MISIA、新しい朝を迎える傑作ニューアルバム!次の15年も歌い続ける決意

MISIA | 2014.04.02

 1年にわたった15周年のアニバーサリー・イヤーは、ラストのストリングスを従えたツアーまで彼女のライヴの魅力を徹底的に全国に知らしめた。同時に、このライヴ三昧の1年で、MISIAはまたしても進化を遂げた。ツアーと並行してレコーディングされたニューアルバム『NEW MORNING』には、その進化が随所に表われている。とてもハッピーなダンスナンバー「HOPE&DREAMS」から始まって、多くの傑作バラードを経て、ラストのアフリカン・グルーヴ「Re-Brain」まで、意図のはっきりした楽曲作りとパフォーマンスが楽しめる。J-POPの枠を飛び出して、MISIAにしか生み出せない音楽の実現に、彼女はまた一歩近づいた。

EMTG:すごい1年だったね。ライヴと同時進行でアルバムを作ってた。
MISIA:そうです。もう、ずぅーっと歌ってました。
EMTG:辛かった?
MISIA:辛くなかったですよ。ライヴをやったりレコーディングをやったりだったから、スタッフの方が大変だったと思います(笑)。私もスタジオで、もう全部出来てるのに、「もう1回……?」って言って歌い直させていただいたり。でも、やったらやったで、やっぱり良くなるんですよね。
EMTG:あはは、このインタビューのぎりぎりまで新曲のレコーディングをやってるし。
MISIA:すいません、ぎりぎりで新曲を聴いてもらって(笑)。
EMTG:でも、いい曲ばっかりだから許します(笑)。ようやく3年ぶりのオリジナル・アルバムが完成したね。
MISIA:はい。でも自分としては去年ベスト・アルバムでニューソングも入れていたので、15周年の中で作った16周年へのアルバムっていう感じです。ツアーでデビュー当時の楽曲を歌うことが多くて、結局それって15年間歌ってきてるっていうことなので、“次の15年間も歌える曲を”っていうコンセプトで16周年に向けて作ったアルバムです。
EMTG:楽しかったのは、「Miss you always」だった。珍しくストレートなラブソングだ。
MISIA:はい。このところ、私は“大きな愛”をずっと歌ってきたので、今回は“小さな愛”を歌おうと思ってました。
EMTG:平和や生物多様性のテーマも大事だけど…。
MISIA:そういうものも、結局、恋とか日常の愛とかの1対1から始まるんじゃないかって思ったんです。
EMTG:「Miss you always」には、《最終電車に 私 乗り遅れてもいい》って、最近のMISIAの楽曲にはなかったフレーズが出てくるでしょ。
MISIA:プロデューサーから「MISIAはもうタクシーに乗れちゃうから、最終電車に乗り遅れちゃったって言えないよね」って言われて、「そうなんですよー。そうなんですけどねー」って(笑)。
EMTG:そこを突っ込まれたんだ(笑)。今、話してた「小っちゃいラブソング」っていうと、やっぱりこれがいちばん小っちゃいのかな。
MISIA:そうですね。16年目の「キスして 抱きしめて」ですから(笑)。
EMTG:あははは! そういうことなんだ!(笑)。
(一同笑い)
EMTG:ファーストアルバムに入ってる、初めて作詞作曲したあの曲の、あの雰囲気を思い出してたんだね。
MISIA: そうです。自分の中では小さいラブソングだと思って書きました。仮メロをいただいたとき、すでに《I love you》って入ってたんですよ。「あ、いいな」と思って「使っていいですか?」って言ったら「いいですよー」って言ってくださったので、そのままそこに入れました。「I love you」って、私の感覚だと「好き」って言えないときに使う言葉って感じなんですよね。「好きよー」って歌うのと「I love you」って歌うのって、全然恥ずかしさが違うじゃないですか。日本人として言えなくて言いたい「I love you」っていうものは絶対にあるから、そういうものを伝えたいなって。だから途中で妄想シーンが出てきて、「あなたの名前と私の名前を繋げてつぶやいてみる」って歌ったりしてます。「この人と結婚したら、自分はどういう名前になるのかな」って、女の子なら一度は考えてみる瞬間があると思うんですけど。「あ、この 響き悪くないな」とか(笑)。 そういう気持ちを歌いたくて。
EMTG:あははは! そういう妄想も入れてみようと。
MISIA:はい(笑)。私はバスとか電車とかすごく好きで。狭いところで必然的に距離感を限定される空間ってあんまりないですよね。でも個人で生きられる時代の中でも、バスや電車は変わらずに他人と無理やり接触させられる場所だったりする。いまだにリリックを書くときは、やっぱりバスや電車に乗りたくなるんですよね。特に1対1の歌を書くときは。
EMTG:そういう意味では、原点に返るという部分もあったのかな?
MISIA:それもありますけど、新しい出会いもあって。今回、初めて曲をいただいた作家さんの中には、10代の頃から私の歌を聴いていた方が多くて、「こんな曲はどうですか?」って提案してくれたのも新鮮でした。
EMTG:「Miss you always」とは反対に、「蒼い月影」はすごく大人っぽく感じた。「砕け散ったガラスが、美しい思い出に見えてしまう」っていうリリックはすごくいい。
MISIA:MISIAってあんまり破壊的な言葉を使わないっていうイメージがあるような気がするんですけど、そういうのを全部気にしないで一回書いてみようって思って書きました。私の中にはそういう破壊的な言葉が確かにある。割れたガラスを見て「きれいだな」ってよく思ってたんです。“壊れたもの”って、作れないじゃないですか。壊れるっていうのは、ある意味、自然が作る美しさと似ている。壊れたガラスはきれいだけど、触ると傷付く。壊れる前は、触っても傷付かなかったのに。それが愛情とリンクするものがあって、そこから書いてみました。“月影”っていう日本語も、“影”って使ってるけど光のことじゃないですか。影の言葉を使って、光を言う。だから壊れたガラスっていう一種のマイナスのものから、プラスを出そうと。大人になればなるほど、壊れることを怖がるような気もするんですね。壊れた経験をいっぱいしてきているから、「壊れないように壊れないように」って生きちゃうんだけど、でもそういう怖がりな気持ちが、ときどき邪魔になる。
EMTG:そうだね。MISIAは確実に大人になっている。そして、小さな恋や壊れたものも正面から描くようになった。
MISIA:例えば旅に出る意味って、遠くに行って、今まで自分が見たことがあるものよりもずっと大きいものを見たりすることによって、今自分がいる場所を知ることができるって言う人がいる。でも、ものを大きく見ようと思うと、どこの場所から見ても大きなものはあんまり変わらない。って言ったら変なんですけど(苦笑)。 だからいろんな場所で、大きなものじゃなくて小さなものを見て、その大きいものの存在を「これはどういうものなんだ」って知ることが大事なような気がしています。1対1とか、どれだけ小さいリアルなものを感じられるか。今、自分で体感できるものって、大事になってくる気がしてて。今回のアルバムでオーガニックな音を作りたいって思ったのも、そういう意味では時代の中でそう感じたのかもしれないです。
EMTG:そしてMISIAのファンは、ライヴでも音楽に敏感に反応するよね。そういう人たちは、きっと今、オーガニックな音を求めているんだと思う。
MISIA:ああ、それは感じますね。CDを聴いていて、「これは誰がベース、誰がドラムで、誰がギターで」ってわかる人が多いです。音を楽しみたい人がすごく多いなと思います。だから、音にこだわればすごく喜んでくれる。ま、違う言い方をすると厳しい人たちです(笑)。 でも、それは相乗効果で、こちらも全力でいい音楽を作りたくなりますよ。
EMTG:いい関係だね。ありがとうございました。

