武道館公演も決定しているパスピエの4thシングル「裏の裏」インタビュー

パスピエ | 2015.07.27

 アニメ『境界のRINNE』のエンディングテーマ「トキノワ」に続き、今回の「裏の裏」は同作のオープニングテーマ。煌びやかに高鳴るサウンド、力強いビート、印象的なワードがダイナミックに一体化したナンバーだ。リスナーの想像力を刺激する謎かけのようなイメージが連鎖する展開が楽しい。印象的なモチーフを軸に瑞々しいメロディを浮き彫りにする「かざぐるま」。PIZZICATO FIVE のカバー「スパイ対スパイ」。カップリングの2曲も最高の仕上がりとなった。各地の夏フェスへの出演、秋の全国ツアー、そして12月22日には初の日本武道館ワンマン公演……今年後半に向かって精力的な活動を繰り広げるパスピエの熱い想いも感じる本作について、成田ハネダ(Key)と大胡田なつき(Vo)が語る。

EMTG:「トキノワ」は『境界のRINNE』のエンディングテーマでしたが、今回の「裏の裏」はオープニングテーマですね。
成田:そうなんです。「トキノワ」の流れも汲みつつ、「自分たちがオープニングをやるならどういうものかな?」ということを考えました。あと、このアニメは夕方に放送されていますけど、落ち着いた時間帯だと思うんです。その時間に合わせて落ち着いた曲にするのか、刺激的なものにするのか? その点も考えました。そして、刺激的な方向性で作ってみたのが「裏の裏」です。
EMTG:シンセのファンファーレのような印象的なフレーズがあったり、ダンサブルなビートが盛り込まれていたり。DJが曲を繋いでフロアをピークに持っていくような感じのダイナミックな展開を遂げるのが楽しいです。
成田:守りに入るというよりも攻めた姿勢で作ってみました。僕、パッション・ピットというアメリカのバンドが好きで。フレーズをぶった切って作り上げていく曲があるんですけど、そういうような手法をいつか形にしたいと思っていたんです。
EMTG:大胡田さんはどのようなことを考えつつ制作に取り組みましたか?
大胡田:聴いていて心地よい、言葉のリズムを活かす歌詞にしたいと思っていました。あと、「裏の裏」っていうのがあったので対になっている反対の意味の言葉を入れたり、《踊れや歌えや》みたいな似たような言葉を繰り返して入れることも意識しましたね。
EMTG:「裏の裏」っていうキーワードは、どういう経緯で出てきたんですか?
大胡田:成田さんがサビの最後のキメのところを、《ウラのウラ》にしたいって言ったんです。
成田:「こういうテーマで、広げてくれないか?」って提案して膨らませてもらったことは、今までもあるんですよ。今回はまさにそういう作り方でしたね。
EMTG:「裏の裏」って面白いイメージですよね。裏の裏=表と素直に考えることもできるけど、裏を通った上で戻った表はただの表じゃない気もするし……っていう。
成田:例えば僕らミュージシャンにとって表とは、曲を出したりステージに立つということだけど、それ以外の活動もあるわけじゃないですか。あと、今こうしてお話していること=表ですけど、その裏では「次に何を話そうかな?」とか考えているわけだし。だから表って、いろんな裏が組み合わさって成り立っているものでもあると思うんですよね。僕らが今回攻めたスタンスで曲を作ったというのもそういうことで。それは「もう昔のパスピエじゃないよ」っていうことではないし、曲自体にいろんな伏線を張り巡らせていたりもするんです。そういうことを端的に言い表す言葉として出てきたのが「裏の裏」だったんですよね。
EMTG:「裏の裏」って図形的イメージが湧く言葉なのもパスピエらしいと思いました。裏にいたはずがいつの間にか表に戻っていくメビウスの輪っぽいイメージが湧くので。大胡田さんの絵は図形的な要素がよく入るし、「△」っていう曲もあるし、図形は好きですよね?
大胡田:好きです(笑)。図形って単純なビジュアルだから、意味があるようでないような感じがあるじゃないですか。目から入って、いろんな想像ができるのが図形なんですよね。それはパスピエの曲にも通じるものがあるのかなと思います。
成田:僕と大胡田は、「この曲ってこういう曲だよ」っていう固定したものを作りたくなくて。そういう点でも図形的なイメージってマッチしているのかもしれないですね。
EMTG:「裏の裏」っていうイメージ、いろいろな面でパスピエの本質を言い表しているような感じがするんですよ。
成田:僕らは正統派ロックではないと思っていますからね。元々はニューウェイヴっぽい音楽であり、大胡田の特徴的な声もありますし。「正統派の音楽に対してどう変化球を投げるのか?」っていうことでやってきたんですけど、そういう僕らがアニメのオープニングをやらせて頂くって、「表に出て行くこと」でもあると思うんですよ。それは嬉しいことであると同時に「これからどうやって見せていけばいいんだろう?」っていうことでもあって。そんな想いもあって、最後の部分を《ウラのウラのウラ》にしてもらったりもしています。
EMTG:《ウラのウラ》=表と考えるならば、「あれ? 最後の最後でまた裏に戻っちゃった?」っていう曲になっているんですよね。
成田:はい(笑)。「どんなに表に行ったとしても、僕らのスタンスは昔からずっと変わってないよ」っていうことを伝えたくて。だから最後に裏にひっくり返しました。
