BURNOUT SYNDROMES、メロディと言葉の美しき融和『文學少女』

BURNOUT SYNDROMES | 2015.05.15

 関西在住のBURNOUT SYNDROMESが5月13日にミニアルバム『文學少女』をリリースした。メンバーは小・中学の同級生同士。まだ23歳と若いが、すでにこのバンドでの活動は10年におよぶ。マイペースながら、ここ数年ライブ・イベントへの出演も増え、急激にシーンでの注目が集まってきたバンドだ。
 2枚目の全国流通盤となる今作は、そのタイトルどおり、ボーカル熊谷和海が紡ぐ繊細な言葉づかいが印象的な文学ロック。なぜ、彼らはこんなにも強く言葉へのこだわりを見せるのか?メンバー3人にメールインタビューに答えてもらった。
 その回答からはボーカル熊谷和海の文学青年らしい佇まいが垣間見られる。

EMTG:BURNOUT SYNDROMESの音楽には、たとえばASIAN KUNG-FU GENERATION、BUMP OF CHICKEN、ACIDMANなど、日本語を大切にする00年代のロックバンドを彷彿とさせます。どんなアーティストの影響を受けてきましたか?
熊谷和海(G・Vo):中高生の頃はASIAN KUNG-FU GENERATIONが持つ言葉の強さに励まされてきました。
石川大裕(B):僕は相対性理論が大好きです。歌声と歌詞とメロディがあいまって唯一無二なバンドである点に惹かれています。
EMTG:バンド名を訳すと“燃え尽き症候群”ですが、この名前の理由は?
石川:CDショップでBUMP OF CHICKENの横に並べてほしかったからです(笑)。
EMTG:前作の『世界一美しい世界一美しい世界』(2014年)が初の全国流通盤でした。それが多くのリスナーに届いたという手応えは感じていますか?
廣瀬拓哉(Dr):徐々に浸透している感覚はありますが、僕たちの曲は複雑で難解なのものも多いので、聴いてくれた方が自分なりの解釈をするのに時間がかかると思います。そのぶん昨年のワンマンライブではリスナーの方が聴き込んでくれてる感じがして、とても嬉しく思いました。
石川:『世界一美しい世界一美しい世界』は僕らの名刺のようなCDでしたが、今回5月にリリースする『文學少女』はより濃くBURNOUT SYNDROMESっぽさが表れています。今まで以上にバーンアウトを知ってもらえるかと思います。
EMTG:今回のミニアルバム『文學少女』ではどんなことを伝えたいと思いますか?
熊谷:今回の作品では日本語の持つ美しさとメロディの融和を突き詰めたものを作りたいと思いました。詞の内容に沿って展開する曲調に、本来音楽の持つ演劇的な要素を感じてくれれば嬉しいです。
石川:世の中に素晴らしい歌は沢山あるけど、BURNOUT SYNDROMESの熊谷和海にしか作れない歌が絶対にあると僕は思っています。その歌を音楽を伝えたいです。
EMTG:音楽プロデューサーには、いしわたり淳治さんが参加しています。いしわたりさんは、作品にどんな影響を与えてくれましたか?
熊谷:いしわたりさんは常に「受け手がどう感じるか」という一点を最重要視しており、ものを作るときに生まれがちな「作り手にしか分からないこだわり」には決して固執しないように心がけている、そんな印象を持ちました。我々の最終目標は受け手に“良い”と感じてもらう事であり、それ以外のパーソナルな事情は持ち込まないようにする、といった潔さ、プロフェッショナルな姿勢を感じ、とても刺激をうけました。
EMTG:タイトル曲でもある1曲目の「文學少女」には、様々な文学作品やその一節が登場します。この作品で描きたかった想いは何ですか?
熊谷:辛いことや悲しいことも後になって振り返れば、それは自分を形作るルールのようなもの、即ち自分だけの文学になっていると気づくものです。だから逃げ出したり投げ出したりせず、最後まで戦い抜くことが、その結果に関わらず未来の自分の糧となると思います。そんなメッセージで、いま現在悲しいことや辛いとと戦っている人を勇気づけられれば良いと思って書きました。この曲はもともと何年も前に一度作っていたのですが、良い歌詞が浮かばずずっと悩んでいました。アルバムのテーマを「文学」にすると決めたときに、それをそのまま歌詞にすることを思いつき、書き上げたものです。
EMTG:一方、5曲目の「数學少女」は、「文學少女」とは対比にある存在のように思いました。《数學と文學と音樂の調和》という歌詞にも哲学めいた世界観を感じます。この曲について解説していただけますか?
熊谷:僕が曲を作る際、「こういったテンポチェンジは面白いのではないか」「この転調を使いたい」といったような、およそ感情的なものではない、言うなれば数学的な衝動をきっかけとすることが多いです。この「数學少女」も「円周率を歌にしたい」という前提があります。この僕なりの始点と、前述した「日本語とメロディの融和」を突き詰めたものがこのアルバムだと思っており、それを象徴するオープニング的楽曲として(「文學少女」は)制作しました。歌詞には3と書いてBURNOUTSYNDROMESと読む箇所がありますが、それは僕達が3ピースバンドであり、また僕達が円周率として、聴いてくれた人が円になるための媒介になることが出来れば良いという思いを込めています。
EMTG:先ほどから出てくるように、数学、文学を「學」、音楽を「樂」という旧字で書くことはこだわりですか?
熊谷:僕個人、格調高いものや言葉が好きで、このアルバムに関しては何となくそんなイメージがほしかったので、しっかりした学問としての“學”という漢字を使っています。
EMTG:7曲目の「或るK大生の死」は、若くして自殺した文豪の最期を描いた歌というふうに感じましたが、実際のモデルはいるのですか?
熊谷:モデルと言うよりは「僕自身が音楽もせず大学に進学していたらこうなっていただろう」というイメージです。僕は中学高校と進学校に通っておりましたが、思うことが沢山ありました。その一生を勉学に費やし、やりたくもない仕事を必死になって獲得し、雇用制度の変化に怯えながらその生涯を終えていく…しかしそれこそが現代の社会が掲げる理想であり、そしてそれは僕には酷く暗い、土の中の「安定」のようなものに思えてしまいました。それならば死ぬことになったとしても、輝く「今」を追い求めるべきではないか、という曲です。なのでこの曲において「死」は暗い、敗北者のそれではなく「勝利」そのものなので、曲調は明るく、サビに向かってテンポアップしていくことがこの曲における「音楽と詞の調和」ではないかと思いました。
EMTG:少し抽象的な質問ですが、BURNOUTSYNDROMESにとって音楽における言葉=詞とは何でしょうか?
熊谷:書き手のイメージを聴き手が共有するためのものだと思います。僕の思う美しい風景や美しい心情などを出来る限りそのまま感じてほしいと思いながら、一語一語慎重に選びました。
石川:歌詞は「人が歌を好きになる理由」だと思います。
EMTG:この作品を聴いた人はぜひライブにも足を運んでほしいと思います。BURNOUTSYNDROMESの普段どんなライブを行なっていますか?
石川:僕は自分達のことを、一曲一曲それぞれに意味があっておもしろいバンドだと思っています。なので、ライブでは全曲大切に演奏したいです。
EMTG:最後の質問です。『文學少女』という作品から、熊谷さんが非常に読書家であるように感じました。特に好きな作家や作品を教えてください。
熊谷:村上龍さんの作品全般が好きです。彼の作品の主人公はどれも毅然として気高く、時に冷酷で自己中心的です。そんな誰よりもわがままで人間的な主人公が、わがままに社会や道徳や運命と戦う姿は僕達に辛い人生と戦う勇気をくれます。彼らの戦いは情熱的ですが、作品の文体そのものはとても冷徹で容赦なく、それがとても魅力的な世界観を作っています。弱い自分を吹き飛ばしたい人にお勧めです。 現代作家だと、時雨沢恵一さんが好きです。時雨沢さんの『キノの旅』というライトノベルは、ライトノベルらしからぬ社会風刺や暗いテーマが盛り込まれており、それを独特な視点で小説へと昇華しています。ショートSFの神様と呼ばれた星新一さんを彷彿とさせる、斬新な展開や予想を裏切るオチが魅力です。短編集で、あえて童話風に易しい文体で書いてあるのであまり本を読まない方にも楽しんでもらえると思います。