【取材・文:平山雄一】

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リリース情報

NEW MORNING [初回生産限定盤]CD+DVD

NEW MORNING [初回生産限定盤]CD+DVD

2014年04月02日

アリオラ

[CD]
1. HOPE & DREAMS
2. 僕はペガサス 君はポラリス
3. 蒼い月影
4. アイヲシルセカイ
5. Miss you always
6. 魔法をかけたのは君
7. Daisy
8. Jewelry
9. Especially for me
10. 幸せをフォーエバー
11. One day, One life
12. 君の太陽になろう
13. My pride of love
14. Re-Brain

Bonus Track (※初回生産限定盤のみ収録)
from 星空のライヴVII -15th Celebration- Hoshizora Symphony Orchestra @ Nippon Budokan
15. DEEPNESS
16. Back In Love Again

[初回特典DVD]
“NEW SPECIAL MORNING"
1. 僕はペガサス 君はポラリス
(星空のライヴVII -15th Celebration- Hoshizora Symphony Orchestra @ Yokohama Arena)
2. HOPE & DREAMS
(星空のライヴVII -15th Celebration- Hoshizora Symphony Orchestra @ Yokohama Arena)
3. 幸せをフォーエバー (Candle Night Fes @ Kawaguchiko Stellar Theater)
4. Daisy (Candle Night Fes @ Kawaguchiko Stellar Theater)
5. 僕はペガサス 君はポラリス (Music Video)

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馬 仕草
ジャケット撮影で馬と一緒だったんですけど、馬がどんな気持ちだとどんな仕草をするのか知りたくて調べました。例えばヘリコプターが飛んできたりすると、ああいう重低音の音を怖がるので、「なんか怖い」って耳だったり、尻尾の動きで喋りかけてきたりする。で、「帰る?」って訊くと、「帰る帰る帰る」って(笑)。馬は、すごく頭がいいですね。


■ライブ情報

MISIA 星空のライヴVII ~15th Celebration Thank you 15, Happy 16~
2014/04/02(水)Bunkamuraオーチャードホール(東京)
※YouTube 全世界生中継が決定!!

※その他のライブ情報、詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

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