THE BACK HORNの原点と今を繋ぐ最新作『運命開花』について山田と菅波が語る

THE BACK HORN | 2015.11.24

 1年半ぶりの新作『運命開花』は、両A面シングル「悪人/その先へ」の2曲を要に、人間に潜む悪や孤独、愛情や信頼を彼らならではの曲にして奏でている。山田将司(Vo)と菅波栄純(G)は、これは過去と現在のバックホーンを繋ぐアルバムだという。そのリアルな言葉から、一人の人間としてどう生きるかを問い続けてきた彼らの、最新のヴィジョンが見えて来る。

EMTG:まずは「運命開花」というタイトルがどうして生まれたか興味があるんですが、どなたの発案で?
菅波栄純:これはマツ(松田晋二/Ds)が。
山田将司:他にもいくつかマツは考えてて、これはけっこう後の方で「こういうのもあるけど」みたいに出してきて。
菅波:それが、俺のツボに入って(笑)。文明開化のもじりなんだけど、運命開花、いいんじゃね?って。
EMTG:運命が花開いていくという、いい意味になる。
山田:自分で変化していく感じですよね。バックホーンらしい。
EMTG:このアルバムは、やはり先行シングル「悪人/その先へ」が核になって、この2曲から始まっているという印象を受けました。
菅波:そういう感じはありますね。
山田:早い段階で、「悪人」はアルバムの重しだなと。
菅波:伝えたいことが明確になった。初期のバックホーンが持っていた罪悪感とか、悪とはなんだみたいな観念的なところと、今だから表現できる日常で見つけた真実みたいなものが、つながって曲ができてる。「その先へ」も過去と今を繋いだ曲だなと思う。
EMTG:「悪人」が出来てから他の曲も出来ていったんですか?
菅波:最初ではないんですけど、レコーディング前に曲を出していく段階で、「悪人」は大きかったかな。
EMTG:じゃ具体的に1曲ずつ伺っていきましょう。まずM1「暗闇でダンスを」。締まった感じのジャジーなイントロがいいですね。
菅波:締まったというのは嬉しいなあ。
EMTG:なんだかディスられたことへの反発という感じの歌詞ですけど?
菅波:いろいろ、ネットとか見てムカッとしたときの気持ちとか(笑)思い出しながら。まあ怒りをネタにしてるんですけど、バックホーンの初期の頃からそういうのはよくやっていて。やっぱり「悪人」で書いたことが、自分の中にもあるんじゃないかと思って。「悪人」はホントに酷いやつなのか?って。酷いやつなんだけど、そればっかりじゃないし、とも思うし。
EMTG:「悪人」は大きな命題を作品に投げかけてるんですね。M2「ダストデビル」は将司さんらしい優しさも感じます。
山田:これは、人の弱さを否定せずに書いてるんだけど、でも衝動は本物というか。
菅波:歌舞伎町に住んでた頃の将司っぽいよな。
山田:そう、歌舞伎町をイメージしながら書いた。
EMTG:M3「その先へ」については前回伺っているので、M4「tonight」へ。これも将司さんの曲ですね。逆風にもへこたれない感じ?
山田:これは、自分の上京時の思い出ですね。青いんだけど、青さもよしってことで。「全てが今 風に散っても 夢は生きる」というところには、頼もしさもありますよね。
EMTG:M5「コンクリートに咲いた花」は松田さんの歌詞で、栄純さんの曲。今回この組み合わせはこの曲だけですね。
菅波:これは詞からで。マツがすごい力入れて書いてて、時間かかったんですよ。でもそれだけのことはあった。サビのところがマツらしいかな。
山田:そうだね。「一段飛ばして」ってマツらしい。
EMTG:M6「記憶列車」は、詞が松田さんで曲が岡峰光舟(B)さん。
菅波:これも詞が先。詞は北国の冬の列車のイメージだって。
EMTG:ストーリーのある曲ですけど、これを歌うのはどうでしょう?
山田:歌は、歌詞に寄り添って歌う感じが難しいですね。
EMTG:M7「胡散」は、詩・曲とも光舟さん。正義感溢れる楽曲ですね。
菅波:光舟は歴史好きだから、そういうのも出てるんだけど、でも新しいものも好きっていうのも出てる。ベースのリフからできたって言ってたしね。
山田:歌詞は、自分が一番胡散臭いって思ったって。
菅波:それで「胡散臭い」じゃなくて「胡散」ていうのが光舟らしいね。
EMTG:M8「魂のアリバイ」はタイトルが栄純さんらしいですね。
菅波:これは、ライヴでもそうなんだけど、自分の存在って、誰かが証明してくれてるから存在してるんじゃないかと思って。ライヴを意識して書いた曲です。
EMTG:M10「シュプレヒコールの片隅で」とM11「君を守る」は、2曲で一つの情景になっている気がしました。
菅波:実際そういうイメージがあって、2曲を同時に作って持っていきました。「悪人」のサイドストーリーじゃないんだけど、もっと深く入っていける楽曲が欲しいと思って追加した2曲で。アルバムではバックホーンの前進していく力強さ、共に行こうという力強さ、それを軸にして、それが今のバックホーンだと思ってそれを表現したくて。その裏側で、思いがすれ違ってしまうこともある。そういう曲がアルバムに一緒に入っていると、より力強く感じられるかなと思うって。
EMTG:最後の「カナリア」。これは光舟さんと将司さん。
山田:この組み合わせも初めてなんですよ。光舟のメロに仮歌詞を俺が乗っけてる時から、この形ができていて。
菅波:ポイントになる歌詞はもう入ってた。ライヴをイメージして、俺も鳴いておめえらも鳴いて、生きててよかったと思えるから鳴いても大丈夫だよって。
菅波:優しい言葉ですからね。生きて良かったって思えるのは。
山田:俺は「俺のままで」というのがけっこうこだわりで。それは責任もあるし、背負ってるものもあるし。約束を守るという意味で、「俺のままで」って。あのままあいつはいなくなった、俺はその時の気持ちを携えたまま、これからも行くし、お前のそばにいるよっていう。
菅波:すごくバックホーンぽい人とのつながり方だなと思う。一人一人の人生というか、俺は俺の人生、あなたはあなたの人生で精一杯鳴いていこうぜ、でもそばにいるからって。この歌詞で将司と話してて、lonelinessとsolitudeは意味が違うみたいな話になって。lonelinessは寂しいって印象だけど、solitudeは一人だけど清々しさを感じる、自立に近いんじゃないかって。
EMTG:バックホーンのライヴでは、まさに後者の感じになりますね。
山田:早くライヴでやりたいですね。昔の曲と混じっても、いろんな意味で重しになる曲もあれば、昔の曲にないフレッシュさがある曲もあるし。昔の曲と混じって、より大きな世界観が出来る感じもありますね。
菅波:ライヴでやりたい曲ばっかりなんですよね。だからツアーが楽しみだな。ライヴで、俺が客席で踊りたい曲が一杯ある。
EMTG:ステージで踊ってるじゃないですか(笑)。
菅波:そうなんだけど、究極はリスナーなんですよ、俺(笑)。
EMTG:来年のツアーの前に、12月には恒例の「マニアックヘブン」もありますね。カヴァー曲を募集中なんですね?
山田:何曲が募って、その中から選んで歌おうと思って。毎回、自分達で(内容の)ハードル上げてるから大変なんです(笑)展示物も今頭をひねっていて。また新しいことをやろうと思ってます。