EMTG:あと、やっぱり「裏の裏」の醍醐味はこのサウンドですよ。緻密にいろんなフレーズが絡まって構築されているアンサンブルの威力がものすごいです。こういうサウンドに包まれて歌うって、何とも言えない感覚でしょうね。
大胡田:バンドの音に気持ちも身体もふわっと持ち上げられているような感覚になることがたまにあって。今まではあんまりなかったんですけど、この前の『印象D』の3ヶ所でそういうのを感じました。そうなった時はいい気分ですよ。
成田:この曲、実は原形がインディーデビュー前からあったんです。「それを今のパスピエだったらどうアレンジできるかな?」って作っていったのが今回の形ですね。パスピエってどんどんクラシック的な見せ方になっている部分もあって。曲を構成している要素がブロックとしてあるのではなくて、旋律と旋律が組み合わさってコードになったりするやり方なんですよ。だからこの曲、EDMっぽい感じもありつつ、クラシック的な部分も表現できたかなと思っています。
EMTG:原形がそんな昔からあったというのは予想外です。
成田:今回「パスピエらしさ」っていうものをテーマとして『境界のRINNE』の制作サイドから頂いたのが嬉しくて。でも、そういう部分を持ちつつも、さらに進んで行こうとしている自分たちを出すためにはどうしたらいいか? それを考えた時に、自分たちの源流とも言うべきその頃のものを形にするのが良いと思ったんですよね。
EMTG:なるほど。では、2曲目「かざぐるま」のお話に移りましょう。
成田:これはバラードですけど、展開も含めて楽しんで頂ける曲じゃないかと思います。
EMTG:起伏に富んだ構成が刺激的です。バラードに「刺激的」っていう言葉を使うのも変な気分ですけど(笑)。
成田:久々にこういうのをやったのかも(笑)。あと、これ、もしかしたら初めてのサビ始まりの曲かもしれない。
大胡田:そうかもしれない。初めてなのかどうかは断言できないけど(笑)。
EMTG:いい曲ですよ。今生の別れを自然の摂理として受け入れつつも、それでもやはり悲しくて寂しいと感じざるを得ない……という想いを描いている曲として受け止めたんですけど。
大胡田:これはまさにそういう曲です。父親が前から「かざぐるま」というタイトルで曲を書いて欲しいということを私に言っていたんですよ。私はここ1、2年で身内のお別れがあったので、そういう個人的なことではあるんですけど、みなさんが経験することでもあるんじゃないですかね。
EMTG:お父様が「かざぐるま」というタイトルで曲を書いて欲しいとおっしゃった理由は?
大胡田:分からないんですけど。私が都会に行って、歌を歌っているので、昔、田舎にいた時のことも思い出して曲を書いて欲しいっていうことじゃないかなと思っています。
EMTG:曲を聴いて、すごく大胡田さんの姿が思い浮かぶ曲なのも、そういう背景だからなのかも。
大胡田:ここまで個人的な曲も初めてなのかもしれないですね。そういう曲を出すことに関してちょっと考えたんですけど、やっぱりこれは聴いて欲しいなと思いました。
EMTG:そして、3曲目の「スパイ対スパイ」は、PIZZICATO FIVEのカバーですね。
成田:はい。「裏の裏」と「かざぐるま」って、映像とリンクしているイメージの曲だと思っていて。「スパイ対スパイ」が収録されているアルバム(1989年リリースの『女王陛下のピチカート・ファイヴ-ON HER MAJESTY’S REQUEST-』)って、「PIZZICATO FIVEが映画の音楽をやったら?」っていう架空のサウンドトラック的な作品なんですよ。そういう点でも今回のシングルに合っているなと。あと、「スパイ対スパイ」っていう字面が「裏の裏」と合っていると感じたのも、この曲をカバーすることになった理由です。バンドマンって自分の生き様をさらけ出す部分があると思うんですけど、サウンドトラック的な曲ってそういうものの真逆じゃないですか。ある意味、演じているわけですから。そういう点もいろいろ発見がありました。
EMTG:途中に語りが入っているのが新鮮でした。
大胡田:語りが入る曲ってパスピエでは出ないと思っていたので、この曲は私にとっても独特な体験でした。楽しかったです。今後のパスピエで、こういうのはあるんでしょうか?
成田:大胡田次第ですよ(笑)。
大胡田:そうなんですか(笑)。
EMTG:(笑)ソングライティングって、いろんな切り口があるんですね。
成田:そうなんですよ。僕らは顔を出していない分、自分たちの内側を見せることに意識が向いていたんです。でも、「スパイ対スパイ」みたいな見せ方もあるんですよね。こういう手法で面白く見せることもできるなというのを、この曲をカバーすることで感じました。
EMTG:さて。このシングルを出した後は夏フェスがあって、秋のツアーもあり、今年後半に向けてお楽しみが続きますね。そして、12月22日には初の日本武道館。武道館に関して、どんなことを想像しています?
成田:お客さんの視線で観てきた場所なので、それをステージに置き換えるっていうのは、まだなかなかできないですね。見下ろしていた場所を見上げるわけですから。いろんな面で自分の転換期になるんじゃないかと思います。
大胡田:私も武道館までにいろいろ考えないと。いいライブができるように頑張ります。

