SHE’S  3部作の完結編 『She’ll be fine』をリリース

SHE’S | 2016.02.03

 メンバー全員が1992年生まれ、大阪出身の4人組ピアノロックバンドSHE’Sがミニアルバム『She’ll be fine』をリリースする。今作は、メンバーが好きなものを貪欲に取り入れたピュアなサウンドのなかで、美しいピアノの旋律と、エモーショナルな歌とが、瑞々しく鳴らされている。ソングライティングを手がける井上竜馬(Vo)は、この作品のなかで「いまいちばん大切なものは何なのか」、その答えをはっきりと刻み込んだ。これまでに2枚のミニアルバムをリリースしたSHE’Sが、3部作の完結編として完成させた『She’ll be fine 』。その源泉にあるものを井上のインタビューから探った。

EMTG:1曲目の「Un-science」はストリングスで刻むリズムからダイナミックに広がる曲で、コールドプレイの「VIVA LA VIDA」っぽい雰囲気を感じました。好きだったりしますか?
井上:よく言われますね(笑)。コールドプレイ好きなんです。
EMTG:ほかにはどんなバンドの影響を受けましたか?
井上:バンドを始めたきっかけはELLEGARDENです。そこからELLEGARDENのルーツを探して聴き始めたので、中高はひたすら洋楽でしたね。ウィーザーとかニュー・ファウンド・グローリーとか、アメリカのポップパンクを聴いて……。
EMTG:たしかに3曲目の「Save Me」とかは、そのあたりの影響を感じますね。
井上:ちょっといかつめの暗い曲ですね(笑)。で、そのあとにUKにいって。20代まではずっと洋楽ばっかりでした。日本の音楽を聴き始めたのは最近なんです。
EMTG:SHE’Sはピアノロックと言われるバンドだけど、それは何の影響ですか?
井上:MAE(メイ)っていうピアノエモっていわれるジャンルのバンドに出会ったのがきっかけです。そこからジャックス・マネキンとか、ピアノエモのバンドをずっと聴き漁って、それがSHE’Sをはじめるきっかけになりました。もともと小1から中1までピアノを習ってたのもあって。それでピアノに馴染みもあったんだと思います。
EMTG:バンドを始めたのはいつから?
井上:中3でELLEGARDENのコピーバンドを始めたのが最初ですね。中1からギターを始めるんですけど、そこから高校に入ってからはずっとギターしか弾いてなかったですね。軽音部に入って、いろいろコピーしたけど……女性ボーカルを入れて洋楽のコピーバンドを多くやってました。アヴリル(・ラヴィーン)とか。
EMTG:ギターを始めたのもエルレの影響?
井上:いや、『BECK』っていうマンガを読んで、「うわー!ギターかっこいい」って、ギターを買って始めたのがきっかけでした。
EMTG:なるほど。パンクとかパワーポップが音楽の入り口だったけど、そこからピアノエモ、ピアノロックに惹かれていった。その理由は何だと思いますか?
井上:うーん……難しいな。バンドをやってくうちに、メロディックハードコアもそうですけど、全部似たような感じに聴こえてきて。どのバンドを聴いても、新鮮味がなくなってきちゃったんです。それで、YouTubeを聴き漁ってたら、見つけたのがMAEだった。それが、すごく新鮮だったんです。もともときれいな音楽が好きで、美しいものに聴き入ってしまうところもあって。それはピアノをやってたからクラシックが自分には根付いてるのかなと思いますけどね。
EMTG:日本の音楽は最近まで聴いてないって言ってたけど、「信じた光」とか「2人」みたいなミディアムバラードの曲には、J-POP的なニュアンスを感じるんですよね。
井上:今作は、そういうところに目を向けたんです。いままでやってきたのは完全に洋楽志向だったけど、ちゃんと日本のミュージックも消化できたらなと思って試みたのが今作なんです。日本の音楽のほうが小回りが利いて面白いなっていうのは昔から思ってて。コードワークとか、入れる音符とかリズムに、洋楽の硬さがまったくないところが魅力だなと思ってたから。そこを吸収できたらなと思ったんです。
