tricotニューシングル「E」は変拍子ポップの最上級で新境地!?

tricot | 2015.02.17

 日本はもとより、アジアやヨーロッパ各国でも人気急上昇中のtricot。とは言え、それはあくまでも自然発生的なもの。「凄い!」「Amazing!(信じられない!)」「Awesome!(こんなの見たこと無い、知らない!)」――こんな音楽性やライブパフォーマンスが人から人へと伝わり、遂には国内外に轟いている趣きだ。 彼女たちの音楽性の特徴は、変拍子や変速ビート、ユニークな音楽性を下敷きにしつつも、それを非常に親しみやすく伝わりやすく昇華しているところ。彼女たちのライブでは、一様に楽しそうな表情のオーディエンスを多く見ることができる。 そんなtricotからニューシングル「E」が届けられた。3月18日発売のニューアルバム『A N D』の更なる幅や可能性、伏線を感じさせる今作は、彼女たち初の試みもたくさん。パソコンを使っての楽曲作りやベースのヒロミ・ヒロヒロが作詞・作曲・ボーカルを務める等、革新性豊かな1枚だ。

EMTG : 前作シングル「Break」がメロディアスさが前面に出ていたのに対し、今作は真骨頂とも言える変拍子も際立っている。メロディと難解さをさらに融合させた楽曲で来ましたね。
中嶋イッキュウ(Vo&Gt):今回のシングルに入っている3曲は作り方もバラバラだったんです。(M-1.の)「E」は、この3人になってから作った曲で。主にパソコンで作っていったし。(M-2の)「ぱい~ん」は、いつも通りのセッションから作っていきました。「ダイバー」に関しては、完全にヒロミさん一人に作詞、作曲を任せました。
EMTG : 3月18日に出るニューアルバム『A N D』への伏線を非常に感じます。
中嶋:そうですね。ヒロミさんの作った「ダイバー」以外は、元々アルバムに入れる予定で作っていました。今回タイトル曲を「E」にするんか、「ぱい~ん」にするんか、凄く悩んだけど。
EMTG : 「E」になった決め手は?
中嶋:実は「ぱい~ん」は1年以上前に作った曲で、当時は”いつかはシングルのタイトル曲に…”、なんて思っていたんです。だけど、最近「E」が出来て、「E」が「ぱい~ん」を超えてしまったんです(笑)。よりシングルって感じがして。
EMTG : 先ほど、「E」はパソコンで作り上げたとおっしゃってましたが、そのような作り方は..。
中嶋:初でした。まず先輩がギターリフを持ってきて、それをパソコンに入れて、そこにベースを加えていって。ドラムは、その上に簡単なリズムを手打ちで入れていきました。そのデモを、(ドラマーの)Boboさんに渡して、あとはBoboさんなりに好きに叩いてください、と言うような感じで出来たのが「E」です。
EMTG : よもやtricotがパソコンを使って楽曲作りを行う日が来るとは(笑)。
中嶋:自分でもびっくりです(笑)。
EMTG : ちょっと想像が出来ませんね。
キダ モティフォ(Gt&Cho):ギターリフから広げていく手法は相変わらずで。これまでの全部の楽器を同時に鳴らしていたものを、各楽器順番に構築していった感じかな。なので最初はイメージも膨らませにくく、仕上がりも全く予想できませんでした。
ヒロミ・ヒロヒロ(Ba&Cho):完成した曲を改めて聴いて、”ああ、こんなんなったんや…”って。リズムが無い分、ベースのイメージも湧きづらかったけど、逆に楽しいところもありましたね。もう好きにベースを乗っけていくみたいな。おかげさまで完成品を聴くまでワクワクドキドキでした。
中嶋:Boboさんに叩いて欲しいとお願いしたのは曲が出来上がってからでした。曲を作りながらBoboさんが叩いている姿が浮かんで。
EMTG : 余計なおかずが全く無く、スネアを中心にシンプルなドラムキットにも関わらず、あの多彩さを出されているのには驚かされました。
キダ:あのスネアさばきは唯一無二です。聴けば分かりますからね、”ああ、Boboさんのドラムやなぁ…”って。結果、Boboさんらしさもありつつ、tricotの曲でもある、その両立やバランスが上手く出たかなと。
EMTG : 全体的に一般的な方がイメージする、tricotらしさに立ち戻った感もあります。難しいことをやっているんだけど、親しみやすいところとか。
中嶋:いつも通り自然に作りたい曲を作っていたら、今回はこんな曲になりました。
ヒロミ:そうそう。サビでバーン(解放的)になっているところも、気付けばそうなってましたから。あそこはスピード感があるし、ライブでもムッチャ盛り上がりそう。「ぱい~ん」の疾走感のある部分も、パーッと抜けるようで、やっていて気持ち良かったですね。
EMTG : 「E」に関しては、久々に中嶋さんのウィスパーでの歌声も聴くことが出来ました。
中嶋:Aメロの歌い方(クールさやウィスパーな部分)はレコーディングの直前に変えました。最初はもう少しメロディーのつまってる感じやったんですけど、いまいち形を決めかねている中、知り合いから「久々に囁いて欲しい」とのリクエストがあって。レコーディング当日にこの歌い方に急遽変えたんです。
EMTG : 歌と言えば、M-3.の「ダイバー」では、ヒロミさんが作詞作曲のみならず歌まで披露してますね。
ヒロミ:tricotでは楽曲の提供も歌も初めてでした。しかも作詞や歌は(キャリア)初で。もうこの曲は<エモさ>に尽きる。特に先輩(キダ)のギターがエモい。
キダ:ギターに関しては曲を聴いて浮かんだことを素直に弾いただけです。ヒロミさんが持ってきたメロディやコードに導かれたとでも言うか…。
EMTG : 結果、ヒロミさん自身で歌うことになったのは?
ヒロミ:最初は全く歌う気はなかったんです。イッキュウ(中嶋)ちゃんが歌うとばかり思ってたんで。
中嶋:ヒロミさんが歌った仮歌を聴いた時に、”もう、このまま歌ったらいいやん”って。自分には出せないところがたくさんあったし。tricotとしての幅も広がると思ったので。
キダ:私もデモを聴いて、「このままでええやん」って。ほぼ無理強いで歌わせました(笑)。
EMTG : 中嶋さんおっしゃるところの、<自分には出せないところ>というのは?
中嶋:幼さとか、儚さや初々しさですね。特に幼さは(笑)。あとは、自分の歌声だけにも若干飽きてきたんで、tricotの新しいスパイスになって欲しいなって。
EMTG : 実際、ヒロミさんは歌ってみていかかでした?
ヒロミ:非常に難しかったですね。どうメロディを乗せたらええんやろう?って。色々と考えながら歌い、ここに至りました。
EMTG : 安心して下さい。しっかりと歌えてますから(笑)。
ヒロミ:ホッとしました。
中嶋:演奏は最後に向けてどんどん盛り上がって行くんですけど、歌声はそこにあえて合わせずに最後まで幼さや儚さを保ち続けているのがいいですね。
EMTG : 今作の聴きどころを教えて下さい。
中嶋:「ぱい~ん」のぱい~んっていってるところです。
キダ:ホンマにぱい~んっていってる箇所があるんで、そこを探して聴いて欲しい。見つけたら絶対に、“ほんまにぱい~ん言うてる”と思ってくれるはずですから。
EMTG : で、3月18日には、いよいよニューアルバム『A N D』もリリースされますね。
中嶋:はい。内容は、わりと攻めてて、でもストレートな部分も多いかなと思います。

