ゆず、史上最短でニューアルバム!懐かしくて新しい『新世界』インタビュー

ゆず | 2014.02.12

 ゆずが怒涛の勢いでリリース&ライブを展開している。昨年5月にリリースしたアルバム『LAND』以降、そのアルバムを引っさげた全国ツアーの記憶はいまだ新しく、年末にはニューシングル『表裏一体』をリリースしたばかり。そんな中、ゆず史上最短のスピードでニューアルバム『新世界』が届いた。タイトルどおり、まさにゆずの“新世界”の幕開けとも言える1枚。懐かしさと新しさが混ざり合って織りなす最新のゆずワールドについて1曲ずつ掘り下げて訊いた。

EMTG:アルバムタイトルに込められた意味はなんでしょうか?
北川:懐かしく、すごくレトロでありながらも新しいもの。今回、僕たちが目指すところを総称したものが「新世界」です。僕らがもともと持っていたものを“フォーク・エンタテインメント”って言っていたんですけど、それよりもさらに進んだ“ネオフォーク・エンタテインメント”でやっていこうという感じが「新世界」という言葉で表現できるなと思いました。現在とまったくかけ離れた未来というよりは、過去と現在と未来がしっかりつながっていて、懐かしいものをもう一度見直しながら新しいものに進んで行く。そういう地に足が着いた『新世界』を描きたいなと思ったんですよね。
岩沢厚治:『LAND』がすごく壮大なテーマでコンセプトを固めた作品だったので、この次はどうなるんだろう? っていう気持ちはありました。この先にどんな世界があるのかなという、ぼんやりとした部分が自分の中にあったんですけど、『新世界』という言葉によって「そうですよね、“新世界”ですよね」という感じで、今やっていることとやろうとしていることがドンピシャでハマった気がしました。
EMTG:では“懐か新しい”というテーマについて、これから楽曲を紐解いていくなかでより深くお話を伺えればと思います。まず先行シングルでもある1曲目の「ヒカレ」は、ストレートな想いが詰まった楽曲ですが、この曲で大事にしたことはなんでしょうか?
北川:この曲で大事にしたこと…今更ながらの“等身大”でしょうか。自分が37歳になったときに、もう一度“等身大とはなにか”と自分自身に問いかけて。「新世界へ進むんだ」と踏み出していく中で、葛藤している自分、もがいている自分がたくさんいたんですよ。そういう自分をさらけ出したいという思いは少しあって。自分を導いてくれる、今はまだ光らない、悩んでる自分を前に進ませてくれるような“願い”を込めて作りました。
岩沢:この曲については“王道感”と言いますか。ゆずの得意な分野をより濃く出せればと思いながら作りました。ものすごく難しい曲ということではないので、堂々とゆずらしく出しきることができればいいなと思っていました。
EMTG:王道感とハッキリ言える強さがゆずにはありますよね。続いて「雨のち晴レルヤ」。“懐か新しい”を象徴する楽曲であり、アルバムの柱にもなっていますね。
北川:アルバムの中で一番大きな柱になったんじゃないかと思います。アルバムの柱になる曲って、いつもわりとアルバム発売に近い、遅めのリリースになったりするんですが、今回は先陣を切ったという感じで、じわじわと浸透していった感じですね。
EMTG:さまざまな要素を兼ね備えている “複雑な曲”というか…。
岩沢:複雑というのは少し違う気がしますね。何色でもない曲。曲調も、マイナーでもなければメジャーでもない。リズムも、三拍子も四拍子も出てくる。懐かしくもあれば新しくもある。そういうどちらでもなく…不思議な曲ですよね。今までのゆずの引き出しにあるものも入ってますし、ないものもあります。なんにせよ、複雑に聴こうとせず、すんなりと聴いていただいたほうがスッと入ってくると思います。
北川:アルバムコンセプトである“懐か新しい”というものが、初めて形になったのがこの曲ですね。
EMTG:ドラマの挿入歌にもなっている「よろこびのうた」はアコースティックギターと弦楽四重奏の演奏がとても印象的です。
岩沢:デモを作る段階でなんとなく思いついたものが、ビートルズの「イエスタデイ」みたいに弾いたらどうなるんだろう?」ということでした。そこから、さらに「弦楽四重奏を入れたらどうなるんだろう?」と思って、蔦谷好位置くんにお願いしたんです。そして、元々あったマイナー調っぽい曲がパッと開けたんですね。
EMTG:シンプルな編成がほかの曲と並べたときに際立っていて感動的です。リズムをいれるという考えはなかったんですか?
岩沢:なかったですね。弦で押し切ろうと。もちろん、やりようはいくらでもあったと思うんです。最後に転調してドラマチックにしたりとか…。でも、それをしないほうがこの曲が良い意味で浮くなと。ある種の狙いを目指して作りましたね。
北川:ちょうどこの曲の製作時期にポール・マッカトニーのライブを観に行ったんですが、そのライブを観て得たたくさんのヒントが、この曲には散りばめられていると思います。今回のアルバムは本当にさまざまな曲があって。その中で「よろこびのうた」はシンプルなものを…でもただシンプルにするんじゃなく、一つ一つのパーツをしっかり突き詰めていって、また個性的なものが作れればいいなとトライしました。
EMTG:4曲目は「ユートピア」。これはすごい曲ですね。「雨のち晴レルヤ」の血筋ではないですけど、まさに“懐か新しい”。パッと聴いた感じでは“和”なんですけど、かなり激しいビートが鳴ってるなと思いました。
北川:これは最初に原型をワンコーラスくらい作ったときから、ヒャダインこと前山田健一くんとやろうと決めていました。自分の中で“ネオフォーク・エンターテインメント”というのを勝手に考えていて。これは現代における“ネオお囃子”だと思ったんです。前山田くんといくつか案を出しあいながら詰めていった感じですね。言葉の置き方や使い方も懐かしい言葉を使いつつ、この時代でも響く置き方を考えましたね。
EMTG:そして「素顔のままで」。これをアルバム曲として収めてしまう、ゆずの度量の広さを感じます。曲の構成が秀逸です。
北川:なにか…前向きではありつつも、虚しさや悲しさ、儚い感じをラブソングでできないかなと思いまして。それが初めてできた感じはしています。あと個人的なことなんですけど、人生で書いたBメロの中で、この曲の2番のBメロが最高の出来ですね(笑)。サビとかではいっぱいあるんだけど、このBメロは17年やってきた中でもすごい気に入ってますね。
