女の子の気持ちを代弁した片平里菜の新作「誰にだってシンデレラストーリー」

片平里菜 | 2015.09.07

EMTG:女の子のアルアルがつまっている曲ですね。どのように発想したものでしたか?
片平:「女の子は泣かない」という曲がきっかけで、同世代や中高生の女の子たちがたくさん聴いてくれるようになったので、ここでもう一発響くようなものを作ってみたいなと(笑)。タイトルも含めて1コーラスほどできていたこの曲を、ストックから引っ張り出してきました。
EMTG:最初にそれを作ったのは?
片平:1年ほど前です。もともとはけっこうファンタジックな内容だったんですけど、今回仕上げるときには、歌詞を現代の女の子に寄り添うカタチにしていきました。
EMTG:「ショーウィンドウに映っているのは 田舎者の冴えないわたし」というところは、思わず私のことだ! と思いました(笑)。
片平:デビュー前は私もバイトしながら福島と東京を行き来して活動してたので、本当にすべてを音楽につぎ込む日々で、他の子たちのように遊んだりオシャレしたりってことがなかったですね。全然垢抜けない子でした(苦笑)。
EMTG:「陰口ばかり 友達なのに」なんてところは、人々が悩む現代の交友関係事情を物語ってもいます。
片平:カタチは違いますが、私が中高生だった頃もそういうことはあったので、やっぱり見過ごせないところだなと。最近はLINEなどもあるから、昔よりさらに面倒になってるのかもしれないですね。
EMTG:片平さんご自身は、そういった悩みからは抜けている感じですか?
片平:当時よりは抜けてると思います。ただ、コンプレックスみたいなものは今でもありますよ。先日、一緒に街を歩いていた友だちが、ミランダ・カーのポスターを見て、「こういう顔になりたい!」と言ってたんですけど、その気持ち、すごくわかります(笑)。でも、なれないものにはなれないじゃない。何かと比較して戦ってもしかたないと思うんです。それより、ただひたすら自分を磨くほうが、それこそ美しいなと。そっちに気持ちを切り替えるようにしてますね。
EMTG:デビュー時にお目にかかる機会があって、今回が2度目ですが、どんどんきれいになられてる。それもとても自然に。
片平:ありがとうございます。10代の頃って大人になりたくて、ヘンに着飾ったりしてしまうじゃないですか。でも、私は音楽に忙しくてそういうことがまったくなかった(苦笑)。だから本当にそのまま、背伸びすることなく自然に大人になれている気がします。
EMTG:今回のサウンドも素敵ですね。特にAメロ。歌詞に呼応したギターやバイオリンのコケティッシュなフレーズが面白くて。
片平:あれ、いいですよね。なんか予想外の展開で、とても気に入ってます。
EMTG:アレンジャーさんにはトータルとしてどんなリクエストを?
片平:トラディショナルなテイストを大事にしたポップさみたいなところをいろいろとお話させていただきました。まさにそういう仕上がり。たとえば弦にしても、ただ盛り上げるだけじゃなくて、サビメロを追いかけたりしてるのがすごくカントリーっぽいし、さっき出たようにAメロも面白い。そういうところがいいアクセントになってますね。王道ポップだけど型にハマってないという感じ。
EMTG:イントロやエンディングのマリンバの音も印象的です。
片平:王道ということならウインドチャイムが入るのが順当だし、それで一気にキラキラ感も出る。でも、歌詞が女の子の悩みだったりするので、そこに頼りたくないと思い、禁止させてもらいました(笑)。それ以外の楽器でハズむ感じを出すなかで、マリンバが登場したんだと思います。
EMTG:なるほど。あのハズんだやわらかさが、歌詞には似合っているのですね。片平さんはシンデレラストーリーをつかんだ人と見る人も多いと思うのですが。
片平:外側から見るとそうかもしれませんね。自分としてはここまで何年もかけてコツコツ積み上げてきた感じがあるし、まだまだだなぁとも思ってるんです。
EMTG:「誰にだってシンデレラストーリー」はあるけど、それを手にするもしないも結局は自分次第なのかも。
片平:そうですね。世の中には本当のラッキーガールもいると思うんですけど、私の場合はやっぱりコツコツの連続だったかなと。
EMTG:デビュー2年ちょっとが経ちましたが、何かターニング・ポイントのようなことはありましたか?
片平:さきほどと重複しちゃうんですけど、やっぱり去年リリースした「女の子は泣かない」ですね。あれで新規に好きになってくれる方が今でもたくさんいて、SNS上とかの反応も大きいんです。この春やった弾き語りツアーでも、同世代や中高生の女の子ファンが増えてるなぁと実感しました。アーティストとして、同性のお客さんがついてくれるというのは非常に心強いことなので、その人たちを離したくないなという気持ちにもすごくなりました(笑)。だから今回も、その人たちに刺さる曲が書きたいなと思ったんです。間口を広げるためにポップにはしたんですけど。
EMTG:なるほど。動機としてやはりそこが大きかったわけですね。
片平:実は「女の子は泣かない」は、なんとはなしに深夜ポロンと作った曲で、私自身としては最初全然乗り気じゃなかったんです。
EMTG:そうなんですか!
片平:でも、スタッフさんたちが「これいいね」と言ってくれて、で、ライブで1回やったらお客さんの反応がすごくよかった。私にしてみたら、曲が勝手に一人歩きしていったという感覚だったんです。でもその後、そんなにも愛されている曲なんだと知るにつれて、徐々に私自身もあの曲を受け入れられるようになった。作り手、聴き手、それぞれの立ち位置みたいなものを、客観視できるようになったんです。
EMTG:なるほど。
片平:そこから、自分が求めるものだけじゃなく、お客さんが求めているものを書くことの喜びも感じられるようになりました。それは成長だったかなと思います。「誰にだって~」も、自分の今のモードの曲ではなかったけど、みんなが受け取ってくれる姿を想像したら、すごく楽しく書けたんです。
EMTG:音楽への熱量が減少している昨今、若い方たちが片平さんの音楽を好きになるということには重要な意味があると思います。
片平:そういう人たちと一緒に成長していけたらいいなと思ってます。
EMTG:東京をベースにするようになって、何か意識は変わりましたか?
片平:音楽に対する意識は変わらないんですけど、親元を離れて暮らすというのは初めてのことなので、その環境が書く曲には影響してますね。
EMTG:ひとり暮らしで、それこそ女の子としての部分を見つめることにもなりますよね。
片平:そうなんです。淋しいという気持ちが増えたりもしますね。その一方で、やろうと思えばひとりでなんでもできちゃうから、どこまでも強くなれてしまう。ってことにも気づいてしまいました。もちろん強くなることは大事なんですけど、このままひとりでなんでもできちゃえるようになってもなぁと。やっぱり甘えられる人がいるほうが、人生幸せなんだろうなと思ったり。そんな気持ちもようやく芽生えてきました(笑)。
EMTG:女性としての進化が、今後の曲のなかで見られそうですね。
片平:はい。また違った角度から愛をテーマにした曲が書けるんじゃないかなと。私自身も楽しみにしていたいと思います。

