テスラは泣かない。、“覚醒”の2ndアルバム『ジョハリの窓』誕生

テスラは泣かない。 | 2015.08.21

 覚悟が覚醒を呼んだ。

 環境の変化を受け入れるためには、覚悟がいる。それまでの自分をリセットする必要があるからだ。
 昨年デビューした鹿児島出身の「テスラは泣かない。」。鹿児島から全国区へ――この環境の変化は、彼らに約1年かけて“強い覚悟”をもたらした。
 そしてこの覚悟は、彼らを覚醒させ、さらにバンドを進化させようとしている。

 テスラは泣かない。のセカンドフルアルバムが完成した。タイトルは『ジョハリの窓』。
 キーパーソンである村上学(Vo.G)へのインタビューは、如実に増えた楽曲バリエーションについて、プロデューサー・片寄明人(GRAET3、Chocolat & Akito)のアイデアに「目から鱗が落ちた」(村上)と言うコーラスの新境地について、アレンジ面、さらに1曲ずつのイメージについてなど、60分をフルに使った多彩&濃密なものだったが、この原稿では“覚悟と覚醒”についてじっくりお届けしたい。

 覚悟し覚醒した人間のしぶとさが、きっと彼らの次の窓を開ける。

EMTG:『ジョハリの窓』は、これまでの作品と比べ、明らかな変化を感じました。ご自身はその実感あります?
村上:あります、あります。前作の『ONE』(2015年3月発売。ミニアルバム)が、テスラは泣かない。が、これまで前面に打ち出してきた音楽性のひとつの集大成だったと思うんですね。
EMTG:例えば、ピアノのリフレイン、エモーショナルなボーカル、激情型ロック……に代表されるような音楽性。
村上:そうです。だから次は別のことにトライして、もっと違う世界に行きたいなと思ったんです。
EMTG:なるほど。そう思った理由は?
村上:デビュー以降、全国ツアーをして、いろんなイベントに出たりして。それこそ、鹿児島とは比べものにならないくらいいろんなバンドがいて、そこには、今の日本の音楽シーン、ロックシーンがあって……。
EMTG:今の音楽シーンを目の当たりにした、実感したということですね。強く感じることがあったのでは?
村上:はい。………今の音楽シーンで、多くの人の心を捉えている音楽があって。そこは素直に、すごいなこの人たちとも思うんです。でも、そういう音楽の中に、僕の好きな音楽の要素を見出すことが出来なかった。それから、僕たちが “この音楽だったら人の心を掴むだろう”って思ってたものが、そうじゃないって瞬間もたくさんあって。正直、もう、本当にどうしたらいいか、わかんなくなっちゃったんです。だったら、何も考えずに、自分たちが好きなものを出そう、と。それで招かれた未来なら、素直に受け止められると思ったんです。 “何が好きで音楽始めたんだっけ? 何がしたくて東京に出てきたんだっけ?”ってところに、もう1度立ち戻ってやろう、と。自分にも自分たちの音楽にも嘘を付かずにやろうと思ったんです。
EMTG:その経験は、新作『ジョハリの窓』の制作に、どういう形になって表れました?
村上:楽曲制作に対する姿勢が変わりましたね。自分たちの音楽に、僕ら自身がちゃんと心を掴まれているかってところを強く意識するようになりました。そしたら、これまで自分が好きで聴いてきた、違ったジャンルの音楽が、いろいろ出てきたなぁ、と。歌ものだったり、すごくポップなものだったり。前は、そういう自分のいろんなルーツを出すことは、テスラではないんじゃないかなって思ってたけど、今ならテスラは泣かない。の音に出来ると思ったんです。昨年、今年とアルバム、ミニアルバムを出したのが、この自信につながったんだと思います。
EMTG:わかりました。次は歌詞の話を。言葉の選び方が変わったなと思ったんです。単語として、とにかくわかりやすい言葉を選んでいるな、と。
村上:本当ですか? それは嬉しいです。全曲通してそう思ってもらえました?
EMTG:はい。前は、歌詞を読まないとわからなかった。眼で意味を追う感じ。だけど今は耳だけでわかる。
村上:あぁすごく嬉しいです。確かに難しい言葉、使わなくなりました。でも、何でだろう?
EMTG:(笑)それを今考えてもらいたくて、こうしてお話を伺っているわけです。
村上:(笑)。やっぱり、歌詞にしても、伝わってないなって思うことが何度もあって。毎回、すごくショックを受けて。その繰り返しで、どんどんわかりやすく……相手がイメージできるものを……ってなっていきましたね。難しい言葉が出ちゃうと、聴いている人がそこで意味を考えちゃう。そうするとそこでイメージが止まっちゃう。聴いてイメージができる言葉で、難しくない言葉で書こうっていうのは、ずっとありましたね。
EMTG:歌詞の中の英語が減ったのも、それが理由?
村上:英語が? ホントですか?
EMTG:そう思いますよ。しかも、英語が出てきても、良くわかる中学英語のようなシンプルさになった。
村上:あぁ、確かに。ほんと、そうですね! 今、初めて指摘されましたけど、確かにそうだぁ~。
EMTG:良く聴きこんでるでしょ、私(笑)。
村上:ほんっと、聴いてますね。あ、いや、ありがとうございます(笑)。
EMTG:何度も聴きたくなるアルバムだと、いち音楽リスナーが証明してるということで。話を戻して。英語について“今気が付いた”ってことは、自然に減ってった?
村上:そうですね。あと多分、さっき言った“自分に嘘を付かない”ってところが出たんじゃないか、と。
EMTG:というと?
村上:自分は、そんなに英語をしゃべるキャラじゃないから、そこが出たんだと思います(一同笑)。
EMTG:はははは(笑)。つまり、歌詞に村上くんのキャラが出てると。他には、例えばどんなところに出てるの?
村上:例えば「Let me know」の“怖がらないでくれよ”とか“君のせいじゃないさ”とか……なんかちょっと弱気な……そういう人なんです。
EMTG:ははは(笑)。でもまぁ、確かに歌詞は相手に最終判断を委ねてますね。
村上:“君のせいじゃないさ”……って思ってて欲しいんだけど、自分では責任を持てないところもあるっていうか。僕が書いて僕が歌ってるんだったら、ここで“君のせいじゃないさ”って言っているのも僕だろう、と思って。なので、こういう言い方になりました。もしかしたら、人の心を強く掴むのは“怖がるなよ”とか“君のせいじゃないんだ”って断定かもしれない。人が憧れるロックスターもそうだと思うんです。でもそれを今の僕がやっちゃうと、嘘になる。わからないですよ、将来的にはそういう風に変わっていくかもしれないけど(笑)、今の28歳の僕は、そこまでじゃない。だから“君のせいじゃないさ”の方が、嘘なく歌えるし、歌ってて気持ちもちゃんと入るんですよね。
EMTG:断定とか、言葉そのものの強さじゃなく、自分が歌う時に、より感情を強く出せるものを選んだ。
村上:そうですね。ライヴで“今、あなたの目に映っているのが僕です”って、ちゃんと責任を持ちたいと思っていて。最初の方の話に戻っちゃう部分もあるんですけど、デビューしてから、それまで以上にいろんなアウェイを経験する中で、自分に嘘をつかずにやることが本当に大事だってわかったんですよね。“こうやったら、こうなるだろう”みたいに考えることって、すごくひとりよがりで、実際、合ってないことも多かった(笑)。そこに惑わされて、ライヴの瞬間、瞬間を楽しめない自分もいたし。毎回、ライヴ終わった後映像をチェックするんですけど、その時、自分のことを“何やってるんだ”って思いたくない。これまではそう思うこともあって、それが嫌だったんです。すごく落ちこんだし、そんなの、お客さんにも失礼だと思ったし。だって僕、“踊ろうぜ~”なんて、率先して言う人間じゃないですもん。
EMTG:!! ここで、それ、言う? でも嘘じゃないんじゃない? ライヴのきっかけのひとつだとは思わない?
村上:んー、本当に踊りたいと思ってくれたなら、きっかけなんていらないんですよね。僕も、本当に心から“踊ろうぜ!”って思ったら、そう叫ぶし。逆に、僕自身も本当にひとつになりたいって思った時に、“ひとつになろうぜ”って言えなきゃダメなんですよね。そうじゃないと嘘になる。だから、心の底からそう思えるようになりたいし。でもそのためには、まず自分たちをそこまで持っていかなくちゃダメなんですよね。でも、絶対にもっていける……『ジョハリの窓』は、そういうアルバムになったと思ってます」

