クリープハイプ、約半年ぶりとなるニューシングル『破花』で今と昔を繋ぐ。

クリープハイプ | 2016.03.18

 クリープハイプが3曲入りニュー・シングル「破花(はっか)」を発表する。表題曲はライヴでも既にプレイされており、初耳のリスナーにも好リアクションで迎えられている楽曲だ。イントロからオッと思わせる癖のあるフレーズで始まり、各楽器のアレンジも凝った作りで、聴けば聴くほどハマる中毒性を放つサウンドが実にいい。代々木ゼミナールCM曲にも抜擢され、受験生に向けた内容に仕上がっている点もポイントだ。また、カップリングの「answer」、「サウジアラビア」は昔の曲から引っ張り出したもので、今と昔を繋ぐ興味深い音源になっている。尾崎世界観に話を聞いた。

EMTG:今年1月に原点回帰ツアー『わすれもの~つま先はその先へ~2016』、その翌月から追加公演『たぶんちょうど、そんな感じ』を行ったわけですが、全公演を終えてみていかがでしたか?
尾崎:1月のツアーは昔やっていたライヴハウスを回ったので、いろいろ思うことがありました。追加公演ツアーはいままで東京から始まることがなかったので、不思議な感覚でしたね。
EMTG:そうなんですね。原点回帰ツアーでは何を思い出しました?
尾崎:あのときはステージに出るだけで、お客さんが喜んでくれたんですけど(笑)。何年もやると、お客さんも慣れてくるから(笑)。
EMTG:ははは。
尾崎:それだけじゃ無理だから、頑張らなきゃいけないなと。当時はうまくできてなかったのに、お客さんは満足してくれてる。ライヴをやったという事実だけで喜んでくれているから。まあ、それはお客さんに助けられているということでもあるんですけどね。もっとやれるのに、という悔しさはありました。
EMTG:当時はそういう心境だったんですね。
尾崎:今回はお客さんも地に足をつけてライヴを観てくれているから、当然なんですけど、こっちも地に足をつけてライヴをやらなきゃいけない。ライヴをやる、ライヴを観る、という関係がしっかり出来上がっていたなと。
EMTG:そして、今作の表題曲はそのツアーでも既にお披露目済みですけど、曲のアイデアはどこから生まれてきたんですか?
尾崎:最初のイメージでは勢いがある曲にしたくて。でもそれが自分の中で退屈だなと思い・・・もっといけるんじゃないかと。で、リズムやアレンジを変えていく中で、思っていたものとは違う方向に行ったんですよ。その過程というか、とりあえず走ってみたら、思いも寄らぬ方向に行って、結果良かったという風に。そういう過程を経たから、タイトルも強いものにしたくて、それでこの言葉が出てきました。
EMTG:最初はシンプルな曲だったんですか?
尾崎:平べったい8ビートの曲で、いつもと変わらないなと。CMのタイアップも決まっていたので、よくあるタイプの曲になってしまう、という焦りもありました。それでバンド合宿でメンバーと曲を練る中で変わりましたね。あと、レコーディングに東京スカパラダイスオーケストラの加藤さんが関わってくれて。
EMTG:あっ、そうなんですか。
尾崎:はい。それも大きかったです。一緒にレコーディングして、スタジオでアレンジも詰めて、いろんなアイデアをもらえました。
EMTG:加藤さんからは具体的にどんなアドバイスを?
尾崎:アレンジの組み立て方、演奏の力の入れ具合、音数の減らし方とか、それだけでもいままで見えなかった輪郭が見えてきたんですよ。自分では思いつかない曲の組み立て方を提示してもらって、それで曲がしっかり繋がった感じがありますね。
EMTG:改めて音源で聴くと、「破花」という曲の面白さが伝わってきます。歌メロもアレンジも独特ですよね。
尾崎:何回も作り直したので、最初のイメージとは全然違いますからね。後からどんどん付け足した感じで、自分でもわざと難しくしたところもあるから。大げさなくらい、いろんなものを肉付けしようと。いつもはそんな作り方はしないんですけどね。メロディの種類もいつもより多いし、いつもならやめているところから、ちょっと粘って作れたんですよ。毎回これぐらいやらなきゃいけないなと。
EMTG:難解さとキャッチーさのバランス感が絶妙です。
尾崎:難しい感じになるかな、と思うギリギリのところでまとまってるから。聴いてる人の予想は、いい意味で裏切りたいですからね。あくまでもこっちのペースで曲を聴かせたくて。
EMTG:「代々木ゼミナール」のCMタイアップは意識しました?
尾崎:そうですね。受験、勉強、そこからイメージを広げて歌詞を書きました。ただ、自分なりに書いたので、普通の勉強の歌ではないというか。
EMTG:そうですね(笑)。尾崎さんの中では応援ソングみたいな気持ちで書きました?
尾崎:自分が受験するときに、こういう曲があればいいなという気持ちで書きました。自分で考えて、そこで見つけた答えの方が大事だと思うから。
EMTG:なるほど。カップリングの2曲に関しては、「破花」とのバランスを考えたんですか?
尾崎:いや、特に考えてなかったんですけど、昔の曲を入れるのも面白いかなと。1月のツアーの流れもあり、昔を振り返ることがあって、まだCDになってない曲があったから。「answer」は意識していなかったんですけど、「破花」と内容もリンクしていたので良かったですね。
EMTG:「answer」を選んだ理由は?
尾崎:インディーズの頃のミニアルバム(『When I was young,I’d listen to the radio』)に収録されていた曲で、廃盤になったものなんです。今のメンバーとは違うけど、僕の中では大事な作品なんですよ。それで、今の編成ならばよりいい形でやれるんじゃないかと。聴いたことがない人もいるだろうし、カップリングを作らなきゃなと思った時に・・・あの曲があったなと。
EMTG:「answer」の楽曲の雰囲気はどこか「破花」に近いものがありますね。
尾崎:そうですね。イントロとアウトロはアレンジを変えたんですけど、ほぼ原曲通りにやりました。当時は今できないことをやっていたから。久しぶりに音源を聴いて、すごくいいなと思いました。アレンジを含めて、歌い回しも今ではやらないようなアプローチですからね。
EMTG:もう一つの「サウジアラビア」の方は?
尾崎:これもだいぶ前の曲で、音源になってなかったので、ずっとやりたいと思っていたんですよ。今の編成で何回か試したけど、形にできなくて。今回「answer」をやると決めたときに、もう一度トライしてみようと。どうせなら、今の曲と昔の曲という対比にしたら、面白いかなと思って。それで、試してみたら、意外と一発でハマッたんですよ。最近こういう曲もなかったから、いいなと思いました。
EMTG:これもユニークな曲調ですよね。
尾崎:10数年前の曲だから・・・昔の曲を入れることに抵抗を覚える時期があったんですけど、原点回帰ツアーをやったことで気持ちも変わりましたね。当時は聴いてくれる人も少なかったから、吐き出してるようなイメージだったけど。今は対象をイメージして曲を作ってますからね。
EMTG:「サウジアラビア」のイントロは、完全にジャムセッションみたいなノリですね。
尾崎:この曲は一発録りなんですよ。何となく、その日に一発録りがいいなと思って。歌も後で入れるのは温度差が出るだろうから、全部一緒に録りました。
EMTG:それで生々しいサウンドになっているんですね。
尾崎:そうですね。当時の感覚に近いものに仕上がったと思います。
EMTG:「サウジアラビア」という言葉のチョイスも唐突感がありますね(笑)。
尾崎:自分でも意味がわからないなと思います。だけど、当時は意味わからないと思ってなかったんでしょうね(笑)。
EMTG:今作を聴くと、次のニュー・アルバムがさらに楽しみになってきます。
尾崎:曲はまだ出揃ってないんですけど、今はどういうものを作ろうかって、自分でも楽しみですね。

