマージュしたいっていうアイディアがあって、いろいろ考えてたんですけど、KREVAくんが「これ、ポラロイドでやったらいいじゃん?」って言ってくれて。それで、こうなったんです。めちゃめちゃこれはオシャレだと思う(笑)。面白い+オシャレ。
EMTG:このアルバムを出した後は、何か考えていることはあるんですか?
L-VOKAL:そうですね。次にやりたいことはあるので、それは進めています。でも、まあそれは置いておいて(笑)、今回の『別人Lボーカル』を聴いて欲しい。まずはそこですね。すげえ統一感があるし、全体的にオシャレな感じになってるし、ヒップホップのシーンでの「別アルバム」っていう感じになってると思う。とりあえず今は、これをみんなに聴いて欲しいっていう感じですね。

【取材・文:田中 大】

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ビデオコメント

リリース情報

L-VOCAL『別人Lボーカル』

L-VOCAL『別人Lボーカル』

2013年09月11日

くLabel/タワーレコード

1. SKILLZ
2. いいね!
3. YO! YOU!
4. 次の時代
5. Same O’l Biz
6. CHILLING
7. Fever
8. Goodbye
9. Europe
10. TOKYO MARATHON

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