米津玄師、ニューシングル「Flowerwall」は幸せでも不幸でもない感じ。

米津玄師 | 2015.01.09

 メジャー初アルバム『YANKEE』を引っさげての初ツアー「帰りの会・続編」を12月に行なった米津玄師。そのライヴで披露していた新曲「Flowerwall」が1月14日にシングルとしてリリースされる。米津らしい美しいメロディーの「Flowerwall」、力強いリズムのバンド・サウンドで歌う「懺悔の街」、そして幻想的な浮遊感に溢れた「ペトリコール」。くっきりと色合いの違う3曲が「誰かのために対して曲を作りたい」「自分はそれをやるために音楽をやっている」と言う彼の思いを描き出している。しなやかに進み続けている彼の今を語ってもらった。

EMTG:初のツアー「帰りの会・続編」をやって、どうでしたか?
米津:凄い楽しくてよかったんですけど、ツアーが終わった後、モードを変える必要があるじゃないですか。制作するモードに変換しなくちゃ行けないんですけど、それがあまりうまく行かなくて(苦笑)。何していいのかわからなくて、2、3日何も手につかない状態でしたね。
EMTG:ツアーで演奏していた新曲「Flowerwall」がシングルで出ますが、この曲はどんな風に生まれて来たんでしょう?
米津:去年の夏くらいに引っ越したんです。理由は、あんまり曲が書けなくなって来たから、環境変えてみたら書けるようになるんじゃないかと安直に思ったからなんですけど。引っ越した直後からすごい曲が書けるようになって、10曲ぐらいメロディと歌詞とコードが出来て。これもその中の一つです。作ってた時にどういうことを考えてたかとか正直あまり覚えてないんですけど。1st、2nd(Album)を作って、その次何をやるか、そこに対する迷いは殆どなくて。それを具現化する手段について悩む事はありましたけど,何を表現するかということの悩みは全然なくて。そういう点で言うと,この曲はすらっと出来たというか。
EMTG:その表現したい事というのは何だったんですか?
米津:どんどんポップになって行くと言うか。自分のためだけに音楽を作るのではなくて…。誰かに向けて曲を作りたいと思ったんですね。1作目『diorama』の後,どこかのタイミングでそう思うようになって。自分は、誰かに対して曲を作りたいとかポップでありたいという理念は捨てたくなかったんですね。自分はそれをやるために音楽をやっているんだということを、決めてるんです。
EMTG:「Flowerwall」という言葉をタイトルにした理由は?
米津:常日頃,生活して行く上で,何も自分は変わってないのに、天国にいる気分になったり、地獄にいる気分になったり、日によって違うなあと思う事があって。そういうものを曲に出来ないかなと思ったんですね。そういう不確定要素というか、多義的であるものを具現化してみようと考えたところ、それは花の壁というものが、ちょうどいいんじゃないかと。壁なんだけど花という存在がもしあるとしたらどういうものなんだろうと思った時、それは幸せな感じでも不幸な感じでもないなと思ったんですね。どっちともとれるなと。それがちょうどいいんじゃないかなと。
EMTG:ライヴでは同期も使ってバンドで演奏してましたが、レコーディングは?
米津:この曲は、ドラムの生音を録ってサンプリングして、生音と打込みで今までにない音像を作りました。2曲目「懺悔の街」はすべて生で。3曲目「ペトリコール」は打込みで。
EMTG:『YANKEE』はバンドというか生音でレコーディングするのが重要だったんですよね。
米津:バンドでやらなければという、ある種の強迫観念と言ったらおかしいですけど、そこに対するコンプレックスというか、それをやらずに来てしまったから、そこを経ないといけないと思ってて。『YANKEE』を作り終えた時に、そこは浄化されたというか。だからこのシングルでは、自分でやれる事をやるべきだという感覚がありましたね。
EMTG:2曲目「懺悔の街」。『diorama』の1曲目が「街」ですが、米津さんにとって”街”は特別なところなのかと。
米津:その2曲に直接的な関係はないんですが、街とか、人間が暮らしてるコミュニティというか、そういう物に対する、憧れじゃないなあ、なんだろう…。そういうものにグッと来る感じがあるんですよ。『diorama』は、1コの街を作りたかった。いろんな人がいて、いろんな生活してて。群像劇みたいなのが好きなんですね。
EMTG:なるほど。今回は、変わらない街に対して自分が変わってしまったと?
米津:どんどん自分は昔に比べて変わって行ってる、いい意味でも悪い意味でも。「Flowerwall」で言ってる事とも近いんですけど。街というのはそもそもそこにあって、それ自体はいいも悪いも無い、街という存在だけであって。それは花の壁もそうですし。それそのものなんですけど、それをどう受け止めるかという話であって。久しぶりに地元の生まれ育った街に行くと、公園がめちゃくちゃ小さく見えたり。この道こんな狭かったっけ、みたいな事を感じたりするんですけど、それは別に公園がせまくなったわけじゃなくて、こっちがでかくなっただけで。そういうものに対面した時に時間の不可逆性みたいなのをありありと感じて、悲しくなったりするんですよね。もうあの頃に帰れないんだなというか。あの時あの角を曲がったけど真っ直ぐ進んでたらどうなったんだろうとか、そういうことを考えながら作りましたね。
EMTG:それはアーティストとして歩み出した自分と、もしこっちにこなかったらみたいなことも思ったりするのかなと。
米津:それは思いますよね。主観的なものだからしょうがないんですけど、自分は順風満帆にここまできたつもりはないんですね。自分なりの葛藤もあったし、自分にしかわからないような挫折もあったし。そういうものに、どう折り合いつけてやっていくべきなのか、すごく考えるし。もしかしたら、一方の答えが「Flowerwall」で、もう一方の答えが「懺悔の街」だったなっていう。そんな気もなんかしますね。
EMTG:1、2曲目が進むための表裏一体の曲だとすれば、3曲目「ペトリコール」はニュートラルというか、内面的な歌だと思ったんですけど。
米津:この曲は、ホントに何も考えなかったというと言葉が悪過ぎますけど。「Flowerwall」は、自分が生きて行く上で、こういう風にしなければならない、そういう意味も込めて曲を作ったんですけど、「ペトリコール」はそういうのが殆どなくて、自分が今好きな音楽とか、そういう音を実験しながら作ってみたらこうなったという感じですね。以前より生理的・直感的に気持ちいいことをやってもいいんじゃないかと思うようになりました。
EMTG:1曲目は蔦谷好位置さんとの共同アレンジで、2、3曲目は自分でやっていますね。
米津:3曲目は特にパーソナルな曲だし。蔦谷さんが曲をグレードアップさせてくれる人だとしたら、そういう手段は必要ないと思いました。今までは全部一人でやってたしね。その手段が間違ってるなら間違っているでいい。間違えられるのって今しかないと思って。いかに合理的に理性的にやっていこうとしたところで、無邪気な心が無いと意味ないんですよ。そういうものに絶対俺はなりたくないというのがあるんですよ。

