椎名林檎、“王道”への第一歩となる、待望の新作を発表!!

椎名林檎 | 2014.11.04

 椎名林檎が5年半ぶり5枚目のオリジナルアルバム『日出処』をリリースする。思えば椎名は東京事変の活動中から、テレビドラマなどからのオファーに応えていたが、その作家業としての速度は、惜しまれつつ迎えた事変の解散以降、更に増していった。その集大成と書き下ろしの新曲が融合して生まれたこのアルバムは、現代社会を生きる上で対峙するあらゆる普遍や矛盾と、その最果てに根源的な価値を見出さんとする者の姿を描いた人間賛歌だ。豊潤な知性と肉体性とドラマ性を誇るこのアルバムの制作秘話を存分に語ってもらった。

EMTG:素晴らしいアルバムが完成しましたね。
椎名:ありがとうございます。まだ制作の緊張が解けていませんが。
EMTG:まずはこの『日出処』というタイトルを付けた経緯からお聞かせください。
椎名:ここ数年は「もう王道のことしかしたくない」という気持ちが日増しに強まっていました。ちょうど『ありあまる富』の頃から、自分の歌詞に“陽の光”を指す語彙も増えていましたので、次のアルバムでは「“目抜き通り”を描きたい」と思い立ちました。すると、かつてないぐらいはっきりと、この『日出処』というタイトルが浮かびました。
EMTG:全13曲中6曲が、テレビドラマの主題歌やキャンペーンソングに提供した曲ですね。
椎名:熱意を持ったテレビ局の方々が私のお尻を叩いて、潜在能力を引っ張り出して下さいました。特に『ありあまる富』と『NIPPON』は、自ら進んでは書かなかった曲だと思います。こういう曲を生み出す材料が自分の中にあったのかと気付かされました。
EMTG:そして新録曲もバラエティに富んでいます。一曲目の「静かなる逆襲」でもう、「これはヤバいアルバムだ」と感じさせられます。
椎名:恐れ入ります(笑)。「静かなる逆襲」は、歌詞こそ新たに書き下ろしましたが、曲はデビュー以前に、福岡でやっていたバンドのために書いた曲でした。アルバムの開幕にこういうムードが欲しくて、久し振りに思い出した曲でした。
EMTG:そして「赤道を越えたら」や「ちちんぷいぷい」ではラテンのリズムが。これはセルフカバーアルバム『逆輸入』にも参加されていた、村田陽一さんの管編曲ですね。
椎名:ラテンは昔から私の基盤でした。そして村田せんせいは私がそれまで持っていたトロンボーンに対する認識をかつて覆して下さって以来、絶対的な基準であり続けている方です。
EMTG:その村田さんの仲介によって、ブラジル音楽界の重鎮、イヴァン・リンスがスキャットを提供していますね。これには驚きました。
椎名:スタジオで村田せんせいとお話ししていた時に、たまたま「イヴァン・リンスと一緒にアルバム(※『ジャネイロ』2010年)を録った時にね・・・」と、おっしゃって。びっくりして私が、「ほんとうは『赤道を越えたら』はラテン語圏、できればポルトガル語かスペイン語圏の方に、ユニゾンでスキャットしてほしかったんです」「しかもイヴァンが一番理想だったんです」みたいなお話しをしたら、「メールしてみましょうか?」とおっしゃって。村田先生の鮮やかな手口で、晴れて快諾いただいたという運びでした。
EMTG:魅惑的な、いい声ですよね。
椎名:トロンボーンとの溶け合い方はイメージ以上でした。イヴァンのあの歌い癖が入っていて嬉しかったです。疲れ、悲しみ、怒り、諦め、喜び……彼の書くメロディそのものですよね。書き手冥利に尽きます。夢叶ったりでした。
EMTG:何もかもが入っていて色っぽいというのは素晴らしいですよね。
椎名:そもそも色気ってそういうことではないでしょうか。カラフルというか。だから全部入っていないとダメですよね。
EMTG:その通りだと思います。他にも893や37564(※)の面々に、東京事変のメンバーやSOIL&“PIMP”SESSIONSなど、このアルバムには近年の椎名さんにとっての重要なプレイヤーがこぞって参加していますね。本当にどこを聴いても贅沢な音しか入っていなくて。
椎名:演奏家との巡り合わせは本当に幸運でした。今回のレコーディングでは、人生を投げ打った1音1音を『ここしかない』という覚悟で置いて下さる方しかいらっしゃいませんでした。
EMTG:既発曲と新録曲が渾然と融和して、『日出処』のオリジナルストーリーを構築しています。
椎名:そこはこれまでも拘ってきた、昔堅気な“アルバムアーティスト”としてのプライドでもあります。目抜き通りで生きる人間が、どんな季節を過ごしていくのか。それがアルバム全編を通じて地続きで聴こえるように、転調を含めたキー設定を徹底し、歌詞を含めたテンポ感を大事にして、アンサンブルを考えました。
EMTG:先行配信された「ありきたりな女」もまさにそうですが、アルバム全体がひとつの戯曲のようです。
椎名:うれしいです。中盤から終盤へと向かうにつれて、きっちりと哲学を提示していくという作りを意識しました。何処かからミュージカルナンバー制作のオファーが舞い込むためのプレゼンの役割を、このアルバムがになってくれたらよいのですが。
EMTG:椎名さんがこの『日出処』で描きたかった想いを、あらためてお聞かせいただけますか。
椎名:日の当たる場所で起きている出来事と、その裏で起きている事。生きていれば明るみになり誰もが避けては通れない局面を、今回は堂々と、色濃く描き出したかった。そんなアルバムがいまこの世の中に、一枚くらいあってもいいのでは?と思いました。
EMTG:11月29日からは6年ぶりとなるアリーナツアー「林檎博’14-年女の逆襲-」もスタートしますね。
椎名:まだ何も決まっていなくて。リハーサルもこれからなので「頑張ります」と、しか言えない(笑)。
EMTG:頑張って下さい(笑)。『日出処』を完成させた椎名林檎の今後が楽しみです。
椎名:もしかするとこれまでの私の歩みには、時にまわりくどく見える場面もあったかもしれません。でもそうして活動の順番を自分なりに守ってきた分だけ、書くべきものは全て書いてきたという自負があります。だからここからは“目抜き通り”に立って、自分なりの“王道”をどれだけ鳴らせるかに注力したい。そのための新たなスタートが、このアルバムなのだと認識しています。

