イ・ホンギ 1st Solo Album『AM302』 にて新たな一面を表現

イ・ホンギ(From FTISLAND) | 2015.12.07

 “僕はBraver,Dreamer,Crazy?”(「Anywhere」)――彼はいったいどこまで“表現者”としての自分の扉を開いていくのだろうか。韓国の人気ロックバンド・FTISLANDのボーカリストでありながら俳優としても有名。独自のファッションセンスで自身のネイルアート本を出したりファッションブランド“SKULL HONGI”も立ち上げたイ・ホンギが、12月9日、今度はアルバム『AM302』でソロ・デビューする。ファンが予想するだろうバラード“ホンギ”の際立ったボーカル力で聴かせる曲は控えめに、本作では音楽プロデューサー・ホンギの才能が開花。シンセポップ、EDMなどエネルギッシュなFTISLANDとはベクトルの違う楽曲を歌、楽曲、歌詞、アレンジまで自らプロデュースし、ホンギの新たな一面を表現した本作。すべては「新しいファンをFTISLANDに持って帰れるように」という彼の言葉に、胸が熱くなった。

EMTG:ソロ・デビューは前々から望んでいた?
ホンギ:チャンスがあれば、って感じでした(笑)。
EMTG:ははははっ(笑)。相変わらず隠し事のない発言が気持ちいい。
ホンギ:最初は事務所から提案してもらって、すごく迷って。「どうしてもやらなきゃいけないんなら僕はジェジン(FTISLANDのBs&Vo)と2人でボーカルユニットをやりたい」っていったんだけど「それはまた次回にやろう」といわれて。まずはソロでやったほうがいいよと提案されまして。きっかけは、韓国で覆面を被って歌を競う番組(=『僕らの日曜の夜?覆面歌王』)に出て好評だったことと、自分が歌ったOST(ドラマのサントラ)もすごくいい評価をもらえたことも、大きな理由だったと思うんです。
EMTG:ああー、なるほど。そこでの歌は確かにFTISLANDとは違うホンギさんの歌でしたもんね。
ホンギ:そう! だから、まず僕が考えたのは“ソロはFTISLANDとは違う音楽をやる”ということだったんです。それなら、どんな音楽がいいのか、僕はどれだったらできるのかを考えながら曲を一生懸命作り始めたんです。
EMTG:ソロをやるにあたって事務所サイドに提案した条件はありましたか?
ホンギ:ないです。逆に事務所側からは、ホンギのソロ・アルバムは最初からお互いの意見を出しつつ決めていこうと提案されたんで「分かりました。じゃあ事務所側のアイデアを下さい。僕も僕なりに曲を作ります。」といって始めました。
EMTG:ホンギさんは何曲作ったんですか?
ホンギ:2ヵ月で14曲作ったんですよ! FTISLANDの活動中、時間が空いたときは徹夜しながら。僕、自分のレーベル(=HONG’S TOWER)を作ったんですね。後輩のコンポーザーを集めて。スタジオ(=ホンスタジオ)も作ったんです。
EMTG:ファッションブランドの次に、自分の音楽ブランドを立ち上げたような感じ?
ホンギ:そう。そこで僕はレーベルメイトと毎日コツコツ曲を作って。最終的に事務所が聞かせてくれた曲のなかで「これめっちゃいいやん!」と思った曲が1曲。それが韓国のタイトル曲(「Insensible」)です。
EMTG:制作期間中はFTISLANDの日本ツアーも重なってたんですよね? その間の制作作業は?
ホンギ:FTISLANDの僕は日本、レーベルのみんなは韓国にいるから、僕がライブ前に「こんな雰囲気にしたい」とアレンジの指示をして、僕がライブをしてる間にレーベルのみんながその作業をする。ライブが終わったら僕がそれをチェックしてダメだったらまた指示を出すというのを繰り返してて。だから、僕はツアー中毎日電話ばかりしてました(笑)。友達のジャミールはわざわざ(FTISLANDの)福岡(公演)まで来てくれて、楽屋で一緒に歌詞を書いてくれたり。もう2度とこんなスケジュールではやりたくないですよ(苦笑)。
EMTG:では、そうして出来上がった本作。アルバムのコンセプトは?
ホンギ:ラジオです。今回新しいタトゥーを入れたんですが(と、腕を見せてくれる)、これと一緒。FTISLANDの音楽が全世界で聴けるようにしたいという意味で入れたんですが、今回はそれが僕の音楽。ラジオはいろんな音楽が普通に流れるじゃないですか? そんな雰囲気でいろんなジャンルの音楽が入ってて、いつでもどこでも聴けるものにしたいというのがコンセプトです。
EMTG:日本盤のタイトル曲が「モノローグ」になった理由は?
ホンギ:この曲はデモを作ったときから「FTISLANDっぽくないし、これをタイトル曲にしたい」というみなさんの意見があったので、僕がプライベートで日本に来て、仲良しのアニキと一緒に編曲作業をしたんです。この曲はストーリーの流れは遅いんだけど、サビのところで歌に力が入っちゃうからインパクトがあるのがよかったのかなぁ……。
EMTG:だと思います。サビの中でも“I’m fine~”の“f”のところが素晴らしい!!
ホンギ:ありがとうございます(照笑)。僕らのメンバーも大好きで、本当はこれ、FTISLANDの曲にしようと思ってたんです。もっとバンドサウンドにして。だけど、これがタイトル曲に決まったのでバンドサウンドのボリュームを押さえてシンセの音をメインに変えました。
EMTG:歌い方もFTISLANDのときとは。