EMTG:洋楽志向だとJ-POPなんてダサいとか思ったりはしなかった?
井上:ないです。まったくないですね。アイドルのバックの演奏とか、めっちゃかっこいいじゃないですか。嵐とか。そこにJ-POPのすごさを感じてます。僕は、けっこうダンスミュージックも好きだし、雑食って言ったら雑食なんですね。だから何にでもなれるというか。七変化できるバンドになりたいし、それができるバンドちゃうかなと思ってます。
EMTG:他のメンバーはそういう変化をどう受け止めてるんですか?
井上:前作(『WHERE IS SHE?』)を作ってる途中ぐらいから、楽曲制作がすごくスムーズになったんですよ。そのときも、1枚目(『WHO IS SHE?』)とは違う色の作品にしたいっていう意識で作ったんですけど、それをメンバーがよくわかってくれたんですね。そこから、みんながSHE’Sっていうものを理解できるようになったというか。みんな好きな音楽はバラバラなんだけど、それがSHE’Sらしさだっていうのは4人のなかで気づけたというか。変化を怖がることはない、何にでもなれるなって思った瞬間だったんです。ぼくは「こうしたい」っていうのをはっきりと口にするタイプだから。今回もJ-POPのこういう雰囲気を取り入れたいっていうのをちゃんとメンバーに噛み砕く作業をしました。
EMTG:具体的にいうと?
井上:「2人」っていう曲では、秦 基博の「鱗」をみんなに聴いてもらいました。秦基博がすごく好きなんです。いままではバラードだったら、がっちりした洋楽っぽいリズムの曲ばっかり作ってきたから。それだといままでどおりだなっていうのがあったので。「この曲だったら、そのリズムを崩すのもできるんじゃない?」っていう話をしたんです。
EMTG:井上くんの意志をちゃんと汲んでくれる、いいメンバーなんだね。
井上:本当に今回それは身に沁みましたね。信頼してくれないとできないと思うので。
EMTG:さっき前作の話が出ましたけど、1stの『WHO IS SHE?』、2ndの『WHERE IS SHE?』と今回の『She’ll be fine』で3部作と謳ってるのは、どういう意味?
井上:1枚目の『WHO IS SHE?』は、自分のなかでしか闘ってない内省的な作品だったんです。喪失とか暗闇をテーマにしたミニアルバムだった。で、2枚目の『WHERE IS SHE?』はそれをなんとか吹っ切って、理想に近づきたいっていう想いを込めたんですね。そこを経た今作は、僕なりの感謝というか。ちょっと嫌な言い方ですけど、勝手に……バンドは僕らが勝手にはじめたもので、それを勝手に好きなったお客さんがいて、その両者の関係で成り立ってるっていうドライな気持ちがあったんです。あんまり深く考え過ぎると自分が潰れてしまうと思ってて。でも、いまはもうバンドは自分たちだけでやってるものじゃないっていう意識がはっきり芽生えて。自己満足のために始めた最初の気持ちよりも、いま続けてる理由のほうが圧倒的に大きくなった。(バンドが)嫌になったときに助けられたのが、やっぱりお客さんのちょっとした声とか応援だったので。そこに向けてメッセージを発信していきたいし、最大限の感謝をしないとなって思ったんです。
EMTG:わたしは今作から「ありがとう」っていう単純な感謝というよりも、「人はひとりじゃ生きられない」っていうメッセージを伝えたい作品だと感じました。
井上:そこは明確にありますね。ぼくはもともと人間関係を重視しない生き方をしてて……。高校生のときは友だちも4~5人くらいで少なかったし、それもいいかなって思ってたんです。トゲトゲしてて、あんまり人間を信用してなかったから。
EMTG:「信じた光」でも、《映り込む全ての言葉を 疑い天秤にかけて》って歌ってる。
井上:そう。で、その後に《気づかずに落とした大事なものを》って歌ってるのが、人のつながりですね。それは音楽を始めたのがきっかけで大事にするようになったものなんです。人間と人間だから起こる一喜一憂があって、そういう目に見えないものを見ていたいっていう想いが大きくなったんですね。だから、俺らの曲を聴いてくれる若い子たちには、俺みたいにトゲトゲした感じになってほしくない(笑)。もちろん自分にとっては、それがあったから、こういう歌を歌えるし、昔から人気者で誰とでも仲良くできてたら、歌を歌おうとは思わなかったけど。でも若い頃に大切なことに気づけたら、人生が絶対に良くなるから。それを伝えることが、僕なりの音楽での感謝の伝え方なんです。