EMTG:レコーディングはいかがでしたか?
岩沢:北川の中にこの曲が完全に入り込んでいまして。レコーディングでは彼の思う歌い方を目指しました。「違う、そこは違う!」と鬼軍曹のように言われながら(笑)。そのニュアンスを出すのが非常に難しい曲でしたね。それくらいこだわりがあったんですね。
EMTG:続いて「幸せの定義」。これは“ゆずリミックス”のような、誰かが客観的にゆずの曲をリミックスしたらこうなるんだろうなという印象です。
岩沢:弾き語りの状態で完成しているといえば完成していたんですけど、さらになんか面白いことはできないかなという気持ちで、電球くんという知り合いのトラックメーカーに話してみたら、いい球が返ってきたんです。「この曲で遊んでいいよ」と投げかけたら、彼も楽しんでアレンジしてくれました。まさにゆずリミックスですね。
EMTG:そのやり方もアルバムのテーマに沿っていますね。
北川:そうですね。楽器で鳴らす音ももちろんあるんですけど、今はそれを鍵盤の中にサンプリングして楽器のように扱うやり方がたくさんあって。今の要素をベーシックなものに取り込めた、まさに「新世界してるな」と思いますね。
EMTG:そして「Ultra Lover Soul」。曲名から非常にキャッチーな、昭和歌謡テイストですね。
北川:この曲については、実は元ネタがあって。昔、寺岡呼人さんのスタジオで作業をしていたとき、音源をいっぱい作ってたんですよ。そこで作っていた曲がこの曲の原型になっていて。『新世界』の制作も中盤に差しかかったときに「なんかもうひとつ面白いことやりたいな」と思って、過去の曲からなんかないかなと思って見つけたんです。呼人さんは既に別の形でこの曲の原型を世に出しているんですけど、これはこのアルバムにどうしても合うと思って、呼人さんに話してOKをもらいました。
EMTG:曲の中に色々なテイストが詰まっていて、サザンとB’zとユニコーンがくっついたらこうなるだろうと。歌謡ポップスの歴史が集約されている気がします。
北川:ただ歌謡的な曲を洋風にはしていないですよね。この曲のアレンジをWiennersという、アグレッシブなロックバンドのボーカル・玉屋2060%くんお願いしたんです。かなりミスマッチな要素がこの曲の中には詰まっているんですが、それがすごく絶妙な感じにまとまってるなと。
EMTG:「レトロフューチャー」は、ロックやダンスの尖った要素がいっぱいありますが、それを聴きやすくしていて。実は、今のポップスの定番はここにあるんじゃないかなと思いました。そしてゆずはそこからさらに一歩先に行っている気がします。
北川:まさにそうで。ただむちゃくちゃにやるっていうのは、実はすごく簡単で。それをどこまでポップス化できるかというのが自分の中で大きなテーマなんです。通常のシングル曲だと、よりポップなテーマを追求することが多いんですけど、アルバムの中盤の曲って、やはりそれだけじゃない、なにかひとつ踏み込んだトライをしたいなと思っていて。特に今回ハマったと思ったのは声のエフェクトです。「ユートピア」や、「雨のち晴レルヤ」の中でも実は使ってたりするんですが、この曲が一番、いろんな機材を使いながら可能性を模索していきました。
EMTG:エフェクトをかけた2人のかけ合いは絶妙かつ新鮮でした。
北川:声を加工することは今まで踏み込んでこなかった領域なので「ゆずがそんなことやるんだ」と賛否両論あると思うんです。それをやってしまうとゆずが壊れてしまうんじゃないかという危惧も過去にはあって。でも、今はやっても良いものができるんじゃないかなという思いがありました。エフェクトをかけることで、新しい感じと、なぜか懐かしい感じもする部分もあったりして面白いです。
岩沢:タイトル通りですね。『新世界』にも通ずると思うんですけど。サウンド的な面では大挑戦しているんだけれども、ちゃんとゆずの曲になっているという印象です。
EMTG:このアルバムを通じて、もはやなにをしてもゆずになるという確固たる自信が垣間見られました。これはもう揺るがない?
北川:やはりベーシックな作業はずっと変わらないので。可能性はずっと増えてるんですが、根本的な作業はSAKURA STUDIOで種を作って広げていくことから始まっているので、そこなんじゃないかな。例えば先にサウンドを作り上げちゃって、あとからゆずをのせてくってなると少し難しいのかもしれないけど、まず弾き語りで、どこまでその曲のニュアンスを出せるかをやるんです。そこから展開させていくので、あまりブレないんじゃないかなと思います。
EMTG:そして「所沢」ですが、これは路上時代の楽曲だそうで。曲名からほかの楽曲と比べ異彩を放っています。
岩沢:まず、曲名は無意味です(笑)。路上時代のゆず楽曲にはよくあるんですが、「タイトルはどうでもいいや」と思いながらつけていました。よく「なにか意味があるんですか?」と深読みしていただいているファンの方もいるんですが、改めて言っておきます。全くないです(笑)。
EMTG:この曲はどのような経緯で収録に至ったんですか?
岩沢:この曲を今のタイミングで音源化しようと思ったのも、やはりアルバムコンセプトからですね。『新世界』ってなんだろうなという考えたときに、そういえばまだレコーディングしてない曲もあったよねと。それを今やれば『新世界』になるんじゃないかということになりました。当時のものを聴いて、青臭い自分たちと今のゆずとのセッションみたいなものが、今なら出来るんじゃないかなと思いました。
EMTG:この曲を聴いたのは久しぶりですよね?いかがでしたか?
北川:当時の音源を改めて聴いたら、演奏とかヒドいんですよ。だけど、すごいんですよ。「ハモ」って言っていいのかというコーラスワークだったりするんですけど、こんなのほかの人は絶対やらないなと。当時の自分たち、天才なんじゃないかと思うくらい(笑)。レコーディング時には、当時のことを今そのままやっても意味がないと思いました。なので、当時の良い部分は出しつつ、今できるやり方も混ぜるブレンド感を考えました。
EMTG:発想がまさにレトロフューチャーで、『新世界』ならではですね。
北川:「表裏一体」のカップリング曲「値札」とも共通しているんですが、昔自分たちがやっていたものをもう一度、ホコリ被っていたものを蘇らせて今のものとしてやれるのが、このアルバムじゃないかと思っていて。「Ultra Lover Soul」もそうですけど、この「所沢」も、それを代表する1曲だと思います。

