ストレイテナー、進化と深化をさらけ出した快心作『Behind The Scene』

ストレイテナー | 2014.10.22

 ストレイテナーが、待望の新作『Behind The Scene』を完成させた。フル・アルバムとしては『STRAIGHTENER』(2011年8月)以来。メジャー・デビュー10周年となった2013年の武道館公演やベスト盤などで自分たちを俯瞰し、ミニ・アルバム『Resplendent』、シングル「Super Magical Illusion」、そしてダブルA面シングル「冬の太陽/The World Record」を経てスケールアップしたバンドの存在感が、ダイナミックに伝わる作品となった。ホリエアツシ(Vo,G、Kb)、OJこと大山純(G)の二人に、この新作に込めた思いや制作秘話を語ってもらった。

EMTG:フル・アルバムは『STRAIGHTENER』以来。ミニ・アルバムやシングルとは、やはりモチベーションが違うのかなと思いますが。
ホリエ:ミニアルバム『Resplendent』で5曲を作った時に感じた手応えを、そのまま絶やさず、フルアルバムまで完成させられたらなって言う気持ちがありました。
OJ:『Resplendent』を作ってた時点で、バンドが発散したがってる感じがあったかな。その勢いのまま新作の制作に行けたような気がします。
EMTG:本作へのイメージはその頃から固まっていたんですか?
ホリエ:『Resplendent』の5曲を作った時に、実はもう2曲、作りかけてたんです。その2曲が今回のアルバムに入ってる、「A Man on the Moon」と「翌る日のピエロ」。ミニアルバのテーマを考えて、フルアルバムまで取っておいたんです。
OJ:コードがよくわからない曲だね。
ホリエ:コード進行が、転調して行くんです。聴く人はどうかわからないですけど、作り手側からしたら、けっこう凝った曲なんですよね。リズムも、ちょっとユルめな感じなので、アルバムに取っておこうと思って。そんなアルバムなので、全体に渋くなっちゃうのもどうかなと思って、『Resplendent』の時の、歯切れのいい,シンプルな曲が揃った感じを生かしたいなと思って、余りこねくり回さずに、シンプルな曲を、と心がけて作りました。
EMTG:1曲目「Asshole New World」はそういう感じでしょうか。
ホリエ:そうですね。一瞬で出来ましたね(笑)。
EMTG:そういう凝縮された曲と「翌る日のピエロ」や「冬の太陽」との対比がくっきりしていて立体感があるなと思います。
ホリエ:僕はあまり振り幅がないなと思うんですけど。全体の流れが、ミニ・アルバムとかだと1曲1曲全然違うベクトルで成立するんですけど、フル・アルバムなので流れがあるといいなという希望があり、全体をね、12曲を流れで聴いた時に、いろんな曲が入ってるなと、いかに思わせないか(笑)。
EMTG:そうなんですか?
ホリエ:地続きな印象だといいなと。「放物線」から「Super Magical Illusion」のところでは、場面がガラリと変わるんですけど、違和感なく聴けるんじゃないかと。むしろ今までの作品の方が、あっちこっち行って、翻弄してたかな。散りばめたくなるんですよ、こんな曲もあってこんな曲もあるんだぜみたいな。
EMTG:なるほど。「放物線」は奇麗な曲で、ピアノがメインですね。
ホリエ:「放物線」は、壮大になりすぎないピアノ・バラードというか。ストレイテナーの曲でいうと、「SIX DAY WONDER」に始まり、「Lightning」とか、自分たちの持ち味かなと思って。ピアノで作ると壮大になりがちなんですけど、こじんまりとした感じというか、狭い中で鳴っている。一個一個の音像が混ざってしまわないように、滲んでしまわないようにっていうのを心がけて。
EMTG:ギターはOJさんですよね。レコーディングはどんな風に?
ホリエ:僕がずっと同じフレーズをピアノで弾いてるんで、それをギターでどう展開させて行くかみたいので、幾つか作ってみましたね。
OJ:飽きさせないために、ギターに何が出来るかと言うことを考えて、いろんなパターンのフレーズを作りますね。
ホリエ:例えば歌があるところに適した気持ちいいギターと、歌がないところで、より耳を惹き付けるギターのフレーズは、感覚で選んでいかないといけないんで。
EMTG:そこで、ストレイテナーらしさみたいな物差しがあるんですね。
ホリエ:普通は、歌があれば歌に耳が行くと思うんですけど、その裏側で、いいギターのフレーズが鳴ってたりするのが、ストレイテナーかなと。
OJ:実はもう1本メロディがあるぜ、みたいな気持ちですね。
EMTG:「彩雲」がそうですね。ギターがカラフルに絡んでまさに彩雲。
ホリエ:「彩雲」はアレンジ決まるまでがけっこう大変だったね。
OJ:何か最近、自分がギターを弾けてしまう、弾きたがりなんですよ。Aメロで弾かないとか、そういう発想が最後まで出てこない。ずっと弾いてて、「なんでしっくりこないんだろう?」「いらねえんじゃねえの?」って(ホリエに)いわれたり。
