SiM、強烈なオリジナリティを放つミニアルバム『i AGAINST i』完成

SiM | 2014.09.17

 ラウドの皮膜を食い破り、新たな境地に辿り着いた驚愕の一枚だ。今年結成10周年を迎える湘南発の4人組、SiMのミニアルバム『i AGAINST i』を早く多くの人に聴いてほしい。ヘヴィ・ロック、パンク、レゲエ、オーセンティック・スカ、ダブ・ステップ、さらにキーボードも大幅導入し、鋭利な牙と華やかな彩りを併せ持つ強烈なオリジナリティを構築している。「ラウドという言葉に埋もれず、自分たちを確立したい」とメンバーも言っていたが、自身のルーツ=ありのままの姿を提示し、聴き手と真正面から向き合ったネイキッドな濃厚盤。個性のカタマリみたいな全6曲に圧倒される。

EMTG:今作を最初に聴いたときは驚きました。曲の振れ幅、歌詞の赤裸々さを含め、すべてを曝け出した作品ですね。出来上がった感触はどうでした?
MAH:不安ですね。どんな反応が返ってくるのかわからないから。マネージャーにもこれ売れないかも、と言ってるんですけど(笑)。いままでは楽曲の方向性も考えていたし、無駄なところも省いてきたけど、今回は好き勝手にやってます。
EMTG:これ一枚でSiMの全容がわかる、と言い切るような作品じゃないですか。
GODRi:今回のテーマは原点回帰だったんですよ。自分が入る前にSiMがやっていたことを、自分のドラミングでやれたので嬉しいですね。僕がお客としてSiMを観たときの衝撃を思い出しました。その時にあった要素を掘り下げてやってますからね。まだ入って5年目ぐらいだけど、やっと俺もSiMになれたなと。
EMTG:初期のSiMが持っていたレゲエ色を、大胆に今のサウンドに取り込めた?
MAH:ですね。なおかつラウドにも行けたから。
SIN:6曲入りのミニだけど、1曲にいろんなジャンルが入ってるから。自分的にはフル作を作ってるぐらいの感覚でした。ラウドじゃないところも攻めたので、その層じゃない人たちにも届けたい。フェスに出て、後ろまで届いてるのかな?と思うこともあったし、全員をいい!と唸らせたいんですよ。出来には満足してますね。こういう作品が売れてほしい。
SHOW-HATE:自分たちが通ってきたルーツから、最近アンテナを張って吸収した音楽までうまく出せたと思う。こういうクセのある音楽をやらないと意味がないし。クセがあるということは賛否両論あるということだから。逆に賛否両論のない音楽をやっても意味がない。この先どうするか、それもこの作品で決まるのかなと。
EMTG:今年結成10周年を迎え、第二章の始まりを告げるような音源ですね。
MAH:10周年というタイミングもあるし、『PANDORA』というストーリー性を加えた大きな作品も作れて、ここから改めてSiMはどんなバンドなのかを考えなきゃいけない。このタイミングで出すリード曲も、もっと売れるものは作れたんですよ。でもそれじゃ意味がないから。こういうものを欲しいんだろ?という逆を行ってます。ほんとのSiMはこうだけど、大丈夫なの?って。でもライヴを観てもらえたら、筋は通ってると思うから。
EMTG:今回はいろんなSiMが味わえるし、楽曲自体のポピュラリティも増してますね。いい意味で、部屋の中でBGM代わりに流してもマッチしそうな広がりや奥行きも感じます。
MAH:そうですね。ライヴもドーンとやってお客さんが騒げばOKみたいなところから、もう一つ説得力が欲しくて。家で聴きたくなる雰囲気は常に意識していたけど・・・、ライヴではパンチを見せなきゃいけない。(今までは)そこに全精力を注いでいたので、やっとこういう表現もできるようになりました。
EMTG:レゲエ色も増して、キーボードを含めた電子音もいままでの作品の中で一番多いですよね?
SHOW-HATE:そうですね。「GUNSHOTS」は完全にパソコンで作って、それを生楽器に置き換えてやりました。どちらかと言えば、キーボード主体で作った曲ですね。「Fallen Idols」はBarrington Levyの「Black Roses」という曲のフレーズを使ってるんですよ。そこに入ってる装飾がすごく印象的で、どうしても入れたくて。だから、キーボードを二台使いました。
EMTG:「Fallen Idols」はバンドの多面的な魅力が味わえるし、「GUNSHOTS」はオーセンティック・スカを用いた楽しいムードに満ち溢れてますね。
MAH:エレクトロが入ってるバンドは同期を使ってるんですよ。僕らはそれが嫌で・・・それは(僕らが)レゲエの要素を取り入れてるのが大きいんですけど。レゲエはグルーヴが命だから、4人の呼吸で演奏することを大事にしてますからね。で、僕らが好きなRAGE AGAINST THE MACHINEは一切キーボードとか使ってなくて・・・そのポリシーは似てる部分もあるけど、俺らの場合は出せる音があるなら、自分たちで出しちゃおうと。それでキーボード、パッド、僕がピアニカを弾いたりして。ギター、ベース、ドラムだけだと、ラウドに行くか、ソフトに行くか、そのどちらかしかなくて。ブレイクダウンを入れるところにダブステップを挟んだり、今回はいろんな選択肢が増えたから、それが楽曲の幅にも繋がってると思います。
SHOW-HATE:RADIOHEADも好きで、ギターの人がピアノを弾いたりするから、それにも影響を受けてます。
EMTG:なるほど。ヘンな言い方ですが、今作でSiMがSiMになったというか、どの曲からも強烈なオリジナリティが出てますね。自分たちの足でしっかり大地を踏みしめた楽曲ばかりで。
MAH:フォロワーみたいなバンドも増えて、それは喜ばしいことだけど・・・「SiM好きです!」みたいな音をやってもダメだよ、ということも暗に伝えたかった。俺らもルーツがあって、それを練り合わせて、こういう音楽になってますからね。2トーン、オーセンティック・スカもバンドマンなら聴いてほしい。その部分を色濃く出して、SiMはラウド界隈のバンドじゃなく、「SiMはSiMだよ!」って言いたくて。
EMTG:具体的な歌詞が増えたのも今作の特徴ですね。
MAH:聴き手に対するメッセージ的な内容もあるけど、特に「Fallen Idols」は俺が食らった嫌な出来事をそのまま書いてる。あと、「GUNSHOTS」は完全に聴く人の気持ちを考えずにひたすら書きました。
EMTG:興味深いのは「Fallen Idols」のような生々しい歌詞なら、もっとヘヴィに振り切れてもいいと思うんですよ。そうじゃなく、こちらを明るく照らす温かみも出てますよね。
MAH:ただムカツクから言い放つというより、「Fallen Idos」は俺はあなたみたいにならないと決めたという内容で、最終的にポジティヴな方向に行くようにしてるんですよ。最後の曲「Teardrops」も温かい光みたいなものはイメージしました。
EMTG:「陽の光は、失くした鍵を見つけるために/暗闇は、自分自身やこの世界と闘うのに疲れたその身を隠すために/雨は、僕らの傷ついた心を癒すために」(「Teardrops」)の歌詞は、今のSiMの心境が綴られているのかなと。マイナスやネガティヴなことも捉え方次第でプラスに変換できるんだ、という内容ですね。
MAH:俺らが伝えたいことはそこなのかなって。ずっとピンチばかり続いてたけど、いままで踏ん張って、ここまでやって来れたから。光は何かを見えやすくするし、暗闇には暗闇のいいところがあるし、雨には雨のいいところがあるから。
SHOW-HATE:俺はMAH君の歌詞を読んで、考えさせられることが多くて。バンドをやりながら、自分たちが成長しているのを感じますね。人間的にも明るくなったんじゃないかな。
MAH:歌詞を書く中で、出てくる言葉も変りましたからね。許せる心というか、包容力が少しずつ付いてきたのかなと。