【取材・文:内田正樹】




(※)893(はちきゅうさん)……『党大会』、『ちょっとしたレコ発』ライブの演奏を務めた林正樹(Pf)、鳥越啓介(Ba)、佐藤芳明(acc)、みどりん(Dr)による編成。37564(みなごろし)……名越由貴夫(Gt)、山口寛雄(Ba)、玉田豊夢(Dr)が主な編成。『NIPPON』レコーディング時は名越と生方真一(Gt)、渡辺等(Ba)、河村“カースケ”智康という編成だった。

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リリース情報

Cheer up!(初回生産限定盤)[CD+DVD]

Cheer up!(初回生産限定盤)[CD+DVD]

発売日: 2016年06月01日

価格: ¥ 4,444(本体)+税

レーベル: キングレコード

収録曲

[CD]
1.どんとこいやー!
2.Wanna be!
3.With…
4.Forever and Always
5.花道ゴージャス(from Yankee5)
6.CRAVIN’ CRAVIN’
7.こうつうあんぜんのうた(from 誠)
8.ツクヨミ

[DVD]収録内容(予定)
・Wanna be! Music Video(Special Edit Ver.)
・どんとこいやー! Music Video
・特典映像(メイキング・オフショット)

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ビデオコメント

リリース情報

日出処(初回限定盤A)[CD+Blu-ray]

日出処(初回限定盤A)[CD+Blu-ray]

2014年11月05日

ユニバーサル ミュージック

[CD]
1. 静かなる逆襲
2. 自由へ道連れ
3. 走れゎナンバー
4. 赤道を越えたら
5. JL005便で
6. ちちんぷいぷい
7. 今
8. いろはにほへと
9. ありきたりな女
10. カーネーション
11. 孤独のあかつき(信猫版)
12. NIPPON
13. ありあまる富

[初回限定盤特典DVD、Blu-ray Disc共]
ミュージック・ビデオ全6曲収録
「ありあまる富」「カーネーション」「自由へ道連れ」「いろはにほへと」「NIPPON」「ありきたりな女」

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お知らせ

■ライブ情報

林檎博’14 -年女の逆襲-
2014/11/29(土)さいたまスーパーアリーナ
2014/11/30(日)さいたまスーパーアリーナ
2014/12/09(火)大阪城ホール
2014/12/10(水)大阪城ホール
2014/12/21(日)マリンメッセ福岡

※その他のライブ情報、詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

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