ホリエ:「彩雲」は、すごく王道なコード進行で、すごくダサくもなる曲だと思ってて。だからっておっかないなってわけじゃないんですけど。まあ、いい感じにね、仕上がりました。
OJ:いいバランスで。そのコード進行に気付いちゃうと。最初照れがあるんですよね、みんなやってるヤツなんで、これ使っちゃうんだーって気持ちになるけど、そういうことだよな、みたいに、後々思ってくるというか。
ホリエ:王道とかベタなものに、勝てる! みたいな、今なら行けるぞみたいな。それは、もっと青臭い時には出来なかったことかもしれない。
EMTG:4人で音を出せばストレイテナーになるんだという自信ですか?
ホリエ:そうですね。やれるんじゃないかっていう大胆さが今はある。歌メロがまず勝って行くし、アレンジで更に磨かれて行くし。何でも取り込みますよみたいのはあるかもしれない。
EMTG:1曲目とか「Breaking Ground」とかアグレッシヴな曲もテナーらしいです。
ホリエ:そうですね。オマージュらしく、そこに照れを感じないように。
EMTG:何に対するオマージュですか?
ホリエ:僕らが聞いていた90年代~2000年ぐらいのロックって、たぶんこれから後も、あのまんま色褪せないんだろうなって。僕らがあの時代に青春期を過ごしたからかもしれないけど、2000年代、自分たちがオリジナルの音を生み出して行く中では、取り入れつつも、もっと新しい方に変えていかないとって言う意識が凄くあったんですよ。そこから更に10年とか15年とか過ぎようとしてる中で、そのままやってもカッコいいということに今は気付くというか。「The World Record」にしても。けっこうそのまんまやっちゃって、俺達らしい曲になってる。「冬の太陽」は、切り替わるじゃないですか、エレクトロニカからギターぎゃんぎゃんのエモーショナルな展開に。たぶん昔だったら、全体にミックスしてたと思うんですよね。
EMTG:「冬の太陽」は、OJさんたちは完成するまでイントロ部分を知らなかったとそうですけど、ほかにもそういうサプライズな曲が?
OJ:「The World Record」もイントロなかったですし、「78-0」は僕が曲中に弾いたギターが、ド頭の効果音的な感じで採用されてた。
ホリエ:その曲のために弾いたフレーズなんですけど、それを更にサンプリングするみたいな(笑)。
EMTG:「78-0」って曲の中では「Seventy-eight」と言ってますが。
ホリエ:歌詞では語呂が良かったので。タイトルは「ななじゅーはちのぜろ」で。「78ー0」って番地のイメージなんですよ。78番地0号みたいなイメージなんですけど、0号って住所はないじゃないですか。真空みたいな不思議な感じを持たせてるんです。
EMTG:ジャケットは、今回もナカヤマさんのデザインで?
ホリエ:これもなかなか面白くて。パソコン上でコラージュとかいろいろやってきて。今回は1枚の写真なんですよ。全部、彼が作った看板のようなものを置いて、吊るして撮った、1枚の写真。今だったらいくらでも加工して綺麗に出来ちゃうけど、それを実体で作るって言うことに意味があるんじゃないかな。
OJ:夜なべして作ったって言ってました。
EMTG:レコーディングして行くうちにアイディアが彼の中で固まったんでしょうか?
ホリエ:歌詞は見てないって言ってましたね。タイトルを伝えた後に、このアイディアを聞かされました。今までにない試みって凄くいいなと思いました。大変だろうけど、大変な思いをしたら、それだけの達成感もあるじゃないですか。
OJ:ストレイテナーのイメージで、彼は蓄音機を作ったらしい。
ホリエ:クルマは、日本車なんだけど日本ぽくないって言うか。日本が作った、何か異世界観みたいのを探してるって言ってたんで、セリカの写真見せたら、いいなって。
EMTG:1こずつ意味があるんですね。羊とかも?
ホリエ:羊…とゴリラ?
OJ:「Yeti」じゃないの? 羊は「羊の群れは丘を登る」を彼は気に入ってるんで。そんな気が俺はしてる。
EMTG:このアルバムのテーマは今見えているものの裏側、それがどの曲にも込められているようですが、そのテーマを上げた理由は?
ホリエ:そうですね、裏側に本質がある、ということを、メッセージとして打ち出してるんですけど、それが前回の「冬の太陽」の時に語った”愛”である、という曲が多いですね。「放物線」も、「すべてわかってたんだ ありがとう」って、表には見えてこない苦しみとか悲しみとか優しさみたいなものが、見えてないし、敢えて見せようとしていないものだけど、感じるっていうか。それをわかってるよっていうことを、歌ってるんです。
EMTG:「Behind The Scene」は伝えるべき主題をもった作品だとわかりました。完成しての手応えは?
ホリエ:“伝える”ということ自体が最重要課題ではないんで。音楽として、素晴らしいロック・ミュージックが伝わって欲しい。その上で自分たちの中では、ギリギリ伝わる際どい詞が書けたんじゃないかと思います。
OJ:自分たちをさらけ出すことに成功したアルバムだと思うんですよね。恐れないで裏側も見せちゃう。それぐらい曝け出さないと、伝わるものも伝わらない時代だと思うので、きっと、このカッコ良さは伝わるんじゃないかと思います。