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リリース情報

新世界【初回限定盤】(CD+付録CD)

新世界【初回限定盤】(CD+付録CD)

2014年02月19日

セーニャ・アンド・カンパニー

1. ヒカレ
2. 雨のち晴レルヤ
3. よろこびのうた
4. ユートピア
5. 表裏一体
6. 素顔のままで
7. 幸せの定義
8. Ultra Lover Soul
9. レトロフューチャー
10. Interlude ~Old New World~
11. ひだまり
12. 所沢
13. 守ってあげたい
14. 四間道路
15. 友~旅立ちの時~
[初回限定盤付録CD]
1. おっちゃんの唄
2. 夜霧の伊勢佐木町

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ヒカレ

ヒカレ

2014年02月12日

セーニャ・アンド・カンパニー

1. ヒカレ
2. 月の涙

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お知らせ

■ライブ情報

LAWSON presents
YUZU ARENA TOUR 2014 新世界
supported by 日本生命 ヨコハマタイヤ

2014/05/31(土)【北海道】真駒内セキスイハイムアイスアリーナ
2014/06/08(日)【徳島】アスティとくしま
2014/06/14(土)【福岡】マリンメッセ福岡
2014/06/15(日)【福岡】マリンメッセ福岡
2014/06/21(土)【静岡】静岡エコパアリーナ
2014/06/24(火)【愛知】日本ガイシホール
2014/06/25(水)【愛知】日本ガイシホール
2014/07/01(火)【大阪】大阪城ホール
2014/07/02(水)【大阪】大阪城ホール
2014/07/06(日)【広島】広島グリーンアリーナ
2014/07/12(土)【埼玉】さいたまスーパーアリーナ
2014/07/13(日)【埼玉】さいたまスーパーアリーナ
2014/07/18(金)【神奈川】横浜アリーナ
2014/07/20(日)【神奈川】横浜アリーナ
2014/07/29(火)【大阪】大阪城ホール
2014/07/30(水)【大阪】大阪城ホール
2014/08/02(土)【福井】サンドーム福井
2014/08/17(日)【新潟】朱鷺メッセ・新潟コンベンションセンター
2014/08/23(土)【宮城】宮城・セキスイハイム スーパーアリーナ
2014/08/26(火)【東京】国立代々木競技場 第一体育館
2014/08/27(水)【東京】国立代々木競技場 第一体育館

※その他のライブ情報、詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

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