【取材・文:今井智子】

tag一覧 シングル インタビュー 男性ボーカル 米津玄師

リリース情報

Tonight / Stars

Tonight / Stars

発売日: 2016年10月19日

価格: ¥ 1,836(本体)+税

レーベル: ユニバーサル ミュージック

収録曲

■CD収録内容■
1.「Tonight」
2.「Stars」
3.「Isolation」

■DVD収録内容■
Document”The Everglow -chapter.1-”
※2016年7月に行われた東名阪クアトロ対バンツアーのドキュメント映像を収録!

リリース情報

Flowerwall(初回限定盤)[CD+DVD]

Flowerwall(初回限定盤)[CD+DVD]

2015年01月14日

ユニバーサル シグマ

1.Flowerwall
2.懺悔の街
3.ペトリコール

初回限定盤:
CD+画集+DVD クリアスリーブ付き

※初回プレス分(初回限定盤、通常盤、予約限定スペシャルセット共通)には、初回封入特典として「2015年春開催の全国7大都市ツアーチケット最速先行抽選受付シリアルナンバー」を封入。

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お知らせ

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ペトリコール
ネットでふとみつけた言葉で、どういう意味なんだろうって。そうしたら「雨が降った時に、地面から上がってくる匂いを指す言葉」だったので、この曲のタイトルにぴったりじゃんと思って使いました。


■ライブ情報

米津玄師 2015 TOUR / 花ゆり落ちる
2015/04/01(水)札幌cube garden
2015/04/03(金)仙台darwin
2015/04/08(水)名古屋E.L.L
2015/04/09(木)名古屋E.L.L
2015/04/15(水)広島CLUB QUATTRO
2015/04/17(金)福岡DRUM LOGOS
2015/04/22(水)大阪BIG CAT
2015/04/23(木)大阪BIG CAT
2015/04/27(月)TSUTAYA O-EAST
2015/04/28(火)TSUTAYA O-EAST

※その他のライブ情報、詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

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