【取材・文:荒金 良介】

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リリース情報

破花(初回限定盤)[CD+DVD]

破花(初回限定盤)[CD+DVD]

2016年03月23日

ユニバーサル シグマ

[CD]
1. 破花
2. answer
3. サウジアラビア

[DVD]
「破花」ミュージックビデオ
「破花」ミュージックビデオ メイキング
『「珍問答」ツアー「わすれもの~つま先はその先へ2016~」ドキュメンタリーフィルム』

お知らせ

■ライブ情報

J-WAVE "THE KINGS PLACE" LIVE Vol.10
2016/03/24(木)東京 新木場 STUDIO COAST
w/ KEYTALK / パスピエ / 04 Limited Sazabys

YON FES 2016
2016/04/02(土)愛知 モリコロパーク(愛・地球博記念公園)

ARABAKI ROCK FEST.16
2016/04/30(土)宮城 みちのく公園北地区エコキャンプみちのく

rockin’on presents JAPAN JAM BEACH 2016
2016/05/03(火)千葉 幕張海浜公園特設会場

尾崎世界観の日 特別篇
2016/05/05(木)東京 上野恩賜公園水上音楽堂
ゲスト:石野田奈津代、椎木知仁(My Hair is Bad)、YO-KING

※その他のライブ情報、詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

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