フラワーカンパニーズ、ニューアルバム『Stayin’ Alive』リリース!

フラワーカンパニーズ | 2015.01.19

 死を歌うことは生を歌うことだ。鉄道の陸橋に立つ男も、手首に傷を持つ女も、本当の歌を探して漂う男も、生と死の境界線にいながら、指先にまでドクドクと血管が脈打っている。生きている。俺は生きている。結成25周年、15枚目のオリジナル・アルバムを放つフラワーカンパニーズ。そのタイトルはズバリ『Stayin’ Alive』だ。ギリギリの人生を生きる主人公達。その身体の隅々にまで熱く、温かい音が届く。盟友・斉藤和義、スキマスイッチの常田真太郎との共同プロデュース作も収録された、これこそが入魂の一枚。まずはスルーすることはできない、アルバム・ジャケットから話を始めよう。

EMTG:今回、ジャケットのインパクトが…(笑)。
グレート:今回は4人のカラー写真でというのがまずあって。
鈴木:それでスタッフと話して出てきた80年代の映画『アウトサイダー』をイメージして。今回、歌の内容がヘヴィーだったりするから、モノクロだと重くなる。でもこれはほぼコスプレ(笑)。小西が『アウトサイダー』のトム・クルーズで、俺はラルフ・マッチオ。リーダー(グレートマエカワ)は『ブロークバック・マウンテン』みたいだし、中島らも(竹安堅一)もいるという(一同爆笑)。ある意味、竹安が一番アウトサイダー(笑)。
EMTG:(笑)。そのアルバム、「この世は好物だらけだぜ」では斉藤和義さんと共作を。
グレート:斉藤君とは付き合いも長いし、結成25周年にかこつけてお願いしたんだよね。フラカンをすごく理解してくれて、本当にバンドの一員としてやってくれて。
鈴木:ほとんど何にもない状態からスタジオに入って、アイデアを出し合ってね。歌詞のアイデアはほとんど斉藤君(笑)。それからもうバッと決まった。早かった。
グレート:あとね、アコギを弾いた時に“うわっ…”って。やっぱりあのセンスはすごい。
竹安:空ピッキングから入る瞬間にすべて持っていく。その凄みを感じましたね。間奏のギター・バトルは80’sのメタルみたいな雰囲気。お互いに出(で)がそこだから(笑)。
グレート:せっかくギンギンのギタリストが2人いるわけだから、ギター・バトルをやってほしいじゃん? この曲は本当に面白い体験だったね。
EMTG:常田真太郎さんとの「short hopes」も見事でした。
グレート:まず鈴木から歌詞の母体ができた時に“おっ、これはすごいな!”となって。
鈴木:4人の登場人物が出てくる群像劇。自分の中ではすごい冒険をした歌詞だったんだけど、曲が抜けきれてなくてね。それでシンタ(常田)にお願いしようと。そこから2人で登場人物のプロフィールを細かく詰めていった。死を前にしたギリギリの人達が、最後には“バカヤロウ。生きてやる”と居直る。ツアー中にシンタと何度もやり取りして、その小さな希望にたどり着いたんですよ。
グレート:あいつもバンドの一員としてやりたいと言ってくれたの。そういう中でもプロデューサーとして俯瞰して見ている。常田の力はすごいなって。
小西:構成にも緩急があって、数分間の中にすごいドラマがありましたね。
EMTG:これも含めて、全体的に“死”がフィーチャリングされていますね。その描写も空気感もとてもリアルです。
鈴木:うん。あの…自分らの良さは何だったんだろうと考えてみたんですよ。その時に「深夜高速」という曲が自分らの中でズバ抜けてるなって。何がそんなに響いたのかな。生きるとか死ぬとかギリギリみたいな感じがあの曲には出たのかな。だったら、自分が掘り下げるテーマはそこかなぁって。それで思い切りガチッと“死”というものを意識してみたんです。でも、これを聴いた後にすんげえ暗い気持ちにはならないと思う。歌詞だけ見たら暗いのに、最終的には“楽しかった!”で終わって、しかも心の中に何かが残るのが理想。それが今までの中で一番できたかな。
EMTG:本当にそうですね。“死”を意識したアルバムが、最後に自分自身を許し、夜明けへと向かう。「感じてくれ」からの最後の3曲が劇的です。
グレート:いや、まさにこの3曲の妙を言ってくれるのは嬉しいね。「感じてくれ」からの3曲にドラマがあるのがポイントだから。
鈴木:「感じてくれ」に続く「未明のサンバ」で夜が明けるのか明けないのか!! と。
竹安:ギターもこのフレーズをここまで見せたら光が強すぎる。まだギリギリ。まだ闇が残ってる。もうちょっと我慢してって。
鈴木:そのギリギリのところで「マイ・スウィート・ソウル」にバーン! と行く。夜が明けたかどうかはわからないまま行きたかった。
EMTG:そのアルバム・タイトルが『Stayin’ Alive』。生き続けるってことですね。
グレート:そうだね。結果的にいろいろなことにピッタリになった。「short hopes」って曲が収録されてるアルバムのタイトルがそうだということも含めてね。
竹安:結構ね、カラフルなアルバムができたかなって。結果すごいロックっぽいアルバムになった。ストーンズ気分もあり、クイーン気分もあり、ドアーズ気分もあり。そういう自分達のルーツも自然と出せたかなと思いますね。
小西:制作期間も長くて、その時その時で一生懸命にやってきたものがやっと一枚の作品になったから。フラワーカンパニーズのそういう時間の流れや変化や“これが今だよ”というのを感じてもらえたら嬉しいです。
鈴木:今までで一番男っぽいアルバム。80年代のハード・ボイルドな雰囲気も含めて、これはもう大人の男のアルバムだなぁと思いますね。
グレート:あのー、これね、メンバーには言わなかったけど“最後のアルバムだと思って作ろう”って自分で疑似的に決めてたの。一昨年、大滝詠一さんが亡くなったじゃん。大滝さんは『A LONG VACATION』をそういう気持ちで作ったんだって。それを知って、俺もそれぐらいの気持ちで一回やってみようと。そうやって一曲一曲を最高のものにしたかった。だからちょっと特別かな。15枚目にして。
鈴木:それは感じますよ。バンドが解散するとかじゃなくて、別の理由で続けられなくなる時がくるかもしれない。そういう危機感も含めてね。
グレート:そう考えると、それぐらいの気持ちでやるべきなんだよね。これはもう、一枚一枚が勝負だなって。そういう覚悟を込めた一枚なんですよ。

