Chara、愛と、素直と、勇気に満ちた、2年半ぶりのオリジナル・アルバム

Chara | 2015.03.03

 Charaのニュー・アルバム『Secret Garden』は、オリジナル・アルバムとしては、『Cocoon』以来約2年半ぶりのリリースとなる。“子宮"をコンセプトに、彼女自身のセルフ・プロデュースによって制作されたこの作品には、THE NOVEMBERS、韻シストなどをはじめとする、若い世代のミュージシャンたちも参加し、シンプルだが、とても素直でストレートな、現在進行形のCharaが表現されている。

EMTG:ニュー・アルバム『Secret Garden』は、オリジナル・アルバムとしては約2年半ぶりになりますけど、アルバムの全体的なテーマなどはあったのですか?
Chara:曲はけっこう作る人なんで、その中から選んだんですけど、今回意識したのは、ギター・サウンドというよりは、鍵盤で作る曲が多めでいいんじゃないかとは思ってました。その方が私らしいというか、元々鍵盤で曲を作っていた歴史の方が長いので、今回は鍵盤を弾きながら歌える曲が多めになっているかも知れないです。楽器が置いてあれば、私が弾いて、遊んで歌ってそうな感じというか。それと、ソウルが好きなので、よく聴くと、だんだんグルーヴしていく曲があったりとか、そういうものがどっかに感じられるものがいいなとは思ってました。あとは、自宅でのレコーディングで、いろいろ実験してみたいというのもあって、エンジニアの美濃(隆章)くんも、いろいろな実験を引き受けてくれました。「せつなくてごめんね」と「Rainbow」を、“KOE"というブランドのイメージ・ソングとして最初に作ったんですけど、「Rainbow」は姪っ子と歌ってて、「せつなくてごめんね」という曲は、久々に私の自宅でエレピを弾いて、そのまま録ってます。あの歪みがいいでしょ、って(笑)。あと「不器用」という曲も、いわゆるトラック・ダウンという作業をしていなくて、自宅で録ったそのままです。
EMTG:前作『Cocoon』では、ギター・サウンド的な曲もありましたよね。
Chara:『Cocoon』は、多少そういうものもありましたね。でも男が変われば、私の中から出てくるサウンドも変わるという感じで(笑)、今回は、“Chara”としてよりも、本名の私のバランスをもっと出していいなという雰囲気だったから、自然と鍵盤の曲が多くなったという感じです。全体的に優しい雰囲気の曲が多いというか、それは私自体がそういうことなんじゃないかなって。いっぱいいっぱいだとか、“何かを知りたいのよ!"といったギスギスした感じとか、何かを隠しながら強がって生きる、みたいな時代は終わったと(笑)。歳を重ねてくると、人生を折り返してるなっていう思うし、特に女性の場合はこの歳になるといろいろとあって、自分の成長とか、老いとか、心の動きとか、身の周りの世界とか、大切な存在な二人の子供も意識としてあるし、そんなことを考えてる時期でもあって、ちょっと切ない部分もあるから、そういうのが自然に出たんじゃないかな。今回はセルフ・プロデュースなので、より自然に、自分のやりたいことをやったし、私の周りにいてくれる、すごく愛のあるミュージシャンしか関わってもらっていないから、そういう意味では、“売れよう"とか、嫌らしい臭いのしないアルバムです(笑)。
EMTG:『Secret Garden』というアルバム・タイトルは、子宮をイメージしている、ということですが。
Chara:ジャケットは、子宮の中にCharaが立ってて、子宮の女神といったイメージです。女というテーマは、いいなってずっと思っていて、職業欄に“女"って書きたいぐらい(笑)。普段、ミュージシャンの人たちがさらけ出しているメロディとか、響きとかは、本来は秘密のものというか、みんなが内側に隠しているものをさらけ出していて、いかに純粋にそれができるかということが個性になると思っていたので、そういうのって面白いなって思ったし、できていく過程の中で、秘密の音がいっぱい隠されていて、それも面白いな、“シークレット”ってすごく可愛いなって思ったんです。愛って可愛らしいし、メロディは愛だなって思うし、そんな感じが集まってます。
EMTG:全体的に、いい意味でシンプルというか、必要以外の音が入っていないアルバムだなという印象を受けました。
Chara:そうですね。カオスのある曲もあるけど、私のアレンジって、けっこうユニゾンする部分があると思いきや、影に隠れたフレーズというか、そのフレーズを外すとこの曲なんか寂しいね、というものが微妙に織り重なっているんですね。そういう意味ではメロディがあって、そのフレーズが出てくるという、いってみればシンプルな作りにはなっていると思います。
EMTG:今回は、ここ2-3年の間に知り合ったミュージシャンたちとのコラボレーションも増えてきていますね。