【取材・文:池田スカオ和宏】

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リリース情報

E

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2015年02月18日

BAKURETSU RECORDS

1. E
2. ぱい~ん
3. ダイバー

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A N D(初回限定盤)

A N D(初回限定盤)

2015年03月18日

BAKURETSU RECORDS

DISC1:
1. Noradrenaline
2. 走れ
3. E
4. 色の無い水槽
5. 神戸ナンバー
6. 消える
7. ぱい~ん A N D ver.
8. 食卓
9. 庭
10. CBG
11. QFF
12. Break

DISC2:
1. 御尻爆弾(by 期待外れにも程GIRL)

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■マイ検索ワード

●中嶋イッキュウ(Vo&Gt)
○○CAFÉ

先ほど、メンバーと一緒にいったカフェの名前を検索しました。すみません!(笑)

●キダ モティフォ(Gt&Cho)
鍋 引火 消化方法

火から離して鍋に油を入れたにも関わらず、ボッ、と。今回はただ観てただけだったんですけど、次はちゃんと対処したいなと思って調べました。次、無い方がいいですけど(笑)。

●ヒロミ・ヒロヒロ(Ba&Cho)
マンション 1階 結露

結露、結構あるんですよ。どう対策しようかなと思って検索しました。換気はこまめにしないとダメみたいです。


■ライブ情報

tricotのワクワク変拍子旅行 2015
2015/04/03(金)名古屋・CLUB QUATTRO
2015/04/09(木)大阪・なんばHatch
2015/04/12(日)札幌・Bessie Hall
2015/04/18(土)東京・Zepp Divercity
2015/04/25(土)広島・ナミキジャンクション
2015/04/26(日)福岡・LIVEHOUSE CB

※その他のライブ情報、詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

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