奥華子、メジャーデビュー10周年を飾る渾身のアルバムが遂に完成

奥華子 | 2015.10.28

 メジャーデビュー10周年のアニバーサリーイヤーを迎えている奥華子がニューアルバム『プリズム』を完成させた。映画「あしたになれば。」の主題歌「君がくれた夏」、ファンの間でも強く支持されている失恋ソング「楔-くさび-」などの話題曲を含む本作には、奥華子の魅力の中心である切ないラブソングはもちろん、揺れる感情をリアルに描いた「羅針盤」、ストレートな応援歌「ガンバレ」など、『プリズム』というタイトルにふさわしい多彩な楽曲を収録。「人との出会いのなかで気付いた感情を曲にしてきた」という彼女にとっても、大きなポイントなるアルバムになったようだ。心のなかにある繊細でカラフルな感情をじっくりと味わってほしいと思う。

EMTG:メジャーデビュー10周年を飾るニューアルバムが完成しました! まずは『プリズム』というタイトルの由来について教えてもらえますか?
奥華子:アルバムのコンセプトは特になくて、レコーディングの終わりくらいに「もう決めないと間に合わない!」と思ってタイトルを決めたんですよ(笑)。太陽の光は無色に見えるけど、プリズムを通すと虹色に見えますよね。曲もそうだと思うんですよ。この10年間を振り返ってみると、自分ひとりでは生まれなかった感情がたくさんあって。誰かと出会ったからこそいろんな気持ちを知ることができて…。
EMTG:その感情を曲にしてきた、と。
奥:そうですね。ふだんは気付かない感情、光というものもあると思うし。特に今回のアルバムは“気付き”の曲が多いんですよね。
EMTG:「東京暮らし」なんて、まさに“気付き”ですよね。親元を離れることで、家族の大切さを実感するっていう。
奥:ひとり暮らしを始めたのもちょうど10年前なんです。実家が千葉なので近いと言えば近いんだけど(笑)、家を離れて、初めてわかることもたくさんあって。「東京暮らし」はその頃の自分を思い出して書いた曲なんですよね。恋愛ソング以外の曲も作りたかったし、ちょうどデビュー10年というタイミングだったから。
EMTG:デビュー当初の印象って、いま振り返ってみるとどんな感じなんですか?
奥:あんまり記憶がないんですよね。どんな部屋に住んでいたかは覚えてるけど、どんな暮らしをしていたかはぜんぜん思い出せなくて。忙しかったし、わからないことも多かったから、とにかく必死だったんだと思います。まあ、10年間ずっとそういう感じなんですけど。
EMTG:いまは良い意味で余裕があると思うし、変わってきた部分もあるのでは?
奥:あ、そうですね。デビューした頃は「自分の音楽を広めたい、知ってほしい」という気持ちが強くて。でも、やってもやっても進まない、漕いでも漕いでも前に行けない時期もあったんですよ。そういうときは自分も周りの人も迷ってしまうし…。でも、10年目を迎えて「どんなにがんばっても、奥華子は奥華子でしかない」と思えるようになったんですよね。いい意味で力みがなくなって、でも、「たくさんの人に知ってほしい」という気持ちは変わらずにあって。いまがいちばん安定してるかもしれないですね。
EMTG:自分自身を受け入れられた?
奥:そうですね、ホントに。今回のアルバムもすごく“らしさ”が出せたんじゃないかなって。作りたいものを作れたし、みんなが求めている奥華子らしさも自然と意識できたので。
EMTG:元カレの家の近所を通りかかったときの気持ちを描いた「スターチス」、遠距離恋愛をテーマにした「流れ星」、“退屈な毎日が あなたで輝いてた”というフレーズが印象的な「雨のプリズム」など、ラブソングもたっぷり収録されてますからね。リスナーが期待する切ないラブソングを書きたいという気持ちもありますか?
奥:そうですね。ただ、曲を書くときにあえて泣かせようとしても、ぜんぜん泣けないと思うんですよ。過去にあった事実を歌うだけで、切なかったり、悲しかったりすることもあるんじゃないかなって。たとえば「幸せな日々があった」というだけでも、ちょっと切ないじゃないですか。だから“切なくしよう”とか“泣いてもらおう”みたいなことは意識しないほうがいいんですよね。
EMTG:「羅針盤」もすごく心に残りました。「やりたくない 救われたい 怒られたくない 傷つきたくない」という歌詞、これ以上ないほど率直ですよね。
奥:ホントにそうですよね。でも、私はめっちゃ自由に音楽をやらせてもらってるんですけどね(笑)。そこは矛盾してるんですよ。「たくさんの人に聴いてほしい」という気持ちもあるし、「これくらいがちょうどいい。いまが最高」というところもあって。ひとつ言えるのは、「諦めたらダメ」ということだと思うんです。がんばったぶんだけ結果が付いてくるわけではないけど、10年がんばってきた結果がいまの状態なので。今回のアルバムには13曲入ってますけど、そのために何10曲も作ってるんですよ。ワンコーラス作って、スタッフのみなさんに聴いてもらって「これはいいね、これはダメかな」という話をして。その後も“あーでもない、こーでもない”って話しながら作ってるんですが、そのすべてがムダじゃないと思うんです。
EMTG:そういう試行錯誤にも意味がある、と。
奥:もっと大きく言うと、いままでやってきた全部が“いま”につながってるんですよね。過去の自分、いままでの恋愛も肯定してるというか…。だから「愛することは 何も失くさないこと」(「スターチス」)なんです。
EMTG:なるほど。でも、その渦中にいるときは「いまやってることに意味はあるのかな?」って思ったりしないですか?
奥:ありますね(笑)。「これ、意味なくないか?」とか。でも、そういうことの積み重ねだと思うんですよね。そこでも大事なのは“人”なんですよ、結局。その人が言ってくれたからやってみようと思ったり、待ってくれてる人がいるからがんばったり。
EMTG:その話、アルバムの最後に入っている「がんばれ」にもつながりますね。
奥:これはいまのツアー(「奥華子 10th Anniversary Concert Tour 2015~弾き語り~」)のMCでも言ってることなんですけど、10年間のなかで、がんばりたくてもがんばれない時期や「がんばって」という言葉を負担に思うときもあったんです。でも、「そうじゃないんだな」って気付いたんですよね。たとえば長距離走をやったとして、誰も見てなかったら、すぐにサボったり歩いたりすると思うんです、私は。「がんばれー!」って旗を振ってくれるから走れると思うし、それは「もっと速く走れ」ということではなく、「見てるよ、気にかけてるよ」ということなんだなって。それをそのまま歌詞にしたのが「ガンバレ」なんです。ファンのみんなに対するメッセージでもあり、自分に向けて言ってる部分もありますね。
EMTG:10周年にふさわしい、充実したアルバムになりましたね。いまのツアーの手応えはどうですか?
奥:すごく充実してますね。今回は曲を届けたいという意識がいつも以上にあって。演出やイベントを入れないで、“ピアノとキーボードでひたすら歌って、ちょっとしゃべって”という内容なんですけど、弾き語りのライブはお客さんとの距離が近いし、「これが奥華子のライブ」という感じがすごくあるんです。年末にはスペシャルライブ(バンドと弦カルテットを入れた「奥華子 10th Special Concert 2015 冬 in 昭和女子大学人見記念講堂」/12月23日)もあるし、年明けには「楔-くさび-」とアルバムの連動企画で「奥華子とカラオケ」というイベントもあって。来年は全曲ライブをやってみたいんですよね。2日間かけて、10時間くらい歌って。
EMTG:リリースしてる曲を全部歌うってことですか?
奥:そう(笑)。みんな好きな曲が違うし、アンケートを取ってもバラバラなんですよ。みんなに満足してもらうためには全曲ライブしかないなって。まだどうなるかわからないですけど、おもしろいことをやっていきたいですね。