EMTG:「She’ll be fine」っていうタイトルは、井上くん的に日本語に訳すと、どういうニュアンスで使ってますか?
井上:僕の感覚では「元気でやってるだろう」みたいな。なにも心配しなくても、俺が元気でやっているように、同じように彼女も「元気でいるやろ」っていう感じですね。
EMTG:このタイトルは、SHE’Sがずっとやってきた自主企画のタイトルでもありますよね。どういう想いで使ってた言葉なんですか?
井上:これは……うわ、嫌やな(笑)。僕、めっちゃ女々しい感じになってしまうんですけど。最初、『君を失った世界』っていう2曲入りのデモ音源を出したときにやったリリースパーティが「She’ll be fine -chapter.1-」だったんです。そのデモは、初めて付き合った女性と別れたときに作った2曲で。なんか爪痕残したろ、と思ったんですよね。めっちゃ引きずってた感じなんですけど、「彼女はまあ、元気でやってるやろ」みたいな。ちょっとした見栄張りやったし、そう思える日が絶対に来るやろうなっていう希望だったんです。
EMTG:改めていま3部作の終わりに、その言葉を使ったのは?
井上:1枚目の『WHO IS SHE?』は“彼女は誰?”、2枚目の『WHERE IS SHE?』は“彼女はどこにいるの?”って、ずっと彼女を追いかけてきたつもりだったけど、その彼女は結局自分やってわかったんです。彼女を失ったことによって、「いままでの自分が何やったんやろ?」ってなってしまったから、自分を探そうと思った。それが、前作の『WHERE IS SHE?』で「俺はこれからどこに向かっていくんだろう?」っていう、こうありたいっていう理想を書いた7曲ができて、それで「あ、終わった」と思えたんです。ずっと忘れられへんかった人のことを、俺はちゃんと理解できたって、すっきりした。だから、3つ目を作るときに、あのときとは違う気持ちで「She’ll be fine」=“彼女はきっと元気でやってるやろ”ってはっきりと言えると思ったんです。もちろん初めからすべてを考えてたわけじゃないし、偶然なんですけど、すごくつながったんですよね。
EMTG:じゃあ今作は、ずっと自分探しをしてて、その答えが見つかったから、今度はみんなを導いていける、そいう作品になったんですね。
井上:そうですね。そのときそのときでリアルな感情を歌ってきたから、つながったんだと思います。すごく曲と一緒に成長できてる感じがしてますね。自分がひとりの人間として、「こうなれたら最高じゃない?」って思える場所にいて、SHE’Sを好きなみんなが楽しく生きられたり、人生を乗り切れるような、そういう歌を書いていきたいです。

【取材・文:秦理絵】

tag一覧 アルバム インタビュー 男性ボーカル SHE’S

リリース情報

She’ll be fine

このアルバムを購入

She’ll be fine

発売日: 2016年02月03日

価格: ¥ 1,600(本体)+税

レーベル: spm disc

収録曲

1.Un-science
2.信じた光
3.Save Me
4.2人
5.ワンシーン
6.遠くまで
7.Curtain Call

ビデオコメント

お知らせ

■ライブ情報

SHE’S ワンマンツアー「She’ll be fine-Chapter.0」
2016/03/02(水)【宮城】仙台enn 2nd
2016/03/04(金)【大阪】梅田CLUB QUATTRO
2016/03/07(月)【福岡】天神Queblick
2016/03/11(金)【愛知】名古屋ell.FITS ALL
2016/03/14(月)【東京】渋谷CLUB QUATTRO

※その他のライブ情報、詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

トップに戻る