【取材・文:荒金良介】

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ビデオコメント

リリース情報

i AGAINST i

i AGAINST i

2014年09月17日

EMI Records/gil soundworks

1. RiOT
2. Fallen Idols
3. GUNSHOTS
4. IKAROS
5. Slim Thing
6. Teardrops

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お知らせ

■ライブ情報

“i AGAINST i”TOUR 2014
2014/10/13(月)川崎 CLUB CITTA’
2014/10/17(金)旭川 CASINO DRIVE
2014/10/18(土)函館 club COCOA
2014/10/20(月)八戸 ROXX
2014/10/21(火)秋田 CLUB SWINDLE
2014/10/23(木)盛岡 CLUB CHANGE WAVE
2014/10/24(金)仙台 Rensa
2014/10/26(日)柏 PALOOZA
2014/10/31(金)高崎 CLUB FLEEZ
2014/11/01(土)新潟LOTS
2014/11/03(月)浜松 窓枠
2014/11/04(火)岡山 CRAZY MAMA KINGDOM
2014/11/06(木)鹿児島 CAPARVO HALL
2014/11/07(金)大分 T.O.P.S Bitts HAL
2014/11/10(月)松山 SALONKITTY
2014/11/12(水)高松 Olive Hall
2014/11/13(火)広島 CLUB QUATTRO
2014/11/19(水)京都 MUSE
2014/11/21(金)福井 響のホール
2014/11/22(土)金沢 EIGHT HALL
2014/11/24(月)松本 Sound Hall a.C
2014/11/29(土)沖縄 桜坂 セントラル

"i AGAINST i" TOUR 2014 FiNAL SERIES -ONE MAN SHOWS-
2014/12/03(水)東京 Zepp Tokyo
2014/12/05(金)札幌 Zepp Sapporo
2014/12/09(火)名古屋 Zepp Nagoya
2014/12/11(木)福岡 Zepp Fukuoka
2014/12/16(火)大阪 堂島リバーフォーラム

※詳細、その他のライブ情報はオフィシャルサイトをご覧ください。

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