【取材・文:柳村陸子】

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リリース情報

LOVELESS/ARTLESS[初回限定盤]

LOVELESS/ARTLESS[初回限定盤]

発売日: 2016年08月17日

価格: ¥ 3,990(本体)+税

レーベル: SMAR

収録曲

01. 光れ
02. DRAG & HUG
03. 奇跡を祈ることはもうしない
04. Pain
05. Are you ready?
06. 見る前に踊れ
07. トーキョー・ユートピア
08. 永遠の手前
09. you
10. 夜明けの月

ビデオコメント

リリース情報

Stayin’ Alive(初回限定盤)[CD+DVD]

Stayin’ Alive(初回限定盤)[CD+DVD]

2015年01月21日

SMAR

[CD]
1. short hopes
2. 地下室
3. 星に見離された男
4. 死に際のメロディー
5. 東京の朝
6. 祭壇 
7. この世は好物だらけだぜ
8. 感じてくれ
9. 未明のサンバ
10. マイ・スウィート・ソウル
11(bonus track). ファンキーヴァイブレーション

[DVD] *初回盤のみ
フラカン結成25周年ワンマンツアー「4人で100才」(2014.04.23 at京都磔磔)より
1.小さな巨人
2.ロックンロール
3.東京ヌードポエム
4.終わらないツアー

お知らせ

■ライブ情報

<25周年ツアー第三弾>
フラカン結成25周年 ~ほぼ対バンtour~『シリーズ・人間の爆発スペシャル』

2015/01/22(木)三重 松坂M’AXA
2015/01/24(土)宮崎 SR BOX
2015/01/25(日)佐賀 GEILS
2015/01/31(土)滋賀 U☆STONE
2015/02/01(日)和歌山 GATE
2015/02/03(火)奈良 NEVER LAND
2015/02/08(日)群馬 高崎club FLEEZ
2015/02/11(水・祝)山梨 甲府Conviction

<25周年ツアー第四弾>
フラワーカンパニーズワンマンツアー「Stayin’ Alive」

2015/03/01(日)北海道 札幌PENNY LANE24
2015/03/07(土)愛知 名古屋Electric Lady Land
2015/03/08(日)愛知 名古屋Electric Lady Land
2015/03/13(金)福岡 BEAT STATION
2015/03/14(土)広島 CLUB QUATTRO
2015/03/28(土)宮城 仙台darwin
2015/03/29(日)宮城 仙台darwin
2015/04/10(金)石川 金沢AZ
2015/04/12(日)長野 長野CLUB JUNK BOX
2015/04/18(土)東京 日比谷野外大音楽堂
2015/05/30(土)大阪 大阪城音楽堂

※その他のライブ情報、詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

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