【取材・文:今井智子】

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リリース情報

Behind The Scene(初回限定盤)

Behind The Scene(初回限定盤)

2014年10月22日

ユニバーサル ミュージック

[CD]
1. Asshole New World
2. The World Record
3. 冬の太陽
4. 彩雲
5. 放物線
6. Super Magical Illusion
7. Breaking Ground
8. Yeti
9. Wonderfornia
10. A Man On The Moon
11. 翌る日のピエロ
12. 78-0

[DVD]
Behind The Scenes with STRAIGHTENER
-RECORDING DOCUMENTARY of Album‘Behind The Scene’ [2014 May-July]-

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■ライブ情報

2014年東名阪広クアトロツアー
“Swimming City Flying Circus TOUR”

2014/11/22(土)広島クラブクアトロ
2014/11/24(月・祝)梅田クラブクアトロ
2014/11/25(火)名古屋クラブクアトロ
2014/11/28(金)渋谷クラブクアトロ

2015年全国ツアー
“Behind The Scene TOUR”

2015/02/04(水)赤坂BLITZ
2015/02/07(土)長崎DRUM Be-7
2015/02/08(日)熊本DRUM B.9 V1
2015/02/10(火)高松MONSTER
2015/02/11(水・祝)松山サロンキティ
2015/02/13(金)米子Laughs
2015/02/15(日)京都MUSE
2015/02/19(木)水戸LIGHT HOUSE
2015/02/21(土)郡山CLUB#9
2015/02/22(日)盛岡CLUB CHANGE WAVE
2015/02/26(木)高崎club FLEEZ
2015/02/28(土)金沢EIGHT HALL
2015/03/01(日)新潟LOTS
2015/03/06(金)札幌ペニーレーン24
2015/03/08(日)仙台Rensa
2015/03/14(土)岡山CAZYMAMA KINGDOM
2015/03/15(日)福岡DRUM LOGOS
2015/03/20(金)Zepp Nagoya
2015/03/21(土・祝)なんばHatch
2015/03/28(土)台湾 The WALL台北

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