【取材・文:伊藤亜希】

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ビデオコメント

リリース情報

ジョハリの窓

ジョハリの窓

2015年08月26日

ユニバーサル ミュージック

1. Oh my God!
2. 世界が瞬きしている間に
3. Let me know
4. サラバ
5. Sunday night sunny
6. ワンダーランダー
7. 太陽
8. さなぎ
9. サバイバー
10. Tonight
11. セントロメア

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お知らせ

■ライブ情報

「ジョハリの窓」リリース記念フリーライブ “アミュラン2周分、いや、もっと演ります。”
2015/09/20(日)鹿児島中央駅前 AMU広場
※観覧フリー

「ジョハリの窓」release tour 2015-2016 “感電” -大変危険ですので真似しないでください-
2015/10/25(日) 東京・shibuya eggman
《ゲストあり》
2015/10/26(月)宮城・仙台 enn 2nd
w/オワリカラ / アンテナ
2015/11/27(金) 兵庫・神戸 MUSIC ZOO KOBE 太陽と虎
《ゲストあり》
2015/11/28(土) 岡山・ PEPPERLAND
《ゲストあり》
2015/12/22(火) 鹿児島・CAPARVO HALL
《ONE-MAN LIVE》
~FINAL SERIES~
2016/01/30(土) 大阪・LIVE SQUARE 2nd LINE
《ゲストあり》
2016/01/31(日) 名古屋・池下 CLUB UPSET
《ゲストあり》
2016/02/13(土) 東京・shibuya eggman
《ONE-MAN LIVE》

※その他のライブ情報、詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

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