Chara:単純に、この曲を誰に演奏してもらおうかって考えた時に、彼らがいいな、って。みんなライヴやレコーディングを一緒にやっているので、私が作ったデモ以上のことを、彼らは必ずやれるということがイメージできるから。THE NOVEMBERSは去年ライヴのサポートもやってもらって、彼らはロック・バンドなので、90年代的なカオスな感じもあるし、80’sも好きなので、私と共通する部分もあるし。あと韻シストは大阪在住の生ヒップ・ホップ・バンドで、彼らや、mabanuaくんなんかもそうだけど、実力も熱意もあって、音楽的に素晴らしい人たちなので、もっと売れていいアーティストたちだと思うし、彼らと一緒にやるのは、若手といえども楽しいです。
EMTG:彼らのような若い世代のミュージシャンたちと一緒にやることで、Charaさん自身も刺激を受けたり、といったことはあるのでしょうか?
Chara:もちろん刺激は受けていると思います。彼らは、元々私のファンだったりしてくれて、THE NOVEMBERSの(小林)祐介なんて、CDと、ミステリアスなアーティスト写真を私に届けてきて(笑)、“小学校の時から好きで、Charaさんに歌ってもらいたいって思って曲を書きました"って書いてあって、そう書いてあると、曲を聴きたくなるじゃん。それで聴いてカッコよかったから、ライヴも行ってみようかっていうことになるし、踏み込んできてくれたら、私も踏み込んでいくし。最初は、“怖っ!"とかあったと思うけど(笑)、お互いに興味があると、やっぱりいい緊張感があるし、もっとカッコいい自分を見せたいとか、いいバランスを出したいと思うのは当然だから、なんか、頑張るんですよ(笑)。それがすごくいいというか。mabanuaくんもそんな感じだったし。
EMTG:今回、歌詞の言葉も、すごくストレートだなって感じました。
Chara:大人になって、ひねくれなくてよくなったというか、今思うと、若い時は、人と同じじゃヤだとか、例えば言葉のチョイスでも超個性的でありたいから、普通の言葉を使うのにちょっと躊躇してしまう部分もあったと思います。もちろんそれで素晴らしい曲もたくさんあるけど、デビューした頃はCharaという存在をまだ知られていないから、レコード会社の人とかも、もっとわかりやすい歌詞にしようとかいう動きもあって、それが徒になって逆方向に行ったりもしてたんですけど(笑)、そういうのも経て、子供も授かったりすると、シンプルな言葉の力強さも知るわけで、たぶんカッコいいじゃんって思うようになってきたんですね。なので、誰でも使えるような言葉も、躊躇なく使えるようになってきました。
EMTG:例えば、“好き”ということを、他のいろいろな言葉を駆使して伝えるよりも、ストレートに“好きです"って言った方が伝わる、みたいな印象というか。
Chara:意外と、素直だからね(笑)。素直がいいですね。時々素直すぎて、“わがまま"というイメージで見られたりもするんですけど、それでいいんだって思うんですよ。自分のアーティスト性を守るのは、自分しかいないわけですから。
EMTG:『Cocoon』の後に、『JEWEL』というセルフ・カヴァー・アルバムが出ましたけど、その時に自分のこれまでの作品とあらためて対峙してみて、それが本作にフィードバックされたようなことはありますか?
Chara:セルフ・カヴァーを実質的にやりたい人なんて、シンガー・ソングライターにはほぼいないだろうし、新しい作品を作りたいわけで、私もそっちだから、最初にレコード会社から話が来た時も、ヤだって断ったんです。でもいろいろと話を聞いていくうちに、いい部分もあるなって思い出して、カッコ悪いセルフ・カヴァーは嫌だから、逆にカッコいいセルフ・カヴァーって何だろうって考えて、やりがいが出てきちゃったんだけど(笑)、いざやってみたら、けっこうたいへんで。ライヴでいっぱい歌ってきているから、あらためてていねいに聴いてみると、あれっ、けっこう歌い方変えているなっていう部分もあって、そこは勉強になりましたね。自分の今の声で、いい感じで伝えられるような気持ちで、でも前のいい部分は変えないで、というのをやってみたのは、いいチャンスだったと思います。中声を育てすぎたので、もうちょっと地声でやってみようとか、そういう意識は変わってきましたね。
EMTG:ではこのアルバムで、リスナーの人に伝えたい思いのようなものはありますか?
Chara:夢はあきらめない、ということと、続けるということは、何でもたいへんだけど、すごく大切なことで、その続ける勇気みたいなものを伝えられたらなって思います。“勇気"という言葉はすごく好きで、今回も「ひかりの匂い」という曲で使っているんですけど、ヒーロー的な意味の勇気だけではなくて、生きる勇気とか、いろいろな意味があると思います。
EMTG:3月下旬から、ツアーも始まります。
Chara:アルバムの曲が中心になると思いますけど、どういう内容にするかは、今悩み中です。ホールでもやりますので、ホールじゃなきゃヤだ、という大人の人もぜひ(笑)。私のライヴに来てくれる人は、年齢層も幅広くて、親子で来てくれる人や、男の子同士や、女子会的な人もいるんですけど、みんなすごくピースフルで、愛が感じられて、やる前から泣いちゃいそうです(笑)。