【取材・文:今井智子】

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リリース情報

[THE ORAL CIGARETTES]01.Don’t you think(feat.ロザリーナ)

[THE ORAL CIGARETTES]01.Don’t you think(feat.ロザリーナ)

発売日: 2019年09月06日

価格: ¥ 250(本体)+税

レーベル: A-Sketch

収録曲

01.Don’t you think(feat.ロザリーナ)

ビデオコメント

リリース情報

運命開花(初回限定盤)[CD+DVD]

運命開花(初回限定盤)[CD+DVD]

2015年11月25日

ビクターエンタテインメント

[CD]
1. 暗闇でダンスを
2. ダストデビル
3. その先へ
4. tonight
5. コンクリートに咲いた花
6. 記憶列車
7. 胡散
8. 魂のアリバイ
9. 悪人
10. シュプレヒコールの片隅で
11. 君を守る
12. カナリア

[DVD]
『Document of 運命開花』
アルバム制作を追いかけたドキュメント。Music Video「悪人」「その先へ」の撮影ドキュメントを含む約45分の特別映像

お知らせ

■ライブ情報

マニアックヘブンVol.9
2015/12/23(水・祝)新木場STUDIO COAST

「KYO-MEIワンマンツアー」~運命開歌~
2016/02/21(日)渋谷TSUTAYA O-EAST
2016/02/23(火)千葉LOOK
2016/02/25(木)HEAVEN’S ROCK KUMAGAYA VJ-1
2016/03/02(水)HEAVEN’S ROCK UTSUNOMIYA VJ-2
2016/03/03(木)水戸LIGHT HOUSE
2016/03/11(金)京都磔磔
2016/03/13(日)米子AZTiC laughs
2016/03/18(金)神戸VARIT.
2016/03/20(日)和歌山CLUB GATE
2016/03/21(月・祝)奈良NEVERLAND
2016/03/26(土)松本Sound Hall a.C
2016/03/27(日)甲府CONVICTION
2016/03/31(木)郡山HIP SHOT JAPAN
2016/04/02(土)石巻BLUE RESISTANCE
2016/04/03(日)盛岡CLUB CHANGE WAVE
2016/04/07(木)浜松窓枠
2016/04/09(土)名古屋DIAMOND HALL
2016/04/10(日)金沢EIGHT HALL
2016/04/14(木)大分DRUM Be-0
2016/04/16(土)宮崎SR-BOX
2016/04/17(日)鹿児島CAPARVO HALL
2016/04/21(木)岡山YEBISU YA PRO
2016/04/23(土)高知X-pt.
2016/04/24(日)松山サロンキティ
2016/05/07(土)広島クラブクアトロ
2016/05/08(日)福岡DRUM LOGOS
2016/05/10(火)熊本DRUM Be-9 V1
2016/05/14(土)松江AZTiC canova
2016/05/15(日)高松MONSTER
2016/05/21(土)新潟Lots
2016/05/22(日)仙台Rensa
2016/05/28(土)旭川CASINO DRIVE
2016/05/29(日)札幌ペニーレーン24
2016/06/10(金)なんばHatch
2016/06/12(日)新木場STUDIO COAST

※その他のライブ情報、詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

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