【質問作成・文:秦理絵】

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リリース情報

文學少女

文學少女

2015年05月13日

Handmade Music

1. 文學少女
2. セツナヒコウキ
3. ザ・ワールド・イズ・マイン
4. こどものじかん
5. 数學少女
6. 100万回のアイ・ラヴ・ユー
7. 或るK大生の死
8. 月光サンタクロース

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お知らせ

■ライブ情報

【インストアライブ】
2015/05/16(土)タワーレコード難波店 21:00~
2015/05/23(土)タワーレコード名古屋パルコ店 16:00 ~
2015/06/01(月)タワーレコード新宿店 21:00~

SAKAE SP-RING 2015
2015/06/06(土)【名古屋】オムニバスライブサーキット

VINTAGE LEAGUE TOUR 2015 初夏
2015/06/07(日)【福岡】Queblick

OTOEMON TOUR 2015
2015/06/19(金)【大阪】心斎橋DROP
(act)Suck a Stew Dry /GLIM SPANKY / ユビキタス / BURNOUT SYNDROMES
2015/06/24(水)【名古屋】新栄CLUB ROCK’N’ROLL
(act)QOOLAND / the unknown forecast / ユビキタス / BURNOUT SYNDROMES
2015/07/03(金)【東京】新代田 LIVE HOUSE FEVER
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UMK SEAGAIA JamNight 2015
2015/07/26(日)【宮崎】シーガイアスクエア1
(act)きゃりーぱみゅぱみゅ / miwa / HY / ゴールデンボンバー / C&K / BURNOUT SYNDROMES
(O.A.) TEMPURA KIDZ、三戸なつめ

TREASURE05X ~ summer triangle ~
2015/08/16(日)【名古屋】ELL/ell.FITS ALL/ell.SIZE

※その他のライブ情報、詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

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