【取材・文:熊谷美広】

tag一覧 アルバム 女性ボーカル Chara

リリース情報

ILLUMINATE

ILLUMINATE

発売日: 2017年02月08日

価格: ¥ 2,500(本体)+税

レーベル: 日本クラウン

収録曲

01. 2012
02. The Lights
03. 夜の鼓動
04. オーケストラック
05. World Joke
06. Let You Cry, Let You Fly
07. Sing In A Night
08. Two
09. トワイライトシティ
10. キライな君はもういない
11. Don’t let me go
12. The King

ビデオコメント

リリース情報

Secret Garden(初回生産限定盤)[CD+DVD]

Secret Garden(初回生産限定盤)[CD+DVD]

2015年03月04日

Ki/oon Music

[CD]
1. スーパーセンチメンタル
2. 恋は目を閉じて
3. ひかりの匂い
4. Secret Garden
5. hug
6. はちみつ
7. 恋は危険さ
8. ラッキーガール
9. 不器用
10. 愛が素敵なものに惹かれていくだけだよ
11. せつなくてごめんね
(Bonus Track)
12. 恋文
13. Rainbow

[DVD]
1. hug (Music Video)
2. 恋文 (Music Video)
3. せつなくてごめんね(Music Video)
4. Heaven
[from “チャラモバ Limited Chara Debut 23rd Anniversary Live (2014/09/21)]

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お知らせ

■ライブ情報

Chara Concert 2015 - Secret Garden -
2015/03/27(金)NHK大阪ホール(大阪)
2015/03/28(土)NHK大阪ホール(大阪)
2015/03/31(火)Zepp Sapporo(札幌)
2015/04/03(金)日本特殊陶業市民会館(名古屋市民会館中ホール)(愛知)
2015/04/05(日)Zepp Fukuoka(福岡)
2015/04/07(火)倉敷市芸文館(岡山)
2015/04/16(木)中野サンプラザホール(東京)

※その他のライブ情報、詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

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