ホンギ:違います。最近のFTISLANDの曲はワザと強めにロックっぽく歌ってるんですけど、これはフラットな感じで、悲しいバラードなんだけど力はちょっと入れる感じで歌いました。FTISLANDだとバンドサウンドを聴きながらレコーディングするじゃないですか? だから、気持ちの入り方も違うんですよ。シンセのサウンドや打ち込みを聴いて歌うのとリアルなドラムのキックやスネアを聴いて歌うのとでは全然違いますからね。
EMTG:じゃあもしこの曲もFTISLANDでやってたとしたら、もっとエモーショナルに歌い上げてた。
ホンギ:はい。めっちゃカッコつけて(笑顔)。
EMTG:では、この曲のMVの見どころは? まさか……キスシーンとかはないですよね?
ホンギ:ないです。シルエットで映し出される元カノのモデルさんが、裸に白い布をまとってるシーンがあるんですけど。僕はそこ、背中越しじゃなく前から見たかったなぁと(笑)。
EMTG:タイトル曲はバラードですけど、他の曲、「Anywhere」や「Let’s Seize The Day」「LOL(loudness of love)」のクラブ系のEDMやシンセポップには驚かされましたよ。
ホンギ:最近好きなんです(微笑)。EDMはクラブで聴くぐらいですけど、サウンド的に最近はシンセを使う音楽が楽しくて。シンセポップというジャンルをやってる男性ソロって、世界中見渡しても少ないんですよ。女性ばかりだから。そこにチャレンジしてみました。
EMTG:英語の歌詞が多いのは?
ホンギ:日本語と韓国語で歌うとシンセポップのモダンな色が薄れちゃうなと思って。
EMTG:アルバムのなかでは「Kings For A Day」が唯一ロック色があるぐらい?
ホンギ:そうですね。FTISLANDでもいけそうと思われるかもしれないけど、絶対にFTISLANDのメンバーはいかない曲です。最近のFTISLANDだと「これは軽すぎだろう」ってことになる(笑)。この曲はジャミールと一緒に歌詞を書いてるときに、彼の曲を聴かせてもらったら「めっちゃいい!」と思って、すぐに入れたんです(微笑)。
EMTG:得意のバラード全開かと思いきや、新しいホンギさんの一面で攻めた作品でしたね。
ホンギ:期待していた人もいるかもしれけど、いつもと同じじゃつまらないでしょ?
EMTG:今回ソロで見せてくれた新しい一面も、まだまだホンギさんの一部なんでしょうか。
ホンギ:そうですよ。いつも僕は自分に問い掛けている質問があるんです。それは「お前、どこまでいけるの?」ってこと。いま僕がやってることは全部自分が好きなことばかりで。
EMTG:音楽、俳優、ファッション……好きとはいえ、なんでこんなにいろんなことができちゃうんですか?
ホンギ:それは全部関係があることばかりだからです。それら全部含めて「芸術」というじゃないですか? 芸術のすべてはエモーショナル、感覚が大事。自分が感じたものを自分の感覚、自分のスタイルで作って、それが僕のものになるというのはどれも同じです。
EMTG:なるほど。本作発売後は<FNC KINGDOM IN JAPAN>に続き、1stソロツアーも開催されます。こちらもFTISLANDとは違うホンギさんが?
ホンギ:見られます。アルバムがラジオのコンセプトだから、ライブもラジオをコンセプトに考えてます。ラジオってリスナーの方が自分の話を書いて送るじゃないですか? そんな感じで、みなさんのお話を聞きながら僕の意見を伝えたり、歌を届けたりしてハッピーな雰囲気のコンサートにしようかなと思ってます。もちろんシンセポップとかEDMの曲は、僕の後輩を呼んで、盛り上がろうかなと。
EMTG:OSTも歌いますか?
ホンギ:内緒です(笑)。
EMTG:分かりました。では、最後にホンギさんからみなさんにメッセージをお願いします。
ホンギ:これはライブでもいったんですけど、今回のソロは僕の一部にもなると同時に僕というものはFTISLANDのものだから、FTISLANDの一部にもなる。今回のソロでちゃんと音楽性を見せて、売れて、新しいファンをFTISLANDに持って帰れるように頑張ります。

【取材・文:東條祥恵】

tag一覧 アルバム 韓国 男性ボーカル FTISLAND

ビデオコメント

リリース情報

AM302(初回限定盤)[CD+DVD]

AM302(初回限定盤)[CD+DVD]

2015年12月09日

ワーナーミュージック・ジャパン

[CD]
1. モノローグ
2. Anywhere
3. Let’s Seize The Day
4. Kings For A Day
5. Be Your Doll
6. LOL(loudness of love)
7.雨が降ります
8. Miss X-Mas

[DVD]
1. モノローグ(Music Video)
2. モノローグ(Studio Session)
3. モノローグ(The Making Of -モノローグ-)

※初回限定盤:2枚組[CD+DVD] / 豪華フォトブックレット44p / 歌詞カード16p / 三方背 / デジパック仕様

このアルバムを購入

お知らせ

■ライブ情報

イ・ホンギ(from FTISLAND)ファーストソロコンサート
2015/12/16(水) パシフィコ横浜国立大ホール
2015/12/17(木) パシフィコ横浜国立大ホール
2015/12/24(木) グランキューブ大阪
2015/12/25(金) グランキューブ大阪

※その他のライブ情報、詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

トップに戻る