【取材・文:田中 大】




パスピエ - 裏の裏(ティザー動画), PASSEPIED - Ura no Ura(Teaser Movie)

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リリース情報

レモンパイ

レモンパイ

発売日: 2018年10月03日

価格: ¥ 1,000(本体)+税

レーベル: TALTO/murffin discs

収録曲

1.レモンパイ
2.OKKAKE
3.MAR-Z(2018.04.19渋谷club QUATTRO公演)
4.MUSIC(2018.04.19渋谷club QUATTRO公演)
5.クールな女(2018.04.19渋谷club QUATTRO公演)
6.幸せやそれに似たもの(2018.04.19渋谷club QUATTRO公演)

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リリース情報

裏の裏(初回限定盤)[2CD]

裏の裏(初回限定盤)[2CD]

2015年07月29日

ワーナーミュージックジャパン

DISC-1(CD)
M1. 裏の裏
M2. かざぐるま
M3. スパイ対スパイ

DISC-2(CD)
※初回限定盤のみ付属のボーナスディスク
パスピエ自主企画「印象D」のライブ音源を収録予定(詳細はHP等にて後日発表します)

お知らせ

■マイ検索ワード

●成田ハネダ(Key)
除湿器 仕組み

梅雨の時期、洗濯物を外に干せないので、除湿器を買ったんですけど、「なんでスイッチを押すと、どんどん水がたまるんだろう?」と思って調べました。2タイプの仕組みがあるみたいです。

●大胡田なつき(Vo)
BLUE REMIX

青い色素をすごくいっぱい体に摂り入れて、透明な箱の中に座るパフォーマンスです。涙とか鼻水とか汗とか、いろんな体液が青い色になるっていうのを長時間やり続けるんですよ。


■ライブ情報

パスピエ TOUR 2015
2015/11/04(水)仙台Rensa
2015/11/06(金)新潟LOTS
2015/11/11(水)高松オリーブホール
2015/11/13(金)広島CLUB QUATTRO
2015/11/14(土)福岡DRUM LOGOS
2015/11/16(月)鹿児島CAPARVO HALL
2015/11/21(土)大阪Zepp Namba(OSAKA)
2015/11/22(日)名古屋Zepp Nagoya
2015/11/26(木)札幌PENNY LANE 24

パスピエ 日本武道館 単独公演
2015/12/22(火)東京・日本武道館

<EMTGチケット先行受付中!>
上記公演のチケット先行受付がスタート。
この機会に是非ご利用ください!
受付期間: 8月3日(月)14:00まで



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