【取材・文:藤井美保】

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ビデオコメント

リリース情報

誰にだってシンデレラストーリー(初回限定盤)[CD+DVD]

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2015年08月26日

ポニーキャニオン

[CD]
1.誰にだってシンデレラストーリー
2.スターター
3.サマーキャンプ

[DVD]
「誰もが」、「煙たい」、「Oh JANE」ライブ映像&ライブドキュメンタリー
(片平里菜 弾き語りワンマンツアー2015?最高の仕打ち?@TSUTAYA O-EAST)

お知らせ

■ライブ情報

片平里菜 3rdワンマンツアー2016“そんなふうに愛することができる?”
2016/02/06(土) 郡山HIP SHOT JAPAN
2016/02/07(日) 埼玉HEAVEN’S ROCK さいたま新都心 VJ-3
2016/02/13(土) 新潟GOLDEN PIGS RED STAGE
2016/02/14(日) 仙台Rensa
2016/02/28(日) 福岡Drum Logos
2016/03/05(土) 札幌PENNY LANE 24
2016/03/12(土) 広島Club Quattro
2016/03/13(日) 名古屋ダイアモンドホール
2016/03/18(金) 大阪なんばHatch
2016/03/21(月・祝) 東京Zepp DiverCity

※その他のライブ情報、詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

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