【取材・文:森朋之】

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ビデオコメント

リリース情報

プリズム(初回限定盤)[CD+DVD]

プリズム(初回限定盤)[CD+DVD]

2015年10月28日

ポニーキャニオン

[CD]
1. 楔 -くさび-
2. スターチス
3. 東京暮らし
4. 好きだったんだ
5. 流れ星
6. 友達のままで
7. 羅針盤
8. 雨のプリズム
9. 大切なもの
10. 嘘つき
11. 君がくれた夏
12. 花火
13. ガンバレ

[DVD]
・「君がくれた夏」MV
・「君がくれた夏」MVメイキング映像
・「楔 ‐くさび‐」MV
・「楔 ‐くさび‐」MVメイキング映像
・「花火」MV
・ 10周年記念シングルレコーディングオフショット
・ 奥華子コンサート2014「冬の贈りもの」第一夜 with String quartet 2014.12.27 in 日本橋三井ホール(厳選曲)
・ 奥華子コンサート2014「冬の贈りもの」第二夜with My friends 2014.12.28 in 日本橋三井ホール(厳選曲)

お知らせ

■ライブ情報

奥華子 10th Anniversary Concert Tour 2015 ~弾き語り~
2015/11/20(金)【福井】福井響のホール
2015/11/21(土)【石川】北國新聞赤羽ホール
2015/11/23(月)【富山】富山県教育文化会館
2015/11/25(水)【長野】上田市交流文化芸術センター 小ホール
2015/12/05(土)【熊本】熊本市国際交流会館
2015/12/06(日)【熊本】熊本市国際交流会館
2015/12/12(土)【長崎】長崎ブリックホール 国際会議場
2015/12/19(土)【滋賀】ルッチプラザ
2015/12/20(日)【大阪】IMPホール

奥華子 10th Anniversary Special Concert 2015冬 in 昭和女子大学人見記念講堂<バンド+弦カルバージョン>
2015/12/23(水・祝)【東京】昭和女子大学人見記念講堂

※その他のライブ情報、詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

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